
「求人を出しても、若い人からの応募がまったく来ない」——平塚や大磯の製造業・建設業の経営者から、私たちが最も多く聞く悩みだ。求人媒体に出稿し、給与や休日の条件も見直した。それでも反応がない。次の一手として採用動画が気になってはいるものの、いくらかかるのか見当がつかず、一歩を踏み出せずにいる。そんな担当者は少なくないはずだ。
結論から言えば、採用動画の制作費用は内容と規模によって10万円台から200万円超まで幅があり、湘南の中小企業の実務では30万〜100万円前後が中心レンジになる。幅が大きいのは、動画の「型」によって必要な工程がまったく異なるからだ。会社紹介をコンパクトにまとめるのか、社員の一日に密着したドキュメンタリーに仕上げるのか、SNS向けのショート動画を数多く回すのか。型が決まれば、費用はかなりの精度で見積もれる。
この記事では、採用動画の費用相場を種類別に整理したうえで、いま採用に動画が効く理由を裏づける調査データ、そして見積もりで必ず確認したいポイントを、現場を知る制作者の視点から解説する。読み終えるころには、自社に必要な採用動画の規模感と予算の目安がつかめるはずだ。
採用動画の費用相場——
種類別・規模別の目安
採用動画の費用は「どの型で作るか」でほぼ決まる。ここでは、私たちが現場で提案するときに使っている3つの型に分けて、業界で一般的な費用レンジを示す。金額はあくまで目安で、撮影日数・出演者の人数・編集の作り込みによって上下する点は先に断っておきたい。

会社紹介・社員インタビュー型(30万〜80万円程度)
最も標準的な型だ。会社の概要、仕事内容、社員へのインタビューを2〜3分にまとめる。撮影は1日、編集を含めて1〜2ヶ月というスケジュール感が一般的で、採用サイトや説明会でそのまま使える汎用性の高さが持ち味になる。初めて採用動画を作る会社には、まずこの型をすすめることが多い。
密着ドキュメンタリー型(80万〜200万円程度)
社員の一日や現場のリアルに複数日密着し、ストーリーとして仕上げる型だ。撮影日数が増えるだけでなく、事前のヒアリングや構成設計といった「見えない工程」に工数がかかるため、費用は一段上がる。その分、働く姿の説得力は圧倒的で、「入社後のイメージと違った」というミスマッチの防止に最も効く型だと、現場では感じている。採用動画そのものの基礎や作り方は採用動画とは?応募が増える理由と費用・作り方の解説で詳しく整理している。
SNSショート動画型(1本数万円〜、月額運用10万〜50万円程度)
TikTokやInstagramリール、YouTubeショート向けに、縦型の短い動画を継続的に発信する型だ。1本あたりの単価は低いが、効果を出すには「量と継続」が前提になるため、月額の運用契約になることが多い。若手人材との最初の接点を作る入口としては、いま最も費用対効果を出しやすい領域だ。
なお、動画制作全般の種類別・尺別の料金感は動画制作の費用相場【完全ガイド】にまとめているので、採用以外の動画も検討している場合はあわせて参考にしてほしい。
なぜ今、採用に動画なのか——
学生の行動は数字で変わっている
答えはシンプルで、候補者が企業を「読む」より先に「見る」ようになったからだ。これは感覚論ではなく、調査データがはっきり示している。
就職情報サービスの学情が2025年卒業予定の学生を対象に実施した調査(2023年6月発表)によると、企業の動画を視聴して志望度が「上がる」と答えた学生は7割を超えた。「実際に働いている人のインタビューを見て、働くイメージが湧いた」という声が理由の上位に挙がっている。さらに同社の2026年卒対象の調査(2024年6月発表)では、8割以上の学生が就職活動の準備で動画を活用したいと回答した。候補者側が、動画で企業を知りたいと明言しているわけだ。

