湘南のお店のアルバイト募集、動画を使うと何が変わる?

開店前の海沿いの飲食店で、カウンターに置いたスマートフォンが準備をするスタッフを撮影している様子

求人サイトに募集を出して、店の入口にも「アルバイト募集」の貼り紙をした。それなのに、2週間たっても応募の電話が鳴らない。やっと来た応募者も、面接の日に現れなかったり、入って数週間で辞めてしまったり。仕込みと接客で手一杯の中、採用のことまで考えるのは本当に大変ではないでしょうか。

アルバイト募集に動画を使うと変わるのは、応募する人の「不安」です。時給やシフトの条件は求人票の文字で伝わります。でも、どんな人と、どんな空気の中で働くのかは、文字ではなかなか伝わりません。開店前の厨房や、レジ横で交わす何気ない会話を30秒見るだけで、応募する側は「ここで働く自分」を想像しやすくなります。

この記事では、アルバイト探しをしている人が何を見てお店を決めているのかを調査の数字で確かめたうえで、求人動画で撮りたい場面と、載せる場所、撮るときの注意を、平塚・大磯でお店の動画を撮っている私の目線でお話しします。

「応募が来ない」のは
お店だけのせいではありません

まず、いまの採用がどれくらい難しいのかを数字で見ておきます。厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」によると、2026年8月のハローワークでの有効求人倍率(パートタイムを含む常用、原数値)は、仕事全体では1.06倍でした。それに対して、飲食物調理の仕事は2.21倍、接客・給仕の仕事は2.31倍、商品販売の仕事は1.72倍です。

有効求人倍率は、仕事を探している1人に対して求人がいくつあるかを表す数字です。接客・給仕で2.31倍ということは、1人の応募者を2つ以上のお店が取り合っている計算になります。飲食店や小売店の採用が苦しいのは、店主の努力が足りないからではなく、そもそも取り合いになっている仕事だからです。

採用する側の実感も同じです。株式会社マイナビの「アルバイト採用活動に関する企業調査 2025年」(2025年12月調査、アルバイト採用担当者1,500人)では、アルバイトの人手が足りないと感じている人が57.5%と、半分を超えていました。

取り合いになっている以上、時給を上げるのも一つの手です。ただ、個人のお店にとって時給を何十円も上げ続けるのは簡単ではありません。そこで考えたいのが、同じ条件でも「このお店がいい」と思ってもらう材料を増やすことです。

応募する人は
求人票の「外側」を知りたがっています

株式会社マイナビの「アルバイト就業者調査(2026年)」(2026年2〜3月調査、全国のアルバイト就業者9,000人)では、いまのアルバイト先に決めた理由も聞いています。いちばん多かったのは「応募後にすぐに企業から連絡がきた」で39.9%。続いて「すぐに合否通知の連絡がきた」が30.1%でした。

その下を見ていくと、「採用担当者が話しやすい雰囲気だった」が23.2%、「仕事内容の詳細が知れて働くイメージが沸いた」が13.5%、「どんな人が働いているか知れて安心できた」が11.5%と続きます。どれも、求人票の時給やシフトの欄には書けない情報です。

同じ調査では、すぐに辞めてしまった経験がある人に理由を聞いています。上位には「職場の雰囲気が良くなかった/自分に合わなかった」「上司/同僚など職場の人間関係が合わなかった」が挙がっていました。入ってみて「思っていたのと違う」と感じることが、早く辞める大きなきっかけになっているわけです。

応募の前に職場の空気が分かれば、合わない人は最初から応募しませんし、合いそうな人は安心して応募できます。動画がいちばん役に立つのは、この「入る前と入った後のずれ」を小さくするところだと私は考えています。

スマートフォンで職場の雰囲気が分かる動画を見て、お店に応募しようとする人を表したイラスト

実際に私も多くの飲食店経営者の方からお話を聞いていますが、お仕事を初めてみると「こんなことまでするとは思わなかった」「こんな仕事もあるのか」といったギャップが生じて離職に繋がることが多いようです。

求人動画で撮りたいのは
この三つの場面です

求人動画といっても、お店の紹介動画のようにきれいに作り込む必要はありません。応募する人が見たいのは、自分がそこに立ったときの景色です。迷ったら、次の三つから撮ってみてください。

開店前の準備と、一日の流れ

シャッターを開けて、テーブルを拭いて、黒板にその日のおすすめを書く。仕込みの鍋から湯気が上がる。最初の日に何をするのかが分かるだけで、未経験の人の不安はぐっと小さくなります。「ランチのピークはこれくらい忙しい」という場面も、隠さずに少し入れておくと、入ってからの「こんなはずじゃなかった」を防げます。

一緒に働く人の手元と声

どんな人が働いているかは、顔を大きく映さなくても伝わります。カウンター越しの「お願いします」「はーい」というやりとり、片付けをしながらの短い会話、手元の動き。年齢や雰囲気が何となく分かれば十分です。店主ご自身が「最初はこれだけ覚えてもらえれば大丈夫です」と一言話す場面があると、応募する側はぐっと話しかけやすくなります。

休憩や帰り道のような、求人票に書けないこと

まかないが出るお店なら、まかないの一皿。休憩をとる場所。湘南の海沿いのお店なら、仕事帰りに見える夕方の海。こうした小さなことは、条件の欄には書きにくいものの、「ここで働いてみたい」と思うきっかけになります。

海沿いのパン屋で棚にパンを並べるスタッフの後ろ姿と、目立たない場所に置かれたスマートフォン

撮るときに私が大切にしているのは、働いている人が自然体でいられることです。私たちの撮影チームでは、いつも目立たない場所にカメラを置き、カメラを意識させない自然体の姿を撮るようにしています。求人動画で見せたいのはいつもの職場なので、スタッフに演技をしてもらう必要はありません。スマホで撮る場合も、棚の上などに立てかけて回しっぱなしにしておくほうが、いい表情が残りやすくなります。

とくにおすすめな撮り方としてはキッチンの隅やカウンターにアクションカメラを置いて回しておくこと。アクションカメラは物理的に小さい分目立ちにくく、気にならないため
いつもの自然な調理風景が撮れます。

撮る前に確かめたいことと
動画を載せる場所

求人動画は、お店の外の人に職場を見せるものです。撮影を始める前に、次の四つだけは確かめておいてください。

  1. 映るスタッフに、どこに載せるのか、いつまで載せるのかを伝えて了解をもらう
  2. お客様の顔や、伝票・予約表など個人の情報が映り込んでいないかを確かめる
  3. 動画の中で話す時給やシフトの条件が、求人票の内容と食い違っていないかを確かめる
  4. 募集が終わったら、動画を消すか「募集は終了しました」と分かるようにする

三つめと四つめは、2022年10月に施行された改正職業安定法で、求人の情報を正確で新しい状態に保つことが求められるようになったこととも関係します。動画で「時給は〇〇円から」と話したあとに条件を変えたら、動画も合わせて見直してください。

載せる場所は、まずお店のInstagramが手軽です。リールで流すだけでなく、プロフィールのハイライトに「スタッフ募集」としてまとめておくと、あとから見に来た人にも届きます。求人サイトによっては動画を載せられる枠があるので、使っているサイトで確認してみてください。店頭の貼り紙に動画へつながるQRコードを添えるのも、通りがかった人に見てもらう方法です。

一つだけ忘れないでほしいのは、先ほどの調査で決め手のいちばん上にあったのが「応募後にすぐに企業から連絡がきた」だったことです。動画で応募したい気持ちが高まっても、返事が何日も来なければ、その人は別のお店に決めてしまいます。動画を載せるときは、応募が来たらその日のうちに返事をする段取りもあわせて決めておくと安心です。

積極的に動画を活用しておくことで面接時に「いつもSNSを見ています」という会話からスタートすることが結構多いです。

ほかの飲食店の店主向けの記事は、飲食店・カフェの記事一覧にまとめています。

よくある質問

Q. 求人動画は、スマホで撮ったものでも大丈夫ですか?

A. 大丈夫です。求人動画で見たいのは映像のきれいさより、どんな人とどんな空気の中で働くかです。スマホを棚などに置いて、開店前の準備をそのまま撮るところから始めてみてください。

Q. スタッフが動画に出るのを嫌がったら、どうすればいいですか?

A. 無理に出てもらう必要はありません。手元や後ろ姿だけでも職場の空気は伝わります。撮る前に、どこに載せるのか、いつまで載せるのかを伝えて、了解をもらってから撮影してください。

Q. 動画を載せれば、時給を上げなくても応募は増えますか?

A. 動画だけで時給や通いやすさの差を埋められるとは限りません。ただ、条件が近いお店同士なら、働く様子が想像できるお店のほうが応募するときの不安は小さくなります。条件を整えたうえで、最後のひと押しとして使うのがおすすめです。

まとめ

アルバイト募集に動画を使うと変わるのは、応募する人が感じている「どんな職場なんだろう」という不安です。飲食や接客の仕事は人の取り合いになっていて、応募する人は時給やシフトに加えて、どんな人と、どんな空気の中で働くのかを知りたがっています。それを伝えられるのが動画です。

次の一歩として、明日の開店前の準備を、スマホを棚に置いて10分だけ撮ってみてください。その中から30秒を選んで、Instagramのハイライトに「スタッフ募集」として置いておくだけでも、求人票だけのときとは伝わるものが変わります。

自分たちで撮るのが難しいとき、プロに頼むとどう進むのかは相談までの流れを描いた漫画で見られます。求人動画を作るかどうか決まっていなくても、話を聞くところから始めます。

この記事を書いた人:伏見 剛彦(合同会社Mireyes 代表)
呉服・不動産・アパレル・製造・教育と多業界を経験したのち、フリーランスを経て2026年に法人化しました。 企業案件TikTokの運用で初月100万再生、3ヶ月連続300万再生超などの実績がある映像・SNSの制作者です。 平塚・大磯・湘南エリアのお店や事業者のPR・採用動画とSNS運用を手がけています。

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湘南の飲食店のインスタリール、何を撮れば来店につながる?

