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工務店の動画制作費用相場|施工事例・SNS発信にいくらかけるべきか

湘南の工務店の建築現場でジンバルを使い動画を撮影する制作者

「モデルハウスに足を運んでくれる人は減っているのに、契約したお客様に聞くと『SNSで見て知った』という声が増えている」——湘南で注文住宅やリフォームを手がける工務店の経営者と話すと、こうした声をよく聞く。動画やSNSに力を入れたほうがいいのは分かっていても、いくら予算をかければいいのか判断できずにいる工務店は少なくない。

結論から言えば、工務店の動画制作は施工事例紹介・お客様インタビュー型で30万〜60万円、完成披露や現場密着を含むドキュメンタリー型で60万〜120万円が一つの目安になる。ただし今の工務店にとって金額そのもの以上に重要なのは、新設住宅着工が減りリフォーム需要が伸びるという市場の変化に合わせて、何を撮り、どこに出すかという「配分」の設計だ。

この記事では、2026年の住宅市場データと工務店の集客チャネル調査をもとに、動画にかけるべき予算の考え方とタイプ別の費用相場を、制作者としての現場感覚を交えて整理する。

  • 結論:施工事例紹介・お客様インタビュー型は30万〜60万円、完成披露・密着ドキュメンタリー型は60万〜120万円が目安
  • 2025年度の新設住宅着工戸数は71.1万戸(前年度比12.9%減)と低水準が続く一方、住宅リフォーム市場は7兆5,119億円(前年比2.5%増)へ拡大しており、工務店が発信すべき内容も変わりつつある
  • 工務店の集客チャネル調査では自社HP(48.5%)・SNS広告(46.3%)・SNS投稿(45.5%)が効果実感の上位で拮抗しており、動画は1本作って複数チャネルに使い回す設計がコストパフォーマンスを左右する

なぜ今、工務店の動画予算は
「新築中心」から見直しが必要なのか

国土交通省の住宅着工統計によると、2025年度(2025年4月〜2026年3月)の新設住宅着工戸数は71万1,171戸で、前年度比12.9%減とリーマンショック後の水準をも下回る低さになった。注文住宅の完成事例を撮って集客するというこれまでの動画の作り方だけでは、母数そのものが縮んでいる状況だ。

一方で、矢野経済研究所が2026年7月16日に発表した「住宅リフォーム市場に関する調査」では、2025年度の住宅リフォーム市場規模は7兆5,119億円(前年比2.5%増)と推計され、2026年度は7.7兆円(同1.9%増)まで拡大すると予測されている。団塊ジュニア世代の持家がリフォームの適齢期を迎えていることに加え、資材費・人件費の高騰による工事単価の上昇、窓の断熱改修を対象とした補助事業の後押しが成長要因として挙げられている。

この数字が意味するのは、工務店が動画で見せるべき対象が「注文住宅の完成事例」だけでは足りなくなっているということだ。断熱改修やキッチン・浴室のリフォームといった、ビフォーアフターが分かりやすい現場も、これからは動画の主役になり得る。


工務店の動画制作費用相場
——タイプ別の価格早見表

新設住宅着工の減少とリフォーム市場拡大という住宅市場の変化を表す図解

工務店のお客様からいただく相談内容をもとに、私たちが提示することが多い価格帯を整理すると次のようになる。以下に相場を整理する。

タイプ 尺の目安 費用相場
施工事例紹介・お客様インタビュー型 2〜3分 30万〜60万円
完成披露・密着ドキュメンタリー型 3〜5分 60万〜120万円
ドローン外観・外構空撮併用型 2〜4分 80万〜150万円
SNSショート動画セット(施工事例・現場密着) 15〜60秒×複数本 20万〜50万円(セット)

まず作るなら施工事例紹介・お客様インタビュー型が起点になることが多い。予算に余裕があれば、外観や立地、外構の見せ方を強化できるドローン空撮併用型を組み合わせると訴求力が上がる。建設業全体の費用感は建設業の動画制作費用相場でも整理しているので、あわせて参考にしてほしい。

リフォーム現場は「定点撮影」で追加コストを抑えやすい

リフォーム案件は着工前・工事中・完成後を同じアングルで撮る定点撮影を仕込んでおくだけで、追加の撮影日をほぼ増やさずにビフォーアフター動画の素材が手に入る。新築の完成披露に比べて撮影日数がかさみにくいのは、リフォーム動画のコスト面での利点と言える。

工務店の集客チャネル、
動画はどこに効いているか

株式会社ビズ・クリエイションが2026年1月19日〜31日に実施した「工務店集客チャネル調査2026」(住宅会社向けクラウド「KengakuCloud」導入企業134社対象)では、直近3ヶ月で集客に効果を実感した媒体として、自社HPが48.5%(前回2025年7月調査の42.2%から+6.3pt)で最も高く、次いでSNS広告(有料)が46.3%、SNS投稿(オーガニック)が45.5%と続いた。ポータルサイトは26.9%、紙チラシ・DMは33.6%だった。

この数字が意味するのは、上位3チャネルが僅差で拮抗しているということだ。つまり動画は「SNSだけの素材」ではなく、自社HPの施工事例ページ、SNS広告のクリエイティブ、SNS投稿のオーガニック発信という3つの場所に使い回せて初めて、費用対効果が最大化する。1本の動画を撮って終わりにせず、尺やアスペクト比を変えて複数チャネルに展開する前提で予算配分を考えたい。

私たちの撮影チームでも、施工現場のインタビューでは目立たない場所にカメラを置き、職人やお客様にカメラを意識させない自然な受け答えを撮ることを常に意識している。台本どおりに演じてもらうよりも、素の作業風景や素の会話のほうが、検討者には「リアルな現場」として伝わりやすく、演出コストもかからない。


費用を抑えながら発信を続けるコツ

動画制作費用のタイプ別内訳を積み木のブロックで表した図解
  1. まず1件の施工事例を「型」として作り、以降の現場は同じ構成・同じ画角で撮って編集の手間を減らす
  2. お客様インタビューは台本を作り込みすぎず、聞きたい質問を3〜4個決めておく程度にとどめる
  3. リフォーム現場は着工前・工事中・完成後の定点撮影を必ず入れる(追加コストがほぼゼロで説得力が上がる)
  4. ドローン撮影は複数現場をまとめて1回の飛行日に集約すると、機材・操縦者の費用を分散できる

補助金・助成金を動画制作に活用できないか確認するのも、費用を抑える有効な手段だ。制度の考え方は動画制作に補助金・助成金は使えるかにまとめている。

よくある質問

Q. 工務店の動画は新築とリフォーム、どちらを先に撮るべきか?

A. 現在依頼が多い方、または今後注力したい方を優先すればよいが、2026年度のリフォーム市場は7.7兆円まで拡大が見込まれている。リフォームのビフォーアフター事例をまだ持っていない工務店は、優先度を上げる価値がある。

Q. 動画は何本あれば十分か?

A. 決まった本数はないが、まずは施工事例紹介・お客様インタビュー型を1〜2本作り、そこから15〜60秒のSNSショート動画に切り出して自社HP・SNS広告・SNS投稿の3チャネルに使い回す設計が現実的だ。

Q. ドローン撮影は必須か?

A. 必須ではない。ただし外観や立地、外構、周辺環境まで一目で伝えたい注文住宅では、検討効果を重視するなら組み合わせを検討する価値がある。

まとめ

工務店の動画制作費用は、施工事例紹介・お客様インタビュー型で30万〜60万円、完成披露・密着ドキュメンタリー型で60万〜120万円が一つの目安になる。ただし、新設住宅着工が減りリフォーム市場が拡大するという構造変化の中で、金額以上に大事なのは「新築だけでなくリフォーム現場も撮る」「1本の動画を自社HP・SNS広告・SNS投稿の複数チャネルに使い回す」という配分の設計だ。

SNSでの集客術に関心があれば湘南の工務店がSNSで選ばれるにはもあわせて参考にしてほしい。次のステップとして、まずは直近の施工事例のうち「一番お客様に見せたい現場」を1件言語化することをすすめる。そこが定まれば、動画の構成も予算も自然と絞り込めるはずだ。

クリニック・治療院の動画制作費用相場|湘南の医療広告と価格目安

湘南のクリニックでスタッフが撮影される様子

「動画を作ったほうがいいのは分かるが、クリニックが広告にお金をかけていいものか、正直よく分からない」——湘南でクリニックや治療院を経営している人と話すと、こういう本音を聞くことがある。飲食店や美容室と違い、患者に「選ばれる」ための発信には独特のためらいがつきまとう業種だ。

結論から言えば、クリニック・治療院の動画予算は「他業種より小さめに、しかし狙いを絞って」組むのが実態に近い。経営データを見る限り、クリニックの広告宣伝費はもともと売上に対する比率が低く、大きく張る業種ではない。一方で動画広告そのものの市場は伸び続けており、患者が受診前に動画で情報を集める流れは止まっていない。

この記事では、クリニックの広告宣伝費に関する経営データ、動画広告市場の最新統計、そして医療広告ガイドラインという3つの一次情報をもとに、湘南のクリニック・治療院がいくらまで動画にかけてよいのか、そして限られた予算をどこに振るべきかを、制作者の現場感覚で解説する。

  • 結論:クリニックの広告宣伝費は売上の平均0.7%程度(医療法人)にとどまり、他業種より小さめの予算感が一般的
  • 動画広告市場は2025年に推定開始以来初めて1兆円を突破しており、動画そのものへの追い風は強い
  • 医療広告ガイドラインでビフォーアフターや比較優良表現は原則禁止のため、予算は「演出」より「発信できる内容の設計」に振るべきだ

クリニックの広告宣伝費は売上の0.7%
——他業種と比べた予算感

限られた予算の中で動画にかける割合を示すフラットデザイン図解

税理士事務所のnktaxが自社の顧客データを分析した「クリニック経営データ分析」によれば、個人事業のクリニックの広告宣伝費比率は売上に対して平均0.6%、医療法人では0.7%、全体では0.7%程度だった。診療科別に見ると、眼科が最も高く約1.0%、内科が最も低く約0.4%という結果も示されている。

