ルームツアー動画で内見を制する|湘南の不動産仲介活用術

湘南の賃貸物件でスタッフがスマートフォンとジンバルでルームツアー動画を撮影する様子

「内見の予約を入れたのに、当日連絡なくキャンセルされた」——湘南で賃貸仲介や管理を担当している人なら、一度はこういう経験があるのではないだろうか。遠方からの転勤・進学の問い合わせほど、この「来ない内見」が起きやすい。

結論から言えば、ルームツアー動画は内見前の比較検討を後押しする、いま費用対効果の高い一手だ。動画で先にふるいにかけてもらうことで、実際に足を運ぶ人の本気度が上がり、案内する側の手間も減っていく。

この記事では、内見数と成約率の一次データをもとに動画が果たす役割を整理したうえで、湘南の不動産仲介・管理会社が実際に何を撮り、どこに出せばよいかを、制作者の現場感覚で解説する。

  • 結論:賃貸の内見は平均2.7件で成約に至るとされ、動画は「本命候補」を絞り込むための事前フィルターになる
  • オンライン内見の利用率は約2割にとどまるが、対面派の内見前チェックにも動画そのものは使われている
  • 撮るべきは「通し歩き」「生活動線」「周辺環境」の3種。凝った演出より自然体の撮り方が信頼につながる

「内見2.7件で成約」
——数字が示す動画の役割

多数の物件候補が動画によって絞り込まれ本命候補に近づく様子を表すフラットデザイン図解

株式会社リクルートが運営するSUUMOリサーチセンターの「2022年度 賃貸契約者動向調査(首都圏)」(2023年9月29日発表)によれば、入居者が成約までに見学した物件数は平均2.7件だった。単純計算で、内見1件あたりの成約確率はおよそ37%になる。

この数字が意味するのは、「内見に呼ばれた時点で、すでに有力候補の一つに絞られている」ということだ。つまり内見の前段階——ネットで写真や間取りを見比べている段階——で、どれだけ候補から脱落せずに残れるかが勝負になる。ここで、静止画だけの物件情報との差になるのが動画の有無だ。

同センターの「2020年度 賃貸契約者動向調査(首都圏)」では、オンライン内見の利用率はオンラインのみが13.5%、対面との併用が6.2%で、合わせて約2割にとどまるという結果も出ている。裏を返せば、湘南のような地域でもまだ8割の人が対面での内見を選んでいるということだ。ここで効いてくるのが、対面内見の前に見る動画になる。オンライン内見ほどの手間をかけずに、対面前の絞り込みに動画を使う人は、この統計以上に多いと私たちは現場で感じている。


撮るべきルームツアーは3種類
——「通し歩き」「生活動線」「周辺環境」

私たちが賃貸物件の動画を制作する際、最初に整理するのは「何を撮るか」より「何を見せて安心してもらうか」だ。以下に、種類ごとの狙いと尺の目安を整理する。

種類 狙い 尺の目安
通し歩き(玄関→各部屋) 間取り図だけでは伝わらない広さ・動線の実感を伝える 1〜2分
生活動線(収納・水回り) 住んだときの使い勝手を先回りして見せる 30秒〜1分
周辺環境(駅・商店街・海) 湘南らしい立地の魅力を伝え、契約後の後悔を減らす 1分前後

表の中でも優先度が高いのは、通し歩きと生活動線の2つだ。周辺環境は湘南・平塚・大磯のような「暮らしの魅力込みで選ばれる」エリアでは特に効くが、撮影の手間を考えると通し歩きと生活動線から始めるのが現実的だ。

撮影は「カメラを意識させない自然体」を優先する

私たちが撮影現場で大切にしているのは、被写体にカメラを意識させすぎないことだ。ルームツアーは特に、演出を作り込みすぎるとかえって「盤石すぎる部屋」に見えてしまい、生活感のなさが不信感につながることもある。案内スタッフが実際に扉を開け閉めしながら歩く様子を、ありのままに近い温度感で撮るほうが、SNSに慣れた層には自然に届く。スマートフォンとジンバル程度の機材でも、この考え方さえ押さえれば十分に始められる。

動画をどこに出すか
——自社サイト・ポータル・SNSを1本で使い回す

賃貸物件の室内で収納や水回りの扉を開けながら生活動線を撮影する手元のクローズアップ

全国賃貸住宅新聞が2021年1月7日号(「部屋探しポータルの活用戦略」全6回シリーズ第4回)で報じたところによると、賃貸仲介のクラッシー・ホームズは2012年から動画を撮りためており、掲載物件のほぼ全てに動画をつけている。同社は月額140万円をポータルサイトへの広告出稿にかけ、月間299件の反響を得ているという。動画付きの物件ページは、そうでないページと並んだときにアイコンで一目でわかり、閲覧者の目を引きやすくなる、という同社の説明も紹介されている。

湘南の中小の仲介・管理会社が同じ予算をかけるのは現実的ではないが、「1本撮った動画を複数チャネルで使い回す」考え方は規模に関わらず有効だ。自社サイトの物件ページ、ポータルサイトの動画欄、InstagramやLINE公式アカウントへの再利用など、置き場所を変えるだけで届く相手が広がる。地域集客の文脈ではGoogleマップ(MEO)×動画で地域集客を強くするでも解説した通り、検索や地図経由の動線と組み合わせるとさらに効果が出やすい。

オンライン内見・IT重説の普及率から見る
湘南で動画が効く理由

国土交通省が宅建業者を対象に実施した令和5年度調査(公益財団法人不動産流通推進センター公表)では、IT重説の導入率が18%、重要事項説明書等の電子化(書面電子化)が11%にとどまるという結果だった。制度が使えるようになってから数年経つが、現場への浸透はまだこれからの段階にある。

この数字は、遠隔での取引そのものがまだ一般的でないことを示している。だからこそ、動画を「オンライン内見の代わり」として使うのではなく、「対面内見に進むかどうかを決める判断材料」として位置づけるのが、いまの湘南の実情に合っている。特に大学進学や転勤で遠方から平塚・大磯エリアの物件を探す人にとって、事前に部屋の雰囲気を動画で確認できるかどうかは、わざわざ現地に来て内見するかどうかの意思決定に直結する。

入居後のフォローにも動画は使い回せる

賃貸管理会社であれば、入居後の設備の使い方説明や、退去時の原状回復の目安を動画で残しておくことも有効だ。問い合わせ対応の手間を減らせるだけでなく、既存入居者との関係づくりにもつながる。LINE公式アカウントを使った継続的な情報発信についてはLINE公式アカウント×動画でリピーターを増やす|湘南の教室・店舗活用術で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてほしい。