海の見える飲食店のカウンターで土鍋のふたを開け湯気が立つ様子と、横でスマートフォンが撮影している場面

新しいメニューができたら写真を撮って、インスタに載せる。営業日のお知らせも欠かさない。それなのに、いいねはいつもの顔ぶれだけで、「インスタを見て来ました」というお客様にはなかなか会えない。そんなもどかしさを感じている店主の方も多いのではないでしょうか。

リールで撮るべきなのは、写真では止まってしまうものです。ふたを開けた瞬間の湯気、鉄板の上で脂がはぜる音、朝の仕込みで包丁がまな板を叩くリズム。そして、お客様が「この席に座ったら、こう見えるんだ」と想像できる景色。この二つがそろうと、見た人の頭の中で、お店に行く予定が少しずつ形になっていきます。

この記事では、飲食店のInstagramリールで何を撮ればよいか、どう撮れば最後まで見てもらえるか、そして見た人に足を運んでもらうための仕上げ方を、平塚・大磯でお店の動画を撮っている私の目線でお話しします。

「今日は何を載せよう」で
手が止まるのは、あなただけではありません

飲食店向けの情報サイト「飲食店ドットコム」が2024年5月に会員の飲食店393人に聞いた調査では、力を入れて運用しているSNSとしてInstagramを挙げたお店が79.1%ありました。Instagramで集客や認知の広がりに効果を感じているお店は48.3%です。

同じ調査で、SNSを運用していて難しいと感じることのいちばん上に来たのは「投稿の内容やネタを考えること」で、42.5%でした。投稿している中身は、営業日や営業時間のお知らせが79.6%、新メニューのお知らせが72.9%と続きます。

つまり、多くのお店がインスタを頑張っていて、半分ほどは手ごたえを感じている。その一方で、4割以上のお店が「何を載せるか」で悩んでいる、ということです。

営業日や新メニューのお知らせは、常連さんにとって大切な情報です。ただ、まだお店を知らない人にとっては「知らないお店の、知らないメニューのお知らせ」になってしまいます。リールでは、お知らせとは別に、知らない人でも思わず手を止めてしまう場面を撮るほうが、新しいお客様との出会いにつながりやすいと私は考えています。

リールで撮りたいのは
「写真だと止まってしまう」瞬間です

写真でも料理のおいしそうな見た目は伝わります。動画にしかできないのは、時間の流れと音です。ネタに迷ったら、次の四つから選んでみてください。

ふたを開ける、湯気が立つ

土鍋のふたを持ち上げた瞬間や、どんぶりに熱いつゆを注いだ瞬間。湯気は一瞬で消えてしまうので、写真ではうまく残せません。数秒の動画なら、できたての温度まで伝わります。湯気は後ろから光が当たると白く浮かび上がるので、窓を背にして撮るのがおすすめです。

 それだけではなく、光の入り方や撮影時の角度、あらゆる側面から綺麗に見える画を意識することが飲食店の発信におけるシズル感に繋がります。

焼ける音、揚がる音

鉄板の上で脂がはぜる音、揚げ油の中で衣がしゅわっと鳴る音。こうした音は、それだけでお腹がすく人もいるほどです。音楽で上書きせず、調理の音をそのまま残すか、音楽を小さめにして重ねてみてください。

開店前の仕込み

朝いちばんに出汁を引く鍋、黙々と野菜を刻む手元、黒板にその日のメニューを書く手。お客様が普段は見ることのない時間には、「ここまで手をかけているんだ」と伝わる力があります。値上げをしたばかりのお店ほど、この場面を見てもらう意味は大きいと思います。

席から見える景色

見落とされがちなのが、お客様の目線で撮った映像です。入口の引き戸を開けて、カウンターに座り、目の前で料理が置かれるまでを一本で撮る。海沿いのお店なら、窓の外の夕方の光を少しだけ入れる。見た人が「自分が座ったらこう見える」と想像できると、行ってみたい気持ちがぐっと具体的になります。

湘南の海を望むカウンター席から見た、湯気の立つ料理と夕方の海

どれも、特別な機材がなくてもスマホで撮れる場面です。ほかの飲食店向けの話は飲食店向けの記事一覧にもまとめています。

最後まで見てもらうために
気をつけたいこと

リールは、フォロワー以外の人の画面にも流れるのが強みです。誰の画面にどのリールを出すかについて、Instagramは2023年5月に公式ブログ「Instagram Ranking Explained」で考え方を説明しています。

それによると、リールのおすすめで重く見られるのは、見る人がこれまでにどんなリールに「いいね」や保存、シェアをしてきたか。そして、使われている音や映像の中身、そのリールがどれくらい反応を集めているか、といった点です。あわせて、他のアプリの透かしロゴが入ったリール、周りに枠がついたリール、音が消されたリールは、表示されにくくする対象として挙げられています。

お店に置きかえると、気をつけたいことは三つです。ほかの動画アプリで作った動画を、ロゴが入ったまま載せ直さないこと。縦長の画面いっぱいに撮って、黒い枠を残さないこと。そして、調理の音を消してしまわないこと。どれも、撮り方と書き出し方を少し変えるだけで避けられます。

もう一つ、撮影で私が大事にしているのは、伝えたいことをできるだけ自然体で伝えることです。私たちの撮影チームでは、目立たない場所にカメラを置いて、カメラを意識させない自然な姿を撮るようにしています。店主やスタッフがカメラに向かって構えてしまうと、いつもの手つきや表情が消えてしまうからです。出来るだけ自然体で撮る方が視聴者にも伝わりやすく、訴求がしやすくなります。

「行ってみたい」を
「行く」に変える仕上げ方

リールを見て「おいしそう」と思った人が、実際にお店まで来るには、もうひと押しが必要です。見終わった瞬間に「どこにあって、いつ開いているのか」が分からないと、その気持ちは次の動画に流れていってしまいます。

スマートフォンのリール動画から地図のピンをたどって海辺の飲食店へ向かうイメージ図

投稿する前に、次の四つだけ確かめてみてください。

  1. キャプションの1行目に、店名と最寄り駅(「平塚駅から徒歩5分」など)を書いたか
  2. 投稿に位置情報(お店の場所)を付けたか
  3. そのメニューがいつ食べられるか(ランチだけ、週末限定など)を書いたか
  4. プロフィールに営業時間と予約の方法を載せているか

湘南のお店は、週末に海へ遊びに来た人と、近所の常連さんの両方がお客様です。遠くから来る人ほど、駅からの道のりや駐車場の有無を気にします。動画の最後の数秒で、店の外観や入口ののれんを映しておくと、初めての人でも迷わずに来やすくなります。

どの場面が反応されるかを試したいときは、Instagramが2024年12月に公式に発表した「トライアルリール」という機能も役立ちます。フォロワー以外の人にだけリールを見せて、約24時間後に再生数や「いいね」、シェアの数を確かめられる仕組みです。いつものフォロワーさんの画面を埋めずに、湯気と仕込み、どちらの場面が知らない人に響くのかを比べられます。

 当社では、飲食店に対してもサポートを行っていますが。やはりSNSにおける動画での発信は客数だけでなく、常連のお客様にも新たな発見をもたらします。

よくある質問

Q. 飲食店のリールは、何秒くらいがいいですか?

A. 決まった正解はありませんが、まずは15〜30秒ほどで、湯気や焼ける音など一つの場面に絞ると最後まで見てもらいやすくなります。慣れてきたら、仕込みから盛り付けまでを少し長めにまとめる回を混ぜてみてください。

Q. 店主が顔を出さないとだめですか?

A. 顔を出さなくても大丈夫です。手元や後ろ姿、調理の音だけでも、お店の空気は十分に伝わります。出したくなったときに、少しずつ映る時間を増やしていけば構いません。

Q. 営業日や新メニューのお知らせは、もう投稿しなくていいですか?

A. お知らせは常連さんにとって大切なので、続けてください。リールでは、お知らせとは別に、まだお店を知らない人が手を止めたくなる場面を撮る、と役割を分けて考えるのがおすすめです。

まとめ

飲食店のリールで撮りたいのは、湯気や音、仕込みの時間のように、写真では止まってしまう瞬間です。そこに「この席に座ったら、こう見える」という景色と、店名や場所が分かる一言を添えると、見た人が実際に足を運ぶところまでつながりやすくなります。

次の一歩として、明日の仕込みの時間に、スマホを棚に立てかけて10分だけ回しっぱなしにしてみてください。その中に、きっと一つは使える場面があります。

自分で撮るのが難しいとき、プロに頼むとどう進むのかは相談までの流れを描いた漫画で見られます。まだ何を撮るか決まっていなくても、話を聞くところから始めます。

この記事を書いた人:伏見 剛彦(合同会社Mireyes 代表)
呉服・不動産・アパレル・製造・教育と多業界を経験したのち、フリーランスを経て2026年に法人化しました。 企業案件TikTokの運用で初月100万再生、3ヶ月連続300万再生超などの実績がある映像・SNSの制作者です。 平塚・大磯・湘南エリアのお店や事業者のPR・採用動画とSNS運用を手がけています。

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体験申込が増える習い事教室の動画活用術|湘南のSNS発信術

湘南の海が見えるスタジオでダンスレッスンを受ける子どもたちとスマートフォンで撮影する保護者

「体験レッスンには来てくれるけど、そこから入会につながらない」——平塚や大磯でスイミングスクールやダンス教室、音楽教室を運営する経営者と話すと、こうした悩みをよく耳にする。チラシや教室のホームページだけでは、実際のレッスンの空気感や講師の人柄が伝わりきらないというのが実情だ。

結論から言えば、習い事教室の集客は「保護者が申し込みを決める動画」と「子ども自身が惹かれる動画」を分けて設計することが鍵になる。決裁権を持つ保護者と、実際にレッスンを受ける子どもとでは、見ているSNSも、動画に求めているものも違うからだ。

この記事では、子どもの習い事実施率・費用の最新調査データと、子どものSNS利用実態調査をもとに、湘南のスイミングスクールやダンス教室、音楽教室、体操教室などが体験申込を増やすためにどう動画を使うべきかを、制作者としての現場感覚を交えて整理する。

  • 結論:保護者向け(信頼・安心材料)と子ども向け(雰囲気・楽しさ)の動画は分けて設計する
  • 習い事の実施率・費用はともに上昇傾向(小学校高学年は2021年月2万円台→2025年月2万3,000円超)で、選ばれる教室とそうでない教室の差が動画の有無で開き始めている
  • 中学生のSNS利用率は95%に達し、女子はTikTok・Instagramを各6割超が利用。保護者はLINE・Instagramのフィード、子ども本人はTikTok・リールで教室を見ている

なぜ今、習い事教室に
動画が必要なのか

株式会社ビデオリサーチが2025年10月に実施した「Kids/ex」調査(関東圏の満3〜12歳の子を持つ保護者584名対象)によると、未就学児の習い事実施率は2025年に64.2%となり、2021年から約10ポイント増加した。小学校低学年は8割台、高学年は9割前後で推移しており、多くの家庭にとって習い事はすでに「当たり前の選択肢」になっている。

同時に費用も上がっている。未就学児の月謝は2017年比で8年間に月4,000円以上(年間換算5万円以上)増加し、小学校高学年では2021年の月2万円台から2025年には月2万3,000円超まで伸びた。この数字が意味するのは、保護者がこれまで以上に「この金額を払う価値があるか」を吟味してから教室を選ぶようになっているということだ。

実施率が高く費用も上がっている市場では、チラシや口コミだけに頼る教室と、レッスンの様子や講師の人柄を動画で見せる教室とで、体験申込の入り口での差がつきやすい。次の章で、その動画をどこに届けるべきかを見ていく。