この数字が意味するのは、年間売上5,000万円のクリニックなら、年間の広告宣伝費はおおよそ35万円前後が一つの目安になるということだ。これは、以前学習塾の動画制作費用相場で見た教育業種や、他の店舗業種と比べても控えめな水準だ。クリニックは「広告で呼び込む」より「口コミと立地で選ばれる」色がもともと強い業種であり、その経営体質が数字にも表れている。

だからといって動画に使う予算がゼロでよいわけではない。この0.7%という枠の中で、どこに振り分けるかの優先順位を考えることが、この記事の主題になる。


動画広告市場は2025年に「初の1兆円」
——クリニックにも追い風

動画広告市場の成長を表すフラットデザイン図解

電通が2026年3月5日に発表した「2025年 日本の広告費」によれば、2025年の総広告費は8兆623億円(前年比105.1%)となり、2021年から5年連続で成長し、4年連続で過去最高を更新した。インターネット広告費は4兆459億円(前年比110.8%)で初めて4兆円を超え、総広告費に占める構成比も50.2%と初めて過半数に達している。中でも動画(ビデオ)広告は前年比121.8%の1兆275億円となり、推定開始以来初めて1兆円を突破した。

この伸びを支えているのは、SNS上の縦型動画広告やコネクテッドTVといった、生活者が日常的に触れる動画接点の拡大だ。患者やその家族が受診先を選ぶ前に、まずスマートフォンで動画を見て比較検討する——という行動は、もはや特殊なことではなくなっている。

ただし、クリニックがこの市場の伸びをそのまま自分たちの広告費増加に結びつける必要はない。重要なのは「広告費を増やす」ことではなく、限られた0.7%の枠の中で、動画という手段の優先度を上げることだ。


「原則禁止」の中で何を撮るか
——医療広告ガイドラインが引く線

クリニックの診察室でスタッフと患者が自然に会話する様子をカメラマンが撮影する様子

厚生労働省が定める医療広告ガイドライン(「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」)は、ウェブサイトやSNSに載せる動画コンテンツも広告規制の対象になり得ると位置づけている。他院との比較優良表現や、治療の効果を示すビフォーアフター画像・動画の無条件掲載は、原則として禁止されている項目だ。

詳細な自由診療の情報を載せたい場合には「限定解除」という要件を満たす必要があり、連絡先の明示に加えて、費用やリスク・副作用の併記が求められる。つまり、派手な演出やビフォーアフターに費用をかけるほど、表現のチェックや説明責任のコストも増えていく構造になっている。医療広告ガイドライン改正が続く理由で詳しく触れているので、あわせて参考にしてほしい。

私たちが撮影現場で大切にしているのは、被写体にカメラを意識させすぎない自然体の撮影だ。スタッフの日常の対応や、院長が患者に語りかける様子をありのままに近い温度感で撮る動画は、演出コストを抑えられるうえ、規制上のグレーゾーンにも触れにくい。派手な効果を狙うより、こうした等身大の信頼感に予算を振るほうが、クリニックには合理的だ。


何にいくらかける?
クリニック動画の費用配分の目安

以下に、私たちが現場で提案することの多い動画の種類と、費用感の目安を整理する。

種類 狙い 費用相場
スタッフ紹介・院内の雰囲気動画 通院前の不安を減らし、スタッフの人柄を伝える 5万〜15万円
院長・スタッフインタビュー動画 診療方針や人柄を語り、信頼を積み重ねる 20万〜40万円
クリニック紹介動画(ホームページ用) 立地・設備・スタッフを総合的に紹介する 30万〜60万円
SNSショート動画(継続運用) 日常の様子を継続発信し、想起の頻度を上げる 月3万〜8万円程度

表の中で優先度が高いのは、スタッフ紹介とインタビュー動画の2つだ。クリニックは「誰が診るか」への関心が高い業種であり、設備の豪華さよりも人柄が伝わる映像のほうが、比較段階での差別化に直結しやすい。まずはクリニック・治療院の動画集客で紹介した始め方と合わせて、低予算のSNS発信から着手するのが現実的だ。


よくある質問

Q. クリニックの動画制作費用はいくらから始められますか?

A. スタッフ紹介やSNSショート動画中心なら5万〜15万円程度から始められる。院長インタビューを含む本格的なクリニック紹介動画は30万〜60万円程度が目安だ。まずは低予算のSNS発信から始め、反応を見ながら投資を広げる進め方が現実的だ。

Q. 患者のビフォーアフターは動画で使えますか?

A. 医療広告ガイドライン上、治療の効果に関するビフォーアフター画像・動画の無条件掲載は原則禁止されている。使う場合は限定解除の要件(費用やリスクの併記など)を満たす必要があり、慎重な設計が求められる。

Q. 広告宣伝費はどれくらいが目安ですか?

A. 経営データ分析では、クリニックの広告宣伝費は売上の平均0.7%程度(医療法人)とされている。診療科によって差があり、眼科などで比較的高め、内科などで低めの傾向がある。動画の予算もこの枠の中で考えるのが現実的だ。


まとめ

クリニック・治療院の動画予算は、他業種のように大きく振れる性質のものではない。経営データが示す通り、広告宣伝費はもともと売上の0.7%前後という慎重な枠の中にある。

だからこそ、派手な演出やビフォーアフターに費用を割くより、スタッフ紹介や院長の人柄が伝わる自然体の動画から始めることをすすめる。医療広告ガイドラインの制約の中でも、等身大の信頼感を伝える動画であれば、無理なく続けられるはずだ。

次のステップとして、まずは自院の広告宣伝費の中で動画にどれだけ振り分けられるかを言語化することをすすめる。そこが決まれば、どの種類の動画から手をつけるべきかは自然と見えてくるはずだ。

学習塾の動画制作費用相場|生徒募集動画にいくらかけるべきか

湘南の明るいオフィスで塾長と動画制作者が見積もり資料を確認する様子

「うちみたいな小さな塾が、動画にお金をかける余裕なんてあるのだろうか」——学習塾の経営者や教室長からは、こうした声をよく聞く。チラシやポスティングに比べて動画は未知の出費に見えるぶん、いくら払えば妥当なのか判断がつきにくいのだろう。

結論から言えば、学習塾の動画は数十万円のフル制作でなくても始められる。目的を「入会検討中の保護者の不安を解消すること」に絞れば、数万円台の小さな動画から、講師紹介や授業風景を撮る本格的な生徒募集動画まで、費用のレンジは幅広い。大切なのは金額の大小より、塾の規模と目的に合った動画タイプを選ぶことだ。

この記事では、学習塾業界の市場動向を一次データで押さえたうえで、動画タイプ別の費用相場、費用を左右する要因、そして限られた予算をどう配分すべきかを、制作者の現場感覚で解説する。

  • 結論:学習塾の動画は「生徒募集(新規)」と「保護者との関係維持(既存)」で目的を分け、予算も別々に考えるのが妥当だ
  • 費用相場はタイプにより数万円台〜100万円超まで幅があり、講師や生徒の自然な様子を短く見せるだけなら小予算でも始められる
  • 学習塾市場は少子化下でも横ばい〜微増が続いており、限られたパイの中で「選ばれる塾」になるための可処分予算として動画を位置づける塾が増えている

少子化でも学習塾市場は
横ばい——だからこそ動画に意味がある

矢野経済研究所が2025年10月に発表した国内教育産業市場調査によれば、学習塾・予備校市場は教育産業(主要15分野計・2024年度2兆8,555億7,000万円、前年度比0.7%増)の中で最大規模の分野でありながら、事業者間の業績の好不調を背景に停滞傾向にあると分析されている。経済産業省の特定サービス産業動態統計調査でも、学習塾業界の売上高は2023年時点で約5,812億円と、10年前(約4,041億円)から約44%伸びている一方、少子化で子どもの絶対数は減り続けている。

つまり「子ども一人当たりに塾がかけられる教育投資額は増えているが、奪い合う生徒の数は減っている」という構図だ。市場規模が横ばい〜微増を保っているのは、一人当たり単価の上昇が生徒数の減少を相殺しているためだと読み取れる。この状況では、近隣の塾との差が「授業内容」だけでなく「入会前にどれだけ安心感を伝えられるか」でもつきやすくなる。動画はその安心感を伝える手段として、費用対効果を検討する価値が出てきている。

動画タイプ別|学習塾の制作費用早見表

動画タイプごとの制作費用を積み木のブロックの大きさで示すフラットイラスト

学習塾が検討しやすい動画には、大きく分けて次の4タイプがある。以下に、尺の目安と費用相場を整理する。

動画タイプ 尺の目安 費用相場
SNSショート動画(授業風景・講師の一言) 15〜60秒 3万〜15万円/本
講師紹介・自然体インタビュー動画 1〜2分 10万〜30万円
塾紹介・生徒募集PR動画 2〜3分 30万〜80万円
入塾説明会・オンライン学校説明動画 3〜8分 40万〜100万円

表からもわかるとおり、SNSショート動画のように「授業の一コマをそのまま見せる」タイプは、機材と編集の負荷が軽いぶん費用も抑えやすい。逆に入塾説明会のように複数の講師・カリキュラム説明・在校生の声などを盛り込む動画は、撮影日数と編集時間が増えるため費用も上がる。まずは自塾の予算感に近いタイプから検討し、反応を見ながら他のタイプへ広げていくのが現実的だ。

費用を左右する4つの要因

学習塾の教室で目立たない場所からジンバルカメラで講師と生徒を自然に撮影する様子

同じ「塾紹介動画」というくくりでも、見積もりが30万円台になるか80万円台になるかは、以下の要因で変わってくる。

  1. 撮影日数と教室数(複数教室の様子を入れるほど移動・撮影日が増える)
  2. 出演する講師・生徒の人数(インタビュー1人と5人では編集の手間が大きく変わる)
  3. 納品本数(フル尺1本のみか、SNS用の切り出し版も含めるか)
  4. 保護者の許可取り・肖像権対応の範囲(未成年が映るため、同意書の取得フローを含めるかどうか)

