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介護施設の採用難に動画は効くか|湘南のSNS発信術ガイド

湘南の介護施設でスタッフがスマートフォンとジンバルで動画を撮影する様子

「求人を出しても応募が来ない。ホームページには施設の写真を載せているが、それだけでは雰囲気が伝わっている気がしない」——湘南でデイサービスや訪問介護、特別養護老人ホームを運営する人と話すと、こうした悩みをよく聞く。人手不足は介護業界全体の構造的な課題であり、写真とテキストだけの求人票では、他施設との違いがどうしても伝わりにくい。

結論から言えば、介護施設が動画・SNS発信に取り組む価値は年々高まっている。ただし、やみくもに施設紹介動画を撮っても効果は薄い。何を撮り、何を撮ってはいけないかを整理してから始めるかどうかで、成果は大きく変わる。

この記事では、介護業界の最新の人材動向データと、SNS発信の実施率・効果に関する調査結果をもとに、湘南の介護施設がどこから動画発信を始めればよいか、そして利用者への配慮としてどこに注意すべきかを、制作者としての現場感覚を交えて整理する。

  • 結論:介護サービス職の有効求人倍率は3.70倍(2026年6月・厚生労働省)と高止まりが続き、動画・SNS発信で施設の雰囲気を伝える意義は増している
  • SNSで発信する事業所は3年で11.5%→16.3%に増加し、「採用に効果があった」と答えた割合も1年で16.8%→27.6%に急伸している
  • 一方でSNS経由の就職者はまだ0.2%にとどまり、利用者への配慮を守りながら「今から始めても遅くない」段階にある

なぜ今、介護施設にも
動画発信が必要になっているのか

厚生労働省が公表している「一般職業紹介状況」によると、2026年6月時点の介護サービスの職業の有効求人倍率は3.70倍(パートを除く常用)で、営業職や商品販売職などと並んで高水準の職種のひとつになっている。求職者1人に対して3件以上の求人がある計算で、応募を「待つ」求人票だけでは選ばれにくい状況が続いている。

一方で、介護労働安定センターの「令和7年度介護労働実態調査」では、介護職員の離職率は12.4%で、全産業平均の14.2%を下回り、過去最低水準を維持していることも分かっている。つまり課題は「辞めてしまうこと」より「入口で選ばれないこと」に寄っている。この数字が意味するのは、いったん働き始めてもらえれば定着しやすい業界だからこそ、応募につながる最初の接点=求人情報や施設の見え方の勝負になっているということだ。

写真数枚とテキストの求人票では、職場の空気感、スタッフ同士のやり取り、利用者との距離感までは伝わらない。動画はここを補える数少ない手段のひとつだ。


介護施設のSNS・動画発信は
実際どこまで進んでいるか

介護業界の人手不足と有効求人倍率の高さを表す図解

同じ「令和7年度介護労働実態調査」では、採用活動として「SNSを活用して自事業所のアピールポイントを発信」している事業所の割合が、年々増えていることも示されている。以下に推移を整理する。

年度 SNSで発信している事業所の割合 「採用に効果があった」と回答した割合
令和5年度 11.5%
令和6年度 14.8% 16.8%
令和7年度 16.3% 27.6%

発信している事業所自体は全体の2割弱にとどまるが、発信している事業所の中で「効果があった」と感じる割合はこの1年でほぼ倍増している。まだ取り組んでいる施設が少ないからこそ、先に始めた施設の手応えが際立って伸びている段階だと読める。

ただし同じ調査では、現在の法人に就職した経路として「法人や施設が発信するSNS」を挙げた介護労働者は全体の0.2%にとどまるという数字もある。これは動画・SNSが無意味という意味ではなく、業界全体としてまだ「発信し始めたばかり」の段階であることを示している。だからこそ、今から取り組む施設には十分な伸びしろがある。

何を撮ればいいか
何を撮ってはいけないか

休憩中に会話する介護施設スタッフの様子

介護施設の動画発信で最初につまずきやすいのは、「利用者を主役にした施設紹介動画」を最初に狙ってしまうことだ。他業種以上に、まず考えるべきは撮っていいものと撮ってはいけないものの線引きになる。

撮りやすく、応募につながりやすい題材

  • 職員インタビュー(この仕事のやりがい・1日のスケジュール・入職の決め手)
  • スタッフ同士の休憩中の何気ない会話や雰囲気
  • 施設の清潔感や設備、送迎車両などハード面の紹介
  • 研修・勉強会の様子(専門性が伝わる)

配慮が必須になる題材

利用者本人が映るレクリエーションや食事風景は、応募者の心に響きやすい一方でもっとも配慮が求められる題材だ。本人または家族の同意なしに個人が特定できる形で公開しない、認知症のある方については判断能力への配慮も含めて家族の同意を丁寧に取る、といった手順を撮影前に必ず施設内で確認しておく必要がある。SNS運用に積極的な事業所の中には、投稿のたびに本人・家族へ個別に同意を確認する運用を徹底しているところもある。

私たちの撮影チームが現場で大事にしているのは、「カメラを意識させない自然体」を意識することだ。これは企業PR動画全般で心がけていることだが、高齢の利用者が過ごす介護施設ではなおのこと重要になる。目立たない場所にカメラを置き、いつも通りの時間が流れているところを撮ることで、不自然な“演出感”のない、信頼できる雰囲気の動画になりやすい。


無理なく続けるための
体制のつくり方

撮影から同意確認、編集、SNS投稿までの流れを表す図解

動画・SNS発信で失敗しやすいもう一つのパターンは、担当者を1人だけ決めて丸投げし、その人が忙しくなった瞬間に更新が止まることだ。介護現場は人手に余裕がないからこそ、最初から「専任担当を置く前提」で設計しないほうがうまくいく。

  1. スマートフォン1台と簡単な三脚だけで、シフトの合間に撮れる題材から始める
  2. 投稿は法人の公式アカウントに一本化し、複数人で交代しながら運用できる体制にする
  3. コメントや問い合わせには早めに、なるべく担当者本人の言葉で返信する

とくに3つ目のコメント対応は見落とされがちだが、応募を検討している人ほど、投稿への返信の丁寧さから「働く人を大事にする施設か」を読み取っている。派手な編集より、地道な更新と対応の積み重ねが効いてくる領域だ。

なお、動画にかける費用は最初から高額である必要はない。個人店・小規模店舗が動画にかけられる予算感で触れたように、まずはスマートフォン撮影で運用を始め、手応えが見えてきた段階で職員インタビューなど一部をプロに依頼する、という段階的な進め方でも十分成果は出せる。

よくある質問

Q. どれくらいの頻度で投稿すればいいか?

A. 週1本を目安に、無理なく続けられるペースから始めるのが現実的だ。更新が途切れる方が、更新頻度が低いことより印象を悪くしやすい。

Q. 利用者の顔を映さなくても採用効果はあるか?

A. ある。職員インタビューや施設の雰囲気、送迎車両や設備紹介だけでも、写真とテキストだけの求人票よりは働くイメージが格段に伝わりやすい。

Q. 建設業や美容室など、他業種でも採用動画の考え方は同じか?

A. 基本の考え方は近い。建設業の採用難は動画で変えられるかでも触れたとおり、業種を問わず「働く姿をそのまま見せる」ことが応募者の不安を減らす。ただし介護は利用者への配慮という業種特有の制約があるため、その線引きは事前に整理しておく必要がある。

まとめ

介護サービス職の有効求人倍率は3.70倍という高水準が続き、写真とテキストだけの求人票で選ばれるのは年々難しくなっている。一方で介護施設のSNS発信はまだ全体の2割弱にとどまり、取り組んでいる事業所の効果実感は急速に伸びている段階にある。今から始める施設にも十分な伸びしろがある領域だ。

大切なのは、いきなり利用者を主役にした動画を狙うのではなく、職員インタビューや施設の雰囲気など撮りやすいところから始め、利用者が映る題材については同意の取り方を先に施設内で決めておくことだ。採用動画とは何かで解説した基本を踏まえつつ、介護ならではの配慮を加えて設計するとよい。

次のステップとして、まずは自施設で「撮っていいもの」と「同意が必要なもの」を一度洗い出してみることをすすめる。そのうえで何から撮り始めるべきか迷う場合は、私たちのような制作者に相談してみるのも一つの方法だ。

ルームツアー動画で内見を制する|湘南の不動産仲介活用術

湘南の賃貸物件でスタッフがスマートフォンとジンバルでルームツアー動画を撮影する様子

「内見の予約を入れたのに、当日連絡なくキャンセルされた」——湘南で賃貸仲介や管理を担当している人なら、一度はこういう経験があるのではないだろうか。遠方からの転勤・進学の問い合わせほど、この「来ない内見」が起きやすい。

結論から言えば、ルームツアー動画は内見前の比較検討を後押しする、いま費用対効果の高い一手だ。動画で先にふるいにかけてもらうことで、実際に足を運ぶ人の本気度が上がり、案内する側の手間も減っていく。

この記事では、内見数と成約率の一次データをもとに動画が果たす役割を整理したうえで、湘南の不動産仲介・管理会社が実際に何を撮り、どこに出せばよいかを、制作者の現場感覚で解説する。

  • 結論:賃貸の内見は平均2.7件で成約に至るとされ、動画は「本命候補」を絞り込むための事前フィルターになる
  • オンライン内見の利用率は約2割にとどまるが、対面派の内見前チェックにも動画そのものは使われている
  • 撮るべきは「通し歩き」「生活動線」「周辺環境」の3種。凝った演出より自然体の撮り方が信頼につながる

「内見2.7件で成約」
——数字が示す動画の役割

多数の物件候補が動画によって絞り込まれ本命候補に近づく様子を表すフラットデザイン図解

株式会社リクルートが運営するSUUMOリサーチセンターの「2022年度 賃貸契約者動向調査(首都圏)」(2023年9月29日発表)によれば、入居者が成約までに見学した物件数は平均2.7件だった。単純計算で、内見1件あたりの成約確率はおよそ37%になる。