保護者と子どもでは
見ているSNSが違う

保護者と子どもがそれぞれ異なるSNSで動画を見比べているイメージ図解

NTTドコモ モバイル社会研究所が2025年11月に実施した調査(全国の小中学生とその親1,200組対象、訪問留置調査)によると、子どものSNS利用率は小学生高学年で62%、中学生では95%に達し、いずれの学年でも女子が男子より高い。LINEの利用率は小学生高学年で約半数だが、中学生では9割を超える。さらに中学生女子はTikTok・Instagramをそれぞれ6割超が利用しているという結果も出ている。

この数字が意味するのは、「教室を検索して比較検討する保護者」と「実際にSNSで教室を見つける子ども・生徒本人」とで、動画を届けるべき場所が違うということだ。以下に、それぞれ向いているSNSと動画の役割を整理する。

見る人向いているSNS動画の役割
保護者(決裁者)LINE公式・Instagramフィード講師の人柄・安全対策・月謝の納得感を伝える
未就学〜小学生本人保護者のスマホ経由で視聴「楽しそう」という直感を後押しする
中学生本人TikTok・Instagramリール教室の雰囲気・友人関係を感覚的に確認する

保護者向けと生徒向けを同じ1本の動画で両方満たそうとすると、どっちつかずになりやすい。LINE公式アカウントを軸にした発信の考え方はLINE公式アカウント×動画でリピーターを増やす|湘南の教室・店舗活用術でも整理しているので、あわせて参考にしてほしい。


何を撮ればいいか
——「演出しすぎない」が信頼を生む

スイミングでもダンスでも音楽教室でも、保護者が見たいのは完璧に編集された宣伝映像ではなく、「うちの子がこの先生・この空間に合いそうか」を判断できる素の情報だ。私たちの撮影チームでは、発信で大事なのは伝えたいことをできるだけ自然体で伝えることだと考えている。現場では常に目立たない場所にカメラを置き、被写体にカメラを意識させない自然な受け答えを撮ることを意識している。

台本どおりに演じてもらうよりも、レッスン中の素の表情や、できなかったことができるようになった瞬間のほうが、見る人には「リアルな教室」として伝わりやすい。体験レッスンに来られなかった保護者でも、その空気感が動画から伝われば、入会の後押しになる。

未成年が映る動画は、公開範囲と同意確認をセットで

子どもの姿を撮影・公開する以上、保護者への説明と同意取得は動画の出来栄え以上に優先すべき事項だ。入会時や体験申込時に「SNS・広報での使用可否」を書面やフォームで確認しておく運用を、動画活用の前提として整えておきたい。


小さく始めるための
実践ステップ

ジンバルカメラで習い事教室のレッスン風景を目立たない位置から撮影する様子
  1. レッスンの様子を月1回、10〜15分だけ定点で撮影する日を決めておく(毎回撮ろうとすると続かない)
  2. 撮れた素材から、保護者向けにはLINE公式・Instagramフィード用に1〜2分の紹介動画を、生徒向けにはTikTok・リール用に15〜30秒のダイジェストを切り出す
  3. 体験申込フォームや教室の公式LINEへの導線を、動画の説明欄・固定コメントに必ず入れる
  4. 入会・体験申込時に撮影・SNS公開の同意可否を確認する仕組みを先に整える

リールやショート動画をどう使い分けるかで迷う場合はリールとショート、結局どっち?目的別の使い分け早見表も参考にしてほしい。1本の撮影素材を「保護者向け」「生徒向け」に編集し分ける発想さえ持てれば、撮影自体は月1回のペースでも十分に発信を続けられる。

よくある質問

Q. 撮影スタッフを雇う予算がない場合、スマホ撮影でも効果はあるか?

A. 効果はある。保護者が見たいのは編集の完成度より現場の空気感なので、手ブレを抑えるジンバルや三脚だけ用意し、スマホで月1回の定点撮影から始めても十分に伝わる動画になる。

Q. 生徒の顔を出したくない場合はどうすればいいか?

A. 手元や後ろ姿、講師とのやり取りの音声を中心に構成すれば、顔を出さなくても雰囲気は十分伝えられる。同意が得られた生徒だけを対象にする、モザイク処理をするなど、教室ごとに運用ルールを決めておくとよい。

Q. どのくらいの頻度で投稿すればいいか?

A. 決まった正解はないが、月1回の撮影から、保護者向け・生徒向けに編集し分けた複数本を数週間かけて投稿していくペースが、少人数運営の教室でも無理なく続けやすい。

まとめ

習い事の実施率・費用がともに上がる中、湘南のスイミングスクールやダンス教室、音楽教室にとって、体験申込を増やす動画は「あれば良い」ものから「差がつく」ものになりつつある。中学生のSNS利用率が95%に達するなど、子ども本人がSNSで教室を見つける時代でもある。

大切なのは、保護者向け(LINE公式・Instagramフィードで安心材料を伝える)と生徒向け(TikTok・リールで雰囲気を伝える)を分けて考えることだ。次のステップとして、まずは月1回のレッスン定点撮影の日をカレンダーに決めることから始めることをすすめる。撮れた素材の編集し分け方は、私たちのような制作者に相談してもらえれば一緒に整理できる。

この記事を書いた人:伏見 剛彦(合同会社Mireyes 代表)
呉服・不動産・アパレル・製造・教育と多業界を経験後、フリーランスを経て2026年に法人化。 企業案件TikTokの運用初月100万再生、3ヶ月連続300万再生超などの実績を持つ映像・SNSの制作者。 平塚・大磯・湘南エリアの中小企業のPR・採用動画とSNS運用を手がける。

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飲食店の動画制作費用相場|湘南の店がメニュー・SNS動画にかける目安

湘南の海沿いの飲食店で、料理を仕上げる店主の手元をカメラで撮影する様子

「動画をやったほうがいいのは分かっている。でも、いくら払えば何が手に入るのかが分からない」——平塚の駅前で定食屋を営む店主や、大磯の海沿いでカフェを切り盛りするオーナーと話していると、こうした声を本当によく聞く。原材料費も人件費も上がり続ける中で、効果の見えない出費は避けたい。その感覚はもっともだ。

結論から言えば、飲食店の動画制作費用は、ショート動画の編集のみ外注なら1本数千円〜2万円程度、撮影から編集まで任せるショート動画セット(5〜10本)で10万〜30万円、1〜2分の店舗紹介動画で15万〜50万円が一つの目安になる。ただ、金額以上に大事なのは「どの動画を誰が作るか」という分担の設計だ。毎日の発信まで外注する必要はない。

この記事では、外食産業の最新の市場データと、消費者・飲食店双方のSNS調査をもとに、湘南の飲食店が動画にかけるべき予算の考え方と種類別の費用相場を、制作者としての現場感覚を交えて整理する。

  • 結論:ショート動画セット(5〜10本)は10万〜30万円、店舗紹介動画は15万〜50万円が目安
  • 2025年の外食売上は前年比107.3%と伸びたが、主因は客単価の上昇。客数は頭打ち感が出始めている
  • お客様はショート動画で店を探しているのに、動画系SNSを使っていない店はまだ多い。この差が湘南の個人店のチャンスになる

飲食店の動画制作費用相場
——種類別の価格早見表

飲食店の動画は、大きく「日々のショート動画」「看板メニューや店の世界観を伝える紹介動画」「採用動画」の3種類に分かれ、依頼の範囲によって費用が一桁変わる。以下に、依頼先・内容別の一般的な相場を整理する。

依頼の種類内容の目安費用相場(目安)
内製(スマホ撮影・アプリ編集)日替わり・新メニュー告知のショート動画実質0円(人件費・時間のみ)
編集のみ外注スマホで撮った素材を15〜60秒に編集1本 数千円〜2万円程度
ショート動画セット(撮影+編集)プロが半日〜1日撮影し、5〜10本に編集10万〜30万円
店舗紹介・コンセプト動画1〜2分。料理・内観・店主インタビュー15万〜50万円
採用動画1〜3分。スタッフインタビュー・仕事風景30万〜80万円
SNS運用代行(動画制作込み)企画・撮影・投稿・分析を月単位で依頼月5万〜20万円程度

数字はあくまで制作者側から見た一般的な目安で、撮影日数・本数・ドローンや出演者の有無で上下する。個人経営の店舗全般の予算感については小規模店舗が動画にかけられる予算の考え方でも整理しているので、あわせて参考にしてほしい。

費用を大きく左右するのは「撮影日数」と「本数」

見積もりの中で最も比重が大きいのは、カメラマンが現場にいる時間だ。飲食店の場合、ランチとディナーの間のアイドルタイムに撮影を詰め込めれば半日で済むが、仕込み・営業中の臨場感まで撮るなら1日がかりになる。逆に言えば、1回の撮影日で何本分の素材を撮り溜めるかを先に決めておくだけで、1本あたりの単価はぐっと下がる。

売上は伸びても客数は頭打ち
——外食データで見る「動画に投資すべき理由」

今の外食市場は「客単価で売上を保っている」状態であり、価格以上の価値をお客様に伝える手段として動画の重要性が増している。

一般社団法人日本フードサービス協会が2026年1月26日に公表した「外食産業市場動向調査 令和7年(2025年)年間結果」によると、協会会員社の全店売上高は前年比107.3%と伸びた。ただしその内訳は客単価104.3%、客数102.9%で、売上の押し上げ要因は原材料高に伴うメニュー価格の改定だった。同調査は消費者の節約志向が一段と強まっていることや、一部の業態で客数が前年を下回ったことにも触れている。

業態(2025年)売上高 前年比客数 前年比客単価 前年比
外食全体107.3%102.9%104.3%
ファミリーレストラン107.2%103.1%103.9%
パブレストラン/居酒屋104.0%101.3%102.6%
喫茶109.8%101.1%108.6%

出典:一般社団法人日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査 令和7年(2025年)年間結果報告」(全店データ)。

この数字が湘南の個人店に意味するのは、「値上げをしても選ばれる理由」を伝えられる店と、そうでない店の差が広がっていくということだ。考えてみてほしい。メニュー表の価格だけを見たお客様は「高くなった」と感じるが、地場の野菜を仕込む手元や、相模湾で揚がった魚をさばく様子を15秒の動画で見たお客様は、同じ価格を「納得の値段」と受け止めやすい。動画への出費は、値上げ時代の説明コストだと考えると判断しやすくなる。