私たちの経験では、学習塾の撮影で特に気をつけているのは4つ目の「未成年が映ることへの配慮」だ。生徒の顔がはっきり映る動画は保護者の事前同意が前提になるため、同意取得の仕組みを塾側と事前にすり合わせておくと、撮影当日や公開後のトラブルを避けやすい。顔出しに抵抗がある保護者がいる場合は、後ろ姿や手元、教材のクローズアップを中心に構成するなど、撮り方の工夫で対応できることも多い。


「新規向け」と「既存向け」で
予算を分けて考える

新規向けと既存向けの2つの動画の流れが枝分かれする様子を示すフラットイラスト

動画の予算配分で塾経営者が悩みがちなのが、「新規の入会検討者向け」と「すでに入会している家庭向け」のどちらに厚くかけるかだ。私たちは、この2つを別のバケツとして考えることをすすめている。

新規向けは、塾紹介PR動画や入塾説明会動画のように、比較検討している保護者に「うちの子に合いそうか」を伝えるための一本勝負の動画になる。制作費はまとまった金額になりやすいが、ホームページや入塾案内、説明会など複数の場面で長く使い回せる資産でもある。一方、既存家庭向けは講師の一言メッセージや行事の様子など、短く軽い動画を継続的に配信していく形が合う。既存客へのLINE公式アカウント活用についてはLINE公式アカウント×動画でリピーターを増やすで詳しく解説しているので、あわせて参考にしてほしい。

予算が限られている場合、私たちは「まず新規向けの塾紹介動画を1本きちんと作り、そこから素材を切り出して既存向けの短尺動画に転用する」という順番をすすめている。ゼロから2種類を別々に作るより、制作費の総額を抑えながら両方の目的に対応できる。内製と外注どちらが自塾に合うかで迷う場合は動画制作は内製と外注どちらが得かも判断材料になるはずだ。一般的な動画制作費用の内訳を先に押さえておきたい場合は動画制作の費用相場【完全ガイド】も参考にしてほしい。

よくある質問

Q. 個人経営の小さな塾でも動画は必要か?

A. 大掛かりな動画は不要でも、講師の人柄が伝わる短いショート動画1本から始める価値はある。個人塾ほど「誰が教えているか」が入会の決め手になりやすく、費用も3万円程度から検討できる。

Q. 生徒の顔を映さずに動画を作ることはできるか?

A. 可能だ。後ろ姿や手元、教材、教室の雰囲気を中心に構成すれば、生徒の顔を映さなくても授業の空気感は十分に伝えられる。保護者への配慮を優先したい塾にはこの方法をすすめている。

Q. 動画の効果はどれくらいで出るか?

A. 入塾検討から入会までの期間が塾ごとに異なるため一概には言えないが、説明会や体験授業の申込みフォームに動画へのリンクを添えるなど、既存の導線に組み込むことで比較的早く反応を確認しやすい。

Q. 塾紹介動画とSNSショート動画、どちらを先に作るべきか?

A. 予算に余裕があれば塾紹介動画を先に作り、そこから切り出してショート動画に展開するのが効率的だ。予算が限られる場合は、講師紹介のショート動画から始めて反応を見るほうがリスクが小さい。

まとめ

学習塾の動画制作費用は、SNSショート動画なら数万円台、塾紹介PR動画や入塾説明会動画なら30万〜100万円程度と幅がある。少子化で生徒数のパイが縮む一方、一人当たりの教育投資額は増えている今の市場では、金額の大小よりも「新規向け」と「既存向け」で目的を分け、身の丈に合ったタイプから動画を持つことのほうが重要だ。

次のステップとして、まずは自塾が今いちばん困っている場面(新規の問い合わせが少ないのか、体験授業からの入会率が低いのか)を言語化し、それに合う動画タイプと予算感を整理することをすすめる。どのタイプから始めるべきか迷う場合は、私たちのような制作者に一度相談してみてほしい。

動画の予算はいくらが適正か|広告宣伝費の相場から逆算する湘南の目安

湘南の明るい打ち合わせスペースで動画予算のタイムラインを確認する店主と動画制作者

「動画は年間いくら予算を組めばいいのか」——見積もりの相談の場で、私たちが経営者からよく受ける質問だ。相場を知らないまま金額を決めると、周りに合わせて多く払いすぎるか、逆に必要な分すら削ってしまうかのどちらかに傾きやすい。

結論から言えば、動画単体の相場を先に探すよりも、まず「自社の売上に対して広告宣伝費をどれだけ使うのが妥当か」を業種の相場から把握し、そのうちの何割を動画に回すかを考えるほうが、判断がぶれにくい。

この記事では、東京商工リサーチの宣伝費調査データをもとにした業種別の広告費比率、動画広告市場の伸び、そして湘南の店舗・企業がその中で動画予算をどう組み立てればよいかを、制作者の立場から整理する。

  • 結論:動画予算は「売上高に対する広告宣伝費の比率」を業種相場から把握し、その一部を動画に配分する形で逆算するとぶれにくい
  • 売上高に占める宣伝費の割合は全業種平均で1.3%(東京商工リサーチ・2023年度調査)。業種差は大きく、美容系・宿泊関連などは平均を大きく上回る
  • 動画広告市場は2025年に8,855億円(前年比122.2%)まで拡大しており、限られた広告費の中でも動画へ回す比率は高まる傾向にある

まず押さえたい全体像
——日本の広告費と動画の位置づけ

電通「2025年 日本の広告費」(2026年3月5日発表)によると、2025年の総広告費は8兆623億円(前年比105.1%)で4年連続で過去最高を更新し、インターネット広告費は4兆459億円(同110.8%)と初めて総広告費の過半数(50.2%)を占めた。そのインターネット広告費の中でも、ビデオ(動画)広告は前年比121.8%の1兆275億円となり、統計開始以来初めて1兆円を突破している。

さらに、サイバーエージェントが2025年11月から2026年1月にかけて実施した「国内動画広告の市場調査」によると、2025年の動画広告市場は8,855億円(前年比122.2%)に達し、2026年には1兆437億円まで伸びると予測されている。特に縦型動画広告は2025年に前年比155.9%の2,049億円まで成長しており、スマートフォンでの視聴を前提にした動画の需要が急速に高まっていることがうかがえる。

こうした市場全体の伸びは、湘南の店舗や中小企業にとって直接の予算の目安にはならない。だが「広告費の中で動画に回す比率」が全国的に高まっている流れそのものは、限られた予算の配分を考えるうえで無視できない前提になる。

業種別に見る「広告費は売上の何%か」

売上に対する広告宣伝費の割合を円グラフで示すフラットイラスト

東京商工リサーチが企業の決算データをもとに集計した宣伝費の実態調査(2023年度・148,090社の5年連続データ、単年分析は265,253社が対象、2025年1月公表)によると、売上高に占める宣伝費の割合は全業種平均で1.3%だった。ただし業種によって差は大きく、以下のように整理できる。

以下に、湘南エリアの事業者に関わりの深い業種を中心に、売上高に対する宣伝費比率を整理する。

業種 売上高に占める宣伝費の割合
全業種平均 1.3%
小売業 2.0%
情報通信業 3.1%
職業紹介業 18.8%
化粧品小売業 18.4%

同調査では業種平均の比率に加え、「売上高の5%以上を宣伝費に充てている企業の割合」も業種別に集計しており、結婚式場運営業で66.6%、エステ・美容関連業で47.6%にのぼっている。美容室・エステサロン・結婚式場のように、来店・成約の決め手が「その場の雰囲気や仕上がりが伝わるかどうか」に左右される業種ほど、宣伝費(その中でも動画の比重)を厚めに見ている企業が多いと読み取れる。

一方で製造業・卸売業のようなBtoB色の強い業種は、売上高に占める宣伝費の割合が0.1〜0.2%程度にとどまる傾向がある。これは「動画が不要」という意味ではなく、宣伝費より先に人づて・展示会・既存取引先経由の営業が優先されやすいという業種特性の表れだと私たちは捉えている。展示会・商談での動画活用については展示会・商談で効く会社紹介動画の作り方で詳しく解説している。

自社の年商から動画予算を逆算する早見表

業種相場が分かったところで、実際に自社の年商にあてはめて考えてみる。以下は、東京商工リサーチの比率レンジ(全業種平均1.3%〜、美容・宿泊関連など宣伝費に積極的な業種で5%程度)をもとに、年間の宣伝費目安と、そのうち動画(制作費+配信費)に回す目安を試算したものだ。動画への配分は、私たちが日々の相談の中で「まずはここから」とすすめている広告費全体の3〜5割を目安にしている。

年商 年間宣伝費の目安(比率1.3〜5%) うち動画に回す目安(宣伝費の3〜5割)
1,000万円 13万〜50万円 4万〜25万円
3,000万円 39万〜150万円 12万〜75万円
5,000万円 65万〜250万円 20万〜125万円
1億円 130万〜500万円 40万〜250万円

あくまで目安であり、この通りに使い切る必要はない。ただ「うちは動画に何十万円かけていいのか分からない」という状態から、「業種相場に照らすとこのレンジで検討できる」という状態に変わるだけで、発注時の値付けの妥当性を判断しやすくなる。実際の制作費の内訳は動画制作の費用相場【完全ガイド】もあわせて参考にしてほしい。


予算をどこに厚く配分すべきか
——制作費と運用費の考え方

予算が制作費と広告運用費に分かれる様子を示すフラットイラスト

動画予算の使い道は、大きく分けて「制作費(撮影・編集)」と「運用費(配信・広告出稿)」の2つがある。予算の逆算表を作ったあと、次に悩むのがこの2つの配分だ。

  1. 初年度は資産として残る「会社紹介動画」「採用動画」など単発の制作費を優先的に確保する
  2. 継続発信(SNSショート動画など)は、内製または低コストの外注と組み合わせ、運用費は少額から様子を見て増減する
  3. 広告出稿(SNS広告・YouTube広告)は、まず反応の良かった動画に絞って予算を投じる
  4. 1年運用してみて、反応の良かった配分に翌年の予算を寄せていく

私たちの現場感覚では、予算をかけるべきは機材のグレードそのものよりも、撮影現場で被写体に「カメラを意識させない自然体」を引き出す工夫だと実感している。凝った機材や派手な演出よりも、目立たない場所にカメラを置き、自然な表情や言葉を拾う撮り方のほうが、視聴者の記憶に残りやすい。この考え方は予算規模を問わず、美容室でもクリニックでも宿泊施設でも変わらない。