1本の物件動画が自社サイト・ポータルサイト・SNS・LINEへ展開されていく様子を表すフラットイラスト

よくある質問

Q. ルームツアー動画は何分くらいが適切か?

A. 通し歩きなら1〜2分、生活動線や周辺環境は30秒〜1分が目安だ。長すぎる動画は最後まで見てもらえないため、物件の魅力が伝わる範囲で短くまとめるのがよい。

Q. 空室が埋まるたびに撮り直す必要があるか?

A. 間取りが同じであれば使い回せる場合が多い。ただし内装や家具の有無が変わった場合は、実際と違う印象を与えないよう撮り直しをすすめる。

Q. 動画制作にどれくらいの費用がかかるか?

A. 撮影・編集の内容次第で幅があるため、動画制作の費用相場【完全ガイド】で相場を整理している。まずは通し歩き動画1本から始めて、反響を見ながら本数を増やす進め方が現実的だ。

Q. 誇大な演出になっていないか、どう確認すればよいか?

A. 実際の広さ・眺望・生活動線と違う印象を与えていないかを、投稿前に自分たちで一度部屋を歩いて見比べるとよい。優良誤認表示に触れるおそれがある大げさな加工や演出は避けるべきだ。

まとめ

賃貸の内見は平均2.7件で成約に至るとされ、内見に呼ばれた時点ですでに有力候補の一つに絞られている。だからこそ、その前段階を制する動画の役割は大きい。通し歩き・生活動線・周辺環境という基本の3種類から、カメラを意識させない自然体の撮り方で始めれば、湘南の仲介・管理会社でも十分に取り組める。

次の一歩として、まずは自社の主力物件1つを通し歩き動画で撮ってみて、問い合わせの反応がどう変わるかを見てほしい。撮り方や活用先で迷う場合は、私たちのような制作者に一度相談してみることをすすめる。

パーソナルジムの動画発信、何を撮る?|湘南の差別化基礎知識

湘南のパーソナルジムでトレーナーがスマートフォンとジンバルでトレーニング風景を撮影する様子

「うちみたいな小さなパーソナルジムが、動画に手を出す余裕なんてない」——湘南でパーソナルジムを営むトレーナーから、こうした声を聞くことがある。日々の指導や体験カウンセリングに追われる中で、動画は後回しにされやすいテーマの一つなのだろう。

結論から言えば、動画発信はパーソナルジムにとって「余力があればやること」ではなくなりつつある。全国でフィットネス施設が増え続ける一方、倒産も過去最多ペースで起きている今の市場では、何を撮り、どこに出すかを知っているジムとそうでないジムの差が、入会を検討する人の目にはっきり見えてしまう。

この記事では、フィットネス業界の一次データをもとに市場の実態を押さえたうえで、パーソナルジムが動画で差別化するために「何を撮るべきか」を、動画の基礎知識として制作者の現場感覚で解説する。

  • 結論:全国のフィットネス施設は増え続ける一方、倒産も過去最多ペースで起きており、「似た施設が乱立する中でどう選ばれるか」が動画の役割になる
  • Instagramの利用率は全世代で5割を超え、パーソナルジムの主要ターゲットである20〜30代は7割前後とさらに高い。届け先はまずSNSのショート動画になる
  • 撮るべき動画は「トレーナー紹介」「トレーニング風景」「お客様の声」の3種が基本。ビフォーアフター表現は誇大表現の規制に注意が必要だ

パーソナルジムは今、
「乱立」と「淘汰」が同時に進んでいる

矢野経済研究所の調査(2025年7〜10月実施)によれば、全国のフィットネス施設数は2025年8月時点で13,876施設にのぼり、直前1年間だけで1,266施設が新たに開業したという。駅近・低価格・無人型の「コンビニジム」やパーソナルジム、マシンピラティススタジオなど、業態の多様化を背景に出店ペースは衰えていない。

その一方で、帝国データバンクが2026年8月13日に公表した調査(負債1,000万円以上・法的整理による倒産が対象)では、2026年1〜7月のフィットネスクラブの倒産が23件(前年同期は19件)に達し、過去最多ペースで推移していると報告されている。年間では初めて40件に到達する可能性もあるという。同調査では、この23件のうち6件がパーソナルジム業態だったことも指摘されている。

施設は増え続けているのに、倒産も同時に増えている——これは典型的なオーバーストア(供給過多)の状態だ。開業のハードルが下がったぶん、似たような設備・料金のジムが近隣にいくつも並びやすく、選ばれ続けることの難しさがそのまま数字に表れている。私たちが制作者として湘南のジムオーナーと話していても、「体験カウンセリングまでは来てもらえるが、その前の比較段階で他院と差がつかない」という悩みをよく聞く。動画は、その比較段階で「他とどう違うか」を伝えるための手段になる。


動画を届ける場所は
——Instagramの利用率から逆算する

似たようなジムが乱立する中で動画を持つ施設だけが際立つ様子を表すフラットデザイン図解

総務省の令和7年版情報通信白書によれば、Instagramの全世代利用率は52.6%となり、前年(48.4%)から4.2ポイント増加した。年代別では10代・20代・30代がいずれも7割前後(20代で最も高く78.0%)と高水準で、40代・50代でも5割を超えている。

パーソナルジムの主要顧客層である20〜40代は、まさにこのInstagram利用率が高い層と重なる。つまり、動画を「どこに置くか」で最初に検討すべきなのはホームページの固定コンテンツではなく、Instagramのリール(ショート動画)だ。動画はテレビを超えたかという世代別のメディア利用の話は動画はテレビを超えたか|総務省調査で読む湘南の動画戦略でも詳しく解説しているので、あわせて参考にしてほしい。

SNSでの見せ方という点では、業種は違っても美容室・サロンの取り組み方が参考になる部分は多い。美容室のショート動画集客術|湘南・平塚で新規客を増やすで紹介している「日常の一コマを短く見せる」考え方は、パーソナルジムにもそのまま応用できる。

撮るべき動画は3種類
——狙いと頻度の目安

パーソナルジムが最初に揃えるべき動画は、複雑に考えなくてよい。以下に、種類ごとの狙いと投稿頻度の目安を整理する。

動画の種類 狙い 投稿頻度の目安
トレーナー紹介動画 「誰が教えるか」を伝え、入会前の不安を減らす プロフィール欄に固定で1本
トレーニング風景(自然体) 施設の空気感・指導スタイルを見せる 週1〜3本
お客様の声・成果紹介 第三者の言葉で効果を裏付ける 月2〜4本
施設・設備紹介 通う前の不安(清潔感・混雑度)を解消する 開業時・改装時に随時

表の中でも優先度が高いのは、トレーナー紹介とトレーニング風景の2つだ。パーソナルジムは「誰と二人三脚で取り組むか」が入会の決め手になりやすい業態であり、施設の豪華さよりもトレーナーの人柄が伝わる映像のほうが、比較段階での差別化に直結しやすい。

撮影は「カメラを意識させない」ことを優先する

私たちが撮影現場で大切にしているのは、被写体にカメラを意識させすぎないことだ。トレーニング風景は特に、演出を作り込みすぎるとかえって「広告っぽさ」が出て信頼を損ないやすい。指導の様子をありのまま切り取るくらいの温度感のほうが、SNSに慣れた層には自然に届く。スマートフォンとジンバル程度の機材でも、この考え方さえ押さえれば十分に始められる。