お客様はショート動画で店を探している
——店側との「温度差」がチャンスになる

お客様の店探しはすでにショート動画が主戦場になりつつあるが、飲食店側の動画活用はまだ追いついていない。だからこそ、今動画に予算を割く店は目立ちやすい。

スマートフォンのショート動画で飲食店を見つけて保存する若い世代のイメージ図解

ファストマーケティング株式会社が2025年4月21日に発表した調査(SNSで情報収集する15〜29歳のZ世代360名が対象)では、80.8%が「SNSや動画サイトで気になる飲食店に出会う」と回答し、71.7%がリールやショート動画で飲食店の情報を集めていた。気になった店の保存先はInstagramが71.2%、Googleマップが61.1%で、75.0%が「画像・動画で情報を得るほうが効率的」と答えている。

一方、飲食店ドットコムが2023年8月に飲食店の経営者・運営者342名を対象に行った調査では、情報発信にTikTokを「活用していない」店が69.9%、YouTubeを「活用していない」店が59.9%にのぼった(2023年時点)。お客様は動画で店を探しているのに、半数以上の店は動画系SNSに出ていない——この温度差こそが、湘南の小さな店が大手チェーンと同じ土俵で見つけてもらえる余地だ。動画の販促効果そのものについては飲食店の販促に動画が効くのかを整理した記事で詳しく解説している。

予算別のおすすめ配分
——月1万円・年10万円・年30万円の使い方

飲食店の動画予算は「全部外注」か「全部内製」かの二択ではなく、日々の発信は内製、型になる動画だけ外注という配分にすると、少ない予算でも効果を出しやすい。以下に予算帯ごとの使い方の一例をまとめる。

予算帯おすすめの使い方向いている店
月1万円前後スマホで撮った素材の編集だけを外注し、週1〜2本を投稿まず発信を習慣化したい個人店
年10万〜30万円年1〜2回プロが撮影し、看板メニュー・内観のショート動画を5〜10本まとめて制作新規客を増やしたいカフェ・定食屋
年30万〜80万円店舗紹介動画+ショート動画セットを作り、HP・Googleマップ・SNSに使い回す新店・リニューアル・2店舗目の出店時

どの予算帯でも、プロに撮ってもらった動画は「お手本」として残る。構図やテンポを真似して日々の投稿を内製すれば、外注費は一度きりでも発信の質は長く底上げされる。日々の内製のコツはメニュー紹介動画を内製で続けるための現場ガイドにまとめた。

厨房では「カメラを意識させない」撮り方が効く

私たちの撮影チームでは、常に目立たない場所にカメラを置き、店主やスタッフにカメラを意識させない自然体の姿を撮ることを大切にしている。厨房での調理シーンは特にそうで、台本どおりの「よそ行き」の手つきより、いつものリズムで鍋を振る姿のほうが、見る人には店の空気としてまっすぐ伝わる。演出に時間をかけないぶん、撮影時間も短く済み、結果的に費用も抑えやすい。


見積もりで損しないための確認ポイント

飲食店が動画を発注するときは、金額の総額よりも「何が含まれているか」を先に確認すると、後からの追加費用を防ぎやすい。

動画制作の見積書をチェックリストで確認する飲食店オーナーのイメージ図解
  1. 撮影時間は何時間か(仕込み・営業中・アイドルタイムのどこを撮るか)
  2. 納品本数と尺、縦型(9:16)と横型(16:9)の両方が含まれるか
  3. 修正は何回まで無料か、BGMやフォントの使用料は含まれているか
  4. 撮影素材(未編集データ)を店側でも受け取れるか
  5. 店頭・Googleマップ・Instagramなど、どの媒体で使う前提の権利になっているか

特に5つ目は見落とされがちだ。後から店内のデジタルサイネージや求人広告に流用したくなったときに、追加料金が発生するケースがある。最初に「どこで使うか」を伝えておくのが、結果的に一番の節約になる。

よくある質問

Q. 飲食店の動画制作費用の相場はいくらか?

A. ショート動画の編集のみ外注なら1本数千円〜2万円程度、撮影から編集までのショート動画セット(5〜10本)で10万〜30万円、1〜2分の店舗紹介動画で15万〜50万円がおおよその目安だ。依頼先や撮影日数、本数によって大きく変わるため、必ず複数の見積もりで内訳を比べてほしい。

Q. 個人経営の飲食店でも動画を外注する意味はあるか?

A. ある。毎日の投稿はスマホで内製し、看板メニューの「型」になる数本だけをプロに撮ってもらう分担にすれば、年間の外注費を抑えながら発信の質を底上げできる。

Q. 店舗紹介動画とショート動画、先に作るならどちらか?

A. 新規客の獲得が目的なら、先にショート動画をすすめる。Z世代の約7割がリールやショート動画で飲食店の情報を集めているという調査があり、まず見つけてもらう入口を作るほうが費用対効果が出やすい。

まとめ

飲食店の動画制作費用は、編集のみの外注なら1本数千円〜2万円程度、ショート動画セットで10万〜30万円、店舗紹介動画で15万〜50万円が一つの目安になる。2025年の外食市場は客単価の上昇で売上を伸ばした一方、客数は頭打ち感が出始めており、「値上げしても選ばれる理由」を伝える手段として動画の価値は確実に高まっている。

お客様の多くはすでにショート動画で店を探しているが、動画系SNSに出ていない店はまだ少なくない。平塚や大磯の小さな店にとって、これは大手と同じ画面で見つけてもらえる貴重な機会だ。全部を外注する必要はなく、日々の発信は内製、看板になる数本だけをプロに任せる配分から始めればよい。

次のステップとして、まずは「お客様に一番見てほしい一皿と、その一皿ができるまでの場面」を一つ言語化することをすすめる。そこが決まれば、撮るべき動画も、かけるべき予算も自然と絞り込めるはずだ。

この記事を書いた人:伏見 剛彦(合同会社Mireyes 代表)
呉服・不動産・アパレル・製造・教育と多業界を経験後、フリーランスを経て2026年に法人化。 企業案件TikTokの運用初月100万再生、3ヶ月連続300万再生超などの実績を持つ映像・SNSの制作者。 平塚・大磯・湘南エリアの中小企業のPR・採用動画とSNS運用を手がける。

運営会社・代表プロフィールを見る →

マイクロインフルエンサーの動画活用|湘南の直売所が知るべき動向

湘南の直売所でスマートフォンを構えて撮影する発信者と地魚を並べる店主

「うちみたいな直売所は、有名インフルエンサーに頼むお金なんてない」——大磯や平塚で地魚や地場野菜を売る個人店の店主と話すと、こう言われることが多い。だが実際に伸びているのは、フォロワー数百万人の大物ではなく、地域や特定ジャンルに強い「マイクロ・ナノインフルエンサー」による、等身大の動画発信だ。

結論から言えば、湘南のような地域密着型の個人店にとって、マイクロインフルエンサーの動画活用は決して縁遠い話ではない。むしろ大企業のタレント起用よりも相性がいい場面すら多い。

この記事では、インフルエンサーマーケティング市場の最新調査データと、企業側のリアルな成功・失敗の声をもとに、湘南の直売所や個人店がこの波にどう乗ればいいかを、制作者としての現場感覚を交えて整理する。

  • 結論:縦型ショート動画のインフルエンサー活用市場は2024年時点で246億円、2029年には636億円(約2.6倍)まで伸びる見通し
  • 企業のインフルエンサーPRは約7割が「うまくいった」と回答する一方、「購買につながらなかった」が最大の悩みという調査結果もある
  • 湘南の直売所・個人店には、大物より地域や客層とのつながりが濃いマイクロ・ナノインフルエンサーのほうが向きやすい

なぜ今、インフルエンサー動画マーケティングが
急速に伸びているのか

株式会社サイバー・バズと株式会社デジタルインファクトが2024年11月7日に発表した共同調査によると、国内のソーシャルメディアマーケティング市場は2024年時点で1兆2,038億円(前年比113%)に達し、2029年には2024年比約1.8倍の2兆1,313億円まで拡大すると見込まれている。その中でもインフルエンサーマーケティング市場は2024年に860億円(前年比116%)、2029年には約1.9倍の1,645億円に達する見通しだ。

特に伸びが際立つのが、TikTokの普及をきっかけにInstagramやYouTube、LINEにも広がった縦型ショート動画によるインフルエンサー起用だ。同調査では、この「インフルエンサーマーケティング(縦型ショート動画)」の市場規模を2024年時点で246億円(前年比137%)と推計し、2029年には約2.6倍の636億円に達すると予測している。以下に主要な数字を整理する。

区分 2024年実績 2029年予測
インフルエンサーマーケティング全体 860億円 1,645億円(約1.9倍)
うち縦型ショート動画 246億円 636億円(約2.6倍)

この数字が意味するのは、動画広告市場全体の成長(動画広告市場、初の1兆円へで詳しく触れた)の中でも、「第三者が語る動画」への投資が特に加速しているということだ。企業が自ら発信する情報より、実際に使っている人の声のほうが信頼されやすいという消費者心理を、多くの企業が動画の形で取りに行き始めている。


企業のインフルエンサーPR、
成功率とつまずきどころ

縦型ショート動画市場の成長を表す上昇する棒グラフの図解

株式会社PRIZMAが2025年4月1日に発表した「インフルエンサーPRの実態調査」(2025年3月25日〜26日実施、インフルエンサーを事業プロモーションに活用したBtoC企業担当者507人が対象)では、「とてもうまくいった」が18.7%、「ややうまくいった」が55.8%で、合計すると約74%が肯定的な評価をしている。一方で、感じた課題を尋ねると次のような結果になった。

感じた課題 回答割合
認知はされたが購買につながらなかった 31.6%
工数がかかる 25.6%
意図と違う投稿内容になった 24.1%
思ったより拡散されなかった 21.1%

この数字が意味するのは、インフルエンサー起用は「頼めば自動的に成果が出る」施策ではないということだ。特に最大の悩みである「購買につながらない」は、フォロワー数の多さだけでインフルエンサーを選んでしまい、実際の客層とズレが生じたときに起こりやすい。だからこそ、大きなリーチより「誰に届くか」の精度を重視するマイクロ・ナノインフルエンサーの発想が意味を持ってくる。


湘南の直売所・個人店にこそ
「マイクロ」が向く理由

小さな店舗と地域の人々をつなぐマイクロインフルエンサーのイメージ図解

大企業が起用する大物インフルエンサーは、フォロワー数こそ多いが、フォロワーの居住地も興味関心もバラバラなことが多い。一方、平塚や大磯の地魚・地場野菜、湘南グルメを日常的に発信しているマイクロ・ナノクラスの発信者は、フォロワーの多くが実際にその地域に住んでいたり、週末に足を運べる距離にいたりする。つまりリーチの「量」より「質」で、直売所や個人店の商圏とぴったり重なりやすい。