湘南の店舗・企業が実際に予算を組むときの手順

美容室と小売店の店主が動画制作者と予算計画を話し合う様子

最後に、実際に予算を組む際の手順を整理する。美容室・宿泊施設・小売店・クリニックなど業種は違っても、考え方の骨格は共通している。

まず自社の年間売上高を確認し、業種相場(前述の表)に照らして宣伝費全体の目安を出す。次に、その中で動画に何割回すかを、競合の発信状況や自社の課題(認知不足なのか、来店直前の後押し不足なのか)に応じて決める。認知拡大が課題であれば運用費(広告出稿)の比重を上げ、来店直前の後押しが課題であれば制作費(接客の様子や施術風景が伝わる動画)を厚くする、といった具合だ。

美容室・エステサロンのように東京商工リサーチの調査で宣伝費比率が高めに出ている業種は、動画への投資を積極的に検討する余地が大きい。逆に製造業・建設業のようにBtoB色が強く比率が低い業種でも、展示会や採用の場面に絞って単発の動画を持つことは十分に費用対効果が見込める。業種の平均値はあくまで出発点であり、自社の商流に合わせて調整する姿勢が大切だ。

よくある質問

Q. 動画予算はまず何から決めればいいか?

A. 自社の年間売上高に、業種相場の宣伝費比率(全業種平均1.3%が目安)をかけて宣伝費全体の枠を出し、その3〜5割程度を動画に回すところから逆算するのがすすめやすい。

Q. 宣伝費比率が低い業種(製造業など)は動画に予算をかけなくてよいか?

A. 比率が低いのは業種特性上、広告より人づてや展示会経由の営業が優先されやすいためであり、動画が不要という意味ではない。展示会・採用など目的を絞った単発の動画であれば、比率が低い業種でも費用対効果は見込める。

Q. 動画予算は毎年同じ金額を確保すべきか?

A. 初年度から固定額を決め打ちする必要はない。反応の良かった動画・チャネルに翌年の予算を寄せていく形で、1年ごとに配分を見直すほうが無駄が少ない。

まとめ

動画の予算は、市場全体の伸び(電通調査で動画広告費1兆円超・サイバーエージェント調査で市場8,855億円)を眺めているだけでは決まらない。東京商工リサーチの調査が示すように、業種によって売上高に対する宣伝費比率は0.1%台から18%台まで大きく異なり、まず自社の業種相場を把握することが予算の出発点になる。

次のステップとして、自社の年商と業種相場から宣伝費全体の目安を出し、そのうち動画に回す割合を、認知拡大と来店後押しのどちらが自社の課題かに応じて決めることをすすめる。自社の業種でどのくらいの予算感が妥当か迷う場合は、私たちのような制作者に一度相談してみてほしい。

動画制作はフリーランスと制作会社どちらが得か|湘南企業向け費用比較

湘南の自宅でノートパソコンと一眼カメラを使い一人で編集するフリーランス動画クリエイターと、明るいオフィスで複数人の制作チームが打ち合わせをする様子を左右に並べた構図

「動画を1本作りたいが、クラウドソーシングでフリーランスの個人に頼むのと、制作会社に頼むのとで、何がどう違うのか分からない」——湘南エリアの経営者から見積もりの相談を受けていると、この迷いにしばしば出会う。ネットで探せば数万円から請け負う個人クリエイターも、数十万円からの制作会社も出てくる。値段だけを見れば個人に頼んだ方が得に思える。

結論から言えば、フリーランスと制作会社のどちらが得かは、金額の大小だけでは決まらない。同じ「動画1本」でも、価格に何が含まれているか、途中で何かあったときに誰がどう対応してくれるかが大きく違うからだ。この記事では、フリーランス市場の拡大を示す一次データと、動画制作の外注トラブルに関する調査という一次情報をもとに、費用の違いとリスクを整理し、湘南の中小企業がどちらを選ぶべきかの判断軸を示す。

この記事では、フリーランスへの依頼が増えている背景、費用構造の違い、実際に起きやすいトラブル、業種別の向き不向きまでを、現場で制作に立つ私たちの視点で一気に解説する。

  • 結論:フリーランスと制作会社の差は金額だけでなく「価格に何が含まれるか」「トラブル時の対応力」にある
  • フリーランス人口は10年で+39.1%増の1,303万人、経済規模は20兆3,200億円に達している(ランサーズ調査)
  • 動画制作の外注トラブルで最も多いのは「追加費用の説明不足」(31.3%)と「費用内訳の不透明さ」(29.8%)(一括.jp調査)

なぜ動画制作でフリーランス個人への依頼が増えているのか

ランサーズ株式会社が2025年1月に実施した「フリーランス実態調査2024年」(有効回答2,929名)によると、2024年のフリーランス人口は1,303万人、経済規模は20兆3,200億円に達し、10年前と比べて人口は39.1%、経済規模は38.8%それぞれ増加した。動画に限らず、個人が業務委託で仕事を請け負う働き方そのものが、この10年で確実に広がっている。

動画制作の分野でも同じ流れがある。クラウドソーシングサイトには編集だけを請け負う個人クリエイターが数多く登録しており、制作会社が抱える固定費(オフィス・機材・複数人体制の人件費)を持たない分、同じ作業でも見積もりが安くなりやすい。一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会の「フリーランス白書2025」では、フリーランス全体の年収は「200万〜400万円未満」が26.5%で最も多いという結果も出ており、単価を抑えてでも案件数をこなす個人クリエイターが一定数いることの背景にもなっていると私たちは見ている。

費用だけを比べても見えない「差」
——フリーランスと制作会社の違いを整理する

個人クリエイター1人分の小さな費用の積み木とチーム体制の大きな費用の積み木を天秤で比較するフラットイラスト

見積書の金額だけを並べると、フリーランスの方が安く見えるのは事実だ。しかし価格には「何が含まれているか」の差があり、そこを見落とすと想定外の追加費用や仕上がりのばらつきにつながる。以下に、同程度の動画を依頼した場合の一般的な違いを整理する。

比較項目 フリーランス個人 制作会社
費用目安(PR動画1本) 5万〜30万円ほど 20万〜80万円ほど
得意な依頼内容 単発のSNSショート動画、素材ありきの編集のみ 企画から撮影・複数人体制が要る案件
品質の安定感 個人のスキル・経験に左右されやすい チーム体制で一定水準を担保しやすい
契約・保証面 個人間契約が中心で、条件は依頼者側の確認次第 契約書・修正回数の取り決めが整っていることが多い
向いている発注規模 予算重視の単発・小規模案件 継続案件、商談・展示会用など「ここ一番」の案件

費用相場そのものをもう少し細かく知りたい場合は、動画制作の費用相場【完全ガイド】で種類・尺別に整理しているので、あわせて参考にしてほしい。社内で作るか外に頼むか自体で迷っている場合は、動画制作は内製と外注どちらが得かも判断の助けになるはずだ。

発注トラブルはどこで起きやすいか
——費用・進行管理の実態

見積書らしき書類を虫眼鏡で確認し、時計のアイコンが遅延を示すフラットイラスト

動画制作マッチングサイト「一括.jp」を運営する株式会社ecloreが2025年7月に実施した調査(動画制作の外注経験がある企業担当者131名対象)によると、外注時に生じたトラブルの上位には費用・見積もりに関する項目が並ぶ。「追加費用の説明不足」を経験した割合が31.3%、「費用内訳が不透明だった」が29.8%、「見積もりと最終費用が食い違った」が23.7%にのぼった。あわせて「スケジュール共有・報告の不足」も31.3%と並んで多く、進行管理の甘さが費用トラブルと同時に起きやすいことがうかがえる。

この調査は制作会社への外注も含めた結果であり、フリーランスに限った数字ではない。ただし、制作会社であれば担当者が対応できないときに別のスタッフがフォローに入る、契約書で修正回数や納期を明文化しているといった「保険」が機能しやすいのに対し、個人のフリーランスは依頼から納品まで一人で完結させている分、体調不良や案件の重なりで連絡が途絶えると代わりが利きにくい。この一点だけでも、費用の安さと引き換えに背負うリスクの種類が変わることは押さえておきたい。動画制作の見積もりで追加費用が発生しやすい具体的な項目は動画制作の見積書、追加費用が発生しやすい項目とはで詳しく整理しているので、発注前にあわせて確認してほしい。

業種別に見る、どちらが向いているか

明るい打ち合わせテーブルで小規模事業者と動画制作者が提案書とノートパソコンの編集画面を確認している様子

向き不向きは業種そのものより「動画の使い方」で決まる。いくつか具体的な場面で考えてみたい。学習塾が説明会の告知用に1本だけ短いショート動画を作りたい場合、素材(教室の様子や講師の一言)さえ揃っていれば、編集だけを個人のフリーランスに頼んでも十分に成立する。予算を抑えたい単発案件は、フリーランス個人の得意分野だ。

一方、ヨガスタジオが毎週SNSに投稿し続ける運用を前提にするなら、担当者が急に対応できなくなったときの影響が大きい。継続案件は、複数人でフォローできる制作会社や、契約を通じて継続的に関われる体制のある個人に任せた方が、長い目で見て安定する。税理士事務所や士業のように「信頼感」がそのまま商品価値に直結する採用動画・会社紹介動画では、企画段階から複数の視点でチェックが入る制作会社の体制が安心材料になりやすい。私たちも呉服・不動産・アパレル・製造・教育と幅広い業種の相談を受けてきたが、業種で一律に決めるのではなく「この動画が失敗したときの影響の大きさ」で発注先を選ぶ会社ほど、後悔が少ないという印象を持っている。

