動画制作はフリーランスと制作会社どちらが得か|湘南企業向け費用比較

湘南の自宅でノートパソコンと一眼カメラを使い一人で編集するフリーランス動画クリエイターと、明るいオフィスで複数人の制作チームが打ち合わせをする様子を左右に並べた構図

「動画を1本作りたいが、クラウドソーシングでフリーランスの個人に頼むのと、制作会社に頼むのとで、何がどう違うのか分からない」——湘南エリアの経営者から見積もりの相談を受けていると、この迷いにしばしば出会う。ネットで探せば数万円から請け負う個人クリエイターも、数十万円からの制作会社も出てくる。値段だけを見れば個人に頼んだ方が得に思える。

結論から言えば、フリーランスと制作会社のどちらが得かは、金額の大小だけでは決まらない。同じ「動画1本」でも、価格に何が含まれているか、途中で何かあったときに誰がどう対応してくれるかが大きく違うからだ。この記事では、フリーランス市場の拡大を示す一次データと、動画制作の外注トラブルに関する調査という一次情報をもとに、費用の違いとリスクを整理し、湘南の中小企業がどちらを選ぶべきかの判断軸を示す。

この記事では、フリーランスへの依頼が増えている背景、費用構造の違い、実際に起きやすいトラブル、業種別の向き不向きまでを、現場で制作に立つ私たちの視点で一気に解説する。

  • 結論:フリーランスと制作会社の差は金額だけでなく「価格に何が含まれるか」「トラブル時の対応力」にある
  • フリーランス人口は10年で+39.1%増の1,303万人、経済規模は20兆3,200億円に達している(ランサーズ調査)
  • 動画制作の外注トラブルで最も多いのは「追加費用の説明不足」(31.3%)と「費用内訳の不透明さ」(29.8%)(一括.jp調査)

なぜ動画制作でフリーランス個人への依頼が増えているのか

ランサーズ株式会社が2025年1月に実施した「フリーランス実態調査2024年」(有効回答2,929名)によると、2024年のフリーランス人口は1,303万人、経済規模は20兆3,200億円に達し、10年前と比べて人口は39.1%、経済規模は38.8%それぞれ増加した。動画に限らず、個人が業務委託で仕事を請け負う働き方そのものが、この10年で確実に広がっている。

動画制作の分野でも同じ流れがある。クラウドソーシングサイトには編集だけを請け負う個人クリエイターが数多く登録しており、制作会社が抱える固定費(オフィス・機材・複数人体制の人件費)を持たない分、同じ作業でも見積もりが安くなりやすい。一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会の「フリーランス白書2025」では、フリーランス全体の年収は「200万〜400万円未満」が26.5%で最も多いという結果も出ており、単価を抑えてでも案件数をこなす個人クリエイターが一定数いることの背景にもなっていると私たちは見ている。

費用だけを比べても見えない「差」
——フリーランスと制作会社の違いを整理する

個人クリエイター1人分の小さな費用の積み木とチーム体制の大きな費用の積み木を天秤で比較するフラットイラスト

見積書の金額だけを並べると、フリーランスの方が安く見えるのは事実だ。しかし価格には「何が含まれているか」の差があり、そこを見落とすと想定外の追加費用や仕上がりのばらつきにつながる。以下に、同程度の動画を依頼した場合の一般的な違いを整理する。

比較項目 フリーランス個人 制作会社
費用目安(PR動画1本) 5万〜30万円ほど 20万〜80万円ほど
得意な依頼内容 単発のSNSショート動画、素材ありきの編集のみ 企画から撮影・複数人体制が要る案件
品質の安定感 個人のスキル・経験に左右されやすい チーム体制で一定水準を担保しやすい
契約・保証面 個人間契約が中心で、条件は依頼者側の確認次第 契約書・修正回数の取り決めが整っていることが多い
向いている発注規模 予算重視の単発・小規模案件 継続案件、商談・展示会用など「ここ一番」の案件

費用相場そのものをもう少し細かく知りたい場合は、動画制作の費用相場【完全ガイド】で種類・尺別に整理しているので、あわせて参考にしてほしい。社内で作るか外に頼むか自体で迷っている場合は、動画制作は内製と外注どちらが得かも判断の助けになるはずだ。