ビフォーアフター表現は
——表現規制の落とし穴に注意

スマートフォンでショート動画のフィードをスクロールする手元のクローズアップ

パーソナルジムの動画で特に反応を集めやすいのが、体型の変化を見せる「ビフォーアフター」だ。ただし、この表現には注意が要る。実際の効果を大きく超えて誰にでも同じ結果が出るかのように見せる表現は、景品表示法が禁じる優良誤認表示(実際よりも著しく優れていると誤認させる表示)に触れるおそれがあると一般に指摘されている。

対策として有効なのは、期間・食事指導の有無・個人差があることを画面内のテキストや説明文で明記することだ。誇張を避けつつ「継続すればここまで変われる可能性がある」という誠実な見せ方に徹すれば、ビフォーアフター自体を封印する必要はない。判断に迷う表現は、投稿前に一度立ち止まって確認する習慣をすすめる。

内製でできる範囲と、
プロに任せるべき場面

トレーナー紹介・トレーニング風景・お客様の声の3種類の動画がつながるフラットイラスト

日々のトレーニング風景やちょっとした一言コメントは、トレーナー自身のスマートフォンで内製するのが現実的だ。継続的な発信は、外注コストをかけ続けるより現場で撮り続けるほうが長続きしやすい。

一方で、開業時やリニューアル時にホームページの顔になるトレーナー紹介動画・施設紹介動画は、構成と照明を整えたプロの制作に一度任せる価値がある。ここで作った映像を後から切り出せば、日常投稿用の素材としても使い回せる。内製と外注をどう線引きすべきかは業種を問わず悩みどころで、動画制作は内製と外注どちらが得かでも判断基準を整理しているので、あわせて読んでほしい。

よくある質問

Q. 会員数の少ない小さなパーソナルジムでも動画は必要か?

A. むしろ小規模なジムほど効果が出やすい。大手のような広告予算がなくても、トレーナーの人柄が伝わる動画1本で比較検討中の見込み客に直接アプローチできる。

Q. ビフォーアフター動画は絶対に出してはいけないのか?

A. 出してはいけないわけではない。期間や個人差、食事指導の有無などの条件を明記し、誇張を避ければ活用できる。不安がある表現は投稿前に確認する習慣をすすめる。

Q. 動画の撮影頻度はどれくらいが目安か?

A. トレーニング風景であれば週1〜3本、お客様の声のような重めのコンテンツは月2〜4本が目安だ。無理なく続けられる頻度から始め、反応を見ながら調整するのがよい。

Q. スマホ撮影だけでも十分か?

A. 日常投稿であれば、スマートフォンとジンバル程度で十分に始められる。開業時の顔になる動画など、じっくり見せたい場面だけプロに任せるという使い分けが現実的だ。

まとめ

全国のフィットネス施設は増え続ける一方、倒産も過去最多ペースで起きており、パーソナルジムは似た施設が乱立する中で選ばれ続けることを求められている。ターゲット層の利用率が高いInstagramを中心に、トレーナー紹介・トレーニング風景・お客様の声という基本の3種類から動画発信を始めれば、比較検討段階での差別化につながる。

次のステップとして、まず自院のトレーナー紹介動画が今の状態で「誰が教えているか」を十分に伝えられているかを見直すことをすすめる。何から撮ればよいか迷う場合は、私たちのような制作者に一度相談してみてほしい。

動画はテレビを超えたか|総務省調査で読む湘南の動画戦略

テレビを見る年配の人物とスマートフォンで動画を見る若い人物の対比、湘南の海辺の光

「うちのお客さんは年配の方が多いから、動画よりチラシのほうが効くのでは」——湘南で店舗や事業を営む経営者から、こうした声を聞くことがある。動画の話をすると、なんとなく「若い人向けの手段」というイメージが先に立つのだろう。

結論から言えば、その感覚はもう半分しか正しくない。総務省の最新調査では、インターネットの利用時間がテレビ視聴時間を上回る状態が続いており、しかも世代によって「どちらの情報を信じるか」がはっきり分かれ始めている。動画が効くかどうかは年代だけで決まらず、その年代が何を信じているかで決まる。

この記事では、総務省とサイバーエージェントの一次データをもとに、テレビとネット動画をめぐる利用時間・信頼度の実態を整理したうえで、湘南の事業者がターゲットの年代に応じて動画をどう使い分けるべきかを、制作者の現場感覚で解説する。

  • 結論:インターネット利用時間はテレビを上回り続けているが、世代によって「信じているメディア」は逆転していない
  • 10〜40代はネットの情報を信頼し、50〜70代はテレビの情報を信頼する傾向がはっきり出ている(総務省調査)
  • 動画広告市場も2026年に1兆円超えの見込みで、投資は加速している。だからこそ狙う年代に合わせた見せ方の設計が要る

動画はテレビを「数字の上で」超えたか
——総務省・令和7年度調査の実態

総務省情報通信政策研究所が2026年6月に公表した「令和7年度情報通信メディアの利用時間と生活行動に関する調査報告書」によれば、全年代平均のインターネット利用時間は春季183.9分(前年比+2.1分)、秋季192.9分(前年比+9.2分)だった。一方でテレビ(地上波・BS・CS)視聴時間も春季156.1分、秋季189.2分と、実は前年から伸びている。

つまり「テレビが急速に見捨てられている」という単純な話ではなく、両方とも視聴時間は伸びながら、ネットがテレビを上回る差を保っているというのが実態に近い。以下に主要な数値を整理する。

調査時期 インターネット利用時間 テレビ視聴時間
令和7年度・春季 183.9分 156.1分
令和7年度・秋季 192.9分 189.2分
令和6年度・全年代(平日) 181.8分 154.7分

前年度(令和6年度)の調査では、休日の40代で初めてインターネット利用時間がテレビ視聴時間を上回り、60代ではテレビ視聴時間が大きく減少したことも報告されている。年を追うごとに、ネット優位の年代層が下から上へ広がっているという読み方ができる。


時間より重要なのは「どちらを信じているか」
——世代で分かれる情報の受け止め方

同じ総務省調査では、利用時間だけでなく「情報の信頼度」も世代別に調べている。結果は明快で、10〜40代はインターネットから得る情報への信頼度が高く、50〜70代はテレビから得る情報への信頼度が高いという傾向が出ている。情報を得る手段としても、10〜50代は「インターネット」中心、60〜70代は「テレビ」中心だった。

これは湘南の事業者にとって実務的な意味を持つ数字だ。ターゲットが20〜40代中心の業態であれば、動画をSNSやWeb経由で届けたときに「信じてもらいやすい土壌」がすでにある。逆にターゲットが60代以上を含む業態では、動画を作っても届け方(テレビ的な安心感のある演出、紙媒体との併用、口コミとの組み合わせ)まで設計しないと、内容が良くても信頼にはつながりにくい。

世代によってテレビとスマートフォン動画への信頼度が分かれることを表すフラットデザイン図解

「見てもらえる」と「信じてもらえる」は別の問題

私たちが現場で動画を作る際にいつも意識しているのは、再生数や視聴時間だけでなく「この動画を見た人が身構えずに信じられるか」だ。過度に作り込まれた演出は、特にネットの情報に慣れた層ほど「広告っぽさ」を敏感に感じ取る。私たちの撮影チームでは、被写体にカメラを意識させすぎない自然体の画づくりを常に心がけているが、これは飽きさせないためだけでなく、世代を問わず「取ってつけた感」を減らし、信頼感を損なわないための実務上の判断でもある。