よくある質問

Q. フリーランスに頼めば、制作会社より確実に安くなりますか?

A. 多くの場合は安くなるが、依頼内容によっては差が縮まることもある。企画や複数日の撮影が必要な案件では、個人でも稼働時間が増える分、価格差は小さくなりやすい。

Q. フリーランスに頼む一番のリスクは何ですか?

A. 依頼から納品まで一人で担っているため、体調不良や案件の重なりで連絡が滞ったときに代わりが利きにくいことだ。契約前に連絡手段と対応可能な期間を確認しておくとよい。

Q. 予算が少ない場合、フリーランスと制作会社のどちらを選ぶべきですか?

A. 単発かつ素材が揃っている案件ならフリーランスで十分なことが多い。継続的な発信や、失敗の影響が大きい「ここ一番」の動画は、予算を工面してでも制作会社を検討する価値がある。

Q. 見積もりのどこを確認すれば費用トラブルを防げますか?

A. 修正回数の上限、追加費用が発生する条件、納品形式が見積書に明記されているかを確認するとよい。ここが曖昧なまま契約すると、追加費用トラブルにつながりやすい。

まとめ

フリーランス市場が10年で人口・経済規模ともに約4割拡大している(ランサーズ調査)背景もあり、動画制作を個人に依頼する選択肢は以前より身近になった。一方で、動画制作の外注トラブルの上位は費用・見積もりの不透明さと進行管理の甘さが占めており(一括.jp調査)、これは発注先がフリーランスであっても制作会社であっても変わらない注意点だ。

大切なのは「安いか高いか」ではなく、「その価格に何が含まれ、何かあったときに誰が対応してくれるのか」を発注前に確認することだ。単発で予算を抑えたい案件か、継続的・失敗できない案件かを整理すれば、フリーランスと制作会社のどちらが自社に合うかはおのずと見えてくる。

次のステップとして、まずは依頼したい動画が「単発」なのか「継続」なのかを言語化することをすすめる。迷う場合は、私たちのような制作者に一度相談してみてほしい。

建設業の動画制作費用相場|求人動画・会社紹介動画の内訳

湘南の建設現場でジンバルを使い求人動画を撮影する制作者

「求人サイトに載せても応募が来ない」「若手がまったく集まらない」——湘南エリアの建設業の経営者と話していると、こうした悩みを聞かない月はない。人手不足はどの業種でも言われることだが、建設業はその中でも深刻さが際立っている。

結論から言えば、建設業の動画制作は「会社紹介型」「現場密着ドキュメンタリー型」「ドローン空撮併用型」「SNSショート型」でおおよその価格帯が決まっており、目的をどれだけ絞り込めるかで数十万円単位の差が出る。この記事では、私たちが湘南エリアの建設業のお客様から相談を受ける中でよく提示している価格帯の目安と、費用に差が出る要因、そして費用を抑えながら効果を出すための考え方を整理する。

この記事では、建設業がなぜ動画に投資すべきなのかというデータの裏付けから、実際の費用相場、費用を左右する要因、そして予算を抑えるコツまでを一気に解説する。

  • 結論:建設業の動画は「会社紹介型」で30万〜60万円、「現場密着ドキュメンタリー型」で60万〜120万円が目安
  • 建設業の有効求人倍率は全産業平均を大きく上回っており、求人広告だけでは差別化しづらい
  • 費用を左右するのは尺の長さより「撮影日数」と「インタビューの本数」

建設業がいま動画に投資すべき理由
——求人倍率と高齢化のデータ

建設業の人手不足は感覚論ではなく、統計にはっきり表れている。国土交通省の国土交通白書によると、2024年時点で建設業就業者のうち55歳以上が占める割合は36.7%(全産業平均32.4%)、29歳以下は11.7%(全産業平均16.9%)にとどまる。全産業と比べて高齢化が明確に進んでおり、若手の入職が細っている状態だ。

厚生労働省の「一般職業紹介状況」(令和8年3月分)でも、全産業の有効求人倍率が1.18倍であるのに対し、建設業の新規求人数は前年同月比で増加が続いている。専門職種に絞ればさらに倍率が跳ね上がることは現場の採用担当なら実感しているはずだ。求職者1人を複数の会社が取り合う状況では、求人票の文字情報だけで「選ばれる会社」になるのは難しい。

建設業の人手不足と有効求人倍率の高さを表す図解

こうした状況で動画が効くのは、建設業に長年つきまとう「3K(きつい・汚い・危険)」のイメージと、実際の現場との差を埋められるからだ。建設業の採用難は動画で変えられるかでも触れたように、現場の空気感・チームの雰囲気・実際の待遇は、文字の求人票よりも映像のほうが圧倒的に伝わりやすい。

建設業の動画制作費用相場
——タイプ別の価格早見表

建設業のお客様からいただく相談内容をもとに、私たちが提示することが多い価格帯を整理すると次のようになる。以下に相場を整理する。

タイプ 尺の目安 費用相場
会社紹介・求人動画型 2〜3分 30万〜60万円
現場密着ドキュメンタリー型 3〜5分 60万〜120万円
ドローン空撮併用型 2〜4分 80万〜150万円
SNSショート動画セット 15〜60秒×複数本 20万〜50万円(セット)

まず作るなら会社紹介・求人動画型が起点になることが多い。予算に余裕があれば、社員インタビューを深く掘る現場密着ドキュメンタリー型や、現場のスケール感を見せられるドローン空撮併用型を組み合わせると訴求力が上がる。より詳しい制作全体の相場観は採用動画の費用相場はいくら?もあわせて参考にしてほしい。


費用に差が出る要因
——尺より撮影日数とインタビュー本数

見積もりを見て「同じ3分の動画なのになぜこんなに価格差があるのか」と疑問に思う経営者は多い。制作者として現場に立つと分かるが、価格を決める最大の要因は完成尺の長さではなく、撮影にかかる日数とインタビューの本数だ。

価格に影響する主な要因

  1. 撮影日数(現場が複数拠点に分かれるほど加算される)
  2. 社員インタビューの人数(1人と3人では撮影・編集の手間が大きく変わる)
  3. ドローン撮影の有無(操縦者の手配・許可申請が必要になる場合がある)
  4. 編集の修正回数(通常2〜3回までが目安。超過分は追加費用になりやすい)

修正回数や追加費用の考え方については動画制作の見積書、追加費用が発生しやすい項目とはでも整理しているので、発注前のすり合わせに使ってほしい。

費用を抑えながら効果を出すポイント

動画制作費用のタイプ別内訳を表す図解

予算を抑えたいなら、演出を作り込みすぎないという選択肢を考えてほしい。私たちの撮影チームでは、目立たぬ場所にカメラを置き、現場の人にカメラを意識させない自然体の映像を撮ることを常に意識している。台本どおりに演じてもらうより、素の作業風景や素の会話のほうが、求職者には「リアルな現場」として伝わりやすく、演出コストもかからない。

実際、求人広告への動画活用効果を検証したパーソルキャリア株式会社(doda)の実証実験(2024年3月発表)では、インタビュー動画付きの求人広告は、動画のない求人広告と比べて応募効果が140%(1.4倍)に向上したという結果が出ている。作り込んだCM的な映像でなくても、現場の生の声を1本入れるだけで応募への動機付けは十分に効くということだ。

補助金・助成金を活用できないか確認するのも費用を抑える有効な手段だ。制度の種類や申請の考え方は動画制作に補助金・助成金は使えるかにまとめている。

よくある質問

Q. 建設業の求人動画は最低いくらから作れますか?

A. 会社紹介型でインタビュー1〜2名程度に絞れば、30万円台から着手できることが多い。予算を最小化したい場合は、撮影日数を1日に収める構成にするのが現実的だ。

Q. ドローン撮影は必須ですか?

A. 必須ではない。ただし大型現場や複数拠点を持つ会社では、現場のスケール感を一目で伝えられるため、採用効果を重視するなら検討する価値がある。

Q. 動画を作れば本当に応募は増えますか?

A. 動画単体で応募が保証されるわけではないが、パーソルキャリアの実証実験では動画付き求人広告の応募効果が1.4倍になった結果がある。求人媒体への掲載と組み合わせて使うことで効果が出やすい。

まとめ

建設業の動画制作費用は、会社紹介・求人動画型で30万〜60万円、現場密着ドキュメンタリー型で60万〜120万円が一つの目安になる。価格を左右するのは尺の長さより撮影日数とインタビューの本数であり、演出を作り込みすぎないことがコストと効果の両立につながる。

有効求人倍率の高さと就業者の高齢化という構造的な課題がある以上、求人票だけで戦う時代はすでに終わりつつある。次のステップとして、まずは自社が求職者に一番伝えたい「現場のリアル」がどこにあるかを言語化することをすすめる。そこが定まれば、動画の構成も予算も自然と絞り込めるはずだ。

動画制作の見積書、追加費用が発生しやすい項目とは|湘南の発注ガイド

湘南の小売店で見積書を確認する店主と動画制作者

「見積書の金額で発注したはずなのに、納品直前になって追加請求が来た」——湘南エリアで動画制作を発注した事業者から、こうした戸惑いの声を聞くことがある。修正を1回お願いしただけのつもりが、気づけば数万円の追加費用になっていたというケースも珍しくない。

結論から言えば、動画制作の追加費用のほとんどは「修正回数」「撮影の延長」「素材の差し替え」という、あらかじめ決まったパターンから発生する。逆に言えば、発注前にこの3つを見積書・発注書で確認しておけば、大半のトラブルは防げるということだ。

この記事では、動画制作で追加費用が発生しやすい代表的な項目を価格帯とともに整理し、なぜ「言った言わない」のトラブルが起きるのかを制度の面から確認したうえで、契約前に確認しておきたいチェックポイントを、制作の現場に立つ私たちの視点でまとめる。

  • 結論:追加費用の大半は「修正回数超過」「撮影延長」「素材差し替え」の3パターンに集約される
  • 2024年11月施行のフリーランス新法により、発注時の取引条件の書面明示が発注事業者側の義務になっている
  • 業種によって適正な発注金額の相場感が異なるため、自社の業種の相場を知っておくと予算感がぶれにくい

追加費用が発生しやすい代表的な項目
——価格帯の目安

動画制作の見積もりには、通常「修正2〜3回まで」といった条件が織り込まれている。それを超えたとき、あるいは当初の想定にない作業が発生したときに、追加費用が上乗せされる。私たちが現場で請求することが多い項目を、価格帯とともに以下に整理する。