「演出しすぎない動画」が信頼を生む

私たちの撮影チームでは、発信で大事なのは伝えたいことをできるだけ自然体で伝えることだと考えている。現場では常に目立たない場所にカメラを置き、被写体にカメラを意識させない自然な受け答えを撮ることを意識している。台本どおりに演じてもらうよりも、素の会話や素の作業風景のほうが、見る人には「リアルな現場」として伝わりやすい。この考え方は、マイクロインフルエンサーが撮る飾らない動画とも相性がいい。取れたての魚をその場でさばく様子、朝どれ野菜を並べる手元——そうした素の場面こそ、大きな制作費をかけずに信頼を積み上げる素材になる。

口コミ動画の活かし方はお客様の声・口コミ動画の活かし方でも整理しているので、あわせて参考にしてほしい。


小さく始めるための実践ステップ

湘南の直売所で店主と自然な会話を撮影する発信者

大きな予算をかけずに始めるなら、次のような順番で進めるのが現実的だ。

  1. まずは常連客やSNSで自店を紹介してくれている一般ユーザーを探す(すでに好意的に発信している人が最初の候補になる)
  2. 地域名や商品名(例:「平塚 地魚」「大磯 直売所」)で日常的に発信しているマイクロ・ナノクラスの発信者を検索する
  3. フォロワー数だけでなく、コメント欄の反応や、実際にその地域の内容を発信しているかを確認する
  4. 依頼した投稿であることが分かるよう、PR表記・タイアップ表記を必ず付けてもらう

最後の表記ルールは軽視できない。依頼した投稿であることを隠すと、景品表示法のステルスマーケティング規制に抵触するおそれがある。表示ルールの詳細はステマ規制とは?湘南の事業者がSNS動画で守るべき表示ルールにまとめている。

よくある質問

Q. マイクロインフルエンサーとナノインフルエンサーの違いは何か?

A. 明確な統一基準はないが、フォロワー数が比較的少ない発信者をまとめてこう呼ぶことが多い。湘南の個人店にとっては、フォロワー数そのものより、対象地域や客層とどれだけ近い距離感で発信しているかで選ぶほうが実務的だ。

Q. 個人店でもインフルエンサーに動画を依頼できるか?

A. 依頼できる。大規模なタレント起用に比べ、地域や特定ジャンルに強いマイクロ・ナノクラスは少ない予算感で始めやすいとされ、まずは常連客への協力依頼から試すこともできる。

Q. 自社で動画を作るのとインフルエンサーに任せるのは、どちらがいいか?

A. どちらか一方ではなく、使い分けが現実的だ。商品情報や店の基本情報は自社発信で正確に伝え、第三者としての信頼感がほしい場面ではインフルエンサーの視点を借りる、という住み分けを考えたい。

まとめ

インフルエンサーマーケティング市場、特に縦型ショート動画による活用は今後も伸びが見込まれる分野だ。一方で企業側の調査では「購買につながらない」という悩みも根強く、大きなリーチを追うだけでは成果が出にくいことも分かってきている。

湘南の直売所や個人店にとっては、フォロワー数の大きさより、地域や客層と近い距離感で発信しているマイクロ・ナノインフルエンサーのほうが、むしろ相性がいい選択肢になり得る。次のステップとして、まずは自店をすでに好意的に発信してくれている常連客やユーザーが誰かを言語化することをすすめる。そこから、演出しすぎない自然な動画づくりを一緒に組み立てていけばよい。

工務店の動画制作費用相場|施工事例・SNS発信にいくらかけるべきか

湘南の工務店の建築現場でジンバルを使い動画を撮影する制作者

「モデルハウスに足を運んでくれる人は減っているのに、契約したお客様に聞くと『SNSで見て知った』という声が増えている」——湘南で注文住宅やリフォームを手がける工務店の経営者と話すと、こうした声をよく聞く。動画やSNSに力を入れたほうがいいのは分かっていても、いくら予算をかければいいのか判断できずにいる工務店は少なくない。

結論から言えば、工務店の動画制作は施工事例紹介・お客様インタビュー型で30万〜60万円、完成披露や現場密着を含むドキュメンタリー型で60万〜120万円が一つの目安になる。ただし今の工務店にとって金額そのもの以上に重要なのは、新設住宅着工が減りリフォーム需要が伸びるという市場の変化に合わせて、何を撮り、どこに出すかという「配分」の設計だ。

この記事では、2026年の住宅市場データと工務店の集客チャネル調査をもとに、動画にかけるべき予算の考え方とタイプ別の費用相場を、制作者としての現場感覚を交えて整理する。

  • 結論:施工事例紹介・お客様インタビュー型は30万〜60万円、完成披露・密着ドキュメンタリー型は60万〜120万円が目安
  • 2025年度の新設住宅着工戸数は71.1万戸(前年度比12.9%減)と低水準が続く一方、住宅リフォーム市場は7兆5,119億円(前年比2.5%増)へ拡大しており、工務店が発信すべき内容も変わりつつある
  • 工務店の集客チャネル調査では自社HP(48.5%)・SNS広告(46.3%)・SNS投稿(45.5%)が効果実感の上位で拮抗しており、動画は1本作って複数チャネルに使い回す設計がコストパフォーマンスを左右する

なぜ今、工務店の動画予算は
「新築中心」から見直しが必要なのか

国土交通省の住宅着工統計によると、2025年度(2025年4月〜2026年3月)の新設住宅着工戸数は71万1,171戸で、前年度比12.9%減とリーマンショック後の水準をも下回る低さになった。注文住宅の完成事例を撮って集客するというこれまでの動画の作り方だけでは、母数そのものが縮んでいる状況だ。

一方で、矢野経済研究所が2026年7月16日に発表した「住宅リフォーム市場に関する調査」では、2025年度の住宅リフォーム市場規模は7兆5,119億円(前年比2.5%増)と推計され、2026年度は7.7兆円(同1.9%増)まで拡大すると予測されている。団塊ジュニア世代の持家がリフォームの適齢期を迎えていることに加え、資材費・人件費の高騰による工事単価の上昇、窓の断熱改修を対象とした補助事業の後押しが成長要因として挙げられている。

この数字が意味するのは、工務店が動画で見せるべき対象が「注文住宅の完成事例」だけでは足りなくなっているということだ。断熱改修やキッチン・浴室のリフォームといった、ビフォーアフターが分かりやすい現場も、これからは動画の主役になり得る。


工務店の動画制作費用相場
——タイプ別の価格早見表

新設住宅着工の減少とリフォーム市場拡大という住宅市場の変化を表す図解

工務店のお客様からいただく相談内容をもとに、私たちが提示することが多い価格帯を整理すると次のようになる。以下に相場を整理する。

タイプ 尺の目安 費用相場
施工事例紹介・お客様インタビュー型 2〜3分 30万〜60万円
完成披露・密着ドキュメンタリー型 3〜5分 60万〜120万円
ドローン外観・外構空撮併用型 2〜4分 80万〜150万円
SNSショート動画セット(施工事例・現場密着) 15〜60秒×複数本 20万〜50万円(セット)

まず作るなら施工事例紹介・お客様インタビュー型が起点になることが多い。予算に余裕があれば、外観や立地、外構の見せ方を強化できるドローン空撮併用型を組み合わせると訴求力が上がる。建設業全体の費用感は建設業の動画制作費用相場でも整理しているので、あわせて参考にしてほしい。

リフォーム現場は「定点撮影」で追加コストを抑えやすい

リフォーム案件は着工前・工事中・完成後を同じアングルで撮る定点撮影を仕込んでおくだけで、追加の撮影日をほぼ増やさずにビフォーアフター動画の素材が手に入る。新築の完成披露に比べて撮影日数がかさみにくいのは、リフォーム動画のコスト面での利点と言える。

工務店の集客チャネル、
動画はどこに効いているか

株式会社ビズ・クリエイションが2026年1月19日〜31日に実施した「工務店集客チャネル調査2026」(住宅会社向けクラウド「KengakuCloud」導入企業134社対象)では、直近3ヶ月で集客に効果を実感した媒体として、自社HPが48.5%(前回2025年7月調査の42.2%から+6.3pt)で最も高く、次いでSNS広告(有料)が46.3%、SNS投稿(オーガニック)が45.5%と続いた。ポータルサイトは26.9%、紙チラシ・DMは33.6%だった。

この数字が意味するのは、上位3チャネルが僅差で拮抗しているということだ。つまり動画は「SNSだけの素材」ではなく、自社HPの施工事例ページ、SNS広告のクリエイティブ、SNS投稿のオーガニック発信という3つの場所に使い回せて初めて、費用対効果が最大化する。1本の動画を撮って終わりにせず、尺やアスペクト比を変えて複数チャネルに展開する前提で予算配分を考えたい。

私たちの撮影チームでも、施工現場のインタビューでは目立たない場所にカメラを置き、職人やお客様にカメラを意識させない自然な受け答えを撮ることを常に意識している。台本どおりに演じてもらうよりも、素の作業風景や素の会話のほうが、検討者には「リアルな現場」として伝わりやすく、演出コストもかからない。


費用を抑えながら発信を続けるコツ

動画制作費用のタイプ別内訳を積み木のブロックで表した図解
  1. まず1件の施工事例を「型」として作り、以降の現場は同じ構成・同じ画角で撮って編集の手間を減らす
  2. お客様インタビューは台本を作り込みすぎず、聞きたい質問を3〜4個決めておく程度にとどめる
  3. リフォーム現場は着工前・工事中・完成後の定点撮影を必ず入れる(追加コストがほぼゼロで説得力が上がる)
  4. ドローン撮影は複数現場をまとめて1回の飛行日に集約すると、機材・操縦者の費用を分散できる

補助金・助成金を動画制作に活用できないか確認するのも、費用を抑える有効な手段だ。制度の考え方は動画制作に補助金・助成金は使えるかにまとめている。

よくある質問

Q. 工務店の動画は新築とリフォーム、どちらを先に撮るべきか?

A. 現在依頼が多い方、または今後注力したい方を優先すればよいが、2026年度のリフォーム市場は7.7兆円まで拡大が見込まれている。リフォームのビフォーアフター事例をまだ持っていない工務店は、優先度を上げる価値がある。

Q. 動画は何本あれば十分か?

A. 決まった本数はないが、まずは施工事例紹介・お客様インタビュー型を1〜2本作り、そこから15〜60秒のSNSショート動画に切り出して自社HP・SNS広告・SNS投稿の3チャネルに使い回す設計が現実的だ。

Q. ドローン撮影は必須か?

A. 必須ではない。ただし外観や立地、外構、周辺環境まで一目で伝えたい注文住宅では、検討効果を重視するなら組み合わせを検討する価値がある。

まとめ

工務店の動画制作費用は、施工事例紹介・お客様インタビュー型で30万〜60万円、完成披露・密着ドキュメンタリー型で60万〜120万円が一つの目安になる。ただし、新設住宅着工が減りリフォーム市場が拡大するという構造変化の中で、金額以上に大事なのは「新築だけでなくリフォーム現場も撮る」「1本の動画を自社HP・SNS広告・SNS投稿の複数チャネルに使い回す」という配分の設計だ。