この数字が意味するのは、「内見に呼ばれた時点で、すでに有力候補の一つに絞られている」ということだ。つまり内見の前段階——ネットで写真や間取りを見比べている段階——で、どれだけ候補から脱落せずに残れるかが勝負になる。ここで、静止画だけの物件情報との差になるのが動画の有無だ。

同センターの「2020年度 賃貸契約者動向調査(首都圏)」では、オンライン内見の利用率はオンラインのみが13.5%、対面との併用が6.2%で、合わせて約2割にとどまるという結果も出ている。裏を返せば、湘南のような地域でもまだ8割の人が対面での内見を選んでいるということだ。ここで効いてくるのが、対面内見の前に見る動画になる。オンライン内見ほどの手間をかけずに、対面前の絞り込みに動画を使う人は、この統計以上に多いと私たちは現場で感じている。


撮るべきルームツアーは3種類
——「通し歩き」「生活動線」「周辺環境」

私たちが賃貸物件の動画を制作する際、最初に整理するのは「何を撮るか」より「何を見せて安心してもらうか」だ。以下に、種類ごとの狙いと尺の目安を整理する。

種類 狙い 尺の目安
通し歩き(玄関→各部屋) 間取り図だけでは伝わらない広さ・動線の実感を伝える 1〜2分
生活動線(収納・水回り) 住んだときの使い勝手を先回りして見せる 30秒〜1分
周辺環境(駅・商店街・海) 湘南らしい立地の魅力を伝え、契約後の後悔を減らす 1分前後

表の中でも優先度が高いのは、通し歩きと生活動線の2つだ。周辺環境は湘南・平塚・大磯のような「暮らしの魅力込みで選ばれる」エリアでは特に効くが、撮影の手間を考えると通し歩きと生活動線から始めるのが現実的だ。

撮影は「カメラを意識させない自然体」を優先する

私たちが撮影現場で大切にしているのは、被写体にカメラを意識させすぎないことだ。ルームツアーは特に、演出を作り込みすぎるとかえって「盤石すぎる部屋」に見えてしまい、生活感のなさが不信感につながることもある。案内スタッフが実際に扉を開け閉めしながら歩く様子を、ありのままに近い温度感で撮るほうが、SNSに慣れた層には自然に届く。スマートフォンとジンバル程度の機材でも、この考え方さえ押さえれば十分に始められる。

動画をどこに出すか
——自社サイト・ポータル・SNSを1本で使い回す

賃貸物件の室内で収納や水回りの扉を開けながら生活動線を撮影する手元のクローズアップ

全国賃貸住宅新聞が2021年1月7日号(「部屋探しポータルの活用戦略」全6回シリーズ第4回)で報じたところによると、賃貸仲介のクラッシー・ホームズは2012年から動画を撮りためており、掲載物件のほぼ全てに動画をつけている。同社は月額140万円をポータルサイトへの広告出稿にかけ、月間299件の反響を得ているという。動画付きの物件ページは、そうでないページと並んだときにアイコンで一目でわかり、閲覧者の目を引きやすくなる、という同社の説明も紹介されている。

湘南の中小の仲介・管理会社が同じ予算をかけるのは現実的ではないが、「1本撮った動画を複数チャネルで使い回す」考え方は規模に関わらず有効だ。自社サイトの物件ページ、ポータルサイトの動画欄、InstagramやLINE公式アカウントへの再利用など、置き場所を変えるだけで届く相手が広がる。地域集客の文脈ではGoogleマップ(MEO)×動画で地域集客を強くするでも解説した通り、検索や地図経由の動線と組み合わせるとさらに効果が出やすい。

オンライン内見・IT重説の普及率から見る
湘南で動画が効く理由

国土交通省が宅建業者を対象に実施した令和5年度調査(公益財団法人不動産流通推進センター公表)では、IT重説の導入率が18%、重要事項説明書等の電子化(書面電子化)が11%にとどまるという結果だった。制度が使えるようになってから数年経つが、現場への浸透はまだこれからの段階にある。

この数字は、遠隔での取引そのものがまだ一般的でないことを示している。だからこそ、動画を「オンライン内見の代わり」として使うのではなく、「対面内見に進むかどうかを決める判断材料」として位置づけるのが、いまの湘南の実情に合っている。特に大学進学や転勤で遠方から平塚・大磯エリアの物件を探す人にとって、事前に部屋の雰囲気を動画で確認できるかどうかは、わざわざ現地に来て内見するかどうかの意思決定に直結する。

入居後のフォローにも動画は使い回せる

賃貸管理会社であれば、入居後の設備の使い方説明や、退去時の原状回復の目安を動画で残しておくことも有効だ。問い合わせ対応の手間を減らせるだけでなく、既存入居者との関係づくりにもつながる。LINE公式アカウントを使った継続的な情報発信についてはLINE公式アカウント×動画でリピーターを増やす|湘南の教室・店舗活用術で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてほしい。

1本の物件動画が自社サイト・ポータルサイト・SNS・LINEへ展開されていく様子を表すフラットイラスト

よくある質問

Q. ルームツアー動画は何分くらいが適切か?

A. 通し歩きなら1〜2分、生活動線や周辺環境は30秒〜1分が目安だ。長すぎる動画は最後まで見てもらえないため、物件の魅力が伝わる範囲で短くまとめるのがよい。

Q. 空室が埋まるたびに撮り直す必要があるか?

A. 間取りが同じであれば使い回せる場合が多い。ただし内装や家具の有無が変わった場合は、実際と違う印象を与えないよう撮り直しをすすめる。

Q. 動画制作にどれくらいの費用がかかるか?

A. 撮影・編集の内容次第で幅があるため、動画制作の費用相場【完全ガイド】で相場を整理している。まずは通し歩き動画1本から始めて、反響を見ながら本数を増やす進め方が現実的だ。

Q. 誇大な演出になっていないか、どう確認すればよいか?

A. 実際の広さ・眺望・生活動線と違う印象を与えていないかを、投稿前に自分たちで一度部屋を歩いて見比べるとよい。優良誤認表示に触れるおそれがある大げさな加工や演出は避けるべきだ。

まとめ

賃貸の内見は平均2.7件で成約に至るとされ、内見に呼ばれた時点ですでに有力候補の一つに絞られている。だからこそ、その前段階を制する動画の役割は大きい。通し歩き・生活動線・周辺環境という基本の3種類から、カメラを意識させない自然体の撮り方で始めれば、湘南の仲介・管理会社でも十分に取り組める。

次の一歩として、まずは自社の主力物件1つを通し歩き動画で撮ってみて、問い合わせの反応がどう変わるかを見てほしい。撮り方や活用先で迷う場合は、私たちのような制作者に一度相談してみることをすすめる。

LINE公式アカウント×動画でリピーターを増やす|湘南の教室・店舗活用術

LINE公式アカウントの動画メッセージをスマートフォンで確認する様子

「動画をSNSに上げてフォロワーは増えたのに、肝心の常連客との関係はあまり変わっていない」——湘南で店舗や教室を営む経営者からそんな声を聞くことが増えた。新規の目には触れても、すでに一度来てくれたお客様や生徒の保護者には、実は動画がほとんど届いていないケースは少なくない。

結論から言えば、動画の届け先としてもっと活用すべきなのが「LINE公式アカウント」だ。Googleマップ(MEO)やInstagramが新規の目に留まるための入口だとすれば、LINE公式アカウントはすでに繋がっている人に「また行きたい」と思い出してもらうための、いわば裏口の生命線になる。

この記事では、LINE公式アカウントで動画を配信する意味を一次データとともに整理したうえで、湘南の学習塾を例に、動画をどう撮り、どう配信すれば「また通いたい」につながるのかを、制作者の現場感覚で解説する。

  • 結論:LINE公式アカウントの動画は、新規集客ではなく既存客の「思い出させる」導線として使うのが本筋だ
  • LINEは開封率が非常に高く、動画は静止画やテキストより情報量とインパクトで勝る
  • 特別な機材は不要。すでにある動画を短く編集し直すだけでも配信は始められる

湘南の店舗・教室が
いまLINE公式アカウントを見直すべき理由

LINEヤフー株式会社の発表によれば、LINEの国内月間利用者数は2025年12月末時点で1億ユーザーを突破した。日本の人口の大半が日常的に開いているアプリという意味で、他のどのSNSとも役割が異なる。

さらに、LINEヤフー for Business の公式コラムでは、配信したメッセージのうち約2割が即座に、約5割が3〜6時間以内に、そして当日中には約8割が開封されるというデータが示されている。メールマガジンの開封率が数パーセント〜二割程度で語られることが多いのに比べると、圧倒的な速さと到達率だ。私たちが現場で見てきた実感としても、Instagramの投稿は「見てもらえるかどうか」から始まるのに対し、LINEはほぼ確実に画面に通知が出る点が大きく違う。

新規集客の動画とは役割が違う

Googleマップ(MEO)対策としての動画についてはGoogleマップ(MEO)×動画で地域集客を強くするでも触れたが、あちらは「まだ知らない人に見つけてもらう」ための動画だ。一方でLINE公式アカウントの動画は、すでに友だち登録してくれている人、つまり一度は来店・入会してくれた人に向けた配信になる。届く相手がまったく違うので、両方を「集客動画」として一括りにせず、新規向けと既存向けで役割を分けて考えるのが妥当だ。

なぜ”動画”なのか
——テキスト・静止画との違い

テキスト・静止画・動画の情報量の違いを表すフラットイラスト

LINE公式アカウントには「リッチビデオメッセージ」という、動画をそのままメッセージとして送れる機能がある。テキストのお知らせやクーポン画像でも開封はされるが、動くもの・声・現場の空気感まで届けられるのは動画だけだ。以下に、配信タイプごとの特徴を整理する。

配信タイプ 伝わる情報 向いている用途
テキストのみ 事実・日時・数字 休業案内・予約リマインド
静止画+テキスト 雰囲気・メニューや商品の見た目 クーポン・新メニュー告知
動画 空気感・表情・動き・声のトーン 現場の様子・講師やスタッフの人柄