項目 発生する場面 追加費用の目安
修正回数の超過 既定回数(多くは2〜3回)を超えて修正を依頼 1回あたり1万〜5万円
撮影の延長・追加日 想定時間内に撮り切れない、後日追加撮影が必要 半日3万〜8万円、1日5万〜15万円
ナレーション・BGMの差し替え 完成後にナレーターや音源を変更 1万〜5万円
交通費・ロケ地使用料 遠方ロケ、商業施設や公共空間での撮影 実費〜数万円
フォーマット・サイズ変換 縦型SNS用・複数尺への書き出し追加 1本あたり0.5万〜3万円

表の金額はあくまで目安であり、制作会社やフリーランスによって幅がある。重要なのは金額そのものより、「どの項目が、いくらから追加費用になるのか」を発注前に確認しておくことだ。

動画制作の追加費用の内訳を積み木で表したイラスト

なぜ「言った言わない」のトラブルが起きるのか

追加費用そのものは悪いことではない。問題は、発注時に条件が明確になっていないために、あとから「そんな話は聞いていない」という認識のズレが起きることだ。特に動画制作会社は小規模事業者やフリーランスが多く、口頭ベースの発注が今も少なくない業界だと私たちは感じている。

この状況に対して、制度面からの後押しも進んでいる。公正取引委員会・中小企業庁が所管する「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法、通称フリーランス新法)が2024年11月1日に施行され、発注事業者はフリーランスへの業務委託にあたって、業務内容・報酬額・支払期日などの取引条件を書面または電磁的方法で明示することが義務づけられた(公正取引委員会・中小企業庁「フリーランス・事業者間取引適正化等法 説明資料」)。動画制作をフリーランスの制作者や一人親方に発注する場合、この書面明示は発注事業者側の義務であることを知っておいてほしい。

また、公正取引委員会が2025年5月に公表した令和6年度の下請法運用状況では、支払遅延189件・代金の減額139件・買いたたき106件が改善指導の対象となり、この3類型で禁止行為違反の87%を占めたと報告されている(公正取引委員会「令和6年度における下請法の運用状況」)。金額や条件があいまいなまま取引が進むことが、業界を問わずトラブルの温床になっていることがうかがえる。動画制作でも、見積書や発注書に「追加費用が発生する条件」まで明記してもらうことが、双方にとっての防御線になる。

契約書の条件をチェックリストで確認するイラスト


業種によって変わる、動画制作費用の相場感

追加費用の話と合わせて、そもそもの発注金額の相場感を業種別に知っておくと、見積もりが高いのか妥当なのかを判断しやすくなる。動画制作の発注データを集計する「動画幹事」の調査によれば、動画制作全体の平均発注金額は81.5万円(中央値54.0万円)で、50万〜100万円の価格帯が28%と最多になっている(動画幹事「動画制作の相場・料金」調査)。

業種別に見ると差はさらにはっきりする。同調査では「サービス業・小売業・店舗」の平均制作費用が131.0万円である一方、「人材・コンサル・士業」は70.6万円にとどまるとされている。湘南エリアで見ても、店舗や小売業は撮影点数や商品カットが多くなりがちで、コンサルや士業は取材・インタビュー中心でシンプルに収まる傾向があり、この傾向は実感に近い。

士業・コンサル業のオフィスで動画のタイムラインを確認する様子

自社の業種の相場感を知らないまま見積もりを見ると、「高い」「安い」の判断が感覚頼りになってしまう。動画制作の費用相場【完全ガイド】もあわせて確認し、種類別の目安を押さえたうえで個別の見積もりを見ることをすすめる。

契約前に確認しておきたい5つのチェックポイント

私たちが小売店から士業・コンサル会社まで多様な業種の制作を担当してきた中で、契約前に確認しておくとトラブルを避けやすいポイントは次の5つだ。

  1. 修正対応の回数と範囲(「軽微な修正」と「作り直し」の線引きが明記されているか)
  2. 修正回数を超えた場合の追加費用の単価
  3. 撮影延長・追加日が発生した場合の費用
  4. 取引条件を明示した書面(見積書・発注書・契約書のいずれか)が発行されるか
  5. 納品後の著作権・二次利用の範囲(SNS転載や広告出稿への流用が可能か)

特に5つ目の著作権・使用範囲は見落とされやすい。せっかく作った動画をSNS広告に転用しようとしたら、想定外の追加費用が必要だったというケースもある。内製と外注どちらが得かを検討する段階から、この5点を発注先に確認しておくと、あとから慌てずに済む。

よくある質問

Q. 修正は何回まで無料が一般的ですか?

A. 多くの制作会社・フリーランスで2〜3回までが目安になっている。ただし「軽微な修正」と「構成からの作り直し」を同じ1回として扱うかは発注先によって差があるため、見積もり段階で範囲を確認しておくのがよい。

Q. 追加費用が発生しない見積もりを選ぶべきですか?

A. 一概にそうとは言えない。追加費用ゼロを謳う見積もりほど、当初の作業範囲が小さく設定されていて結局は別途費用がかかる場合もある。金額の大小より、条件が明記されているかどうかで判断することをすすめる。

Q. フリーランスの制作者に直接発注する場合も書面は必要ですか?

A. 必要になる。フリーランス新法により、フリーランスへの業務委託では発注事業者側に取引条件の書面明示義務があるため、個人の制作者に直接依頼する場合ほど書面での確認を意識してほしい。

まとめ

動画制作の追加費用は、修正回数の超過・撮影の延長・素材の差し替えという決まったパターンから発生することが大半だ。金額そのものを恐れるより、どの条件で追加費用が発生するのかを発注前に言語化しておくことが、湘南の事業者にとって一番の防御策になる。

2024年のフリーランス新法施行により、書面での条件明示は発注事業者側にも求められる時代になった。見積もりをもらったら金額だけでなく、修正回数・追加費用の単価・著作権の範囲まで書面で確認する習慣をつけてほしい。

次のステップとして、まずは自社の業種の相場感を把握し、見積書の中で「追加費用が発生する条件」がどこまで明記されているかを確認することをすすめる。判断に迷う場合は、私たちのような制作者に見積書の見方から相談してもらってもかまわない。

個人店の動画予算はいくら?|湘南の小規模店舗向けガイド

スマホで動画のタイムラインを確認する個人店の店主

「動画をやったほうがいいのは分かっている。でも、うちみたいな小さな店に一体いくらかけていいのか見当がつかない」——平塚や大磯で個人店を営む経営者から、私たちがよく受ける相談だ。

結論から言えば、個人店・小規模店舗の動画予算は「大きな制作会社に大金を払うか、諦めるか」の二択ではない。数千円のクラウドソーシング発注から、内製でほぼゼロ円まで、選べる幅は思っている以上に広い。

この記事では、動画市場全体の伸びと個人店の実際の予算感のギャップ、発注先別の費用の目安、公的な補助金の使い方までを、制作者の立場から整理する。

  • 結論:個人店の動画予算は「内製」「クラウドソーシング外注」「制作会社に外注」の3段階で考えると判断しやすい
  • クラウドソーシングの相場はショート動画編集が3,000円〜、企業・店舗紹介ムービーは120,000円〜が目安(クラウドワークス公式データ)
  • 小規模事業者持続化補助金のウェブサイト関連費(動画制作を含む)は上限50万円・補助率2/3で活用できる

動画広告市場は1兆円超え——
だが個人店の予算感はそこと別物だ

電通「2025年 日本の広告費」(2026年3月5日発表)によると、動画(ビデオ)広告市場は前年比121.8%の1兆275億円となり、統計開始以来初めて1兆円を突破した。2026年は前年比114.7%の1兆1,783億円まで伸びると予測されている。

この数字だけを見ると、動画に大きな予算を割かなければ取り残される、と身構える個人店主もいるかもしれない。だが実際にこの1兆円市場を動かしているのは、広告代理店を通じて数百万円単位の運用型広告を回す大手企業群だ。平塚・大磯で数人規模の店を切り盛りする経営者が、同じ土俵で予算を張り合う必要はない。

私たちが個人店の相談を受けるときにまず伝えるのは、「動画市場の伸び」と「あなたの店にとって必要な予算」は別の数字だということだ。市場全体が伸びているからこそ、逆に低予算でも動画を出している店とそうでない店の差が、検索結果やSNSのタイムライン上で目立ちやすくなっている——というのが正しい捉え方だと考えている。

発注先別・個人店が動画にかけられる費用の目安

大きな市場規模と個人店の予算規模の差を表すフラットイラスト

以下に、個人店が実際に選べる発注先ごとの費用目安を整理する。

発注先・手段 想定内容 費用目安
内製(スマホ撮影・編集) ショート動画1本 実質0円(機材はスマホのみ)
クラウドソーシング(個人) ショート動画の編集のみ依頼 3,000円〜/本
クラウドソーシング(個人) YouTube動画編集(15分尺) 8,000円〜/本
クラウドソーシング(個人) 商品PRムービーの撮影 100,000円〜
動画制作会社 企業・店舗紹介ムービー(絵コンテ・素材あり) 120,000円〜

表からも分かる通り、「撮る」だけなら数千円から始められるが、「構成を考えて、撮って、編集して、一つの動画にまとめる」までを丸ごと任せると、桁が一つ上がる。個人店の多くは、まず自分たちで撮影しクラウドソーシングで編集だけを依頼する、というハイブリッドから始めるのが現実的だ。この内製と外注の使い分けの考え方は動画制作は内製と外注どちらが得か?判断基準と費用比較で詳しく解説している。

小規模事業者持続化補助金——
個人店が使える公的支援

個人店が公的な補助金支援を受けるイメージのフラットイラスト

予算そのものを増やす手段として見落とされがちなのが、公的な補助金だ。中小企業庁の「小規模事業者持続化補助金」は、一般型(通常枠)で補助上限50万円、賃金引上げ特例などの要件を満たせば最大250万円まで引き上げられる、小規模事業者向けの代表的な補助金だ。補助率は2/3(赤字事業者は3/4)となっている。

この補助金では、動画制作費は「ウェブサイト関連費」という経費区分に計上できる。ただしウェブサイト関連費は、補助金交付申請額全体の1/4かつ上限50万円までという制約があり、動画単体で申請額を組み立てることはできない。あくまで販路開拓の取り組み全体の一部として、動画を位置づける必要がある。詳しい活用の判断基準は動画制作に補助金・助成金は使えるかにまとめている。

