
展示会に出展したものの、名刺は集まるのに商談につながらない――そう漏らす湘南エリアの経営者と話す機会が、ここ最近増えている。
結論から言えば、展示会や商談の場で会社紹介動画を使う企業は着実に増えており、動画活用で得られる効果として最も多く挙げられているのは「展示会・イベントでの集客数の増加」だ。動画は今、ブースの装飾品ではなく、商談化率そのものに関わる実務ツールになりつつある。
この記事では、展示会・商談の現場で実際に効く会社紹介動画をどう作るか、一次データと制作者としての現場感覚の両方から解説する。
- 結論:動画活用に効果ありと答えた企業は60.6%、効果の中身で最多は「展示会・イベントでの集客数増加」
- ブース用の動画と商談テーブルで見せる動画は、尺も役割も分けて作るのが基本
- 動画をきっかけに得た名刺情報の活用まで設計しないと、商談化率は伸びない
なぜ今、展示会・商談に会社紹介動画が効くのか
アルファノート株式会社が2026年6月9日〜10日に実施した「BtoB企業における動画マーケティングの実態調査」(動画マーケティングを実施しているBtoB企業の担当者500名が対象)によると、動画活用で「期待以上の効果があった」「ある程度の効果があった」と回答した企業は合わせて60.6%にのぼる。そのなかで最も多く挙げられた効果が、35.0%が回答した「展示会・イベントでの集客数の増加」だった。
同じ調査では、来期以降に「商談時の会社・サービス紹介動画」を制作予定と回答した企業も15.2%あり、ブース集客だけでなく商談の場そのものに動画を持ち込む動きが広がっていることがうかがえる。
来場者は限られた時間で多くのブースを回る。文字と写真だけのパネルの前で足を止めてもらうより、動いている画面のほうが「自分に関係がありそうか」を一瞬で判断させやすい――これは私たちが現場で撮影してきた実感とも一致する。
「ブース用」と「商談テーブル用」は分けて作る

展示会で使う動画は、実は1本で全部を賄おうとすると中途半端になりやすい。私たちが制作するときは、通行人の足を止める「ブース入口用」と、着席した相手に信頼を積み上げる「商談テーブル用」を、最初から別物として設計する。
ブース入口用は、音声なしでも伝わる字幕付きの短尺ループが基本だ。会場は周囲の音が大きく、来場者はイヤホンをしていないことが多いため、映像だけで内容が伝わる作りにする必要がある。一方、商談テーブル用は名刺交換のあと椅子に座って見せる動画なので、代表者のインタビューや製造工程など、じっくり見てもらえる内容に踏み込める。
以下に、用途別の尺と使いどころを整理する。
| 種類 | 尺の目安 | 使いどころ |
|---|---|---|
| ブース入口ループ映像 | 15〜30秒 | 通行中の来場者の足を止める。字幕付き・無音再生前提 |
| 商談テーブル用会社紹介動画 | 2〜4分 | 代表者インタビュー・実績・製造工程で信頼を積み上げる |
| 追客用ダイジェスト動画 | 1分前後 | 名刺交換後のお礼メールに添付し、記憶を呼び戻す |
表の3種類を全部そろえる必要はないが、少なくともブース用と商談用の2本立てにするだけで、動画1本を無理に使い回すより手応えが変わってくる。この考え方は、商品・サービス紹介動画とは?売上につながる作り方を解説で扱った「見る人の状況に合わせて動画の役割を分ける」発想と共通する。
動画をきっかけにした商談を逃さない――名刺・追客とのセット設計