表からもわかるとおり、動画にしかない価値は「事実」より「空気感」の伝達にある。既存客がわざわざ足を運ぶ動機は、多くの場合すでに知っている「あの雰囲気」や「あの人」への安心感だ。だからこそ、既存客への配信であるLINE公式アカウントと動画の相性は良い。

学習塾の現場で考える
LINE×動画のシナリオ

学習塾の教室で目立たない場所からジンバルカメラで自然な授業風景を撮影する様子

経済産業省の特定サービス産業動態統計調査によれば、学習塾業界の売上高は2023年時点で約5,812億円と、10年前の約4,041億円から約44%伸びている。少子化が進む一方で塾にかける費用は増えており、一つの教室あたりの生徒・保護者との関係を長く維持できるかどうかが、経営の分かれ目になりつつある業界だと言える。

保護者との接点づくりでは、新規向けにはInstagram、すでに入会している家庭との関係維持や紹介の後押しにはLINE公式アカウントが効くとされる。動画を一度作れば、SNS・ホームページ・LINEへ横展開できるため、制作の手間に対してコンテンツ効率が高い施策でもある。

私たちの経験では、発信で大事なのは「伝えたいことをできるだけ自然体で伝える」ことに尽きる。撮影の際は目立たない場所にカメラを置き、被写体にカメラを意識させない自然な雰囲気を引き出すことを常に意識している。塾の授業風景であれば、講師が作り込んだ演出をするより、いつもの授業の一コマをそのまま切り取るほうが、保護者には「本物の教室の空気」として伝わりやすい。

学習塾を例にすると、LINE公式アカウントで配信しやすい動画には次のようなものがある。

  • 定期テスト前の勉強法アドバイス動画(講師が1〜2分で要点を話すだけでよい)
  • 普段の授業風景や自習室の様子(生徒の顔が映る場合は事前の許可を得る)
  • 行事・面談期間の案内を、担当講師の顔が見える形で伝える動画

湘南の店舗・教室が
今日からできる始め方

友だち追加から動画配信、リピートまでの流れを表すフラットイラスト

大掛かりな仕組みを整える前に、まずは小さく始めるのが続けるコツだ。手順として整理する。

  1. 店頭・教室内・レシートなどに友だち追加の入口(QRコード)を置き、来店・入会時に登録してもらう
  2. 月1〜2本、15〜30秒程度の短い動画を配信する頻度から始める(音声なしでも伝わるよう字幕をつけると親切)
  3. ゼロから撮り下ろすのではなく、Instagramや採用ページ用に撮った動画の素材を再編集して使い回す

効果測定は難しく考えなくてよい。LINE公式アカウントの管理画面では配信ごとの開封数・クリック数、動画であれば再生数まで確認できる。最初の数回は数字を追うより、返信やスタンプなど反応があったかどうかを見るだけでも十分だ。友だち追加数がじわじわ減っていないか、月に一度チェックする習慣をつけておくと、配信頻度や内容を見直すタイミングを逃さずに済む。

配信を軌道に乗せるうえでは、お客様の声を動画で伝える方法も相性がよい。詳しくはお客様の声・口コミ動画の活かし方|湘南の店舗が信頼を得る方法でも解説しているので、あわせて参考にしてほしい。どのSNSに動画を出し分けるかで迷う場合はリールとショート、結局どっちを選ぶ?も判断材料になる。

よくある質問

Q. 配信の頻度はどれくらいが適切か?

A. 月1〜2本から始めれば十分だ。頻度が多すぎるとブロックの原因になりやすいため、まずは無理なく続けられるペースを優先し、反応を見ながら調整することをすすめる。

Q. Googleマップ(MEO)向けの動画と何が違うのか?

A. MEO向けの動画は「まだ知らない人に見つけてもらう」新規集客が目的だが、LINE公式アカウントの動画は「すでに繋がっている人に思い出してもらう」既存客向けの施策だ。狙う相手も内容も分けて考えるとよい。

Q. 動画の長さはどれくらいが適切か?

A. 15〜30秒程度が目安だ。LINEはスキマ時間に開かれることが多いため、要点を先に伝え、音声なしでも内容がわかるよう字幕を添えるとよい。

Q. 専用の動画を新しく作らないといけないか?

A. その必要はない。すでにInstagramや採用向けに撮影した動画を、LINE用に短く編集し直すだけでも十分に活用できる。

まとめ

LINE公式アカウントは日本国内で圧倒的な数の人が日常的に開いているツールであり、動画はその中でも空気感や人柄を伝えられる数少ない手段だ。新規集客の動画とは役割を分け、すでに繋がっている人への「思い出させる」導線として使うことが、リピートを生む近道になる。

湘南で店舗や教室を営むなら、まずは友だち追加の入口を一つ用意し、手元にある動画素材を短く編集し直すところから始めてみてほしい。大掛かりな制作より先に、いま撮れる自然体の一コマを配信することのほうが、次の一歩としては現実的だ。

新規集客の動画と既存客向けの動画、どちらも大切だが、優先順位に迷ったら「すでに繋がっている人を離さない」ほうから手をつけるのが、地域密着型のビジネスにとってはランチェスター的にも理にかなっている。狭いエリアで長く選ばれ続けるための土台は、遠くの新規客より近くの常連客だ。

どんな動画をどう撮り直せば配信に使えそうか、判断に迷う場合は、まず現状の動画素材を一緒に棚卸しするところから相談することをすすめる。

お客様の声・口コミ動画の活かし方|湘南の店舗が信頼を得る方法

湘南の不動産会社でお客様の声を自然に語ってもらう様子を小型カメラで撮影している場面

「うちは良い店なんです」と口では言われても、初めて来る客にはなかなか伝わらない。湘南エリアで動画制作の相談を受けていると、口コミサイトの星の数だけでは伝えきれない魅力を抱えている事業者に数多く出会う。

結論から言えば、その「伝わらなさ」を最も効率よく埋めるのが、実際の利用者に語ってもらう「お客様の声動画」だ。文章のレビューよりも短い時間で、表情や声のトーンごと相手に届けられるため、初めての人が抱く不安を大きく減らせる。

この記事では、お客様の声動画がなぜ今あらためて重要なのか、業種ごとに何を撮ればいいか、そして信頼される撮り方・公開の仕方までを、制作者の視点で整理する。

  • 結論:お客様の声動画は「初めて利用する人の不安」を最も効率よく減らせるコンテンツだ
  • クチコミを参考に購入・利用した経験がある人は85.9%にのぼる(ホットリンク調査・2026年)
  • 文字だけの口コミより「写真や動画がある」口コミのほうが信頼されやすい

お客様の声動画がなぜ今効くのか
——2つの調査が示す数字

株式会社ホットリンクが2026年5月27日〜6月3日に実施した「クチコミが購買に与える影響調査2026」(日本在住1,000名対象)によると、クチコミを参考に商品・サービスを購入した経験がある人は85.9%にのぼった。さらに「信頼できるクチコミの条件」を尋ねた設問では、「実際に購入・利用した人の体験が書かれている」が81.4%で最多となり、「良い点・悪い点の両方が書かれている」も59.8%と高い割合を占めた。

この調査ではクチコミの参考先として「YouTube」が27.2%にのぼり、信頼できる条件として「写真や動画がある」を挙げた人も37.4%存在した。文字だけの口コミよりも、実際に話している姿が見える口コミのほうが一段強い説得材料になっていることがうかがえる。

米国の調査会社BrightLocalが2026年2月に公表した「Local Consumer Review Survey 2026」(米国成人消費者1,002名対象)でも、星4つ以上のレビューを求める消費者が68%(前年は55%)まで上昇しており、YouTube・Instagram・TikTokといった動画プラットフォームがレビュー確認の場として存在感を増していると報告されている。国は違えど、文章だけのレビューでは判断材料として物足りなくなっている消費者心理の流れは、日本の湘南エリアの店舗選びにも同じように及んでいると私たちは見ている。

この2つの数字が湘南の事業者にとって意味するのは、「星の数」だけを増やそうとする発想の限界だ。星評価は嘘ではないが、なぜその評価をつけたのかという理由までは伝えきれない。理由の部分——何に困っていて、何が決め手になったのか——を本人の言葉と表情で見せられるかどうかが、これからの比較検討で選ばれるかどうかの分かれ目になる。

業種別・何を「お客様の声」として撮ればいいか

動画による口コミが文字だけの口コミより信頼されることを示すフラットイラスト

「お客様の声」と一口に言っても、業種によって聞くべき相手も内容もまったく違う。私たちは呉服・不動産・アパレル・製造・教育など幅広い業種の映像制作に関わってきたが、業種ごとに「決め手になった一言」は驚くほど違う。以下に、湘南エリアでよく相談を受ける業種を例に整理する。

業種 誰に聞くか 聞く内容の例
不動産会社 最近成約した購入者・入居者 この物件・担当者に決めた理由
学習塾 在籍・卒塾した生徒の保護者 入塾前の不安と、通ってからの変化
飲食店 常連客(負担にならない範囲で) よく頼むメニューとその理由
小売店 リピーター 実際の使い方・買ってよかった点

不動産会社であれば「価格」よりも「担当者の対応」が決め手だったという声が出やすく、学習塾であれば保護者が抱えていた不安(勉強嫌いだった、続くか心配だった)を先に語ってもらうと説得力が増す。共通して言えるのは、事業者側が用意した宣伝文句よりも、利用者自身の言葉のほうが検索している人の状況に近く、刺さりやすいということだ。

「うちのお客さんは口下手だから」と話す前に依頼をためらう事業者もいるが、実際にカメラの前で流暢に話せる人はむしろ少数派だ。言葉に詰まりながらも「本当にそう思っている」ことが伝わる映像のほうが、よどみなく話す映像よりも信頼されやすいというのが、私たちが現場で繰り返し感じてきた実感でもある。うまく話してもらうことよりも、話しやすい空気を作ることのほうが撮影の質を左右する。

信頼される撮り方の作法
——「やらせ」に見せない工夫

学習塾で保護者と生徒が自然に話す様子をカメラを目立たせずに撮影する制作者

お客様の声動画で一番避けたいのは、台本を読んでいるように見えてしまうことだ。せっかく本音を語ってもらっても、不自然な間や決まり文句だらけの言葉遣いは、見る側にすぐ伝わってしまう。