SNSでの集客術に関心があれば湘南の工務店がSNSで選ばれるにはもあわせて参考にしてほしい。次のステップとして、まずは直近の施工事例のうち「一番お客様に見せたい現場」を1件言語化することをすすめる。そこが定まれば、動画の構成も予算も自然と絞り込めるはずだ。

介護施設の採用難に動画は効くか|湘南のSNS発信術ガイド

湘南の介護施設でスタッフがスマートフォンとジンバルで動画を撮影する様子

「求人を出しても応募が来ない。ホームページには施設の写真を載せているが、それだけでは雰囲気が伝わっている気がしない」——湘南でデイサービスや訪問介護、特別養護老人ホームを運営する人と話すと、こうした悩みをよく聞く。人手不足は介護業界全体の構造的な課題であり、写真とテキストだけの求人票では、他施設との違いがどうしても伝わりにくい。

結論から言えば、介護施設が動画・SNS発信に取り組む価値は年々高まっている。ただし、やみくもに施設紹介動画を撮っても効果は薄い。何を撮り、何を撮ってはいけないかを整理してから始めるかどうかで、成果は大きく変わる。

この記事では、介護業界の最新の人材動向データと、SNS発信の実施率・効果に関する調査結果をもとに、湘南の介護施設がどこから動画発信を始めればよいか、そして利用者への配慮としてどこに注意すべきかを、制作者としての現場感覚を交えて整理する。

  • 結論:介護サービス職の有効求人倍率は3.70倍(2026年6月・厚生労働省)と高止まりが続き、動画・SNS発信で施設の雰囲気を伝える意義は増している
  • SNSで発信する事業所は3年で11.5%→16.3%に増加し、「採用に効果があった」と答えた割合も1年で16.8%→27.6%に急伸している
  • 一方でSNS経由の就職者はまだ0.2%にとどまり、利用者への配慮を守りながら「今から始めても遅くない」段階にある

なぜ今、介護施設にも
動画発信が必要になっているのか

厚生労働省が公表している「一般職業紹介状況」によると、2026年6月時点の介護サービスの職業の有効求人倍率は3.70倍(パートを除く常用)で、営業職や商品販売職などと並んで高水準の職種のひとつになっている。求職者1人に対して3件以上の求人がある計算で、応募を「待つ」求人票だけでは選ばれにくい状況が続いている。

一方で、介護労働安定センターの「令和7年度介護労働実態調査」では、介護職員の離職率は12.4%で、全産業平均の14.2%を下回り、過去最低水準を維持していることも分かっている。つまり課題は「辞めてしまうこと」より「入口で選ばれないこと」に寄っている。この数字が意味するのは、いったん働き始めてもらえれば定着しやすい業界だからこそ、応募につながる最初の接点=求人情報や施設の見え方の勝負になっているということだ。

写真数枚とテキストの求人票では、職場の空気感、スタッフ同士のやり取り、利用者との距離感までは伝わらない。動画はここを補える数少ない手段のひとつだ。


介護施設のSNS・動画発信は
実際どこまで進んでいるか

介護業界の人手不足と有効求人倍率の高さを表す図解

同じ「令和7年度介護労働実態調査」では、採用活動として「SNSを活用して自事業所のアピールポイントを発信」している事業所の割合が、年々増えていることも示されている。以下に推移を整理する。

年度 SNSで発信している事業所の割合 「採用に効果があった」と回答した割合
令和5年度 11.5% –
令和6年度 14.8% 16.8%
令和7年度 16.3% 27.6%

発信している事業所自体は全体の2割弱にとどまるが、発信している事業所の中で「効果があった」と感じる割合はこの1年でほぼ倍増している。まだ取り組んでいる施設が少ないからこそ、先に始めた施設の手応えが際立って伸びている段階だと読める。

ただし同じ調査では、現在の法人に就職した経路として「法人や施設が発信するSNS」を挙げた介護労働者は全体の0.2%にとどまるという数字もある。これは動画・SNSが無意味という意味ではなく、業界全体としてまだ「発信し始めたばかり」の段階であることを示している。だからこそ、今から取り組む施設には十分な伸びしろがある。

何を撮ればいいか
何を撮ってはいけないか

休憩中に会話する介護施設スタッフの様子

介護施設の動画発信で最初につまずきやすいのは、「利用者を主役にした施設紹介動画」を最初に狙ってしまうことだ。他業種以上に、まず考えるべきは撮っていいものと撮ってはいけないものの線引きになる。

撮りやすく、応募につながりやすい題材

  • 職員インタビュー(この仕事のやりがい・1日のスケジュール・入職の決め手)
  • スタッフ同士の休憩中の何気ない会話や雰囲気
  • 施設の清潔感や設備、送迎車両などハード面の紹介
  • 研修・勉強会の様子(専門性が伝わる)

配慮が必須になる題材

利用者本人が映るレクリエーションや食事風景は、応募者の心に響きやすい一方でもっとも配慮が求められる題材だ。本人または家族の同意なしに個人が特定できる形で公開しない、認知症のある方については判断能力への配慮も含めて家族の同意を丁寧に取る、といった手順を撮影前に必ず施設内で確認しておく必要がある。SNS運用に積極的な事業所の中には、投稿のたびに本人・家族へ個別に同意を確認する運用を徹底しているところもある。

私たちの撮影チームが現場で大事にしているのは、「カメラを意識させない自然体」を意識することだ。これは企業PR動画全般で心がけていることだが、高齢の利用者が過ごす介護施設ではなおのこと重要になる。目立たない場所にカメラを置き、いつも通りの時間が流れているところを撮ることで、不自然な“演出感”のない、信頼できる雰囲気の動画になりやすい。


無理なく続けるための
体制のつくり方

撮影から同意確認、編集、SNS投稿までの流れを表す図解

動画・SNS発信で失敗しやすいもう一つのパターンは、担当者を1人だけ決めて丸投げし、その人が忙しくなった瞬間に更新が止まることだ。介護現場は人手に余裕がないからこそ、最初から「専任担当を置く前提」で設計しないほうがうまくいく。

  1. スマートフォン1台と簡単な三脚だけで、シフトの合間に撮れる題材から始める
  2. 投稿は法人の公式アカウントに一本化し、複数人で交代しながら運用できる体制にする
  3. コメントや問い合わせには早めに、なるべく担当者本人の言葉で返信する

とくに3つ目のコメント対応は見落とされがちだが、応募を検討している人ほど、投稿への返信の丁寧さから「働く人を大事にする施設か」を読み取っている。派手な編集より、地道な更新と対応の積み重ねが効いてくる領域だ。

なお、動画にかける費用は最初から高額である必要はない。個人店・小規模店舗が動画にかけられる予算感で触れたように、まずはスマートフォン撮影で運用を始め、手応えが見えてきた段階で職員インタビューなど一部をプロに依頼する、という段階的な進め方でも十分成果は出せる。

よくある質問

Q. どれくらいの頻度で投稿すればいいか?

A. 週1本を目安に、無理なく続けられるペースから始めるのが現実的だ。更新が途切れる方が、更新頻度が低いことより印象を悪くしやすい。

Q. 利用者の顔を映さなくても採用効果はあるか?

A. ある。職員インタビューや施設の雰囲気、送迎車両や設備紹介だけでも、写真とテキストだけの求人票よりは働くイメージが格段に伝わりやすい。

Q. 建設業や美容室など、他業種でも採用動画の考え方は同じか?

A. 基本の考え方は近い。建設業の採用難は動画で変えられるかでも触れたとおり、業種を問わず「働く姿をそのまま見せる」ことが応募者の不安を減らす。ただし介護は利用者への配慮という業種特有の制約があるため、その線引きは事前に整理しておく必要がある。

まとめ

介護サービス職の有効求人倍率は3.70倍という高水準が続き、写真とテキストだけの求人票で選ばれるのは年々難しくなっている。一方で介護施設のSNS発信はまだ全体の2割弱にとどまり、取り組んでいる事業所の効果実感は急速に伸びている段階にある。今から始める施設にも十分な伸びしろがある領域だ。

大切なのは、いきなり利用者を主役にした動画を狙うのではなく、職員インタビューや施設の雰囲気など撮りやすいところから始め、利用者が映る題材については同意の取り方を先に施設内で決めておくことだ。採用動画とは何かで解説した基本を踏まえつつ、介護ならではの配慮を加えて設計するとよい。

次のステップとして、まずは自施設で「撮っていいもの」と「同意が必要なもの」を一度洗い出してみることをすすめる。そのうえで何から撮り始めるべきか迷う場合は、私たちのような制作者に相談してみるのも一つの方法だ。

士業事務所の動画発信、何を撮る?|湘南の信頼獲得基礎知識

湘南のオフィスで士業の専門家がインタビュー撮影を受ける様子

「顧問先を増やしたいが、派手な広告を打つわけにもいかない」——湘南で税理士や社労士、行政書士として事務所を構える人と話すと、こうした声をよく聞く。士業の看板は、結局のところ事務所と担当者本人の“人となり”だ。ホームページに顔写真とプロフィールを載せているだけで、動画にはまだ手が回っていない事務所は少なくない。

結論から言えば、士業事務所が最初に撮るべきは、派手な宣伝動画ではない。専門家本人が、よくある質問に短く答える一問一答形式の動画だ。編集も凝った演出も要らず、話す内容さえ決まれば1本あたり数分で撮り終えられる。

この記事では、税理士・社労士・行政書士といった士業事務所が動画発信を始めるときに何を撮ればいいか、逆に映してはいけないものは何か、そして無理なく続ける体制はどう作るかを、制作者としての現場感覚と一次情報から整理する。

  • 結論:最初の1本は「専門家本人が短い質問に答える動画」から始めるのが現実的
  • 事務所紹介やスタッフ紹介より、専門性が伝わる一問一答・セミナー切り抜きのほうが信頼構築に効きやすい
  • 守秘義務・個人情報・広告表示のルールは、撮影前に必ず所属団体の規定で確認しておく

なぜ今、士業にも動画発信が
必要になっているのか

ICT総研が2026年7月に発表した「2026年度 SNS利用動向に関する調査」によると、2025年末時点の国内SNS利用者数は8,519万人(利用率79.7%)に達し、うちYouTubeの利用率は67.6%でLINEに次ぐ2位、満足度は77.7ポイントで調査対象の全サービス中最高だった。動画コンテンツを中心とするサービスが上位を占める結果になっている。

この数字が意味するのは、経営者や個人が情報収集の入り口として動画に触れる機会が、すでに特別なものではなくなっているということだ。士業もまた例外ではない。文章とプロフィール写真だけの事務所と、担当者が話す姿を見せている事務所とでは、初めて問い合わせる側の安心感に差が出やすくなっている。

