
「うちみたいな小さな塾が、動画にお金をかける余裕なんてあるのだろうか」——学習塾の経営者や教室長からは、こうした声をよく聞く。チラシやポスティングに比べて動画は未知の出費に見えるぶん、いくら払えば妥当なのか判断がつきにくいのだろう。
結論から言えば、学習塾の動画は数十万円のフル制作でなくても始められる。目的を「入会検討中の保護者の不安を解消すること」に絞れば、数万円台の小さな動画から、講師紹介や授業風景を撮る本格的な生徒募集動画まで、費用のレンジは幅広い。大切なのは金額の大小より、塾の規模と目的に合った動画タイプを選ぶことだ。
この記事では、学習塾業界の市場動向を一次データで押さえたうえで、動画タイプ別の費用相場、費用を左右する要因、そして限られた予算をどう配分すべきかを、制作者の現場感覚で解説する。
- 結論:学習塾の動画は「生徒募集(新規)」と「保護者との関係維持(既存)」で目的を分け、予算も別々に考えるのが妥当だ
- 費用相場はタイプにより数万円台〜100万円超まで幅があり、講師や生徒の自然な様子を短く見せるだけなら小予算でも始められる
- 学習塾市場は少子化下でも横ばい〜微増が続いており、限られたパイの中で「選ばれる塾」になるための可処分予算として動画を位置づける塾が増えている
少子化でも学習塾市場は
横ばい——だからこそ動画に意味がある
矢野経済研究所が2025年10月に発表した国内教育産業市場調査によれば、学習塾・予備校市場は教育産業(主要15分野計・2024年度2兆8,555億7,000万円、前年度比0.7%増)の中で最大規模の分野でありながら、事業者間の業績の好不調を背景に停滞傾向にあると分析されている。経済産業省の特定サービス産業動態統計調査でも、学習塾業界の売上高は2023年時点で約5,812億円と、10年前(約4,041億円)から約44%伸びている一方、少子化で子どもの絶対数は減り続けている。
つまり「子ども一人当たりに塾がかけられる教育投資額は増えているが、奪い合う生徒の数は減っている」という構図だ。市場規模が横ばい〜微増を保っているのは、一人当たり単価の上昇が生徒数の減少を相殺しているためだと読み取れる。この状況では、近隣の塾との差が「授業内容」だけでなく「入会前にどれだけ安心感を伝えられるか」でもつきやすくなる。動画はその安心感を伝える手段として、費用対効果を検討する価値が出てきている。
動画タイプ別|学習塾の制作費用早見表

学習塾が検討しやすい動画には、大きく分けて次の4タイプがある。以下に、尺の目安と費用相場を整理する。
| 動画タイプ | 尺の目安 | 費用相場 |
|---|---|---|
| SNSショート動画(授業風景・講師の一言) | 15〜60秒 | 3万〜15万円/本 |
| 講師紹介・自然体インタビュー動画 | 1〜2分 | 10万〜30万円 |
| 塾紹介・生徒募集PR動画 | 2〜3分 | 30万〜80万円 |
| 入塾説明会・オンライン学校説明動画 | 3〜8分 | 40万〜100万円 |
表からもわかるとおり、SNSショート動画のように「授業の一コマをそのまま見せる」タイプは、機材と編集の負荷が軽いぶん費用も抑えやすい。逆に入塾説明会のように複数の講師・カリキュラム説明・在校生の声などを盛り込む動画は、撮影日数と編集時間が増えるため費用も上がる。まずは自塾の予算感に近いタイプから検討し、反応を見ながら他のタイプへ広げていくのが現実的だ。
費用を左右する4つの要因