私たちの撮影チームでは、常にカメラを目立たない場所に置き、「カメラを意識させない自然体」を心がけている。質問も台本通りに読み上げてもらうのではなく、雑談の延長で自然に出てきた言葉を拾うようにする。この現場感覚は、宣伝色の強い企業紹介動画よりも、本音が伝わってほしい「お客様の声」の場面でこそ効果を発揮すると実感している。

撮影に入る前には、以下のような点を必ず確認しておくことをすすめる。

  1. 出演の目的(どこで公開するか)を事前に伝え、書面またはメッセージで同意を得る
  2. 本名・匿名・イニシャルなど、名前の出し方を本人の希望に合わせる
  3. 台本を丸暗記させず、質問リストだけ渡して自分の言葉で話してもらう
  4. 完成前に本人へ内容を確認してもらい、公開後も削除依頼に対応できる体制を整える

なお、クリニック・治療院については注意が必要だ。医療広告ガイドラインでは、患者の体験談を広告として扱うことに厳しい制限があり、「お客様の声動画」をそのまま宣伝に使う発想自体が業種によっては通用しない。医療系の広告表現で気をつけたい点はクリニックが動画で発信するときの注意点(医療広告規制)で詳しく解説しているので、あわせて確認してほしい。

撮った「声」動画をどこで使うか

1本のお客様の声動画をGoogleビジネスプロフィールやSNS、サイトに使い回すことを示すフラットイラスト

お客様の声動画は、撮って終わりではなく置き場所によって効き方が変わる。私たちが特に効果を感じるのは、比較検討の最終段階で見られる場所に置くことだ。

  • Googleビジネスプロフィールの投稿・写真欄:地図から店を比較検討している人に直接届く
  • 公式サイトの「お客様の声」ページ・料金ページの近く:契約直前の迷いを後押しする
  • Instagram・TikTok・YouTubeのハイライトや固定投稿:初めて訪れた人がまず目にする場所

Googleマップ経由の来店を増やしたい場合はGoogleマップ(MEO)×動画で地域集客を強くするもあわせて参考にしてほしい。そもそも動画の種類や使い分けから整理したい場合は企業PR動画とは?目的・効果・費用をわかりやすく解説を先に読んでおくと理解が早い。

一度に何本もの「お客様の声」を作ろうとすると腰が重くなりがちだが、1人分を撮るだけでも、Googleビジネスプロフィール・SNS・自社サイトの3か所に同じ素材を使い回せる。1本の撮影を複数の場所で長く使い続けるほうが、無理なく続けられるやり方だと私たちは考えている。

よくある質問

Q. お客様の声動画は何人分集めれば十分か?

A. まずは業種・利用シーンの違う3〜4人分から始めるとよい。同じような人ばかりだと、見る側が「自分には当てはまらないかもしれない」と感じやすくなる。

Q. 良い感想ばかりで不自然に見えないか心配だ

A. 良い点だけでなく、最初に感じていた不安や迷いもあわせて語ってもらうとよい。「良い点・悪い点の両方が書かれている」ことを信頼の条件に挙げる人は約6割にのぼり、正直さのほうが結果的に信頼を得やすい。

Q. 出演してくれる人が見つからない場合はどうすればいいか?

A. いきなり顔出しの依頼をせず、普段から良い反応をくれる常連客・卒業生などに「短い感想だけ」の軽い依頼から始めるとハードルが下がる。声だけ・手元だけの出演から始めてもよい。

まとめ

ホットリンクの調査が示す通り、クチコミを参考に購入・利用する人は8割を超え、その中でも「実際に体験した人の言葉」が最も信頼されている。文字だけでなく表情や声のトーンごと届けられる動画は、その信頼をさらに一段強くする手段だ。

湘南のような顔の見える経済圏では、大きな広告よりも「実際に利用した人の一言」のほうが強い説得力を持つ。まずは業種や利用シーンの違う数人に、短い感想だけでも語ってもらうことから始めてほしい。

誰に何を聞けばいいか迷ったときや、無理のない撮影の進め方を相談したいときは、私たちのような制作者に一度声をかけてほしい。

小売店の動画活用術|湘南で「また来たくなる店」になる方法

湘南の雑貨店で店主がスマートフォンとミニ三脚を使い商品陳列を撮影している様子

「うちみたいな小さな雑貨店やアパレルショップが動画をやっても、大手チェーンには勝てない」——湘南エリアの小売店のオーナーと話していると、そう感じている人は少なくない。SNSはなんとなく大手や有名インフルエンサーのものというイメージが根強く、動画に手を出す発想自体が遠いという声もよく聞く。

結論から言えば、その前提は逆だ。動画は資本力ではなく「店主の人柄」や「その場の空気」で見られるメディアであり、むしろ個人店・小規模店舗のほうが向いている場面が多い。この記事では、総務省・経済産業省という2つの公的統計と、SNS広告経由の購買行動を調べた民間調査という一次データをもとに、小売店にとって動画がなぜ必要なのかを検証し、実際に何を撮ればいいか、どう続ければいいかまでを制作者の視点で整理する。

この記事では、動画視聴・SNS利用の実態データから、EC拡大時代における実店舗の動画の役割、具体的な撮影企画例、無理なく続けるステップまでを一気に解説する。

  • 結論:動画は資本力より「店主の人柄」と「その場の空気」で見られるため、小規模な小売店ほど向いている
  • YouTubeの利用率は80.8%、Instagramも52.6%に達し、動画視聴は幅広い世代の日常的な習慣になっている(総務省調査)
  • SNS広告経由で商品を購入した人の75.1%は「買う予定はなかった」と回答しており、動画は「偶然の来店」を生む力を持つ(リンクアンドパートナーズ調査)

小売店に動画は必要か
——SNS動画がもう「特別」ではない理由

総務省情報通信政策研究所が2025年6月に公表した「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、全年代でのSNS・動画サービスの利用率はLINEが91.1%、YouTubeが80.8%、Instagramが52.6%、TikTokも33.2%に達している。動画共有サービスはもはや若年層だけの習慣ではなく、幅広い世代の生活に溶け込んだ日常的な情報収集の入り口になっている。

さらに株式会社リンクアンドパートナーズが2024年7月に発表した「SNS広告の購買行動調査」(SNS広告経由の購入経験者623人対象)では、動画広告を見て商品を購入した人が全体の55.9%にのぼり、購入者の75.1%が「買う予定はなかった」と回答している。これは、動画が「探していたものを見つける」だけでなく「思いがけず欲しくなる」という衝動的な購買・来店のきっかけを作れることを示している数字だ。実店舗に足を運んでもらう小売店にとって、これは見逃せない意味を持つ。

EC市場が拡大するほど
「リアルな店」の動画が効く理由

スマートフォンの動画から来店・購入につながる流れを示すフラットイラスト

経済産業省が2025年8月に公表した「令和6年度電子商取引に関する市場調査」によると、2024年の国内BtoC-EC市場規模は26兆1,225億円(前年比5.1%増)、うち物販系分野は15兆2,194億円(同3.7%増)に達した。ネットで買える選択肢は年々増え続けている。

こう聞くと「ECが伸びるほど実店舗は不利になる」と感じるかもしれないが、私たちの見方は逆だ。何でもネットで買える時代だからこそ、消費者はスマートフォンの中で「行く価値のある店」を先に見極めてから足を運ぶようになっている。店内の雰囲気や店主の人柄、商品の質感が伝わる動画は、EC化が進む世の中で実店舗を選んでもらうための、いわば来店前の「下見」の役割を果たす。以下に、小売店で反応が取れやすい動画の種類と、尺・向いている媒体の目安を整理する。

動画の種類 尺の目安 向いている媒体
新入荷・季節商品の紹介 15〜30秒 TikTok・Instagramリール
商品の使い方・着こなしデモ 20〜40秒 Instagram・YouTubeショート
店主・スタッフの人柄 20〜40秒 Instagram・YouTube
店内・陳列の雰囲気 15〜30秒 Googleビジネスプロフィール・Instagram

実際に何を撮ればいいか
——小売店ならではの企画例

湘南の小さなアパレルショップでスタッフが商品を紹介する様子をミラーレスカメラで撮影する制作者

小売店の動画で私たちが特に反応を感じるのは、商品そのものより「その商品が店主やスタッフの手を通ったとき」の場面だ。雑貨店なら仕入れたばかりの商品を棚に並べる手元、アパレルショップなら店員が実際に袖を通して着こなしを見せる瞬間、農産物の直売所なら朝どれの野菜を並べる様子——どれも台本なしで自然に撮れる素材ばかりだ。

  • 新商品・入荷速報:箱を開けて棚に並べるまでの一連の流れ
  • 使い方・コーディネート提案:実際に使う/着る場面をそのまま見せる
  • 店主・スタッフ紹介:仕入れへのこだわりや接客への想いを短く語ってもらう
  • お客様とのやり取り:許可を得たうえで、常連客との自然な会話の一場面

私たちは呉服・アパレル・不動産・製造・教育など幅広い業種の映像制作に関わってきたが、業種を問わず共通して言えるのは「作り込みすぎた紹介動画」より「自然体の一場面」のほうが反応が良いということだ。撮影で常に意識しているのは、カメラの存在をできるだけ消すこと——目立たない場所にカメラを置き、スタッフに「カメラを意識させない自然体」を心がけてもらう。この自然さこそが動画で信頼を生む一番の近道だと、現場感覚として実感している。

こうした店舗の動画活用の考え方は、業種は違えど大磯の店舗がInstagramで集客するにはで扱った内容とも重なる部分が多いので、あわせて参考にしてほしい。Googleマップからの来店につなげたい場合はGoogleマップ(MEO)×動画で地域集客を強くするも参考になる。

無理なく続けるための実践ステップ

小売店が動画を無理なく続けるステップを表すフラットイラスト

動画というと特別な機材や編集スキルが必要に思えるが、小売店の場合はスマートフォン1台と自然光があれば十分に始められる。以下の順で進めてみてほしい。

  1. 自店の一番の強み(品揃え・接客・店内の雰囲気のどれか)を1つだけ決める
  2. 15〜30秒に収まる一場面をスマートフォンで撮影する
  3. Instagramリール・TikTok・Googleビジネスプロフィールなど反応が見える媒体に投稿する
  4. 週1本を目安に、3〜6か月は同じテーマで続けて反応を比較する