私たちの現場感覚でも、平塚・大磯エリアの個人店から「補助金を使って動画を作りたい」という相談は年々増えている印象がある。ただし補助金は採択後の入金であり、制作費は基本的に事業者側が一旦立て替える必要がある点は、資金繰りの面で必ず押さえておいてほしい。

限られた予算でも成果を出す、個人店の動画の始め方

スマホと三脚で自然体の店内風景を撮影する様子

予算をかけられないなら、質を落とすしかないのか——そう思われがちだが、必ずしもそうではない。私たちが撮影の現場で常に意識しているのは、カメラを意識させない自然体を撮ることだ。凝った台本や高価な機材よりも、被写体に「撮られている」ことを意識させすぎない距離感のほうが、見る人の心に残る。これは大掛かりな予算がなくても、個人店が自力で実践できる考え方だ。

例えば大磯の雑貨店であれば、開店前の品出しの様子をスマホで数十秒撮るだけでも十分な素材になる。学習塾であれば、講師と生徒の何気ないやり取りを切り取るだけで、パンフレットには出せない「教室の空気」が伝わる。業種を問わず、まずは1本、低予算で作ってみて、反応を見ながら次の予算配分を決めていく——という順序をすすめたい。

よくある質問

Q. 個人店の動画予算は、最低いくらから始められますか?

A. スマホでの撮影・編集を内製で完結させれば、実質0円から始められる。外部に一部だけ依頼する場合は、クラウドソーシングでのショート動画編集が3,000円程度から選べる。

Q. 動画制作会社に頼むと高くなりすぎますか?

A. 企業・店舗紹介ムービーのような凝った内容は120,000円前後からが目安になる。ただし内容によって幅が大きいため、内製できる部分とプロに任せる部分を切り分けて相談すると、想定より費用を抑えられることが多い。

Q. 補助金は動画制作だけのために使えますか?

A. 小規模事業者持続化補助金では、動画制作費は「ウェブサイト関連費」の枠内(交付申請額の1/4・上限50万円)に含まれる形になり、動画単体を目的とした申請にはならない。販路開拓の取り組み全体の一部として位置づける必要がある。

まとめ

個人店・小規模店舗の動画予算は、動画広告市場全体の伸び(電通調査で1兆円超)とは切り離して考えてよい。内製ならほぼ0円、クラウドソーシングなら数千円〜、制作会社なら10万円台からと、選べる幅は広い。

まずは自分たちの店が「単発で試したいのか」「継続して発信したいのか」を言語化することをすすめる。単発であれば内製かクラウドソーシング、継続するなら補助金の活用も含めて予算計画を立てるとよい。動画制作費用の全体像は動画制作の費用相場【完全ガイド】にも整理しているので、あわせて参考にしてほしい。

私たちも無料相談を受け付けている。平塚・大磯エリアで動画にどのくらいの予算をかけるべきか迷っている個人店の方は、まず今感じている悩みを気軽に聞かせてほしい。

美容室の採用動画、何を見せれば応募が増える?費用相場も解説

湘南の明るい美容室でスタッフを自然体で撮影する動画クルー

「求人サイトに載せても、美容師からの応募がまったく来ない」——平塚や大磯でサロンを経営するオーナーから、私たちがよく聞く相談だ。カットやカラーの技術を丁寧に紹介する動画を作ってはみたものの、応募の数字にはつながらなかった、という声も少なくない。

結論から言えば、美容室・サロンの採用動画で応募を増やす鍵は「技術力の高さ」を見せることではない。求職者が本当に知りたいのは、そこで働く人の人柄と、一日がどんな空気で流れているかだ。ここを取り違えると、凝った技術デモを作っても応募にはつながりにくい。

この記事では、美容業界の深刻な人手不足を示す統計データと、採用動画に求職者が何を求めているかという調査データをもとに、湘南のサロンが今日から企画できる採用動画の中身と、無理のない費用感を制作者の視点で解説する。

  • 結論:美容室の採用動画は「技術」より「人柄」と「働く一日」を見せると応募が増える
  • 美容師の有効求人倍率は5.73倍(令和6年度・厚生労働省)で全職業平均1.28倍の4倍超
  • 求職者が動画で見たい内容は「仕事のやりがい」「1日の流れ」「職場の雰囲気」が上位(moovy調査2026)

美容師の有効求人倍率5.73倍——
「普通の採用活動」が通じない理由

まず押さえておきたいのは、美容業界の人手不足が「なんとなく厳しい」レベルではなく、数字で見ても突出しているという事実だ。厚生労働省の職業情報提供サイトが公表するハローワーク求人統計データによると、美容師の有効求人倍率は5.73倍(令和6年度)。同年度の全職業平均は1.28倍(厚生労働省「一般職業紹介状況」令和6年度分)なので、美容師の求人は全職業平均の4倍以上の激しさで人材の取り合いが起きていることになる。

求人を1件出せば5人以上の会社が同じ1人を取り合っている、という状況だと考えれば、条件面(給与・休日)を他店と横並びに整えるだけでは選ばれない理由が見えてくる。求職者は複数の候補を比較検討できる立場にあり、最後に決め手になるのは「この店で働く自分がイメージできるか」という、条件表には書けない部分だ。私たちが採用動画の相談を受けるときも、まずこの需給の非対称性を経営者に共有することから始めている。

求職者が採用動画に求めているのは「技術」より「人柄」と「1日」

美容師の有効求人倍率の高さと人材不足の深刻さを表すフラットイラスト

では、求職者は採用動画に何を見たいのか。moovyが2026年に実施した「採用動画トレンド調査2026」によると、求職者が「動画だからこそ見たい」と回答した内容の上位は「仕事紹介・やりがい」28.2%、「1日の流れ」27.6%、「職場の雰囲気」27.0%、「求める人物像」27.0%の順で、いずれも3割前後で拮抗している。施術の技術力そのものよりも、働く実感が伝わる情報が優先されていることが分かる。

採用動画そのものの効果を裏づけるデータもある。プルークスがレバレジーズの「career ticket」と合同で実施した2021年6月の調査(2022卒の学生417人が対象)では、採用動画を視聴して志望度が「上がった」と答えた学生は7割超、「採用動画はあったほうがいい」と答えた学生は9割を超えた。業種や年代の違いはあるものの、「働く姿を映像で見せられると意思決定が動く」という傾向自体は、美容業界の採用でも十分に参考になる。

美容室で特に効く3つの切り口

  • スタッフの人柄が伝わる自己紹介(技術より「どんな人か」)
  • 出勤から退勤までの一日の流れ(施術以外の時間の過ごし方も含めて)
  • スタッフ同士の掛け合いや店内の空気感(飾らない自然なやり取り)

何を撮ればいいのか——現場で意識している「自然体」という切り口

求職者が採用動画で見たい要素(人柄・1日の流れ・職場の雰囲気)を表すフラットイラスト

人柄や雰囲気を撮ると言われても、いざカメラを向けると誰でも身構えてしまう。私たちが撮影の現場で常に意識しているのは、できるだけ自然体で伝えることだ。カメラを目立たない場所に置き、被写体に「撮られている」ことを意識させすぎないようにする。構えたインタビューの受け答えより、施術の合間にふと出る素の表情や会話のほうが、見る人の心に残る。

これは新規客向けのショート動画でも私たちが大切にしている考え方だが(美容室のショート動画集客術)、採用動画では狙いが少し違う。集客動画が「この店に行きたい」を作るのに対し、採用動画は「この職場で働きたい」を作る。見せる相手は変わっても、飾らない自然体が信頼を生むという原則は同じだ。

撮る内容に迷ったら、まずは1人のスタッフに密着し、出勤の挨拶から、施術中の会話、休憩中の様子までを短く追うだけでよい。台本を作り込みすぎるとかえって不自然になる。聞きたいことを2〜3個決めておき、あとは自然な受け答えを拾う形が、小規模なサロンには現実的だ。採用動画そのものの基本的な作り方は採用動画とは?応募が増える理由と費用・作り方の解説にも整理している。

採用動画の費用感——
湘南の小さなサロンが選べる3つの型

施術の合間に自然な笑顔で会話する美容室スタッフの様子

美容室・サロンは中小企業の中でもさらに小規模な事業者が多く、採用にかけられる予算も限られる。以下に、私たちが実際に提案することが多い3つの型を、費用の目安とともに整理する。

尺の目安 費用目安 向いているサロン
スタッフ紹介ショート型(内製) 15〜60秒 実質数千円〜(スマホ撮影) まず1本、低予算で試したい店
スタッフ密着ミニドキュメンタリー型 2〜3分 20万〜50万円程度 採用ページやSNSで差別化したい店
会社紹介+複数スタッフインタビュー型 3〜5分 30万〜80万円程度 複数名を積極採用中・複数店舗展開の店

会社紹介・インタビュー型の価格帯は、業種を問わない採用動画全体の相場感とも大きくずれない(採用動画の費用相場はいくら?|湘南の中小企業向け価格ガイドで詳しく解説している)。ただし美容室の場合、スタッフ本人がスマホで撮る「スタッフ紹介ショート型」から始めても十分に効果が見込める点が特徴だ。予算をかけられない店ほど、まずは内製の1本から試してほしい。