同じ「塾紹介動画」というくくりでも、見積もりが30万円台になるか80万円台になるかは、以下の要因で変わってくる。
- 撮影日数と教室数(複数教室の様子を入れるほど移動・撮影日が増える)
- 出演する講師・生徒の人数(インタビュー1人と5人では編集の手間が大きく変わる)
- 納品本数(フル尺1本のみか、SNS用の切り出し版も含めるか)
- 保護者の許可取り・肖像権対応の範囲(未成年が映るため、同意書の取得フローを含めるかどうか)
私たちの経験では、学習塾の撮影で特に気をつけているのは4つ目の「未成年が映ることへの配慮」だ。生徒の顔がはっきり映る動画は保護者の事前同意が前提になるため、同意取得の仕組みを塾側と事前にすり合わせておくと、撮影当日や公開後のトラブルを避けやすい。顔出しに抵抗がある保護者がいる場合は、後ろ姿や手元、教材のクローズアップを中心に構成するなど、撮り方の工夫で対応できることも多い。
「新規向け」と「既存向け」で
予算を分けて考える

動画の予算配分で塾経営者が悩みがちなのが、「新規の入会検討者向け」と「すでに入会している家庭向け」のどちらに厚くかけるかだ。私たちは、この2つを別のバケツとして考えることをすすめている。
新規向けは、塾紹介PR動画や入塾説明会動画のように、比較検討している保護者に「うちの子に合いそうか」を伝えるための一本勝負の動画になる。制作費はまとまった金額になりやすいが、ホームページや入塾案内、説明会など複数の場面で長く使い回せる資産でもある。一方、既存家庭向けは講師の一言メッセージや行事の様子など、短く軽い動画を継続的に配信していく形が合う。既存客へのLINE公式アカウント活用についてはLINE公式アカウント×動画でリピーターを増やすで詳しく解説しているので、あわせて参考にしてほしい。
予算が限られている場合、私たちは「まず新規向けの塾紹介動画を1本きちんと作り、そこから素材を切り出して既存向けの短尺動画に転用する」という順番をすすめている。ゼロから2種類を別々に作るより、制作費の総額を抑えながら両方の目的に対応できる。内製と外注どちらが自塾に合うかで迷う場合は動画制作は内製と外注どちらが得かも判断材料になるはずだ。一般的な動画制作費用の内訳を先に押さえておきたい場合は動画制作の費用相場【完全ガイド】も参考にしてほしい。
よくある質問
Q. 個人経営の小さな塾でも動画は必要か?
A. 大掛かりな動画は不要でも、講師の人柄が伝わる短いショート動画1本から始める価値はある。個人塾ほど「誰が教えているか」が入会の決め手になりやすく、費用も3万円程度から検討できる。
Q. 生徒の顔を映さずに動画を作ることはできるか?
A. 可能だ。後ろ姿や手元、教材、教室の雰囲気を中心に構成すれば、生徒の顔を映さなくても授業の空気感は十分に伝えられる。保護者への配慮を優先したい塾にはこの方法をすすめている。
Q. 動画の効果はどれくらいで出るか?
A. 入塾検討から入会までの期間が塾ごとに異なるため一概には言えないが、説明会や体験授業の申込みフォームに動画へのリンクを添えるなど、既存の導線に組み込むことで比較的早く反応を確認しやすい。
Q. 塾紹介動画とSNSショート動画、どちらを先に作るべきか?
A. 予算に余裕があれば塾紹介動画を先に作り、そこから切り出してショート動画に展開するのが効率的だ。予算が限られる場合は、講師紹介のショート動画から始めて反応を見るほうがリスクが小さい。
まとめ
学習塾の動画制作費用は、SNSショート動画なら数万円台、塾紹介PR動画や入塾説明会動画なら30万〜100万円程度と幅がある。少子化で生徒数のパイが縮む一方、一人当たりの教育投資額は増えている今の市場では、金額の大小よりも「新規向け」と「既存向け」で目的を分け、身の丈に合ったタイプから動画を持つことのほうが重要だ。
次のステップとして、まずは自塾が今いちばん困っている場面(新規の問い合わせが少ないのか、体験授業からの入会率が低いのか)を言語化し、それに合う動画タイプと予算感を整理することをすすめる。どのタイプから始めるべきか迷う場合は、私たちのような制作者に一度相談してみてほしい。
ピンバック: クリニック・治療院の動画制作費用相場|湘南の医療広告と価格目安 - 平塚・大磯PR動画.com