とはいえ、士業に求められているのは知名度ではなく信頼だ。バズる動画ではなく、専門家としての受け答えが自然に伝わる動画のほうが、この業種には向いている。


士業事務所が最初に撮るべき動画は何か

1本の動画が一問一答やセミナー切り抜きなど複数の形式に展開するイメージのフラットデザイン図解

専門家本人が答える一問一答

「相続の相談はいつからすればいいか」「就業規則の見直しはどのくらいの頻度が目安か」——顧問先や見込み客から実際に受けた質問を、そのまま1問1分程度で撮る。台本を丸暗記する必要はなく、いつも顧問先に答えているトーンのままでよい。むしろ多少言葉に詰まるくらいのほうが、実在する専門家として自然に映る。

セミナー・勉強会の切り抜き

すでに顧問先向けの勉強会やセミナーを行っている事務所であれば、その一部を撮影して切り出すだけで、新しく話す内容を考える負担なく動画が作れる。人前で説明している自然な様子は、収録専用に撮る動画よりも説得力を持つことが多い。

顧問先の声(許可を得たうえで)

「相談してから対応が早かった」「専門用語を噛み砕いて説明してくれた」といった顧問先の生の感想は、事務所側の言葉より説得力を持つ。ただし顧問先の業種や固有名詞が特定される内容は、本人の明確な同意なしに使わない。

以下に、この3種類の特徴と向いている用途を整理する。

種類 特徴 向いている用途
一問一答 準備が軽く、短時間で撮れる ホームページ・SNSでの継続発信
セミナー切り抜き 既存の活動から作れるが、収録前提の会場・機材調整が要る 専門性・実績の裏付け
顧問先の声 説得力は高いが、同意取得と編集の配慮が必要 問い合わせ直前の後押し

映してはいけないもの——
撮影前に確認すべきこと

書類の正確性と守秘義務を確認するイメージのフラットデザイン図解

士業の動画で最も気をつけるべきは、守秘義務と個人情報だ。撮影の背景に顧問先の書類やパソコン画面が映り込む、打ち合わせスペースのホワイトボードに社名が残ったままになる、といったことは実務の現場では意外と起こりやすい。撮影前に「映る範囲に何が置かれているか」を必ず確認する工程を挟んでほしい。

もう一つ見落とされがちなのが、業務広告に関するルールだ。税理士・弁護士・社会保険労務士など多くの士業には、それぞれの法律・会則に基づく広告規制があり、誇大な表現や断定的な効果の主張は認められないことが多い。「必ず節税できる」「絶対に勝てる」といった言い切りは、動画であっても書面と同じ基準で扱われると考えたほうがよい。撮影台本ができた段階で、自身の所属団体の広告に関する規定を一度確認しておくと安心だ。


無理なく続けるための体制づくり

ミラーレスカメラで自然体の専門家を撮影する様子

Mikatus株式会社(現freee株式会社)が2022年4〜5月に全国の会計事務所150件を対象に行った実態調査では、顧問先獲得のための工夫として「ホームページの改善」を挙げた事務所が43.0%にのぼった。動画そのものへの投資はまだ限定的だが、Web上での見え方に力を入れる事務所がすでに半数近くに達しているという事実は、次の一手として動画に注目が集まりやすい土壌があることを示している。

私たちが撮影現場で大切にしているのは、被写体にカメラを意識させすぎない自然体の撮り方だ。目立たない場所にカメラを置き、いつも話しているトーンのまま収録することを心がけている。士業の場合、この“構えなさ”がそのまま専門家としての誠実さの印象につながりやすいと感じている。

続けるコツは、月1本など無理のないペースを決めてしまうことだ。展示会・商談で効く会社紹介動画の作り方でも触れたとおり、対面の場で使い回せる動画を1本作っておくと、発信の負担を抑えながら商談の質も上げられる。


よくある質問

Q. 動画に出ることに抵抗があります。どうすればいいですか?

A. 無理に演じる必要はない。いつも顧問先に説明しているトーンのまま、短い質問に答える形から始めるのがすすめだ。1本目は公開せず社内で見返すだけにしても、慣れる練習になる。

Q. 撮影は自分たちでやるべきですか、外注すべきですか?

A. 一問一答のような短い動画はスマートフォンでの内製から始めても構わない。セミナー収録や複数人が登場する会社紹介動画のように、音声・照明の質が信頼感に直結する場面は、外注や機材貸し出しを検討したほうがよい。

Q. 顧問先医療機関やクリニックのような広告規制とは違うのですか?

A. 規制の中身は業種ごとに異なるが、「誇大・断定的な表現を避ける」という考え方は共通している。クリニック・治療院の動画集客で解説した医療広告ガイドラインの考え方は、士業が自分の業界のルールを確認する際の参考にもなる。


まとめ

SNS利用者の8割近くが動画を日常的に見る時代になり、士業事務所にとっても「顔の見える専門家」であることの価値は上がっている。とはいえ最初から凝った動画を目指す必要はない。専門家本人が短い質問に答える一問一答から始め、守秘義務と広告ルールを確認する工程さえ挟んでおけば、無理なく続けられる。

湘南で事務所を構える士業の人には、まず自分がこれまで顧問先から何度も聞かれた質問を3つ書き出すことをすすめたい。それがそのまま、最初の3本の台本になる。AI時代に人が関わる価値でも触れたように、AIが情報をまとめる時代だからこそ、専門家本人の言葉で語る動画の価値はむしろ高まっている。

次のステップとして、まずは撮りたい質問と、映してはいけない情報の範囲を言語化することからすすめたい。そこが整理できれば、撮影自体は難しい作業ではない。

AI動画翻訳とインバウンド発信|湘南の宿泊業が知るべき最新動向

湘南の民宿でスタッフがスマートフォンとジンバルでルームツアー動画を撮影する様子

「外国人のお客様に部屋の雰囲気を伝えたいが、英語の案内文を作るだけで力尽きている」——湘南で民宿やゲストハウスを営む人と話すと、こうした本音を聞くことがある。写真と翻訳文だけでは、実際の広さや光の入り方、スタッフの人柄までは伝わりにくい。

結論から言えば、動画の多言語対応はもはや大手宿泊施設だけのものではない。AIによる自動翻訳・自動吹き替えの実用化によって、外国語ナレーターを雇わずとも、日本語で撮った動画を複数言語で届けられる環境が整いつつある。

この記事では、訪日外国人の消費動向の最新データと、YouTubeのAIオートダビング機能という具体的な技術動向をもとに、湘南の宿泊業・小売店が動画の多言語発信にどう向き合うべきかを、制作者の現場感覚で解説する。

  • 結論:訪日消費額は2026年4-6月期で2兆5,096億円に達し、湘南の入込観光客数も過去最高水準が続く
  • YouTubeのAIオートダビング(日本語対応済み)により、動画の多言語化が「専門業者に頼む特別な工程」ではなくなりつつある
  • ただしAI翻訳には限界があり、手法ごとの向き不向きを理解したうえで使い分けるのが現実的

観光庁の最新データで見る
——湘南にも押し寄せるインバウンドの波

観光庁が発表した「インバウンド消費動向調査」2026年4-6月期(1次速報)によれば、訪日外国人旅行消費額は2兆5,096億円(前年同期比+0.2%)、1人当たりの旅行支出(消費単価)は24.4万円(同+3.3%)だった。消費額上位は米国・台湾・中国・韓国・香港の順で、欧米豪からの客が単価を押し上げている構図がうかがえる。

地域に目を向けると、神奈川県の「令和6年入込観光客調査」では、湘南エリアの入込観光客数が5,035万8千人(前年比+10.5%)となり、藤沢市は湘南海岸・江の島への来訪増で過去最高を更新した。県全体の宿泊客数も令和6年に2,023万人となり、2年連続で過去最高を記録している。

この数字が意味するのは、外国人観光客はもはや東京・大阪・京都のような大都市だけの現象ではなく、湘南のような地域にも確実に流れ込んでいるということだ。観光DXと地域PR動画の潮流でも触れたとおり、地域の側から情報を発信する動きは加速している。宿泊業や土産物店にとって、外国人客への発信を「まだ先の話」で片付けられる状況ではなくなりつつある。


AIオートダビングで動画の多言語化が
「特別な準備」でなくなった

1本の動画が複数言語に展開されるイメージを示すフラットデザイン図解

2026年、YouTubeの「オートダビング」機能が日本語にも本格対応した。チャンネル運営者が機能を有効にしておけば、視聴者は動画の音声トラックを切り替えるだけで、AIが生成した吹き替え音声を聞けるようになる仕組みだ。字幕を読ませるのではなく、音声そのものを自動生成する点が大きな変化である。

これまで動画を多言語化するには、翻訳会社に発注し、ネイティブのナレーターを手配し、収録・編集し直すという工程が必要だった。個人経営の宿や小さな土産物店にとって、これは現実的な選択肢ではなかったはずだ。AIによる自動翻訳・自動吹き替えの実用化は、この「多言語版を作る」という工程そのもののハードルを下げつつある。

だからといって、いきなり英語・中国語・韓国語すべてに対応する必要はない。まずは日本語で丁寧に撮った1本の動画を用意し、プラットフォーム側の自動翻訳・自動吹き替え機能に乗せてみる——それくらいの身構えで十分に始められる時代になったということだ。


湘南の宿泊業・小売店は何を撮ればいいか
——実例で考える

湘南の海沿いの商店街でスマートフォンの動画を見る外国人観光客

宿泊業の場合

民宿やゲストハウスであれば、まず撮るべきは客室・水回り・共用スペースの雰囲気を伝えるルームツアー動画だ。言葉が通じなくても、部屋の広さや清潔感、光の入り方は映像なら一目で伝わる。スタッフが自然体で挨拶をする短いカットを添えると、到着前の不安を減らす効果も期待できる。

小売店・土産物店の場合

土産物店であれば、商品そのものよりも「誰がどう作っているか」「地元でどう愛されているか」を映すほうが、外国人客の記憶に残りやすい。湘南という土地の空気感——海沿いの通り、地元の人が立ち寄る様子——を織り込むことで、商品単体の説明よりも強い印象を残せる。

いずれの場合も、私たちが撮影現場で大切にしているのは、被写体にカメラを意識させすぎない自然体の撮り方だ。言葉の壁がある相手にこそ、取り繕った演出よりも、素の空気感がそのまま伝わる映像のほうが信頼を得やすいと感じている。


多言語対応、手法別に何が向いているか

動画を多言語化する手法は一つではない。以下に主な選択肢と、それぞれの向き不向きを整理する。

手法 特徴 向いている用途
人力翻訳+字幕 精度・ニュアンスは最も高いが工数とコストがかかる 公式サイト掲載など、間違いが許されない発信
AI自動字幕 短時間で複数言語に対応できるが誤訳の確認は必要 SNSのショート動画など更新頻度が高い発信
AIオートダビング 音声で伝わるため字幕を読ませる必要がない YouTubeのルームツアー・施設紹介動画
ネイティブナレーター別撮り 最も自然な聞こえ方になるがコストが高い 看板となる公式PR動画1本に絞って投資する場合