発注トラブルはどこで起きやすいか
——費用・進行管理の実態

見積書らしき書類を虫眼鏡で確認し、時計のアイコンが遅延を示すフラットイラスト

動画制作マッチングサイト「一括.jp」を運営する株式会社ecloreが2025年7月に実施した調査(動画制作の外注経験がある企業担当者131名対象)によると、外注時に生じたトラブルの上位には費用・見積もりに関する項目が並ぶ。「追加費用の説明不足」を経験した割合が31.3%、「費用内訳が不透明だった」が29.8%、「見積もりと最終費用が食い違った」が23.7%にのぼった。あわせて「スケジュール共有・報告の不足」も31.3%と並んで多く、進行管理の甘さが費用トラブルと同時に起きやすいことがうかがえる。

この調査は制作会社への外注も含めた結果であり、フリーランスに限った数字ではない。ただし、制作会社であれば担当者が対応できないときに別のスタッフがフォローに入る、契約書で修正回数や納期を明文化しているといった「保険」が機能しやすいのに対し、個人のフリーランスは依頼から納品まで一人で完結させている分、体調不良や案件の重なりで連絡が途絶えると代わりが利きにくい。この一点だけでも、費用の安さと引き換えに背負うリスクの種類が変わることは押さえておきたい。動画制作の見積もりで追加費用が発生しやすい具体的な項目は動画制作の見積書、追加費用が発生しやすい項目とはで詳しく整理しているので、発注前にあわせて確認してほしい。

業種別に見る、どちらが向いているか

明るい打ち合わせテーブルで小規模事業者と動画制作者が提案書とノートパソコンの編集画面を確認している様子

向き不向きは業種そのものより「動画の使い方」で決まる。いくつか具体的な場面で考えてみたい。学習塾が説明会の告知用に1本だけ短いショート動画を作りたい場合、素材(教室の様子や講師の一言)さえ揃っていれば、編集だけを個人のフリーランスに頼んでも十分に成立する。予算を抑えたい単発案件は、フリーランス個人の得意分野だ。

一方、ヨガスタジオが毎週SNSに投稿し続ける運用を前提にするなら、担当者が急に対応できなくなったときの影響が大きい。継続案件は、複数人でフォローできる制作会社や、契約を通じて継続的に関われる体制のある個人に任せた方が、長い目で見て安定する。税理士事務所や士業のように「信頼感」がそのまま商品価値に直結する採用動画・会社紹介動画では、企画段階から複数の視点でチェックが入る制作会社の体制が安心材料になりやすい。私たちも呉服・不動産・アパレル・製造・教育と幅広い業種の相談を受けてきたが、業種で一律に決めるのではなく「この動画が失敗したときの影響の大きさ」で発注先を選ぶ会社ほど、後悔が少ないという印象を持っている。

よくある質問

Q. フリーランスに頼めば、制作会社より確実に安くなりますか?

A. 多くの場合は安くなるが、依頼内容によっては差が縮まることもある。企画や複数日の撮影が必要な案件では、個人でも稼働時間が増える分、価格差は小さくなりやすい。

Q. フリーランスに頼む一番のリスクは何ですか?

A. 依頼から納品まで一人で担っているため、体調不良や案件の重なりで連絡が滞ったときに代わりが利きにくいことだ。契約前に連絡手段と対応可能な期間を確認しておくとよい。

Q. 予算が少ない場合、フリーランスと制作会社のどちらを選ぶべきですか?

A. 単発かつ素材が揃っている案件ならフリーランスで十分なことが多い。継続的な発信や、失敗の影響が大きい「ここ一番」の動画は、予算を工面してでも制作会社を検討する価値がある。

Q. 見積もりのどこを確認すれば費用トラブルを防げますか?

A. 修正回数の上限、追加費用が発生する条件、納品形式が見積書に明記されているかを確認するとよい。ここが曖昧なまま契約すると、追加費用トラブルにつながりやすい。

まとめ

フリーランス市場が10年で人口・経済規模ともに約4割拡大している(ランサーズ調査)背景もあり、動画制作を個人に依頼する選択肢は以前より身近になった。一方で、動画制作の外注トラブルの上位は費用・見積もりの不透明さと進行管理の甘さが占めており(一括.jp調査)、これは発注先がフリーランスであっても制作会社であっても変わらない注意点だ。

大切なのは「安いか高いか」ではなく、「その価格に何が含まれ、何かあったときに誰が対応してくれるのか」を発注前に確認することだ。単発で予算を抑えたい案件か、継続的・失敗できない案件かを整理すれば、フリーランスと制作会社のどちらが自社に合うかはおのずと見えてくる。

次のステップとして、まずは依頼したい動画が「単発」なのか「継続」なのかを言語化することをすすめる。迷う場合は、私たちのような制作者に一度相談してみてほしい。