動画広告への投資も
過去最速のペースで増えている

利用時間・信頼度の変化を裏づけるように、動画への広告投資も急速に伸びている。サイバーエージェントが実施した国内動画広告の市場調査によれば、2025年の動画広告市場は8,855億円で前年比122%の成長、2026年には1兆437億円に達する見込みだという。中でも縦型動画広告は2025年に前年比155.9%の2,049億円まで伸び、成長のけん引役になっている。市場全体の詳しい内訳は動画広告市場、初の1兆円へ|湘南の中小企業が今動くべき理由でも解説しているので、あわせて読んでほしい。

スマートフォン向けの動画広告需要は7,053億円で、動画広告需要全体の8割を占める。ここでも「ネットの動画に慣れている層」への投資が先行しているのが分かる。テレビからネットへ、そして横長からスマホの縦型へという主戦場の移り変わりについてはテレビ→YouTube→ショート動画、映像の主戦場はどう移ったか【制作者視点】でも詳しく触れている。

湘南の事業者は、ターゲットの年代で
動画の見せ方を変えるべきだ

パーソナルジムでスマートフォンを使って縦型動画を撮影しながら指導するトレーナーの様子

たとえば湘南で新しくパーソナルジムを開いたオーナーを考えてみよう。想定顧客が20〜30代中心なら、長尺のCM的な動画よりも、トレーナーの人柄や施術の様子をスマホで撮った縦型のショート動画のほうが、信頼を得やすい層に直接届く。編集で盛りすぎず、トレーニング風景をそのまま切り取るくらいの温度感でよい。

一方、湘南で不動産仲介を営む会社であれば、顧客層は20代の一人暮らし探しから60代以上の住み替え相談まで幅広い。この場合は一つの動画で全世代を狙うのではなく、SNS用の短い物件紹介はネットに慣れた層向けに、担当者の人柄や地域の実績をじっくり見せる長尺のインタビュー動画は自社サイトやYouTubeに置いて、テレビ的な「見て安心する」層にも届く設計にするのが理にかなっている。

考えてみてほしい。同じ「動画を作る」という投資でも、ターゲットの年代によって効果の出方はまったく違う。次のステップとして、まず自社の主要顧客が何歳前後で、ネットとテレビのどちらを信じる傾向が強い層かを言語化することをすすめる。

よくある質問

Q. うちは高齢のお客様が多いのですが、動画は意味がありますか?

A. 意味はある。ただし総務省調査では50〜70代はテレビの情報を信頼する傾向が強いため、SNS単独で完結させず、店頭のモニターやWebサイトのトップに動画を置くなど「テレビ的に安心して見られる」導線と組み合わせるのがすすめだ。

Q. ネットの信頼度が高い若い世代には、どんな動画が向いていますか?

A. 作り込みすぎない縦型のショート動画が向いている。過度な演出は「広告っぽさ」として敬遠されやすいため、現場の自然な様子を短く見せる方が、信頼を得やすい傾向がある。

Q. 総務省の調査はどこで確認できますか?

A. 総務省情報通信政策研究所が「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」として毎年公表しており、公式サイトで報告書全文が公開されている。

まとめ

テレビからスマートフォン動画へ投資が伸びていく様子を表すフラットデザインの成長グラフ

インターネットの利用時間はテレビを上回り続けているが、それは「テレビが信じられなくなった」ことを意味しない。むしろ世代によって信じるメディアがはっきり分かれ、その差はここ数年でさらに広がっている。動画広告市場が2026年に1兆円を超える見込みであることも、この変化の裏づけと言える。

湘南で事業をする以上、狙う顧客の年代は業態ごとに違う。だからこそ「動画を作るかどうか」より先に、「自社の顧客はどちらのメディアをどれくらい信じているか」を見極めることが、投資を無駄にしない第一歩になる。動画の活用先を横断的に整理したい場合は作った動画、どこでどう使う?活用先マップ【完全版】も参考にしてほしい。まずは自社の顧客層を言語化することから始めることをすすめる。

学習塾の動画制作費用相場|生徒募集動画にいくらかけるべきか

湘南の明るいオフィスで塾長と動画制作者が見積もり資料を確認する様子

「うちみたいな小さな塾が、動画にお金をかける余裕なんてあるのだろうか」——学習塾の経営者や教室長からは、こうした声をよく聞く。チラシやポスティングに比べて動画は未知の出費に見えるぶん、いくら払えば妥当なのか判断がつきにくいのだろう。

結論から言えば、学習塾の動画は数十万円のフル制作でなくても始められる。目的を「入会検討中の保護者の不安を解消すること」に絞れば、数万円台の小さな動画から、講師紹介や授業風景を撮る本格的な生徒募集動画まで、費用のレンジは幅広い。大切なのは金額の大小より、塾の規模と目的に合った動画タイプを選ぶことだ。

この記事では、学習塾業界の市場動向を一次データで押さえたうえで、動画タイプ別の費用相場、費用を左右する要因、そして限られた予算をどう配分すべきかを、制作者の現場感覚で解説する。

  • 結論:学習塾の動画は「生徒募集(新規)」と「保護者との関係維持(既存)」で目的を分け、予算も別々に考えるのが妥当だ
  • 費用相場はタイプにより数万円台〜100万円超まで幅があり、講師や生徒の自然な様子を短く見せるだけなら小予算でも始められる
  • 学習塾市場は少子化下でも横ばい〜微増が続いており、限られたパイの中で「選ばれる塾」になるための可処分予算として動画を位置づける塾が増えている

少子化でも学習塾市場は
横ばい——だからこそ動画に意味がある

矢野経済研究所が2025年10月に発表した国内教育産業市場調査によれば、学習塾・予備校市場は教育産業(主要15分野計・2024年度2兆8,555億7,000万円、前年度比0.7%増)の中で最大規模の分野でありながら、事業者間の業績の好不調を背景に停滞傾向にあると分析されている。経済産業省の特定サービス産業動態統計調査でも、学習塾業界の売上高は2023年時点で約5,812億円と、10年前(約4,041億円)から約44%伸びている一方、少子化で子どもの絶対数は減り続けている。

つまり「子ども一人当たりに塾がかけられる教育投資額は増えているが、奪い合う生徒の数は減っている」という構図だ。市場規模が横ばい〜微増を保っているのは、一人当たり単価の上昇が生徒数の減少を相殺しているためだと読み取れる。この状況では、近隣の塾との差が「授業内容」だけでなく「入会前にどれだけ安心感を伝えられるか」でもつきやすくなる。動画はその安心感を伝える手段として、費用対効果を検討する価値が出てきている。

