
週末になれば、大磯には海を目当てにした人の流れがある。それなのに、自分の店の前は素通りされていく——大磯や平塚で店を営む方から、私たちはこんな相談をよく受ける。味にもサービスにも自信はある。足りないのは「知られること」だけ。そう感じている店主は多いはずだ。
結論から言えば、大磯のような小さな町の店舗こそ、Instagramが最も費用対効果の高い集客チャネルになる。理由は、いまの客が店を「検索」ではなく「発見」で見つけているからだ。偶然フィードで出会い、気になったら保存し、大磯に来るタイミングで保存リストから店を選ぶ。この「発見→保存→来店」の動線を作れるのが、Instagramというプラットフォームの本質だ。
この記事では、その裏づけになる最新の調査データを確認したうえで、保存される店になるためのアカウント設計、そして発見の入口になるリール(短尺動画)の使い方まで、現場を知る制作者の視点で解説する。
なぜ大磯の店舗にInstagramなのか——
客は「検索」ではなく「発見」で店を選んでいる
まず数字を見てほしい。ファストマーケティングがSNSで情報収集するZ世代(15〜29歳)360名を対象に実施した調査(2025年4月発表)によると、SNSや動画サイトを「なんとなく見ている」ときに気になる飲食店に出会う人は80.8%にのぼる。そして飲食店の情報収集に使うサービスの1位はInstagramで67.5%。YouTube(48.1%)やTikTok(46.1%)を引き離して最多だった。
利用者の裾野も広い。総務省の「令和6年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(2025年6月公表)では、Instagramの利用率は全年代で52.6%。若者だけのアプリではなく、国民の半数が使う生活インフラになっている。

この2つの数字が意味することはシンプルだ。大磯に来る前から、客は湘南のどこかでスマホを眺めながら、次に行く店と「偶然」出会っている。その偶然の出会いの場に自分の店が存在していなければ、比較の土俵にすら上がれない——これが2026年の店舗集客の現実だと、私たちは考えている。
「保存される店」が来店される——
フォロワー数より大事な指標
Instagram集客というとフォロワー数を追いがちだが、店舗にとって本当に重要な指標は「保存」だ。先ほどのファストマーケティング調査(2025年)では、気になる飲食店を見つけたとき、71.2%がInstagramのコレクションに保存すると答えている。あわせて61.1%はGoogleマップにも保存しており、「SNSで見つけて、地図アプリで行く」という二段構えが標準的な行動になっている。
保存とは「いつか行く店リスト」に入ることだ。大磯のように「わざわざ行く町」では、この保存の価値がとりわけ大きい。今日の来店にはつながらなくても、次に海へ行く週末、保存リストの一番上にあなたの店があるかどうかで、売上が変わる。
保存される投稿には条件がある。あとで見返す価値、つまり「情報」が入っていることだ。看板メニューと価格帯、営業日、駅や海からの距離。こうした実用情報を写真や動画とセットで載せた投稿は保存されやすい。プロフィールも同じで、位置情報・営業時間・予約導線を整え、ハイライトにメニューとアクセスをまとめておく。発見された瞬間に「行ける店」だと分かる状態にしておくことが、保存を来店に変える下地になる。
発見の入口はリール——
短い動画が新しい客を連れてくる
では、どうやって「発見」されるのか。入口になるのがリール(短尺動画)だ。同じ調査では、71.7%が短尺動画から情報収集をしており、75.0%が「テキストより画像・動画の方が効率的」と答えている。Instagramのアルゴリズム上も、リールはフォロワーの外へ届く数少ない手段で、静止画のフィード投稿が既存のファンに向けたものだとすれば、リールは新しい客との接点を作る営業マンにあたる。

むずかしく考える必要はない。カウンター越しに湯気の立つ一皿を15秒撮る。仕込みの手元を撮る。店から海までの道を歩いて撮る。大磯の店には、都会の店がどうやっても真似できない「画」が日常の中にある。撮り方の基本やリール・TikTok・ショートの使い分けはSNS用ショート動画とは? TikTok・リール・ショートの違いと活用法で整理しているので、最初の1本を撮る前に目を通してほしい。
ここで思い出してほしいのが、先ほどの「なんとなく見ているときに出会う」という80.8%の数字だ。リールは検索されて見られるものではなく、流れてきて見られるものだ。だからこそ最初の1秒で「おいしそう」「行ってみたい」と思わせる画づくりが勝負になる。この設計は私たちが映像の現場で毎日向き合っている技術でもある。
大磯ならではの戦い方——
観光の流れとローカルの日常、両方を取る
大磯の店舗には、他の町にはない強みがある。観光で訪れる人の流れと、地元で暮らす人の日常、2つの商圏が重なっていることだ。
観光客に向けては、位置情報と「大磯」「湘南」を含むハッシュタグを毎回つけ、海・松並木・旧道といった大磯らしい風景を投稿に混ぜる。「大磯 カフェ」で能動的に探す人と、湘南の風景リールから偶然たどり着く人、両方の入口を用意しておく。ロケーションそのものが持つ集客力については湘南ロケーションをビジネスに活かす|大磯・平塚で撮れる画の力でも詳しく書いた。
地元客に向けては、新メニューや季節の仕入れ、店主の顔が見える投稿を続けることで「町の行きつけ」としての信頼を積み上げる。派手なバズは要らない。大磯の商圏規模なら、地域の数千人に確実に知られることの方が、遠くの10万再生より売上に直結する。地域ブランドとして選ばれていく考え方は湘南・大磯のSNS集客術|地域ブランドで選ばれる中小企業になる方法にまとめている。
まとめ
大磯の店舗がInstagramで集客する道筋は、はっきりしている。客の8割がSNSを眺めながら店と出会い(ファストマーケティング調査・2025年)、7割がInstagramに保存し、地図アプリと併用しながら来店する。この行動に合わせて、リールで発見され、実用情報で保存され、整ったプロフィールで来店につなげる——この動線を作ることがすべてだ。
そして大磯の店には、海までの道、松並木、湯気の立つカウンターという、それ自体が絵になる日常がある。足りないのは素材ではなく、それを「見つけてもらえる形」にする設計だけだ。
次のステップとして、まず自分の店の「保存されそうな情報」を3つ書き出してみることをすすめる。看板メニュー、海からの距離、営業日。それがそのまま、最初に整えるべきプロフィールと最初のリールの台本になる。
「うちの店なら何を撮るべきか」を具体的に知りたければ、大磯・平塚の現場を歩いている制作者に聞くのが早い。私たちも無料相談を受け付けているので、アカウント設計の壁打ちからでも気軽に活用してほしい。