動画はテレビを超えたか|総務省調査で読む湘南の動画戦略

テレビを見る年配の人物とスマートフォンで動画を見る若い人物の対比、湘南の海辺の光

「うちのお客さんは年配の方が多いから、動画よりチラシのほうが効くのでは」——湘南で店舗や事業を営む経営者から、こうした声を聞くことがある。動画の話をすると、なんとなく「若い人向けの手段」というイメージが先に立つのだろう。

結論から言えば、その感覚はもう半分しか正しくない。総務省の最新調査では、インターネットの利用時間がテレビ視聴時間を上回る状態が続いており、しかも世代によって「どちらの情報を信じるか」がはっきり分かれ始めている。動画が効くかどうかは年代だけで決まらず、その年代が何を信じているかで決まる。

この記事では、総務省とサイバーエージェントの一次データをもとに、テレビとネット動画をめぐる利用時間・信頼度の実態を整理したうえで、湘南の事業者がターゲットの年代に応じて動画をどう使い分けるべきかを、制作者の現場感覚で解説する。

  • 結論:インターネット利用時間はテレビを上回り続けているが、世代によって「信じているメディア」は逆転していない
  • 10〜40代はネットの情報を信頼し、50〜70代はテレビの情報を信頼する傾向がはっきり出ている(総務省調査)
  • 動画広告市場も2026年に1兆円超えの見込みで、投資は加速している。だからこそ狙う年代に合わせた見せ方の設計が要る

動画はテレビを「数字の上で」超えたか
——総務省・令和7年度調査の実態

総務省情報通信政策研究所が2026年6月に公表した「令和7年度情報通信メディアの利用時間と生活行動に関する調査報告書」によれば、全年代平均のインターネット利用時間は春季183.9分(前年比+2.1分)、秋季192.9分(前年比+9.2分)だった。一方でテレビ(地上波・BS・CS)視聴時間も春季156.1分、秋季189.2分と、実は前年から伸びている。

つまり「テレビが急速に見捨てられている」という単純な話ではなく、両方とも視聴時間は伸びながら、ネットがテレビを上回る差を保っているというのが実態に近い。以下に主要な数値を整理する。

調査時期 インターネット利用時間 テレビ視聴時間
令和7年度・春季 183.9分 156.1分
令和7年度・秋季 192.9分 189.2分
令和6年度・全年代(平日) 181.8分 154.7分

前年度(令和6年度)の調査では、休日の40代で初めてインターネット利用時間がテレビ視聴時間を上回り、60代ではテレビ視聴時間が大きく減少したことも報告されている。年を追うごとに、ネット優位の年代層が下から上へ広がっているという読み方ができる。


時間より重要なのは「どちらを信じているか」
——世代で分かれる情報の受け止め方

同じ総務省調査では、利用時間だけでなく「情報の信頼度」も世代別に調べている。結果は明快で、10〜40代はインターネットから得る情報への信頼度が高く、50〜70代はテレビから得る情報への信頼度が高いという傾向が出ている。情報を得る手段としても、10〜50代は「インターネット」中心、60〜70代は「テレビ」中心だった。

これは湘南の事業者にとって実務的な意味を持つ数字だ。ターゲットが20〜40代中心の業態であれば、動画をSNSやWeb経由で届けたときに「信じてもらいやすい土壌」がすでにある。逆にターゲットが60代以上を含む業態では、動画を作っても届け方(テレビ的な安心感のある演出、紙媒体との併用、口コミとの組み合わせ)まで設計しないと、内容が良くても信頼にはつながりにくい。

世代によってテレビとスマートフォン動画への信頼度が分かれることを表すフラットデザイン図解

「見てもらえる」と「信じてもらえる」は別の問題

私たちが現場で動画を作る際にいつも意識しているのは、再生数や視聴時間だけでなく「この動画を見た人が身構えずに信じられるか」だ。過度に作り込まれた演出は、特にネットの情報に慣れた層ほど「広告っぽさ」を敏感に感じ取る。私たちの撮影チームでは、被写体にカメラを意識させすぎない自然体の画づくりを常に心がけているが、これは飽きさせないためだけでなく、世代を問わず「取ってつけた感」を減らし、信頼感を損なわないための実務上の判断でもある。