動画タイプ別|学習塾の制作費用早見表

動画タイプごとの制作費用を積み木のブロックの大きさで示すフラットイラスト

学習塾が検討しやすい動画には、大きく分けて次の4タイプがある。以下に、尺の目安と費用相場を整理する。

動画タイプ 尺の目安 費用相場
SNSショート動画(授業風景・講師の一言) 15〜60秒 3万〜15万円/本
講師紹介・自然体インタビュー動画 1〜2分 10万〜30万円
塾紹介・生徒募集PR動画 2〜3分 30万〜80万円
入塾説明会・オンライン学校説明動画 3〜8分 40万〜100万円

表からもわかるとおり、SNSショート動画のように「授業の一コマをそのまま見せる」タイプは、機材と編集の負荷が軽いぶん費用も抑えやすい。逆に入塾説明会のように複数の講師・カリキュラム説明・在校生の声などを盛り込む動画は、撮影日数と編集時間が増えるため費用も上がる。まずは自塾の予算感に近いタイプから検討し、反応を見ながら他のタイプへ広げていくのが現実的だ。

費用を左右する4つの要因

学習塾の教室で目立たない場所からジンバルカメラで講師と生徒を自然に撮影する様子

同じ「塾紹介動画」というくくりでも、見積もりが30万円台になるか80万円台になるかは、以下の要因で変わってくる。

  1. 撮影日数と教室数(複数教室の様子を入れるほど移動・撮影日が増える)
  2. 出演する講師・生徒の人数(インタビュー1人と5人では編集の手間が大きく変わる)
  3. 納品本数(フル尺1本のみか、SNS用の切り出し版も含めるか)
  4. 保護者の許可取り・肖像権対応の範囲(未成年が映るため、同意書の取得フローを含めるかどうか)

私たちの経験では、学習塾の撮影で特に気をつけているのは4つ目の「未成年が映ることへの配慮」だ。生徒の顔がはっきり映る動画は保護者の事前同意が前提になるため、同意取得の仕組みを塾側と事前にすり合わせておくと、撮影当日や公開後のトラブルを避けやすい。顔出しに抵抗がある保護者がいる場合は、後ろ姿や手元、教材のクローズアップを中心に構成するなど、撮り方の工夫で対応できることも多い。


「新規向け」と「既存向け」で
予算を分けて考える

新規向けと既存向けの2つの動画の流れが枝分かれする様子を示すフラットイラスト

動画の予算配分で塾経営者が悩みがちなのが、「新規の入会検討者向け」と「すでに入会している家庭向け」のどちらに厚くかけるかだ。私たちは、この2つを別のバケツとして考えることをすすめている。

新規向けは、塾紹介PR動画や入塾説明会動画のように、比較検討している保護者に「うちの子に合いそうか」を伝えるための一本勝負の動画になる。制作費はまとまった金額になりやすいが、ホームページや入塾案内、説明会など複数の場面で長く使い回せる資産でもある。一方、既存家庭向けは講師の一言メッセージや行事の様子など、短く軽い動画を継続的に配信していく形が合う。既存客へのLINE公式アカウント活用についてはLINE公式アカウント×動画でリピーターを増やすで詳しく解説しているので、あわせて参考にしてほしい。

予算が限られている場合、私たちは「まず新規向けの塾紹介動画を1本きちんと作り、そこから素材を切り出して既存向けの短尺動画に転用する」という順番をすすめている。ゼロから2種類を別々に作るより、制作費の総額を抑えながら両方の目的に対応できる。内製と外注どちらが自塾に合うかで迷う場合は動画制作は内製と外注どちらが得かも判断材料になるはずだ。一般的な動画制作費用の内訳を先に押さえておきたい場合は動画制作の費用相場【完全ガイド】も参考にしてほしい。

よくある質問

Q. 個人経営の小さな塾でも動画は必要か?

A. 大掛かりな動画は不要でも、講師の人柄が伝わる短いショート動画1本から始める価値はある。個人塾ほど「誰が教えているか」が入会の決め手になりやすく、費用も3万円程度から検討できる。

Q. 生徒の顔を映さずに動画を作ることはできるか?

A. 可能だ。後ろ姿や手元、教材、教室の雰囲気を中心に構成すれば、生徒の顔を映さなくても授業の空気感は十分に伝えられる。保護者への配慮を優先したい塾にはこの方法をすすめている。

Q. 動画の効果はどれくらいで出るか?

A. 入塾検討から入会までの期間が塾ごとに異なるため一概には言えないが、説明会や体験授業の申込みフォームに動画へのリンクを添えるなど、既存の導線に組み込むことで比較的早く反応を確認しやすい。

Q. 塾紹介動画とSNSショート動画、どちらを先に作るべきか?

A. 予算に余裕があれば塾紹介動画を先に作り、そこから切り出してショート動画に展開するのが効率的だ。予算が限られる場合は、講師紹介のショート動画から始めて反応を見るほうがリスクが小さい。

まとめ

学習塾の動画制作費用は、SNSショート動画なら数万円台、塾紹介PR動画や入塾説明会動画なら30万〜100万円程度と幅がある。少子化で生徒数のパイが縮む一方、一人当たりの教育投資額は増えている今の市場では、金額の大小よりも「新規向け」と「既存向け」で目的を分け、身の丈に合ったタイプから動画を持つことのほうが重要だ。

次のステップとして、まずは自塾が今いちばん困っている場面(新規の問い合わせが少ないのか、体験授業からの入会率が低いのか)を言語化し、それに合う動画タイプと予算感を整理することをすすめる。どのタイプから始めるべきか迷う場合は、私たちのような制作者に一度相談してみてほしい。

LINE公式アカウント×動画でリピーターを増やす|湘南の教室・店舗活用術

LINE公式アカウントの動画メッセージをスマートフォンで確認する様子

「動画をSNSに上げてフォロワーは増えたのに、肝心の常連客との関係はあまり変わっていない」——湘南で店舗や教室を営む経営者からそんな声を聞くことが増えた。新規の目には触れても、すでに一度来てくれたお客様や生徒の保護者には、実は動画がほとんど届いていないケースは少なくない。

結論から言えば、動画の届け先としてもっと活用すべきなのが「LINE公式アカウント」だ。Googleマップ(MEO)やInstagramが新規の目に留まるための入口だとすれば、LINE公式アカウントはすでに繋がっている人に「また行きたい」と思い出してもらうための、いわば裏口の生命線になる。

この記事では、LINE公式アカウントで動画を配信する意味を一次データとともに整理したうえで、湘南の学習塾を例に、動画をどう撮り、どう配信すれば「また通いたい」につながるのかを、制作者の現場感覚で解説する。

  • 結論:LINE公式アカウントの動画は、新規集客ではなく既存客の「思い出させる」導線として使うのが本筋だ
  • LINEは開封率が非常に高く、動画は静止画やテキストより情報量とインパクトで勝る
  • 特別な機材は不要。すでにある動画を短く編集し直すだけでも配信は始められる

湘南の店舗・教室が
いまLINE公式アカウントを見直すべき理由

LINEヤフー株式会社の発表によれば、LINEの国内月間利用者数は2025年12月末時点で1億ユーザーを突破した。日本の人口の大半が日常的に開いているアプリという意味で、他のどのSNSとも役割が異なる。