個人経営の宿泊業や小売店であれば、まずはAI自動字幕かAIオートダビングから試し、反応を見ながら看板動画だけ人力翻訳やネイティブナレーターに投資する、という段階的な進め方が現実的だ。AI検索(AIO)時代に動画コンテンツはどう見つかるかで触れたように、そもそも動画が見つけられる状態を作ることも並行して考えたい。


AI翻訳・AI吹き替えの限界も知っておく

動画撮影からAI翻訳・多言語音声化までの流れを示すフラットデザイン図解

AIによる自動翻訳・自動吹き替えは便利だが、万能ではない。地名や施設名の読み方を誤る、方言や口語表現のニュアンスが抜け落ちる、といったことは現状でも起こり得る。特に予約方法や料金、キャンセル規定など「間違えると信頼を損なう情報」は、AI任せにせず人の目で確認する工程を残すべきだ。

考えてみてほしい。せっかく興味を持ってもらえても、誤訳が原因で誤解が生まれれば、かえって信頼を落としかねない。AIは「発信のハードルを下げる道具」であって、「発信の責任を肩代わりしてくれる道具」ではない、という線引きを持っておくことをすすめる。


よくある質問

Q. 多言語対応の動画は何から始めればいいですか?

A. まずは日本語のルームツアー動画や店舗紹介動画を1本用意し、YouTubeのAIオートダビングやSNSのAI自動字幕機能に乗せてみるのが現実的な第一歩だ。専用の多言語版を最初から作り込む必要はない。

Q. 個人経営の宿でも英語ナレーターを雇う必要がありますか?

A. 必須ではない。AIオートダビングやAI自動字幕である程度は対応でき、看板となる公式PR動画など「間違えられない1本」だけネイティブナレーターや人力翻訳に投資する、という使い分けで十分に始められる。

Q. AI翻訳の誤訳が心配です。どう対策すればいいですか?

A. 料金・予約方法・キャンセル規定など間違えると信頼を損なう情報は、AI翻訳結果を人の目で確認する工程を残すべきだ。雰囲気を伝えるだけの映像パートと、正確さが必須のテキスト情報を分けて考えるとよい。


まとめ

訪日外国人の旅行消費は過去最高水準で推移し、湘南のような地域にもインバウンドの波は確実に届いている。AIオートダビングをはじめとする自動翻訳・自動吹き替え技術の実用化によって、動画の多言語対応はもはや大手企業だけの特権ではなくなった。

だからこそ、湘南の宿泊業や小売店にも「まず1本、日本語の動画を丁寧に撮る」ところから始めてほしい。手法ごとの向き不向きを理解し、間違えられない情報だけは人の目で確認する——その線引きさえ押さえておけば、無理なく発信を続けられるはずだ。

次のステップとして、まずは自施設・自店舗のどの場面を動画にすれば外国人客に伝わるかを言語化することをすすめる。そこが決まれば、多言語対応の技術は後からいくらでも追加できる。

クリニック・治療院の動画制作費用相場|湘南の医療広告と価格目安

湘南のクリニックでスタッフが撮影される様子

「動画を作ったほうがいいのは分かるが、クリニックが広告にお金をかけていいものか、正直よく分からない」——湘南でクリニックや治療院を経営している人と話すと、こういう本音を聞くことがある。飲食店や美容室と違い、患者に「選ばれる」ための発信には独特のためらいがつきまとう業種だ。

結論から言えば、クリニック・治療院の動画予算は「他業種より小さめに、しかし狙いを絞って」組むのが実態に近い。経営データを見る限り、クリニックの広告宣伝費はもともと売上に対する比率が低く、大きく張る業種ではない。一方で動画広告そのものの市場は伸び続けており、患者が受診前に動画で情報を集める流れは止まっていない。

この記事では、クリニックの広告宣伝費に関する経営データ、動画広告市場の最新統計、そして医療広告ガイドラインという3つの一次情報をもとに、湘南のクリニック・治療院がいくらまで動画にかけてよいのか、そして限られた予算をどこに振るべきかを、制作者の現場感覚で解説する。

  • 結論:クリニックの広告宣伝費は売上の平均0.7%程度(医療法人)にとどまり、他業種より小さめの予算感が一般的
  • 動画広告市場は2025年に推定開始以来初めて1兆円を突破しており、動画そのものへの追い風は強い
  • 医療広告ガイドラインでビフォーアフターや比較優良表現は原則禁止のため、予算は「演出」より「発信できる内容の設計」に振るべきだ

クリニックの広告宣伝費は売上の0.7%
——他業種と比べた予算感

限られた予算の中で動画にかける割合を示すフラットデザイン図解

税理士事務所のnktaxが自社の顧客データを分析した「クリニック経営データ分析」によれば、個人事業のクリニックの広告宣伝費比率は売上に対して平均0.6%、医療法人では0.7%、全体では0.7%程度だった。診療科別に見ると、眼科が最も高く約1.0%、内科が最も低く約0.4%という結果も示されている。

この数字が意味するのは、年間売上5,000万円のクリニックなら、年間の広告宣伝費はおおよそ35万円前後が一つの目安になるということだ。これは、以前学習塾の動画制作費用相場で見た教育業種や、他の店舗業種と比べても控えめな水準だ。クリニックは「広告で呼び込む」より「口コミと立地で選ばれる」色がもともと強い業種であり、その経営体質が数字にも表れている。

だからといって動画に使う予算がゼロでよいわけではない。この0.7%という枠の中で、どこに振り分けるかの優先順位を考えることが、この記事の主題になる。


動画広告市場は2025年に「初の1兆円」
——クリニックにも追い風

動画広告市場の成長を表すフラットデザイン図解

電通が2026年3月5日に発表した「2025年 日本の広告費」によれば、2025年の総広告費は8兆623億円(前年比105.1%)となり、2021年から5年連続で成長し、4年連続で過去最高を更新した。インターネット広告費は4兆459億円(前年比110.8%)で初めて4兆円を超え、総広告費に占める構成比も50.2%と初めて過半数に達している。中でも動画(ビデオ)広告は前年比121.8%の1兆275億円となり、推定開始以来初めて1兆円を突破した。

この伸びを支えているのは、SNS上の縦型動画広告やコネクテッドTVといった、生活者が日常的に触れる動画接点の拡大だ。患者やその家族が受診先を選ぶ前に、まずスマートフォンで動画を見て比較検討する——という行動は、もはや特殊なことではなくなっている。

ただし、クリニックがこの市場の伸びをそのまま自分たちの広告費増加に結びつける必要はない。重要なのは「広告費を増やす」ことではなく、限られた0.7%の枠の中で、動画という手段の優先度を上げることだ。


「原則禁止」の中で何を撮るか
——医療広告ガイドラインが引く線

クリニックの診察室でスタッフと患者が自然に会話する様子をカメラマンが撮影する様子

厚生労働省が定める医療広告ガイドライン(「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」)は、ウェブサイトやSNSに載せる動画コンテンツも広告規制の対象になり得ると位置づけている。他院との比較優良表現や、治療の効果を示すビフォーアフター画像・動画の無条件掲載は、原則として禁止されている項目だ。

詳細な自由診療の情報を載せたい場合には「限定解除」という要件を満たす必要があり、連絡先の明示に加えて、費用やリスク・副作用の併記が求められる。つまり、派手な演出やビフォーアフターに費用をかけるほど、表現のチェックや説明責任のコストも増えていく構造になっている。医療広告ガイドライン改正が続く理由で詳しく触れているので、あわせて参考にしてほしい。

私たちが撮影現場で大切にしているのは、被写体にカメラを意識させすぎない自然体の撮影だ。スタッフの日常の対応や、院長が患者に語りかける様子をありのままに近い温度感で撮る動画は、演出コストを抑えられるうえ、規制上のグレーゾーンにも触れにくい。派手な効果を狙うより、こうした等身大の信頼感に予算を振るほうが、クリニックには合理的だ。


何にいくらかける?
クリニック動画の費用配分の目安

以下に、私たちが現場で提案することの多い動画の種類と、費用感の目安を整理する。

種類 狙い 費用相場
スタッフ紹介・院内の雰囲気動画 通院前の不安を減らし、スタッフの人柄を伝える 5万〜15万円
院長・スタッフインタビュー動画 診療方針や人柄を語り、信頼を積み重ねる 20万〜40万円
クリニック紹介動画(ホームページ用) 立地・設備・スタッフを総合的に紹介する 30万〜60万円
SNSショート動画(継続運用) 日常の様子を継続発信し、想起の頻度を上げる 月3万〜8万円程度

表の中で優先度が高いのは、スタッフ紹介とインタビュー動画の2つだ。クリニックは「誰が診るか」への関心が高い業種であり、設備の豪華さよりも人柄が伝わる映像のほうが、比較段階での差別化に直結しやすい。まずはクリニック・治療院の動画集客で紹介した始め方と合わせて、低予算のSNS発信から着手するのが現実的だ。


よくある質問

Q. クリニックの動画制作費用はいくらから始められますか?

A. スタッフ紹介やSNSショート動画中心なら5万〜15万円程度から始められる。院長インタビューを含む本格的なクリニック紹介動画は30万〜60万円程度が目安だ。まずは低予算のSNS発信から始め、反応を見ながら投資を広げる進め方が現実的だ。

Q. 患者のビフォーアフターは動画で使えますか?

A. 医療広告ガイドライン上、治療の効果に関するビフォーアフター画像・動画の無条件掲載は原則禁止されている。使う場合は限定解除の要件(費用やリスクの併記など)を満たす必要があり、慎重な設計が求められる。

Q. 広告宣伝費はどれくらいが目安ですか?

A. 経営データ分析では、クリニックの広告宣伝費は売上の平均0.7%程度(医療法人)とされている。診療科によって差があり、眼科などで比較的高め、内科などで低めの傾向がある。動画の予算もこの枠の中で考えるのが現実的だ。


まとめ

クリニック・治療院の動画予算は、他業種のように大きく振れる性質のものではない。経営データが示す通り、広告宣伝費はもともと売上の0.7%前後という慎重な枠の中にある。

だからこそ、派手な演出やビフォーアフターに費用を割くより、スタッフ紹介や院長の人柄が伝わる自然体の動画から始めることをすすめる。医療広告ガイドラインの制約の中でも、等身大の信頼感を伝える動画であれば、無理なく続けられるはずだ。

次のステップとして、まずは自院の広告宣伝費の中で動画にどれだけ振り分けられるかを言語化することをすすめる。そこが決まれば、どの種類の動画から手をつけるべきかは自然と見えてくるはずだ。