縦型・短尺のどの形式から手をつけるか迷う場合は、リールとショート、結局どっちを選ぶ?も参考にしてほしい。

よくある質問

Q. 商品数が少ない小さな店でもネタは続くか?

A. 続く。商品そのものより「店主・スタッフが商品を扱う場面」がネタになるため、品数の多さよりも撮る視点の工夫のほうが重要だ。

Q. 顔出しをしたくない場合はどうすればいいか?

A. 手元や商品のアップだけでも十分成立する。無理に顔を出す必要はなく、まずは手元の作業や陳列の様子から始めるとよい。

Q. どのSNSから始めればいいか?

A. 利用率の高いInstagram・YouTubeに加え、新規層への露出を狙うならTikTokも候補になる。まずは1つに絞って継続することをすすめる。

まとめ

総務省の調査が示す通り、動画を見るという行動は世代を問わず生活の一部になっている。そしてリンクアンドパートナーズの調査が示すように、動画は「買う予定のなかった人」を動かす力を持つ。経済産業省のデータが示すEC拡大の流れは、実店舗にとって逆風ではなく、動画で「行く価値」を伝えられる店が選ばれる時代への転換だと私たちは捉えている。

湘南のような顔の見える経済圏では、大きな予算をかけた宣伝映像よりも、店主やスタッフの自然な一場面のほうが強い説得力を持つ。まずは自店の一番の強みを1つだけ決めて、スマートフォンで15秒撮ってみることをすすめる。

どの一場面を切り取ればいいか迷ったときは、私たちのような制作者に一度相談してみてほしい。無理のない範囲で、続けられる動画活用の形を一緒に考えていきたい。

飲食店の販促に動画は効くのか|湘南の店が今日から使える活用法

湘南の飲食店の厨房で仕込みをする手元とそれをさりげなく撮影するカメラ

「動画を作れば飲食店も集客できると聞くが、うちのような小さな店で本当に効果があるのか」——湘南エリアで飲食店を営むオーナーと話していると、この疑問を投げかけられることが少なくない。

結論から言えば、動画は飲食店の販促に効く。ただし「動画を作れば何でも効く」わけではなく、効くのは消費者が普段から見ている動画の文脈に合った動画だけだ。宣伝色の強い作り込んだCM風の映像は、むしろ見向きもされないことが多い。

この記事では、飲食店のSNS活用に関するアンケート調査と、動画視聴という行動そのものがどれだけ社会に根づいているかを示す公的統計という2つの一次データから「動画は本当に効くのか」を検証したうえで、飲食店で実際に反応が取れる動画の中身と、無理なく続けるための始め方までを制作者の視点で解説する。

  • 結論:動画は飲食店の販促に効くが、「効果を実感できるかどうか」はSNSをやっているかどうかより中身で分かれている
  • 飲食店経営者の79.1%がInstagramを活用する一方、効果を実感しているのは48.3%にとどまる(飲食店ドットコム調査)
  • YouTubeの利用率は81.5%、TikTokも36.7%に達し、動画視聴はもはや一部の若年層だけの習慣ではない(総務省調査)

飲食店経営者が「動画は本当に効くのか」と迷う理由——SNS活用と効果実感のギャップ

飲食店ドットコム(株式会社シンクロ・フード運営)が2024年5月15日〜20日に飲食店経営者・運営者393名(72%が1店舗運営、東京49.9%・首都圏67.3%)を対象に実施した調査によると、SNSでは「Instagram」が79.1%と最も多く活用されており、実に98.6%の飲食店が何らかの形で自店のSNSを運用している。集客・認知拡大の手段として、ほぼ全ての飲食店がすでにSNSに取り組んでいるという状況だ。

ところが同じ調査で、Instagram運用によって集客・認知拡大の効果を実感していると答えたのは48.3%にとどまる。8割近い飲食店がSNSを運用していながら、効果を実感できているのは半分に満たない——このギャップこそが「動画は本当に効くのか」という疑問の正体だと私たちは見ている。運用していないから効かないのではなく、運用していても中身が伴っていないケースが多いということだ。それでも52.5%が「さらに注力したい」と回答しており、多くの飲食店が可能性自体は感じていることも分かる。

消費者は動画を「見て終わり」にしていない——動画視聴という習慣そのものの広がり

SNS活用率と効果実感のギャップを表すフラットイラスト

総務省情報通信政策研究所が2026年6月26日に公表した「令和7年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によれば、YouTubeの利用率は全年代で81.5%、TikTokも36.7%、Instagramは54.8%に達している。動画共有サービスは、もはや若年層だけが使う特別なメディアではなく、幅広い世代の生活に溶け込んだ日常的な情報収集の入り口になっている。

この数字が意味するのは、飲食店を探す・選ぶという行為自体が、検索窓に文字を打ち込むだけでなく、動画を眺めながら「気になる店」を見つけていく行動に置き換わりつつあるということだ。メニューの写真を並べただけのプロフィールと、実際に厨房や店内の空気が伝わる動画があるプロフィールとでは、見た瞬間の説得力がまるで違う。

以下に、飲食店で反応が取れやすい動画の種類と、尺・向いている媒体の目安を整理する。

動画の種類 尺の目安 向いている媒体
仕込み・調理の手元 15〜30秒 TikTok・Instagramリール
看板メニューの紹介 15〜30秒 TikTok・YouTubeショート
店主・スタッフの人柄 20〜40秒 Instagram・YouTube
店内の雰囲気・空気感 15〜30秒 Googleビジネスプロフィール・Instagram

「効く動画」と「なんとなく続けている動画」の違い

湘南の飲食店で料理を自然な様子で盛り付けるスタッフ

SNS運用率と効果実感のギャップを踏まえると、飲食店の動画で分かれ目になるのは「何を撮るか」より「どう撮るか」だと私たちは考えている。宣伝としてきれいに作り込んだ紹介映像より、仕込み中の手元や、常連客とのちょっとしたやり取りをそのまま切り取った映像のほうが、見る側の反応は良い傾向にある。

私たちが撮影で常に意識しているのは、カメラの存在をできるだけ消すことだ。目立たない場所にカメラを置き、スタッフに「カメラを意識させない自然体」を心がけてもらう——現場感覚として、この自然さこそが動画で信頼を生む一番の近道だと感じている。宣伝然としたカット割りより、普段どおりの一場面のほうが結果的に見られる、というのが私たちの実感だ。

効きにくい動画の共通点

逆に反応が伸びにくいのは、テロップと音楽で作り込みすぎたCM風の動画や、料理を一切見せずに店主の説明だけで終わる動画だ。消費者は動画に「情報」だけでなく「その場の空気」を求めている。

こうした短尺動画での集客の考え方は、業種は違えど美容室・サロンがショート動画で新規客を増やすにはで扱った内容とも重なる部分が多いので、あわせて参考にしてほしい。Googleマップからの来店につなげたい場合は、Googleマップ(MEO)×動画で地域集客を強くするも参考になる。

無理なく続けるための実践ステップ

スマートフォンの動画から来店につながる流れを示すフラットイラスト

動画というと特別な機材や撮影スキルが必要に思えるが、実際に必要な工程はシンプルだ。以下の順で進めれば、スマートフォン1台からでも始められる。

  1. 自店の一番の強み(メニュー・仕込み・接客のどれか)を1つだけ決める
  2. 15〜30秒に収まる一場面をスマートフォンで撮影する
  3. TikTok・Instagramリール・Googleビジネスプロフィールなど反応が見える媒体に投稿する
  4. 週1本を目安に、3〜6か月は同じテーマで続けて反応を比較する

動画をどこでどう使うか全体像を先に整理しておきたい場合は、作った動画、どこでどう使う?活用先マップ【完全版】も参考にしてほしい。

よくある質問

Q. 動画は毎日投稿しないと効果が出ないのか?

A. 毎日投稿する必要はない。週1本を目安に3〜6か月続け、反応の出るテーマを見極めるほうが優先度が高い。

Q. 撮影機材にお金をかけたほうがいいのか?

A. 最初の一本はスマートフォンの手持ち撮影で十分だ。機材より、普段の一場面を自然体で撮ることのほうが反応に直結する。

Q. どのSNSから始めればいいか?

A. 利用率の高いYouTube・Instagramに加え、若年層への新規リーチを狙うならTikTokも候補になる。まずは1つに絞って継続することをすすめる。

まとめ

飲食店ドットコムの調査が示すように、8割近い飲食店がすでにSNSに取り組みながら、効果を実感できているのは半分に届いていない。一方で総務省の調査が示す通り、動画を見るという行動そのものは世代を問わず生活の一部になっている。動画は効くか効かないかではなく、消費者が普段見ている動画の文脈に合わせられるかどうかで結果が分かれる、というのが私たちの見立てだ。

湘南のような顔の見える経済圏では、店の宣伝文句よりも、現場のありのままの空気のほうが強い説得力を持つ。まずは自店の動画が「見せるための映像」になっていないか、普段の一場面をそのまま撮れているかを振り返ることをすすめる。

どの一場面を切り取ればいいか迷ったときは、私たちのような制作者に一度相談してみてほしい。無理のない範囲で、続けられる動画活用の形を一緒に考えていきたい。

Googleマップ(MEO)×動画で地域集客を強くする|湘南版

湘南の商店街で地図アプリを確認する人物の手元とスマートフォン

「Googleマップで検索されて、お店の候補には出てきているはずなのに、来店にはなかなかつながらない」——湘南エリアの店舗のオーナーと話していると、この悩みを聞く機会が増えている。

結論から言えば、Googleマップでの集客(MEO対策)は、いま「地図に表示される」段階から「地図の中で選ばれる」段階に移りつつあり、その決め手のひとつが動画だ。写真だけを並べたプロフィールと、動画を1本でも置いたプロフィールとでは、検索した瞬間に伝わる情報量がまるで違う。