さらに、LINEヤフー for Business の公式コラムでは、配信したメッセージのうち約2割が即座に、約5割が3〜6時間以内に、そして当日中には約8割が開封されるというデータが示されている。メールマガジンの開封率が数パーセント〜二割程度で語られることが多いのに比べると、圧倒的な速さと到達率だ。私たちが現場で見てきた実感としても、Instagramの投稿は「見てもらえるかどうか」から始まるのに対し、LINEはほぼ確実に画面に通知が出る点が大きく違う。

新規集客の動画とは役割が違う

Googleマップ(MEO)対策としての動画についてはGoogleマップ(MEO)×動画で地域集客を強くするでも触れたが、あちらは「まだ知らない人に見つけてもらう」ための動画だ。一方でLINE公式アカウントの動画は、すでに友だち登録してくれている人、つまり一度は来店・入会してくれた人に向けた配信になる。届く相手がまったく違うので、両方を「集客動画」として一括りにせず、新規向けと既存向けで役割を分けて考えるのが妥当だ。

なぜ”動画”なのか
——テキスト・静止画との違い

テキスト・静止画・動画の情報量の違いを表すフラットイラスト

LINE公式アカウントには「リッチビデオメッセージ」という、動画をそのままメッセージとして送れる機能がある。テキストのお知らせやクーポン画像でも開封はされるが、動くもの・声・現場の空気感まで届けられるのは動画だけだ。以下に、配信タイプごとの特徴を整理する。

配信タイプ 伝わる情報 向いている用途
テキストのみ 事実・日時・数字 休業案内・予約リマインド
静止画+テキスト 雰囲気・メニューや商品の見た目 クーポン・新メニュー告知
動画 空気感・表情・動き・声のトーン 現場の様子・講師やスタッフの人柄

表からもわかるとおり、動画にしかない価値は「事実」より「空気感」の伝達にある。既存客がわざわざ足を運ぶ動機は、多くの場合すでに知っている「あの雰囲気」や「あの人」への安心感だ。だからこそ、既存客への配信であるLINE公式アカウントと動画の相性は良い。

学習塾の現場で考える
LINE×動画のシナリオ

学習塾の教室で目立たない場所からジンバルカメラで自然な授業風景を撮影する様子

経済産業省の特定サービス産業動態統計調査によれば、学習塾業界の売上高は2023年時点で約5,812億円と、10年前の約4,041億円から約44%伸びている。少子化が進む一方で塾にかける費用は増えており、一つの教室あたりの生徒・保護者との関係を長く維持できるかどうかが、経営の分かれ目になりつつある業界だと言える。

保護者との接点づくりでは、新規向けにはInstagram、すでに入会している家庭との関係維持や紹介の後押しにはLINE公式アカウントが効くとされる。動画を一度作れば、SNS・ホームページ・LINEへ横展開できるため、制作の手間に対してコンテンツ効率が高い施策でもある。

私たちの経験では、発信で大事なのは「伝えたいことをできるだけ自然体で伝える」ことに尽きる。撮影の際は目立たない場所にカメラを置き、被写体にカメラを意識させない自然な雰囲気を引き出すことを常に意識している。塾の授業風景であれば、講師が作り込んだ演出をするより、いつもの授業の一コマをそのまま切り取るほうが、保護者には「本物の教室の空気」として伝わりやすい。

学習塾を例にすると、LINE公式アカウントで配信しやすい動画には次のようなものがある。

  • 定期テスト前の勉強法アドバイス動画(講師が1〜2分で要点を話すだけでよい)
  • 普段の授業風景や自習室の様子(生徒の顔が映る場合は事前の許可を得る)
  • 行事・面談期間の案内を、担当講師の顔が見える形で伝える動画

湘南の店舗・教室が
今日からできる始め方

友だち追加から動画配信、リピートまでの流れを表すフラットイラスト

大掛かりな仕組みを整える前に、まずは小さく始めるのが続けるコツだ。手順として整理する。

  1. 店頭・教室内・レシートなどに友だち追加の入口(QRコード)を置き、来店・入会時に登録してもらう
  2. 月1〜2本、15〜30秒程度の短い動画を配信する頻度から始める(音声なしでも伝わるよう字幕をつけると親切)
  3. ゼロから撮り下ろすのではなく、Instagramや採用ページ用に撮った動画の素材を再編集して使い回す

効果測定は難しく考えなくてよい。LINE公式アカウントの管理画面では配信ごとの開封数・クリック数、動画であれば再生数まで確認できる。最初の数回は数字を追うより、返信やスタンプなど反応があったかどうかを見るだけでも十分だ。友だち追加数がじわじわ減っていないか、月に一度チェックする習慣をつけておくと、配信頻度や内容を見直すタイミングを逃さずに済む。

配信を軌道に乗せるうえでは、お客様の声を動画で伝える方法も相性がよい。詳しくはお客様の声・口コミ動画の活かし方|湘南の店舗が信頼を得る方法でも解説しているので、あわせて参考にしてほしい。どのSNSに動画を出し分けるかで迷う場合はリールとショート、結局どっちを選ぶ?も判断材料になる。

よくある質問

Q. 配信の頻度はどれくらいが適切か?

A. 月1〜2本から始めれば十分だ。頻度が多すぎるとブロックの原因になりやすいため、まずは無理なく続けられるペースを優先し、反応を見ながら調整することをすすめる。

Q. Googleマップ(MEO)向けの動画と何が違うのか?

A. MEO向けの動画は「まだ知らない人に見つけてもらう」新規集客が目的だが、LINE公式アカウントの動画は「すでに繋がっている人に思い出してもらう」既存客向けの施策だ。狙う相手も内容も分けて考えるとよい。

Q. 動画の長さはどれくらいが適切か?

A. 15〜30秒程度が目安だ。LINEはスキマ時間に開かれることが多いため、要点を先に伝え、音声なしでも内容がわかるよう字幕を添えるとよい。

Q. 専用の動画を新しく作らないといけないか?

A. その必要はない。すでにInstagramや採用向けに撮影した動画を、LINE用に短く編集し直すだけでも十分に活用できる。

まとめ

LINE公式アカウントは日本国内で圧倒的な数の人が日常的に開いているツールであり、動画はその中でも空気感や人柄を伝えられる数少ない手段だ。新規集客の動画とは役割を分け、すでに繋がっている人への「思い出させる」導線として使うことが、リピートを生む近道になる。

湘南で店舗や教室を営むなら、まずは友だち追加の入口を一つ用意し、手元にある動画素材を短く編集し直すところから始めてみてほしい。大掛かりな制作より先に、いま撮れる自然体の一コマを配信することのほうが、次の一歩としては現実的だ。

新規集客の動画と既存客向けの動画、どちらも大切だが、優先順位に迷ったら「すでに繋がっている人を離さない」ほうから手をつけるのが、地域密着型のビジネスにとってはランチェスター的にも理にかなっている。狭いエリアで長く選ばれ続けるための土台は、遠くの新規客より近くの常連客だ。