動画という媒体そのものの存在感も拡大し続けている。サイバーエージェントが実施した国内動画広告の市場調査(2026年発表)によると、2025年の動画広告市場は8,855億円で前年比122%の成長。中でもスマホで見る縦型動画広告は前年比155.9%の2,049億円と突出して伸びており、市場全体は2029年に約1兆6,336億円へ倍増すると予測されている。企業がこれだけの規模で動画に投資しているのは、人の可処分時間が動画に移ったからにほかならない。採用情報だけがその外側にいられる理由は、考えてみればどこにもない。
そして平塚・大磯の中小企業にとって、この変化はむしろ追い風だと私たちは考えている。知名度や採用予算で大手と正面から戦う必要はない。現場のリアルな空気、社長や先輩社員の人柄、湘南で働き暮らせるという環境——動画が最も得意とする「言葉にしにくい魅力」こそ、地域の会社が持っている武器だからだ。
「高い」のか?——
採用コスト全体から考える費用対効果
動画に数十万円と聞くと高く感じるかもしれない。だが、採用にかかるコスト全体と並べると見え方が変わる。
リクルート就職みらい研究所の「就職白書2020」によると、2019年度の新卒採用における一人当たりの平均採用コストは93.6万円(2020年発表時点)。つまり、1人採用するのに動画1本分と同水準の費用がすでにかかっている計算になる。しかも人材獲得競争はその後も激しさを増しており、採用がうまくいかず募集を出し直したり、入社後のミスマッチで早期離職が起きたりすれば、このコストは簡単に倍以上へ膨らむ。
一方で動画は、広告費のようにその月で消えていく費用ではなく、使い回せる「資産」になる。一度作れば、採用サイト、会社説明会、求人媒体、SNSと複数のチャネルで数年にわたって働き続けるし、応募前に仕事内容を理解した候補者が集まることで、面接工数やミスマッチも減らせる。1本の動画をどこまで活用できるかは作った動画の活用先マップ【完全版】で具体的に紹介している。
単発の出稿費と違い、制作費は「何年使うか」で割って考える。これが、採用動画の費用対効果を判断するときの正しい物差しだと私たちは考えている。
見積もりで必ず確認したい3つのポイント
相場を知っていても、見積もりが読めなければ適正価格かどうかは判断できない。映像制作は無形の商材で、業界的に見積もりの内容が曖昧になりやすい。発注前に、最低限この3点を確認してほしい。

①「一式」表記になっていないか
企画費・撮影費・編集費・ディレクション費が項目単位で明示されているかを見る。「制作費一式◯◯万円」だけの見積もりでは、何にいくらかかっているのかが見えず、比較も交渉もできない。内訳を出し渋る会社には注意が必要だ。見積もりの読み方はPR動画の制作費用の相場と失敗しない見積もりの見方でさらに詳しく解説している。
② 修正回数と納品形式が明記されているか
編集の修正が何回まで基本料金に含まれるのか。納品データは採用サイト用の横型だけか、SNSでも使える縦型の書き出しまで含むのか。ここが曖昧なまま進むと、後から追加費用が積み上がる原因になる。
③ 「作った後」の提案があるか
採用動画は公開してからが本番だ。どこに載せ、どう届けるかまで一緒に考えてくれる制作会社かどうかで、同じ制作費でも成果は大きく変わる。見積もりの段階で活用方法の話が出てくるかは、良いパートナーを見極めるわかりやすいサインになる。
まとめ
採用動画の費用相場は、会社紹介・インタビュー型で30万〜80万円、密着ドキュメンタリー型で80万〜200万円、SNSショート動画型なら1本数万円からの継続運用と、「型」によって大きく変わる。まず自社の採用課題に合う型を決めること。それが予算を考える出発点になる。
投資判断の材料になる数字も揃っている。動画視聴で志望度が上がった学生は7割超(学情調査・2023年)、新卒1人あたりの採用コストは平均93.6万円(就職白書2020)。採用に1人あたり動画1本分の費用がかかる時代に、候補者が最も見たがっている情報を用意しないのは、それ自体が機会損失だと言える。
次のステップとして、まず「誰に、何を伝えたい採用なのか」を言語化することをすすめる。ターゲットと伝えたい魅力が整理できていれば、制作会社への相談も相見積もりの比較も一気に精度が上がる。そのうえで、内訳が明確な見積もりを複数社から取れば、費用で失敗する可能性はかなり小さくできるはずだ。
平塚・大磯・湘南エリアで採用に悩んでいるなら、地域の現場を知る制作者に相場観を聞いてみるだけでも、判断材料は大きく増える。私たちも無料相談を受け付けているので、予算の目安づけからでも気軽に活用してほしい。