この記事では、動画がいまマーケティング全体でどれほど主役になっているかを一次データで押さえたうえで、Googleビジネスプロフィール(GBP)での具体的な動画の使い方、業種別の実践例、無理なく続けるための導入ステップまでを、制作者の視点で解説する。

  • 結論:MEO対策は「地図に出る」から「地図で選ばれる」段階に入っている
  • 2025年の動画広告費は初めて1兆円を突破し、SNS経由の購入でも動画広告が2年連続で最多の転換率を記録している
  • Googleビジネスプロフィールへの動画投稿はまだ実践する店舗が少なく、差別化の余地が大きい

なぜ今、MEO対策に動画が効くのか——市場全体で動画が主役になっている

電通デジタル・CARTA HOLDINGS・電通・セプテーニの4社が2026年3月5日に発表した「2025年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」によれば、2025年の動画広告費は前年比21.8%増の1兆275億円となり、推定開始以降で初めて1兆円を突破、構成比も30%を超えた。動画はもはや「見てもらえたら儲けもの」の広告手法ではなく、消費者が最初から見る前提で接触するメディアになっている。

この流れは購買行動にもはっきり表れている。株式会社PRIZMAが2025年5月15日〜16日に621名(Z世代・Y世代・X世代各約200名、SNS広告での購入経験者が対象)に実施した調査では、「SNS広告経由で商品を購入する場合、どの広告形式からの購入が多いか」という設問で「動画広告」が52.5%と最多となり、2年連続でトップだった。テキストや静止画の広告よりも、動きと音のある情報のほうが購買の最後のひと押しになりやすい傾向が定着していると見ていい。

Googleマップで店を探す行為も、検索の一種であることに変わりはない。地図アプリの検索結果に並んだ瞬間、動画があるかどうかで与える印象が変わるのは自然な流れであり、この「動画が主役」という消費者行動の変化は、GBPのプロフィールにもそのまま当てはまると私たちは考えている。

Googleビジネスプロフィールで動画をどう使うか——投稿の実務

地図ピンと動画再生ボタンを組み合わせたMEO対策のフラットイラスト

GBPには写真とは別に動画を直接アップロードする機能があり、複数本を並べて投稿できる。実務としては、30秒前後に収めた短い動画を複数本用意し、随時差し替えながら投稿していくのが現実的だ。

矢野経済研究所が2025年9月16日に発表した調査によれば、国内MEO市場の規模は2024年度に108億円(前年度比121.1%)、2025年度は127億円(同118.0%)に達する見込みで、2028年度には196億円規模まで拡大すると予測されている。中小企業や個人店舗での導入拡大が成長要因の一つに挙げられており、GBPを「やって当たり前」にする店舗が増えるほど、写真だけのプロフィールとの差はつきにくくなる。だからこそ、動画という一手間をかけられるかどうかが選ばれる理由になる。

写真だけのプロフィールとの違い

写真は静止した一瞬しか伝えられないが、動画は店内の空気感やスタッフの動き、接客の間合いまでそのまま伝わる。検索結果の一覧でサムネイルが動いて見えるだけでも目を引きやすく、プロフィールに滞在する時間が延びれば、来店や電話問い合わせにつながる可能性も高まる。

以下に、GBPで使いやすい動画の種類と目安を整理する。

動画の種類 尺の目安 GBPでの使い道
店内・外観紹介 15〜30秒 初めて来店する人の不安を減らす基本コンテンツ
商品・メニュー紹介 15〜30秒 実際に選ばれている理由を見せる
スタッフ・店主紹介 20〜30秒 「誰がやっているか」を伝え信頼をつくる

業種別に見る、動画が効くMEO活用の場面

湘南の飲食店の厨房で自然な様子を撮影するカメラ

飲食店であれば、厨房で仕込みをする手元や、常連客とのやり取りの一瞬をそのまま切り取るだけで、地図で他の店と並んだときに「この店は本当にやっている」という説得力が生まれる。小売店でも、店主が商品を選ぶ理由を自分の言葉で語る姿は、テキストの説明文よりもずっと信頼を作りやすい。

私たちが現場で撮影するときにいつも意識しているのは「カメラの存在を消す」ことだ。目立たない場所にカメラを置き、スタッフや店主にカメラを意識させすぎない——この自然体の空気をそのまま拾うことが、地図で他の店と並んだときの説得力につながると、私たちの経験では感じている。

クリニックや治療院のような業種は医療広告規制との兼ね合いに注意が必要だが、院内の清潔感やスタッフの雰囲気を伝える程度であれば、MEO対策としても十分機能する範囲だと考えている。こうした地域密着型のSNS活用は、湘南・大磯のSNS集客術|地域ブランドで選ばれる中小企業になる方法や、大磯の店舗がInstagramで集客するには|保存される店になる方法でも取り上げているので、あわせて参考にしてほしい。

MEO動画を無理なく続けるための導入ステップ

検索から来店までの流れを示すフラットイラスト

動画というと身構えてしまう店主も多いが、実際に必要な工程はシンプルだ。以下の順で進めれば、特別な機材がなくても始められる。

  1. 自店がどんなキーワードでGoogleマップに検索されているかを確認する
  2. その検索意図に合う30秒以内の場面を1つ決める(店内風景・商品・スタッフのどれか)
  3. スマートフォンを手持ちかスマホ用ジンバルで固定して撮影する
  4. GBPに直接投稿し、3〜6か月を目安に少しずつ本数を増やしながら継続する

動画の活用先そのものをもっと広く知りたい場合は、作った動画、どこでどう使う?活用先マップ【完全版】も参考になる。

よくある質問

Q. Googleビジネスプロフィールの動画は何秒くらいが良いか?

A. 30秒前後で一つの場面に絞るのが基本だ。長尺の動画はYouTubeなど別の置き場所に置き、GBPにはそこから抜き出した短い一場面を使うとよい。

Q. 動画を投稿すれば検索順位は上がるのか?

A. 動画投稿そのものが順位を直接上げると公式に明言されているわけではないが、プロフィールの滞在時間やクリックといった間接的な指標の改善は期待できる。まずは「順位」より「選ばれるプロフィールになる」ことを目的にするのがすすめだ。

Q. 撮影のハードルが高く感じる場合はどうすればいいか?

A. スマートフォンの手持ち撮影で十分だ。最初の一本は、仕込みや接客といった普段どおりの一場面を1つ切り取るだけで構わない。

まとめ

動画広告費が初めて1兆円を突破し、SNS経由の購入でも動画広告が最も選ばれる形式になっている以上、この流れはGoogleマップの検索行動にも及んでいると見るべきだ。MEO市場自体が中小企業・個人店舗への広がりで伸びている今、GBPへの動画投稿はまだ実践する店舗が少なく、差別化の余地が大きい。

湘南のような顔の見える経済圏では、現場の自然な空気や店主の言葉こそが、他店との違いになる。まずは自社のGoogleマップ上のプロフィールに動画が1本もない状態かどうかを確認することをすすめる。

どの場面を撮ればいいか迷ったときは、私たちのような制作者に一度相談してみてほしい。無理のない範囲で、続けられる動画活用の形を一緒に考えていきたい。

建設業の採用難は動画で変えられるか|求人倍率7倍時代の打ち手

湘南の建設現場で採用動画を撮影する様子

「求人を出しても、現場系の応募がまったく来ない」——平塚・大磯エリアの建設会社の経営者と話していて、この悩みを聞かない月はない。求人サイトに載せても、折り込みチラシを増やしても、反応が薄いという声が続いている。

結論から言えば、採用動画は応募数そのものを保証する魔法の道具ではない。だが、「応募する前に会社と現場を正しく理解してもらう」という、採用活動でいちばん抜け落ちやすい工程を埋めることはできる。文字と写真だけの求人情報では伝わらない、現場の空気や人の表情は、動画でしか渡せない情報だからだ。

この記事では、建設業の採用難がどれほど深刻なのかを統計で確認したうえで、採用動画がなぜ効くのか、何を撮ればいいのか、費用感はどれくらいかを、湘南で撮影と編集の現場に立つ制作者の視点から解説する。

  • 建設躯体工事従事者の有効求人倍率は7倍台(2026年1月時点)で、全職業平均の6倍超の水準にある
  • 採用動画の役割は「応募数を増やす」こと以上に「ミスマッチを減らし、応募後の歩留まりを上げる」ことにある
  • 3Kイメージの払拭には、作り込んだイメージCMより現場をそのまま見せる密着型が向いている

建設業の採用難——数字で見る現在地

まず、建設業の人手不足がどの水準にあるのかを数字で押さえておきたい。厚生労働省の職業安定業務統計によると、建設躯体工事従事者の有効求人倍率は2026年1月時点で7.48倍に達している。全職業計の有効求人倍率が1.14倍であることを踏まえると、実に6倍超の開きがある水準だ。求職者1人に対して求人が7件以上ある計算で、選ぶのは会社ではなく求職者の側になっているということになる。

国土交通省が実施している「建設労働需給調査」(令和8年5月調査)でも、全国8職種の過不足率は1.2%の不足となり、前月・前年同月からさらに不足幅が拡大したと報告されている。景気の波はあっても、建設業の人手が構造的に足りない状態が続いていることが、複数の統計から裏付けられている格好だ。

この数字が意味するのは、求人票の見た目を多少整えたところで応募が急増するような状況ではない、ということだ。求職者に選ばれる側に回るためには、会社の中身そのものを、応募前の段階でどれだけ正確に伝えられるかが勝負になる。

なぜ動画が「採用の入り口」を変えるのか

建設業には長年、「きつい・汚い・危険」という3Kのイメージが根強く残っている。求人票の文章だけでこのイメージを覆すのは難しい。だが動画なら、実際の現場の安全対策、休憩時間の雰囲気、先輩と若手のやり取りといった、言葉にすると陳腐になりがちな情報を、そのままの温度で見せることができる。

動画制作会社moovyが公開している採用動画の事例集では、第一工業株式会社が採用動画を活用した結果、スカウトメールへの返信率が上昇し、内定承諾率も伸長したと報告されている。数字の規模は企業ごとに違うだろうが、「応募・内定という意思決定の手前で動画が背中を押した」という構図は、建設業に限らず共通する動きだと見ていい。