どんな動画をどう撮り直せば配信に使えそうか、判断に迷う場合は、まず現状の動画素材を一緒に棚卸しするところから相談することをすすめる。

YouTubeのAI動画自動ラベル化|湘南の事業者が知るべき新常識

動画編集者が湘南の海岸を望む制作スタジオで動画のタイムラインを確認している様子

「うちの動画にAIのラベルがついたら、なんだか怪しい店だと思われないか」——最近、動画発信に力を入れている湘南の店主や経営者から、こんな相談を受けることが増えた。2026年5月にYouTubeがAI生成コンテンツの開示ルールを強化したというニュースを見て、不安になった人も多いはずだ。

結論から言えば、心配しすぎる必要はない。今回の変更で自動ラベルの対象になるのは、実在の人物や出来事をリアルに見せかけて改変・生成した「フォトリアリスティックな」映像に限られる。通常の実写動画や、色調整・字幕生成といった軽微な編集はラベルの対象外だ。むしろこの変化は、現場をそのまま撮っている動画の価値を相対的に押し上げる側面を持っている。

この記事では、YouTubeの新しいAI動画ラベル制度の中身、開示が必要な動画と不要な動画の線引き、そして湘南の店舗・企業が今から意識しておきたいポイントを、動画制作の現場に立つ私たちの視点で整理する。

  • 結論:2026年5月からYouTubeはフォトリアリスティックなAI生成・改変動画を自動検出しラベル表示する。通常の実写・軽微な編集は対象外
  • 意図的な開示逃れを繰り返すと、ラベルの手動適用やペナルティ(削除・収益化停止)の対象になり得る
  • ラベル表示自体は再生数やおすすめ表示に不利益を与えるものではないが、「本物の現場」を見せる実写の説得力は相対的に高まっていく

YouTubeが2026年5月に始めた
「AI動画自動ラベル」とは

2026年5月27日、YouTubeはAI生成コンテンツの開示制度を強化すると発表した。これまではクリエイターの自己申告に頼っていたラベル表示に加えて、YouTube側のシステムがフォトリアリスティックなAI生成コンテンツを検知した場合、申告の有無にかかわらず自動的にラベルを付与する仕組みが2026年5月から順次導入されている。

ラベルの表示位置も目立つ形に変わった。長尺動画ではプレーヤーの直下・概要欄の上部に、ショート動画では映像に重ねるオーバーレイ表示になり、これまでより格段に視聴者の目に入りやすい場所に置かれるようになった。YouTubeの生成AIツールで作った動画や、C2PAという業界標準の来歴情報が埋め込まれた動画については、このラベルをクリエイター側が削除できない仕様になっている点も見逃せない。

私たちのようにお客様の動画を預かって編集する立場からすると、この変更は「なんとなく気にしておけばいい話」ではなく、納品物の仕様として押さえておくべき実務的な変化だと感じている。

「開示が必要な動画」と
「不要な動画」の線引き

動画に自動で識別バッジが表示される様子を示すフラットイラスト

以下に、YouTube公式ヘルプが示す開示の要否を整理する。

開示が必要な動画の例 開示が不要な動画の例
実在の人物が言っていない発言・行動をしているように見せる映像 美肌フィルターや色調整、簡単な字幕生成
実際の出来事・場所の映像を改変し現実のように見せる 非現実的・明らかにアニメーションやCGとわかる表現
実際には起きていない場面をリアルに再現する BGMや音声のノイズ除去などの軽微な補正

判断の軸は「見た人がリアルだと誤認しうるか」にある。自社の店舗や現場をカメラで撮影し、通常の範囲でカット編集やテロップを入れる程度であれば、この開示制度の対象にはならない、と私たちは理解している。生成AI自体の使い方や著作権との関係については生成AI動画と著作権|湘南の事業者が知っておきたい最新動向でも詳しく解説しているので、あわせて確認してほしい。

開示を怠るとどう変わるか
——そして「実写」の価値

湘南の店舗内で撮影クルーが店主をジンバルカメラで自然に撮影している様子

意図的な開示逃れを繰り返すと、YouTube側がラベルを手動で付与するだけでなく、動画の削除や収益化停止といったペナルティの対象になり得ることもYouTubeヘルプで明記されている。一方で、正しくラベルが付いた動画自体は、おすすめ表示のアルゴリズムや収益化で不利になるものではない、ともYouTube側は説明している。ラベルは罰則ではなく、あくまで視聴者への情報提供という位置づけだ。

現場で動画を作る立場から見ると、今回の変更の本当のインパクトは「ペナルティの重さ」よりも、視聴者の側に「これは本物の映像だろうか」という意識が芽生えたことにあると私たちは考えている。

私たちの経験では、撮影現場でカメラを目立たない場所に置き、被写体に「カメラを意識させない自然体」を引き出す撮り方をずっと大切にしてきた。作り込んだ演出よりも、こうした素のままの現場が伝わる映像のほうが、視聴者の記憶に残りやすいと実感している。AIラベル制度が広がるほど、こうした一次情報としての実写の説得力は相対的に増していくはずだ。人が撮る映像の価値についてはAI動画生成ツールの現在地と、人が撮る映像の価値でも掘り下げているので参考にしてほしい。


湘南の店舗・企業が
今日からできる3つの対策

カメラ・チェックリスト・認証・アップロードのアイコンが並ぶ手順を示すフラットイラスト

制度の中身がわかったところで、実際に何をしておけばよいかを整理する。

  1. 動画に使っているツールを棚卸しし、背景生成や被写体の大きな加工などフォトリアリスティックな生成AIを使った箇所があれば、投稿時に「AIで生成・加工したコンテンツです」と自己申告する
  2. 自己申告のタイミングを制作フローに組み込む(投稿担当者まかせにせず、納品チェックリストの一項目として明文化しておく)
  3. 実写・現場の「素のままの説得力」を発信の軸に据え直す(店内の様子、施術・調理・打ち合わせの一コマなど、加工しなくても伝わる場面を増やす)

たとえば不動産会社が物件の内見動画を配信する場合や、学習塾が授業風景を紹介する場合など、「実際の現場をそのまま見せる」動画はもともとAIラベルの対象になりにくい。むしろ今後は、こうした素材の強みを積極的にアピールする発信のほうが、視聴者の信頼を得やすくなるはずだ。AI時代に人が関わることの価値についてはAI動画・SNS時代に「人が関わる」ことで価値が上がる理由もあわせて読んでほしい。

よくある質問

Q. うちの動画にAIラベルがついたら再生数は下がる?

A. YouTube側の説明では、ラベル表示自体はおすすめ表示のアルゴリズムや収益化に不利益を与えるものではない。ラベルはあくまで視聴者への情報提供であり、ペナルティとは別物として扱われている。

Q. スマホの自動フィルターや字幕生成にもラベルは必要?

A. 美肌フィルターや色調整、字幕生成、ノイズ除去といった軽微な編集は開示の対象外とされている。対象になるのは、実在の人物や出来事をリアルに見せかけて改変・生成した映像だ。

Q. 実写だけで動画を作っていれば、この制度は関係ない?

A. 直接ラベルが付くことはないはずだが、視聴者側に「AI生成かどうか」を気にする意識が広がる以上、無関係とは言い切れない。撮影現場の様子を少し見せるなど、「本物である」ことが伝わる工夫が差別化につながる場面が増えるだろう。

Q. 開示すると印象が悪くなりそうで心配な場合はどうすればいい?

A. 開示を避けるより、開示したうえでコンテンツの中身で評価されることを目指すほうが健全だ。判断に迷う場合は、YouTube公式ヘルプの開示基準を制作担当者と一緒に確認しておくことをすすめる。

まとめ

2026年5月からのYouTubeの自動ラベル制度は、動画発信をしている湘南の店舗・企業にとって「知らなかった」では済まない実務的な変化だ。フォトリアリスティックなAI生成・改変コンテンツが対象で、通常の実写やちょっとした加工は対象外という線引きを、まず正しく理解しておきたい。