動画広告への投資も
過去最速のペースで増えている

利用時間・信頼度の変化を裏づけるように、動画への広告投資も急速に伸びている。サイバーエージェントが実施した国内動画広告の市場調査によれば、2025年の動画広告市場は8,855億円で前年比122%の成長、2026年には1兆437億円に達する見込みだという。中でも縦型動画広告は2025年に前年比155.9%の2,049億円まで伸び、成長のけん引役になっている。市場全体の詳しい内訳は動画広告市場、初の1兆円へ|湘南の中小企業が今動くべき理由でも解説しているので、あわせて読んでほしい。

スマートフォン向けの動画広告需要は7,053億円で、動画広告需要全体の8割を占める。ここでも「ネットの動画に慣れている層」への投資が先行しているのが分かる。テレビからネットへ、そして横長からスマホの縦型へという主戦場の移り変わりについてはテレビ→YouTube→ショート動画、映像の主戦場はどう移ったか【制作者視点】でも詳しく触れている。

湘南の事業者は、ターゲットの年代で
動画の見せ方を変えるべきだ

パーソナルジムでスマートフォンを使って縦型動画を撮影しながら指導するトレーナーの様子

たとえば湘南で新しくパーソナルジムを開いたオーナーを考えてみよう。想定顧客が20〜30代中心なら、長尺のCM的な動画よりも、トレーナーの人柄や施術の様子をスマホで撮った縦型のショート動画のほうが、信頼を得やすい層に直接届く。編集で盛りすぎず、トレーニング風景をそのまま切り取るくらいの温度感でよい。

一方、湘南で不動産仲介を営む会社であれば、顧客層は20代の一人暮らし探しから60代以上の住み替え相談まで幅広い。この場合は一つの動画で全世代を狙うのではなく、SNS用の短い物件紹介はネットに慣れた層向けに、担当者の人柄や地域の実績をじっくり見せる長尺のインタビュー動画は自社サイトやYouTubeに置いて、テレビ的な「見て安心する」層にも届く設計にするのが理にかなっている。

考えてみてほしい。同じ「動画を作る」という投資でも、ターゲットの年代によって効果の出方はまったく違う。次のステップとして、まず自社の主要顧客が何歳前後で、ネットとテレビのどちらを信じる傾向が強い層かを言語化することをすすめる。

よくある質問

Q. うちは高齢のお客様が多いのですが、動画は意味がありますか?

A. 意味はある。ただし総務省調査では50〜70代はテレビの情報を信頼する傾向が強いため、SNS単独で完結させず、店頭のモニターやWebサイトのトップに動画を置くなど「テレビ的に安心して見られる」導線と組み合わせるのがすすめだ。

Q. ネットの信頼度が高い若い世代には、どんな動画が向いていますか?

A. 作り込みすぎない縦型のショート動画が向いている。過度な演出は「広告っぽさ」として敬遠されやすいため、現場の自然な様子を短く見せる方が、信頼を得やすい傾向がある。

Q. 総務省の調査はどこで確認できますか?

A. 総務省情報通信政策研究所が「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」として毎年公表しており、公式サイトで報告書全文が公開されている。

まとめ

テレビからスマートフォン動画へ投資が伸びていく様子を表すフラットデザインの成長グラフ

インターネットの利用時間はテレビを上回り続けているが、それは「テレビが信じられなくなった」ことを意味しない。むしろ世代によって信じるメディアがはっきり分かれ、その差はここ数年でさらに広がっている。動画広告市場が2026年に1兆円を超える見込みであることも、この変化の裏づけと言える。

湘南で事業をする以上、狙う顧客の年代は業態ごとに違う。だからこそ「動画を作るかどうか」より先に、「自社の顧客はどちらのメディアをどれくらい信じているか」を見極めることが、投資を無駄にしない第一歩になる。動画の活用先を横断的に整理したい場合は作った動画、どこでどう使う?活用先マップ【完全版】も参考にしてほしい。まずは自社の顧客層を言語化することから始めることをすすめる。

動画はテレビを超えたか|総務省調査で読む湘南の動画戦略」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: パーソナルジムの動画発信、何を撮る?|湘南の差別化基礎知識 - 平塚・大磯PR動画.com

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