現場を知る私たちから見ると、採用動画で失敗しやすいのは、モデルのような若手を立てて綺麗に撮りすぎるケースだ。求職者は演出された映像を見抜く。私たちの撮影チームでは、常に目立たない場所にカメラを置き、「カメラを意識させない自然体」を意識して撮る——という経験則を持っているが、これは会社紹介動画だけでなく採用動画でも同じことが言える。作り込みすぎない現場の空気こそが、応募者の警戒心を解く。


効果が出やすい採用動画の型

建設業の人手不足を表す図解

建設業の採用動画には、いくつかの型がある。会社の規模や採用したい人物像によって、向き不向きが分かれる。以下に代表的な型を整理する。

内容 向いている会社
1日密着ドキュメンタリー型 朝礼から退勤までを追い、現場のリアルな1日を見せる 職場の雰囲気の良さを伝えたい会社
若手社員インタビュー型 入社2〜3年の若手に本音で語ってもらう 未経験者・若年層を採用したい会社
技術・こだわり紹介型 職人技や施工へのこだわりを見せる 専門性の高い即戦力人材を採用したい会社

表の中で特に反応が良いのは、若手社員インタビュー型だ。求職者と年齢の近い先輩が、入社前の不安と入社後の実感を自分の言葉で話す映像は、求人票のどんな文言よりも説得力を持つ。

制作の進め方——小さく始めて構わない

建設現場の若手社員にインタビューする様子

採用動画と聞くと大掛かりな撮影を想像しがちだが、最初から映画のような映像を目指す必要はない。むしろ建設業の採用動画は、以下のような手順で小さく始めるほうがうまくいくことが多い。

  1. 採用したい人物像のヒアリング(未経験者か、経験者か)
  2. 登場してもらう社員の選定と簡単な質問リストの用意
  3. 現場での撮影(半日〜1日が目安)
  4. 編集・テロップ入れ・求人媒体向けの尺調整

費用の相場については別記事「動画制作の費用相場【完全ガイド】」で種類別・尺別に整理しているので、予算感を確認したい場合はそちらも参照してほしい。採用動画そのものの目的や基本設計については「採用動画とは?応募が増える理由と費用・作り方」でも詳しく解説している。

なお、動画は採用サイトに載せるだけでなく、SNSでの発信と組み合わせることでさらに接触機会が増える。湘南エリアの工務店がSNSでどう選ばれる会社になっているかは「湘南の工務店がSNSで「選ばれる会社」になるには」にまとめている。

よくある質問

Q. 採用動画を作れば応募は本当に増えるか?

A. 動画単体で応募数の増加を保証するものではない。ただし、応募前に企業理解を深める効果は複数の事例で報告されており、応募後のミスマッチ・早期離職を減らす方向に働きやすい。

Q. 予算をかけられない小規模な会社でもできるか?

A. できる。若手社員インタビュー型であれば、スマートフォンと簡単な質問リストだけで撮影できる。作り込みすぎない自然な映像のほうが、求職者の信頼を得やすい。

Q. 何人くらいの会社から採用動画を検討すべきか?

A. 人数の目安は特にない。求人媒体だけで応募が集まりにくいと感じ始めた時点が、検討を始める適切なタイミングだ。

まとめ

建設躯体工事の有効求人倍率が7倍を超える今、求人票の文言を磨くだけでは応募は増えない。求職者が本当に知りたいのは、現場の空気と、そこで働く人の表情だ。

採用動画は、その情報を応募前の段階で渡すための手段にすぎない。大掛かりな企画書は要らない。まずは自社の何を見せれば求職者の不安が減るのかを、社内で言語化することから始めることをすすめる。

その言語化の段階からで構わないので、私たちのような制作者に一度相談してみるのも一つの手だ。何を撮るべきかの整理だけでも、次の一歩が見えてくるはずだ。

美容室のショート動画集客術|湘南・平塚で新規客を増やす

明るい美容室でスマホの縦動画を撮影する美容師

「インスタもTikTokも始めてみたが、フォロワーは増えても予約にはつながらない」——平塚や大磯で美容室・サロンを営むオーナーから、私たちがよく聞く悩みだ。ショート動画が集客に効くらしいとは聞くものの、何をどう撮れば新規のお客さまが来てくれるのか、手応えがつかめないままの店は少なくないはずだ。

結論から言えば、美容室のショート動画は「新しいお客さまに知ってもらう入口」としてよりも、「予約する前に、この人に、この店に会いに行きたいと思わせる場面」で効く。ここを取り違えて、ただバズを狙った動画を投稿し続けても、予約にはつながりにくい。

この記事では、美容業界の最新調査データで新規客のリアルな動きを確認したうえで、ショート動画が本当に効く場面と、湘南の小さなサロンが明日から撮れる具体的な中身を、制作者の視点から解説する。

  • 結論:ショート動画は「知る入口」より「予約前にこの人に会いたいと思わせる」場面で効く
  • 美容センサスでは20代女性がサロンを知るきっかけはSNS6.9%に対し予約・口コミサイトが39.5%と約6倍
  • 勝ち筋は凝った作品より「スタッフの人柄と店の空気を、自然体で見せる」こと

まず現実を見る——お客さまは本当に「SNSで美容室を知る」のか

意外に思われるかもしれないが、若い世代でも美容室を知るきっかけはSNSより予約・口コミサイトのほうがずっと太い。リクルートのホットペッパービューティーアカデミーが実施した「美容センサス2026年上期」によると、20代女性が通っている美容室を知ったきっかけは「予約・口コミサイト」が39.5%で最多だったのに対し、「SNS」は6.9%にとどまった。その差は約6倍だ。SNSと共に育ったはずの15〜19歳女性でも、予約・口コミサイト30.0%に対しSNSは9.4%だった(美容センサス2026年上期<美容室編>、リクルート調べ)。

この数字は、ショート動画に力を入れる意味がないという話ではない。同調査は、SNSが「ブランドイメージづくりや、日々の作品発信、スタイリストの人柄を伝える場としてかけがえのない存在」である一方、「知ってもらう入口としては、予約・口コミサイトのほうがずっと太い」と結論づけている。つまり、SNSとショート動画の役割は入口そのものではなく、その先にあるということだ。

ショート動画が本当に効くのは「予約直前の見極め」

では、ショート動画はどこで効くのか。答えは「見つけたあと、予約する前の見極め」の瞬間だ。予約サイトや検索で気になる店を見つけたお客さまは、決める前に必ずと言っていいほどInstagramやTikTokをのぞく。そこで店の空気やスタッフの雰囲気が伝われば「ここにしよう」となり、何も出てこなければ候補から静かに外れる。総務省の令和7年通信利用動向調査でも、インターネット利用目的のうち「SNSの利用」は82.3%と最も高い(総務省、2025年)。お客さまは、予約ボタンを押す前に必ずそこにいる。

この見極めの場面で効くのは、凝った作品動画ではない。スタッフがどんな人か、店がどんな空気かが、飾らずに伝わる映像だ。動画そのものの市場も追い風にある。サイバーエージェントとデジタルインファクトの調査では、2025年の国内動画広告市場は8,855億円で前年比122%成長、2029年には約2倍の1兆6,336億円に達すると予測されている(サイバーエージェント・デジタルインファクト調べ、2025年)。動画で情報を得て意思決定する習慣は、美容室選びでも完全に定着している。

「作品」より「人柄」——自然体をどう撮るか

私たちが撮影の現場で最も大切にしているのは、伝えたいことをできるだけ自然体で伝えることだ。撮影チームでは、カメラをあえて目立たない場所に置き、被写体にカメラを意識させないことを常に意識している。構えたカメラの前で作り込んだ笑顔より、施術中にふとこぼれる自然な表情のほうが、画面の向こうのお客さまの心を動かす。美容室のショート動画で「この人に会いたい」と思わせる正体は、この自然体にある。

スマホのショート動画に惹かれて来店を決める様子を表す図解

何を撮ると、何に効くのか——サロン向けショート動画の早見表

やみくもに撮る前に、コンテンツの種類ごとに「何に効くか」を整理しておきたい。以下に、美容室のショート動画でよく使う4パターンを、主に効く場面と撮り方のポイントとともにまとめる。

撮る内容 主に効く場面 撮り方のポイント
ビフォーアフター 技術力の証明・保存されやすい 変化を1カットで見せ、最初の1秒で結果を出す
スタッフの人柄・日常 「この人に会いたい」と思わせる カメラを意識させず、自然な表情を撮る
店内の雰囲気・こだわり 来店前の不安をなくす 明るい時間帯に、席や内装の空気ごと
ヘアケアの豆知識 保存・フォロー獲得 30秒で1テーマ、役立つ情報を1つだけ

4種すべてを毎回やる必要はない。まずは「スタッフの人柄」と「店内の雰囲気」——予約前の見極めに直結する2つから始めるのが、湘南の小さなサロンには現実的だ。ショート動画そのものの基本を押さえたい場合はSNS用ショート動画とは? TikTok・リール・ショートの違いと活用法もあわせて読んでほしい。

湘南のサロンが明日から始める3ステップ

難しく考えず、次の順番で始めれば十分だ。

  1. 既存客の年代でプラットフォームを決める(30〜40代中心ならInstagramのリール、10〜20代中心ならTikTokから)
  2. まずは「スタッフ紹介」と「店内の空気」を、スマホの縦動画で週1本ずつ撮る
  3. プロフィールと各投稿に、平塚・大磯など地域名と最寄り駅、予約リンクを必ず入れる

湘南は、海辺の光や地域の空気そのものが画になるエリアだ。店の外観や近隣の風景を少し差し込むだけで、地元のお客さまには「近所のあの店だ」という親近感が生まれる。どのプラットフォームから始めるか迷う場合はYouTubeとTikTok、中小企業はどっちから始める?目的別の選び方が判断の助けになる。私たちも企業案件のTikTok運用で、初月100万再生、3か月連続で月300万再生以上(2023年4〜6月)を出した経験があるが、そこで効いたのもやはり、飾らずに人と現場を見せることだった。