動画を用意しただけでは、商談化率は上がらない。株式会社ハンモックが2022年12月13日〜14日に実施した「展示会出展の課題に関する実態調査」(展示会出展経験のある営業・マーケティング担当者301名が対象、2022年12月26日発表)では、展示会で接点を得た顧客との商談化率について「20%以下」と回答した企業が52.5%を占めた。
同調査では、名刺情報を「あまり活用できていない」「全く活用できていない」と答えた企業がおよそ4割にのぼる一方、デジタルツールで名刺情報を管理・活用している企業は8割以上が平均商談化率10%以上を達成していた。つまり、ブースでどれだけ良い動画を見せても、そのあとの名刺管理と追客の設計が伴わなければ、動画の効果は商談の手前で止まってしまう。
私たちがすすめているのは、商談テーブルで見せた動画をそのままお礼メールに添付し直す方法だ。展示会場での記憶は数日で薄れるが、動画を再送するだけで「あのブースの人だ」と思い出してもらいやすくなる。湘南のように地域内での紹介や再会が起きやすい商圏では、この一手間が次の商談につながることも少なくない。
展示会で効く会社紹介動画、撮影・準備の実務ポイント

展示会用の会社紹介動画で見せるべきなのは、パンフレットには載らない「現場の空気」だ。食品加工業であれば検品ラインの手元、雑貨や染物のような伝統工芸に近い業種であれば職人の指先――カタログ写真では伝わらない部分こそ、動画で見せる価値がある。
カメラを意識させないことが自然な表情につながる
私たちが撮影で常に意識しているのは、カメラの存在をできるだけ消すことだ。目立たない場所にカメラを置き、スタッフや職人にカメラを意識させすぎないようにすると、普段どおりの自然な表情や手の動きが映る。展示会用の動画は「作り込まれた宣伝」よりも、この自然体の説得力のほうが来場者の信頼を得やすいというのが、私たちの現場感覚だ。
工場や作業場の現場風景をしっかり見せる作り方については、工場見学動画が営業を変える|平塚・湘南の製造業BtoB戦略でも詳しく触れているので、あわせて参考にしてほしい。
撮影を計画するときは、次の順で決めていくとブレにくい。
- 展示会の出展目的(新規リード獲得か既存客へのアピールか)を言語化する
- ブース用・商談用のどちらを先に作るか優先順位を決める
- 現場の「見せたい瞬間」を1〜2シーン選ぶ(検品・仕込み・接客など)
- 撮影後、追客メール用の短尺ダイジェストも同じ素材から切り出す
よくある質問
Q. 展示会用の会社紹介動画は何分くらいが適切か?
A. ブース前で足を止めてもらう入口用は15〜30秒、商談テーブルで見せる動画は2〜4分が目安だ。長尺のドキュメンタリー的な映像は、商談後の個別送付用として別に用意するのが現実的だ。
Q. 動画があれば商談化率は上がるのか?
A. 動画単体で商談化率が上がるわけではない。ハンモックの調査では商談化率20%以下と回答した企業が過半数を占めており、動画は名刺情報の管理・追客の仕組みとセットで設計して初めて効果が出る。
Q. 展示会用の動画は内製と外注どちらで作るべきか?
A. ブース内ループのような編集主体の動画は内製でも対応しやすいが、商談テーブルで信頼を積み上げる会社紹介動画は代表者インタビューや現場撮影を含むため、外注も含めて検討したい。判断基準は動画制作は内製と外注どちらが得か|平塚の中小企業向け費用比較で整理しているので参考にしてほしい。
Q. 展示会シーズンの直前でも間に合うか?
A. ブース入口用の短尺ループであれば、既存の撮影素材や写真から2〜3週間程度で用意できることが多い。商談テーブル用のインタビュー撮影を含める場合は、出展日から逆算して1か月以上の余裕を持って相談することをすすめる。
まとめ
動画活用に効果ありと答えた企業が6割を超え、なかでも展示会・イベントの集客数増加が効果の筆頭に挙がっている以上、展示会に会社紹介動画を持ち込むこと自体はもう特別な工夫ではなくなりつつある。
一方で、商談化率の過半数が20%以下にとどまっているというデータが示すとおり、動画は名刺管理や追客とセットで設計して初めて力を発揮する。ブース用・商談用・追客用と役割を分けて考えるだけで、同じ撮影素材でも使い道は大きく広がる。
まずは次の出展で「何を見せたら来場者の足が止まるか」「商談テーブルで何を見せたら信頼してもらえるか」を、社内で言葉にしてみることをすすめる。どのシーンを撮ればいいか迷ったときは、私たちのような制作者に一度相談してみてほしい。