動画制作は内製と外注どちらが得か|平塚の中小企業向け費用比較

内製と外注の費用を比較検討する経営者と動画制作者

「そろそろ動画に力を入れたいが、社内でやるべきか、外に任せるべきか」——平塚や大磯で製造業や建設業を営む経営者と話していると、この迷いに何度も出会う。SNSで会社の姿を発信したい、採用のために現場の空気を伝えたい。気持ちは固まっていても、体制をどう組むかで足が止まってしまうケースは少なくないはずだ。

結論から言えば、内製と外注のどちらが得かは「月に何本作るか」だけでは決まらない。「どれだけの期間、継続する必要があるか」と「その動画に何を求めるか」の2つを合わせて考えて、はじめて答えが見える。本数の多寡だけで判断すると、初期投資だけがかさんで使いこなせない、あるいは外注費が積み上がって割高になる、というどちらの失敗も起こり得る。

この記事では、内製と外注それぞれのコスト構造の違い、判断を分ける3つの軸、そしてAIが動画制作のハードルを下げつつある現在地までを、現場で制作に立つ私たちの視点と一次データから解説する。

内製と外注、コスト構造はどう違うのか

内製化は「固定費」の世界だ。カメラ・マイク・編集用PCといった機材投資に加え、撮影・編集を担う人材の人件費が毎月発生する。本数を作ろうが作るまいが、この固定費は変わらない。だからこそ内製が生きるのは、継続的に一定量を発信し続ける体制がある会社だ。

一方の外注は「変動費」の世界だ。依頼した本数分だけ費用が発生し、機材や人材を抱え込むリスクがない。動画制作の費用相場については動画制作の費用相場【完全ガイド】で尺・種類別に整理しているので、まず外注1本あたりの相場感をつかんでから内製と比較するとわかりやすい。

内製化に必要な初期投資の目安

内製化を検討する際、見落とされがちなのが「教育コスト」だ。機材さえ揃えれば動画が撮れるわけではない。構図・音声・編集の基礎を身につけるまでの試行錯誤期間、いわば学習コストも内製の隠れた費用として織り込む必要がある。私たちが現場で内製支援に入ると、最初の数本は外部の目が入った方が結果的に早く軌道に乗るケースをよく見る。

内製と外注のコストバランスを表す天秤の図解

損益分岐点を分けるのは「本数」より「継続期間」

矢野経済研究所の調査によると、動画コンテンツビジネスの市場規模は2024年度に5,985億円(前年度比103.7%)、2025年度は6,300億円(同105.3%)まで拡大すると見込まれている(矢野経済研究所調べ、2025年発表)。市場が拡大している背景には需要の増加だけでなく、動画のジャンルに応じた専門性を持つ制作チームを編成する体制が業界側で整ってきたことがあると同調査は指摘する。つまり外注先の選択肢と専門性は、以前より確実に広がっているということだ。

この動きを踏まえると、判断基準は「本数」ではなく「継続期間」に置いた方が実態に合う。半年に1本の採用動画や単発の会社紹介動画なら、専門性の高い外注先に任せた方が、内製の学習コストを払うより安く早く仕上がるはずだ。逆に、SNSで毎週投稿を1年以上続ける計画があるなら、外注費が積み上がる前に内製の固定費に切り替えた方が長期的には得になる。


目安として、単発〜年数本程度の「ここぞ」という動画は外注、週次・月次で継続する発信は内製かハイブリッド、という切り分けを私たちは現場ですすめている。ここで言うハイブリッドとは、撮影は社内で行い編集だけ外部に任せる、あるいは繁忙期だけ外注を併用するといった、固定費と変動費を組み合わせる運用のことだ。

AIで内製のハードルは下がったが、任せきりにはできない

サイバーエージェントとデジタルインファクトが2025年6月に大手広告主企業100社を対象に実施した調査では、クリエイティブ制作における生成AIを「継続的に活用している」と回答した企業が54%にのぼり、動画広告の制作量が「増えた」と答えた企業は86%に達した(サイバーエージェント・デジタルインファクト調べ、2025年6月)。同調査ではさらに、3年後には動画広告制作で「人よりAIが主体になる」と予想する企業が50〜58%に及んでおり、AIが動画制作の内製化を後押しする流れは大手企業から確実に広がっている。

湘南の中小企業にとっても、この流れは他人事ではない。台本の叩き台づくりや字幕生成、簡単な編集の下ごしらえにAIを使えば、内製化の学習コストは以前より下がっている。ただし、AIが代替できるのはあくまで「作業」の部分だ。平塚の工場の何を撮れば取引先の心が動くか、大磯の海沿いの現場をどの時間帯にどう切り取れば人が採用面接に来たくなるか——こうした現場の勘所は、現場に立った人間にしか判断できない。この点はAI動画・SNS時代に「人が関わる」ことで価値が上がる理由でも詳しく触れているので、あわせて読んでほしい。

AIと人の手による動画編集作業の図解

平塚・大磯の製造業・建設業が判断する3つの軸

ここまでを踏まえ、実際に判断する際の3つの軸を整理する。

軸1:撮影・編集に割ける専任者がいるか

内製は「誰かの本業の片手間」では続かない。専任、あるいは業務時間の一定割合を継続して割ける人がいなければ、機材は棚の肥やしになる。

軸2:発信の目的が単発の実績づくりか、継続的な認知づくりか

採用動画や展示会用の会社紹介動画のように「ここ一番」で使う映像は外注、日々の現場の様子を発信し続けるSNS運用は内製、と目的で切り分けるのが自然だ。実際に工場見学動画が営業を変える|平塚・湘南の製造業BtoB戦略で紹介したように、商談前に見せる1本の完成度が高い動画は、外注で専門性を借りた方が費用対効果が高いことが多い。

軸3:BtoBの成果(商談・展示会)につなげたいか

アルファノート株式会社が2026年6月にBtoB企業の動画マーケティング担当者500名に行った調査では、動画活用で効果があったと回答した企業は60.6%にのぼり、具体的な効果の1位は「展示会・イベントでの集客数の増加」だった(アルファノート調べ、2026年6月)。展示会や商談という「ここ一番」の勝負どころで使う動画ほど完成度が結果に直結するため、専門の制作チームに任せる価値がある、と読み取れる。

工場でジンバルを使い撮影する動画制作者

まとめ

内製と外注のどちらが得かは、本数の多い少ないでは決まらない。継続期間・専任者の有無・動画の目的という3つの軸で考えれば、自社にとっての答えはおのずと見えてくるはずだ。

私たちも呉服・不動産・アパレル・製造・教育と多業界で内製・外注双方の相談を受けてきたが、最初から答えを決めつけている会社はほとんどない。まずは「年間で何本、どんな場面のために動画が必要か」を書き出すことから始めることをすすめる。それだけで、内製すべきか外注すべきかの輪郭はかなりはっきりする。