カメラを意識させず自然体で施術する美容師と客の様子

内製で続けるか、節目だけプロに頼むか

日々のショート動画は、スマホで店のスタッフが撮るのが一番いい。撮る人と撮られる人の距離が近いほど自然体が引き出せるし、投稿の鮮度も保てるからだ。無理に外注して更新が止まるより、内製で細く長く続けるほうが、予約前の見極めには効く。

一方で、開店・リニューアル・周年といった節目に使う店の顔になる1本や、撮り方の型づくりの最初だけは、プロの手を借りる価値がある。日々は内製、節目は外注というハイブリッドが、費用を抑えつつ質を落とさない現実解だ。湘南エリアでのSNS集客の全体像は湘南・大磯のSNS集客術|地域ブランドで選ばれる中小企業になる方法でも整理している。

ショート動画のコンテンツ種類が予約につながる流れの図解

よくある質問

Q. フォロワーが少なくても新規客は増えますか?

A. 増える。ショート動画はフォロワー数よりも、1本ごとの内容が刺さるかどうかでおすすめ表示に乗る仕組みだ。フォロワーゼロからでも、地域名と人柄がはっきり伝わる動画は、近隣の見込み客に届く。

Q. InstagramとTikTok、どちらから始めるべきですか?

A. 既存客の年代で決めるのが失敗しない。30〜40代が中心ならInstagramのリール、10〜20代が中心ならTikTokから始めるとよい。両方を無理に同時運用せず、まず片方に絞る。

Q. 撮影は自分たちでやるべきですか、外注すべきですか?

A. 日々の投稿は内製、節目の1本は外注、が基本だ。毎日の自然体はスタッフにしか撮れない。開店・周年などの顔になる動画や、最初の型づくりだけプロに頼むと、費用対効果が高い。

まとめ

美容室のショート動画は、新規のお客さまに知ってもらう入口ではなく、予約する前に会いたいと思わせる場面で効く。美容センサスが示すとおり、知るきっかけは今も予約・口コミサイトが太い。だからこそ、そこで見つけたお客さまが最後に背中を押される場所として、SNSの動画が生きてくる。

凝った作品を目指す必要はない。スタッフの人柄と店の空気を、飾らず自然体で見せること——それが湘南の小さなサロンにとって、一番の武器になる。まずはスタッフ紹介と店内の様子を、週1本ずつスマホで撮ることから始めることをすすめる。

何をどう見せれば自分の店の魅力が伝わるか迷ったら、私たち制作者と一緒に、その見せ方を言葉にするところから始めてほしい。

工場見学動画が営業を変える|平塚・湘南の製造業BtoB戦略

湘南の工場でジンバル付きミラーレスカメラを構え製造ラインを撮影するビデオグラファー

「展示会で名刺は集まるのに、そこから商談が進まない」「遠方の見込み客に、工場の雰囲気や品質管理の様子をどう伝えればいいのか分からない」——平塚や大磯の製造業の経営者・営業担当者から、私たちがよく聞く悩みだ。パンフレットや口頭説明では、現場の空気感までは伝わらない。かといって、商談のたびに先方を工場へ招くわけにもいかない。そんなもどかしさを抱えている人は少なくないはずだ。

結論から言えば、工場見学動画は「現場を見せられない」という製造業の営業の壁を壊す、いま最も費用対効果の高い武器のひとつだ。BtoBの購買担当者が商談前に動画で情報収集を済ませるのが当たり前になった今、工程・品質管理・人の顔が見える動画を持っているかどうかで、商談の入り口の説得力が変わる。

この記事では、BtoBバイヤーの行動変化を最新の調査データで確認したうえで、工場見学動画が営業のどの壁を壊すのか、そして発注前に押さえておきたい作り方の勘所を、現場を知る制作者の視点から解説する。

なぜ今、工場見学動画が営業の武器になるのか——
BtoBバイヤーの行動変化

まず押さえておきたいのは、BtoBの購買担当者もひとりの生活者として、動画を見て意思決定する習慣がすでに定着しているという事実だ。動画マーケティングの実態を12年連続で調査しているWyzowlの「State of Video Marketing 2026」によると、動画を活用しているマーケターの83%が「動画によって売上が直接増加した」と回答し、85%が「リード獲得に役立った」と答えている。単発の成功事例ではなく、長期的に積み上がった傾向として、動画が営業成果に直結するという結果だ。

日本国内のBtoB企業でも同様の傾向が確認できる。動画制作サービスを提供するアルファノート株式会社が2026年6月にBtoB企業の担当者500名を対象に実施した調査では、動画マーケティングの活用で「効果があった」と回答した企業が60.6%にのぼった(「期待以上の効果があった」14.0%、「ある程度の効果があった」46.6%の合計)。これは特別なノウハウを持つ大企業だけの数字ではなく、動画を導入したBtoB企業の半数超が体感している効果だと捉えるべきだろう。

1本の動画が展示会・営業商談・採用サイトへと枝分かれして活用される様子を表した図解

制作者としてこの数字を読むと、示唆はシンプルだ。商談の前段階で、購買担当者はすでに動画で情報収集を終えている可能性が高い。そこに工場の中身を見せる動画があるかないかで、初回商談に臨む先方の理解度と信頼感は大きく変わってくる。動画そのものの目的や種類の基礎は企業PR動画とは? 目的・効果・費用をわかりやすく解説で整理しているので、あわせて参考にしてほしい。

工場見学動画が壊す、製造業の営業の「壁」

製造業の営業には、他業種にはない固有の壁がある。ひとつは「現場を見せなければ伝わらない」壁だ。設備の精度、検品の丁寧さ、工場内の整理整頓——こうした品質の裏づけは、写真や言葉だけでは実感として届きにくい。もうひとつは「距離」の壁だ。遠方の見込み客や、多忙な決裁者を毎回工場に招くのは現実的ではない。工場見学動画は、この二つの壁を同時に崩す。

展示会ブースでの「一次接触」を強くする

展示会は短時間で多くの来場者と接点を持てる場だが、ブースでの口頭説明だけでは、その場を離れた瞬間に記憶が薄れてしまう。工場見学動画をブースのモニターで流しておけば、足を止めた来場者は数十秒で「どんな会社か」を体感でき、名刺交換後のフォローメールに動画リンクを添えれば、商談前の温度感を保ったまま次のアポイントにつなげやすい。

初回商談を「品質の説明」から「条件のすり合わせ」へ進める

初めての取引先との商談では、まず品質管理体制や生産キャパシティへの疑問に答えることに時間を使いがちだ。工場見学動画を商談資料に組み込んでおけば、その説明の多くを事前に済ませられる。商談の場では、価格や納期といった具体的な条件のすり合わせに時間を割けるようになる——これは、限られた商談機会を最大化したい中小製造業にとって小さくない効果のはずだ。

明るい商談スペースでノートパソコンの工場見学動画を見ながら打ち合わせをする営業担当者と取引先

採用にも効く、工場見学動画の副次効果——
人手不足時代の一石二鳥

工場見学動画には、営業以外にもうひとつ見逃せない効果がある。採用への転用だ。帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2026年4月)」によると、正社員が不足していると感じている企業の割合は50.6%で、4月としては4年連続で半数を超えた。製造業の現場でも、人手不足は依然として重い経営課題であり続けている。

求職者が応募をためらう理由のひとつも、「現場がどんな雰囲気か分からない」という不安だ。営業用に撮影した工場見学動画は、機械の音、社員の表情、整えられた作業環境をそのまま伝えられるため、採用サイトや求人媒体に転用すれば応募のハードルを下げる材料にもなる。1回の撮影で営業と採用の両方に使い回せる点は、限られた予算で動画を検討する中小企業にとって現実的なメリットだ。採用動画そのものの費用感や作り方は採用動画とは? 応募が増える理由と費用・作り方を解説で詳しく解説している。

発注前に押さえておきたい、工場見学動画の作り方の勘所

効果の出る工場見学動画には、共通する「見せ方」がある。ここでは、私たちが現場で意識しているポイントを3つに絞って紹介する。

工程・人・品質管理の3視点をバランスよく入れる

設備や工程だけを淡々と映す動画は、見る側の記憶に残りにくい。原材料が製品になっていく工程の面白さに加えて、そこで働く人の表情、そして検品・品質管理の丁寧さの3つを織り交ぜることで、視聴者は「技術力」と「信頼できる会社かどうか」の両方を同時に感じ取れる。

配信先ごとに尺を変える

展示会ブースで流すなら1〜2分の要点版、Webサイトや商談資料に載せるなら3〜5分の詳細版、SNSでの認知拡大には数十秒のショート版——ひとつの素材から、配信先に応じて複数の尺に編集し分けるのが実務的だ。動画をどこでどう使うかの全体像は作った動画、どこでどう使う? 活用先マップ【完全版】にまとめている。


費用感は、撮影日数や編集の作り込みによって変わる。おおまかな相場観をつかんでおきたい場合はPR動画の制作費用の相場は?失敗しない見積もりの見方も参考にしてほしい。工場見学動画は、企業PR動画の一種として同程度の予算レンジで検討できることが多い。

製造ラインの工程アイコンと採用・営業それぞれに使われるアイコンをつなぐフラットデザインの図解

まとめ

工場見学動画は、展示会での一次接触を強くし、初回商談の説明時間を短縮し、遠方の見込み客にも現場の説得力を届ける。加えて、採用にも転用できる一石二鳥の投資だ。動画を活用したBtoB企業の6割超が効果を実感しているという調査結果は、この流れがもはや一部の先進企業だけのものではないことを示している。

平塚・大磯・湘南で工場を構える製造業の経営者には、まず自社の営業と採用、それぞれの現場でどんな「見せられない壁」があるかを言語化することをすすめる。壁の正体がはっきりすれば、動画で何をどう見せるべきかもおのずと見えてくるはずだ。

私たちも制作者として、湘南の地場企業の現場に何度も足を運んできた。工場見学動画を検討する際は、まず現場を知る者同士で話すところから始めてほしい。