医療広告ガイドライン改正が続く理由|湘南のクリニック動画発信の注意点

湘南のクリニック受付で院長とスタッフが動画発信のガイドラインを確認している様子

「クリニックの動画発信について一度調べて対策したはずなのに、また新しいルールが出たらしいと聞いた」——湘南エリアで医療広告のガイドラインを気にする院長やスタッフから、最近こうした戸惑いの声を聞く機会が増えた。

結論から言えば、その戸惑いは正しい。医療広告の判断基準を具体的な事例で示す厚生労働省の「事例解説書」は、ここ数年でほぼ毎年のように改訂されており、2026年3月にも最新版が公表されたばかりだ。

この記事では、なぜ医療広告のルールがこれほど短いスパンで更新され続けているのかを一次情報から確認したうえで、湘南のクリニック・治療院が動画発信を続けるうえで今おさえておきたい変化のポイントを、制作者の視点で整理する。

  • 結論:医療広告の事例解説書は令和6年3月(第4版)以降ほぼ毎年改訂され、2026年3月には第6版が公表されたばかり
  • 改訂が続く背景には、クリニック・治療院のSNS・動画発信が急増していることがある
  • 体験談を広告に使えないなど核となるルールは一貫しており、変わり続けているのは主に「線引きの細部」

医療広告の「事例解説書」、この3年で3回改訂されている

医療広告のルールを具体的な事例で示す厚生労働省「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書」は、令和5年10月6日の事務連絡で第3版が示されて以降、令和6年3月28日に第4版、令和7年3月11日に第5版、そして令和8年3月30日に第6版と、ほぼ1年に1回のペースで改訂が続いている。

とりわけ大きな転換点になったのが第4版だ。それまで断片的にしか示されていなかったSNS・動画に関する事例が独立した項目として新設され、以降の版で記載が拡充されてきた。制作者として現場に立つ私たちから見ると、この改訂ペースの速さそのものが「SNS・動画で発信するクリニック・治療院が、行政の想定を超えるスピードで増えている」ことの裏返しに見える。

版数 事務連絡の時期 主なポイント
第3版 令和5年10月6日 事例解説の土台を整理
第4版 令和6年3月28日 SNS・動画の事例が新設
第5版 令和7年3月11日 SNS・動画の事例を拡充
第6版 令和8年3月30日 直近の改訂。線引きの明確化が中心

このように、医療広告の判断基準は「一度学べば終わり」ではなく、年単位で更新され続けるものだと捉えておく必要がある。


何が変わったか——「広告」の線引きが年々細かくなっている

医療広告ガイドラインの改訂が積み重なっていく様子を表すフラットイラスト

第4版以降の改訂で明確になったのは、SNS・動画のどの部分が「広告」とみなされるかという線引きだ。投稿本文だけでなく、動画のテロップ・音声・ハッシュタグまでもが広告の構成要素になり得ることが、具体的な事例とともに示されている。

見落とされがちなのが、院長個人のアカウントであっても、医療機関や医師への特定性と誘引性が認められれば医療広告として扱われ得るという点だ。「クリニックの公式アカウントさえ気をつければよい」という理解では、個人アカウントでの発信が点検から漏れてしまう。

もう一つの実務的なポイントが、限定解除要件(広告可能事項の限定を外すために必要な要件)を記載する場所の柔軟化だ。SNSであればプロフィール・投稿本文・返信のいずれか、動画であれば動画内・タイトル・概要欄のいずれかに分かりやすく記載すればよいとされており、企画段階で「どこに何を書くか」を先に決めておけば対応しやすい。

変わらないもの——体験談の扱いは一貫して厳格

変わる項目と変わらない項目を仕分けるチェックリストのフラットイラスト

一方で、改訂を重ねても変わっていないルールもある。患者本人の主観に基づく治療内容・効果の体験談を広告として用いることは、限定解除要件を満たしていても認められない、という原則は第4版から第6版まで一貫している。

私たちが動画の演出で現場から大切にしているのも、この一貫したルールと同じ方向にある。撮影チームでは常にカメラの存在を意識させない自然体の撮影を心がけている——効果を誇張する演出をしないことは規制上の安全策であると同時に、患者にとっても「誇張されていない実際の空気感」が伝わる映像になるという点で、結果的に見る側の信頼にもつながっていると感じる。

改訂のたびに全てを作り直す必要はない。変わり続ける「線引きの細部」と、変わらない「体験談を扱わない」という土台を分けて理解しておけば、既存の動画を都度点検する負担も小さくできる。

湘南のクリニック・治療院が今日からできること

湘南の治療院でスタッフがSNS投稿を落ち着いて見直している様子

改訂のたびにすべてを一から確認するのは現実的ではない。まず取り組みやすいのは、自院で公開しているSNS・動画の投稿を棚卸しし、次の2点だけをチェックすることだ。

  1. 自院・スタッフの公式/個人アカウントで公開中の動画・投稿を洗い出す
  2. 体験談的な表現(ビフォーアフター、効果の保証)が含まれていないか確認する
  3. 限定解除要件を記載する場所(プロフィール・投稿・概要欄など)を1か所に決めておく
  4. 事例解説書の改訂情報を定期的に確認する担当・タイミングを決めておく

クリニックと治療院で適用される規制の枠組みそのものが異なる点や、体験談に頼らない具体的な企画例については、以前まとめたクリニック・治療院の動画集客|医療広告のルールと湘南の始め方で詳しく解説している。「何を撮るか」で迷っている場合はあわせて参考にしてほしい。

動画がどのように見つけられるかという検索環境の変化も、AI検索(AIO)の広がりとともに加速している。AI検索(AIO)時代に動画コンテンツはどう見つかるかもあわせて確認しておくと、発信全体の設計がしやすくなる。

よくある質問

Q. 医療広告のガイドラインは今後も改訂され続けるのか?

A. 過去3年の改訂ペースを見る限り、今後も年1回程度のペースで見直しが続く可能性が高い。SNS・動画の利用が増え続ける以上、事例解説書側も後追いで更新され続けると見ておくのが現実的だ。

Q. 過去に作った動画は改訂のたびに公開停止すべきか?

A. 体験談的な表現や効果を保証する表現を含んでいなければ、慌てて非公開にする必要は基本的にない。まずは棚卸しをして、該当する表現がないかを確認することをすすめる。

Q. 院長個人のSNSアカウントも規制の対象になるのか?

A. 医療機関や医師への特定性・誘引性が認められる場合は、個人アカウントでの発信も医療広告として扱われ得る。公式アカウントだけでなく個人アカウントも点検の対象に含めるべきだ。

まとめ

医療広告の事例解説書は令和6年3月の第4版以降ほぼ毎年改訂が続いており、2026年3月には第6版が公表されたばかりだ。改訂の中心は「広告に該当する範囲の細部」であり、体験談を扱わないという核となるルールは一貫している。

湘南でクリニック・治療院を運営しているなら、改訂のたびに動画を作り直すのではなく、既存の発信を定期的に棚卸しし、線引きが変わった部分だけを確認する体制を持つことをすすめる。

どこまでが表現できる範囲か、最新の改訂内容を踏まえて判断に迷ったときは、私たちのような制作者に一度相談してみてほしい。規制の変化を踏まえた企画づくりを、無理のない範囲で一緒に考えていきたい。

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