よくある質問

Q. 採用動画は何分くらいが目安ですか?

A. スタッフ紹介であれば15秒〜1分程度のショート動画で十分に効果が見込める。応募検討の材料として使う採用ページ用なら2〜3分程度にまとめるのが目安だ。長ければよいわけではなく、飽きずに見終えられる長さを優先してほしい。

Q. カットやカラーの技術力をアピールしなくていいのですか?

A. 技術紹介が不要というわけではないが、優先順位は人柄・雰囲気のほうが上だ。技術は入社後の研修やポートフォリオで伝えられるが、「この職場で働く自分」がイメージできるかどうかは、動画でなければ伝わりにくい。

Q. スタッフの顔出しに抵抗がある場合はどうすればいいですか?

A. 全員の顔を大きく映す必要はない。手元や後ろ姿、店内の空気感を中心に構成し、出られるスタッフだけ短く登場する形でも十分に人柄は伝わる。無理強いはせず、出演できる範囲で企画を組み立てることをすすめる。

まとめ

美容師の有効求人倍率5.73倍という数字が示すとおり、美容室・サロンの採用は「求人を出せば人が来る」時代ではすでにない。そんな中で応募を増やす採用動画は、技術力の高さを競うものではなく、そこで働く人の人柄と一日の空気を、自然体で見せるものだと私たちは考えている。

moovyの2026年調査が示すように、求職者が動画に求めているのは「仕事のやりがい」「1日の流れ」「職場の雰囲気」であり、いずれも技術デモでは伝えられない情報だ。まずはスタッフ1人の1日に密着したショート動画を、スマホでいいので1本作ってみることをすすめる。

本格的な採用動画を検討する段階になったら、費用の内訳や規模感を相談してみてほしい。私たちも無料相談を受け付けているので、湘南でサロンの採用に悩んでいるなら、まず何を見せるべきかを言語化するところから、気軽に声をかけてほしい。

動画制作に補助金は使えるか|湘南の中小企業向け早見表

湘南の明るいオフィスで動画制作の提案書と補助金資料を確認する事業者と制作者

「動画を作りたいのはやまやまだが、予算が厳しい。補助金でなんとかならないか」——平塚・大磯エリアの事業者から相談を受けるとき、この質問はかなりの頻度で出てくる。SNS用のショート動画でも、会社紹介動画でも、外注すれば数十万円単位の費用がかかるだけに、気持ちはよくわかる。

結論から言えば、「動画制作」そのものをうたった専用の補助金は存在しない。だが、いくつかの既存の補助金制度には、条件付きで動画制作費を組み込める経費区分がある。逆に言えば、制度の対象経費区分を正しく理解せずに申請すると、動画制作費だけを理由に不採択・減額になることもある。

この記事では、動画制作費が組み込める代表的な補助金制度を、対象になる条件・上限額・注意点とあわせて、制作者の視点から整理する。

  • 結論:「動画制作補助金」という単独の制度は無い。既存制度の経費区分に組み込めるかどうかで判断する
  • 最も現実的なのは小規模事業者持続化補助金の「ウェブサイト関連費」区分。ただし上限があり単独申請は不可
  • デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)やものづくり補助金は、国内向けの動画外注費には原則使えない

動画制作向けの補助金は存在するか——結論と全体像

まず前提を整理しておきたい。国や自治体が「動画制作」という支出そのものを名指しで補助する制度は、調べた範囲では見当たらない。存在するのは、販路開拓や生産性向上、デジタル化といった別の目的を持つ補助金の中に、「広報費」「ウェブサイト関連費」といった経費区分があり、その枠の中に動画制作費を計上できるケースがある、という構造だ。

代表的な3つの制度について、動画制作費の位置づけと上限を以下に整理する。

制度名 動画制作費の位置づけ 経費区分の上限 補助率
小規模事業者持続化補助金
<一般型・通常枠>
「ウェブサイト関連費」として計上可(単独申請は不可) 交付申請額の1/4以内・上限50万円 2/3(赤字事業者は3/4)
デジタル化・AI導入補助金2026
(旧IT導入補助金)
動画の外注制作費は対象外。事務局に登録されたITツール(ソフト・サービス)の導入費が対象 枠・ツールにより異なる 枠・ツールにより異なる
ものづくり補助金
(グローバル枠)
海外販路開拓向けのPR動画に限り「広告宣伝・販売促進費」として計上可(国内向けは対象外) 最新の公募要領で要確認 枠により異なる

表からわかる通り、動画制作費を最も組み込みやすいのは小規模事業者持続化補助金だ。次の章で、この制度の条件を具体的に見ていく。

小規模事業者持続化補助金——動画は「ウェブサイト関連費」で申請する

補助金の対象経費の内訳を積み木で表した図解

小規模事業者持続化補助金は、商業・サービス業なら従業員5人以下、製造業その他・宿泊娯楽業なら20人以下の小規模事業者を対象にした、販路開拓の取り組みを支援する制度だ。中小企業庁が2026年5月に公開した<一般型・通常枠>第20回の公募要領によれば、補助上限は50万円、補助率は2/3(赤字事業者は3/4)で、インボイス特例や賃金引上げ特例を併用すると上限は最大250万円まで引き上がる。

動画制作費はこの制度の中で、単独の経費区分ではなく「ウェブサイト関連費」に計上する形になる。小規模事業者持続化補助金事務局が公開している経費区分の説明では、ウェブサイト関連費は交付申請額の1/4以内、かつ上限50万円までと定められている。つまり通常枠の上限50万円だけで申請する場合、動画制作費として使える実質的な上限は12万5000円程度にとどまる計算になる。特例を併用して申請額を引き上げれば、その分ウェブサイト関連費の上限も上がる仕組みだ。

さらに重要な制約がある。事務局の案内では「ウェブサイト関連費のみによる申請はできない」「経費がウェブサイト関連費のみになった場合は不採択となる」と明記されている。つまり動画制作費だけを目的に申請することはできず、機械装置等費や広報費など他の経費区分と組み合わせて、販路開拓の取り組み全体として申請する必要がある。私たちの現場感覚で言えば、この「単独では通らない」というルールを知らずに動画予算だけを補助金でまかなおうとして計画が狂うケースは、決して珍しくないはずだ。

デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)は動画の外注費に使えない

「IT導入補助金なら動画も対象になるのでは」という相談も多いが、これは誤解であることが多い。同制度は2026年度に「デジタル化・AI導入補助金2026」へと名称・制度設計が変わっており、補助の対象になるのは事務局に事前登録された特定のITツール(ソフトウェア・サービス等)の導入費用、およびクラウドサービス利用料や導入サポート費用に限られる。

つまり補助されるのは「デジタル化・業務効率化に資するツールを導入する費用」であって、動画の撮影・編集を制作会社に依頼する外注費そのものは、この制度の対象にはならない。動画編集ソフトのような特定のソフトウェアが対象ツールとして登録されているかどうかは年度ごとに変わるため、使えるかを知りたい場合は公式のITツール検索データベースで個別に確認する必要がある。制作を外部に発注する湘南の事業者にとっては、この制度が動画制作費の直接の資金源になる場面は限定的だと考えたほうがいい。

ものづくり補助金は「海外向け」に限られる

申請前の確認手順をアイコンのフローで表した図解

ものづくり補助金は、新製品・新サービス開発や生産性向上のための設備投資を主対象にした制度で、機械装置費やシステム構築費、専門家経費などが中心になる。動画制作費が入り込む余地があるのは、海外市場開拓を目的とした「グローバル枠」に限られる。この枠では、海外販路開拓のためのPR動画やパンフレット制作費を「広告宣伝・販売促進費」として計上できるとされている。

逆に言えば、国内向けの会社紹介動画や採用動画、SNS用ショート動画といった、湘南の中小企業が実際によく相談してくる用途の多くは、この枠の対象外になる。海外展開を伴わない動画制作を、ものづくり補助金でまかなおうとするのは筋が悪い。補助率や経費ごとの上限は枠・年度の公募要領によって細かく定められているため、具体的な適用可否と金額は必ず最新の公募要領で確認してほしい。

動画制作そのものの費用相場については別記事「動画制作の費用相場【完全ガイド】」で種類別・尺別に整理しているので、まずは自己資金でどこまでの規模感が現実的かを確認しておくことをすすめる。内製と外注のどちらが得かで悩んでいる場合は「動画制作は内製と外注どちらが得か?判断基準と費用比較」も参考になるはずだ。

申請前に確認したい5つのポイント

補助金ありきで動画制作を計画すると、採択されなかった場合に計画そのものが崩れる。私たちが相談を受ける際にまず確認をすすめているのは、次の5点だ。

  1. 動画制作費が、狙っている制度のどの経費区分に該当するかを公募要領で確認する
  2. その経費区分が単独申請不可など、組み合わせの制約を持っていないか確認する
  3. 商工会議所・商工会や認定支援機関に、申請前に一度相談する
  4. 公募のスケジュール(受付期間・様式発行締切)を確認し、逆算で制作スケジュールを組む
  5. 補助金は原則後払いであることを踏まえ、自己資金で実施できる規模から計画する

特に最後の点は見落とされがちだ。補助金は採択・交付決定を経て、事業完了後の実績報告を経てはじめて支払われる後払いが原則になる。「補助金が出る前提」で動画制作会社と契約し、資金繰りに詰まる事業者を現場では何度か見てきた。自己資金での実施を前提にしたうえで、採択されれば負担が軽くなる、くらいの位置づけで考えるのが安全だ。

よくある質問

Q. 動画制作費だけで補助金を申請できるか?

A. できない。小規模事業者持続化補助金の場合、動画制作費を計上する「ウェブサイト関連費」は単独申請が認められておらず、他の経費区分と組み合わせて申請する必要がある。

Q. 個人事業主でも申請できるか?

A. できる。小規模事業者持続化補助金は法人に限らず、従業員数などの要件を満たす個人事業主の小規模事業者も対象にしている。

Q. 補助金が採択される前提で動画制作会社と契約してよいか?

A. 避けたほうがよい。補助金は原則後払いで、採択・交付決定が確定するまで支給されない。自己資金で実施できる規模を前提に契約し、補助金は結果として負担を軽くするものと考えるのが安全だ。

まとめ

「動画制作専用」の補助金は存在しないが、小規模事業者持続化補助金の「ウェブサイト関連費」のように、条件を満たせば動画制作費を組み込める経費区分は現実にある。ただし上限額も低く、単独では申請できないという制約も強い。

湘南の事業者にとって大事なのは、補助金ありきで動画の企画を組むのではなく、まず自社の動画で何を実現したいのかを言語化し、そのうえでどの制度のどの経費区分に当てはまるのかを確認する順番を守ることだ。

その言語化や経費区分の切り分けの段階からで構わないので、商工会議所・認定支援機関や、私たちのような制作者に一度相談してみることをすすめる。使える制度があるかどうかだけでも、早めに整理しておく価値はある。