そのうえで私たちが伝えたいのは、この制度がむしろ「本物の現場を撮る」動画の価値を再確認させてくれているということだ。作り込んだ演出やAI生成の映像が増えるほど、自然体でリアルな現場を捉えた映像の説得力は際立っていく。

次のステップとして、まずは自社が使っている動画制作・編集ツールにAI生成の要素がどこまで含まれているかを棚卸しし、判断に迷う場合は一度、私たちのような制作者に相談してみることをすすめる。

動画の予算はいくらが適正か|広告宣伝費の相場から逆算する湘南の目安

湘南の明るい打ち合わせスペースで動画予算のタイムラインを確認する店主と動画制作者

「動画は年間いくら予算を組めばいいのか」——見積もりの相談の場で、私たちが経営者からよく受ける質問だ。相場を知らないまま金額を決めると、周りに合わせて多く払いすぎるか、逆に必要な分すら削ってしまうかのどちらかに傾きやすい。

結論から言えば、動画単体の相場を先に探すよりも、まず「自社の売上に対して広告宣伝費をどれだけ使うのが妥当か」を業種の相場から把握し、そのうちの何割を動画に回すかを考えるほうが、判断がぶれにくい。

この記事では、東京商工リサーチの宣伝費調査データをもとにした業種別の広告費比率、動画広告市場の伸び、そして湘南の店舗・企業がその中で動画予算をどう組み立てればよいかを、制作者の立場から整理する。

  • 結論:動画予算は「売上高に対する広告宣伝費の比率」を業種相場から把握し、その一部を動画に配分する形で逆算するとぶれにくい
  • 売上高に占める宣伝費の割合は全業種平均で1.3%(東京商工リサーチ・2023年度調査)。業種差は大きく、美容系・宿泊関連などは平均を大きく上回る
  • 動画広告市場は2025年に8,855億円(前年比122.2%)まで拡大しており、限られた広告費の中でも動画へ回す比率は高まる傾向にある

まず押さえたい全体像
——日本の広告費と動画の位置づけ

電通「2025年 日本の広告費」(2026年3月5日発表)によると、2025年の総広告費は8兆623億円(前年比105.1%)で4年連続で過去最高を更新し、インターネット広告費は4兆459億円(同110.8%)と初めて総広告費の過半数(50.2%)を占めた。そのインターネット広告費の中でも、ビデオ(動画)広告は前年比121.8%の1兆275億円となり、統計開始以来初めて1兆円を突破している。

さらに、サイバーエージェントが2025年11月から2026年1月にかけて実施した「国内動画広告の市場調査」によると、2025年の動画広告市場は8,855億円(前年比122.2%)に達し、2026年には1兆437億円まで伸びると予測されている。特に縦型動画広告は2025年に前年比155.9%の2,049億円まで成長しており、スマートフォンでの視聴を前提にした動画の需要が急速に高まっていることがうかがえる。

こうした市場全体の伸びは、湘南の店舗や中小企業にとって直接の予算の目安にはならない。だが「広告費の中で動画に回す比率」が全国的に高まっている流れそのものは、限られた予算の配分を考えるうえで無視できない前提になる。

業種別に見る「広告費は売上の何%か」

売上に対する広告宣伝費の割合を円グラフで示すフラットイラスト

東京商工リサーチが企業の決算データをもとに集計した宣伝費の実態調査(2023年度・148,090社の5年連続データ、単年分析は265,253社が対象、2025年1月公表)によると、売上高に占める宣伝費の割合は全業種平均で1.3%だった。ただし業種によって差は大きく、以下のように整理できる。

以下に、湘南エリアの事業者に関わりの深い業種を中心に、売上高に対する宣伝費比率を整理する。

業種 売上高に占める宣伝費の割合
全業種平均 1.3%
小売業 2.0%
情報通信業 3.1%
職業紹介業 18.8%
化粧品小売業 18.4%

同調査では業種平均の比率に加え、「売上高の5%以上を宣伝費に充てている企業の割合」も業種別に集計しており、結婚式場運営業で66.6%、エステ・美容関連業で47.6%にのぼっている。美容室・エステサロン・結婚式場のように、来店・成約の決め手が「その場の雰囲気や仕上がりが伝わるかどうか」に左右される業種ほど、宣伝費(その中でも動画の比重)を厚めに見ている企業が多いと読み取れる。

一方で製造業・卸売業のようなBtoB色の強い業種は、売上高に占める宣伝費の割合が0.1〜0.2%程度にとどまる傾向がある。これは「動画が不要」という意味ではなく、宣伝費より先に人づて・展示会・既存取引先経由の営業が優先されやすいという業種特性の表れだと私たちは捉えている。展示会・商談での動画活用については展示会・商談で効く会社紹介動画の作り方で詳しく解説している。

自社の年商から動画予算を逆算する早見表

業種相場が分かったところで、実際に自社の年商にあてはめて考えてみる。以下は、東京商工リサーチの比率レンジ(全業種平均1.3%〜、美容・宿泊関連など宣伝費に積極的な業種で5%程度)をもとに、年間の宣伝費目安と、そのうち動画(制作費+配信費)に回す目安を試算したものだ。動画への配分は、私たちが日々の相談の中で「まずはここから」とすすめている広告費全体の3〜5割を目安にしている。

年商 年間宣伝費の目安(比率1.3〜5%) うち動画に回す目安(宣伝費の3〜5割)
1,000万円 13万〜50万円 4万〜25万円
3,000万円 39万〜150万円 12万〜75万円
5,000万円 65万〜250万円 20万〜125万円
1億円 130万〜500万円 40万〜250万円

あくまで目安であり、この通りに使い切る必要はない。ただ「うちは動画に何十万円かけていいのか分からない」という状態から、「業種相場に照らすとこのレンジで検討できる」という状態に変わるだけで、発注時の値付けの妥当性を判断しやすくなる。実際の制作費の内訳は動画制作の費用相場【完全ガイド】もあわせて参考にしてほしい。


予算をどこに厚く配分すべきか
——制作費と運用費の考え方

予算が制作費と広告運用費に分かれる様子を示すフラットイラスト

動画予算の使い道は、大きく分けて「制作費(撮影・編集)」と「運用費(配信・広告出稿)」の2つがある。予算の逆算表を作ったあと、次に悩むのがこの2つの配分だ。

  1. 初年度は資産として残る「会社紹介動画」「採用動画」など単発の制作費を優先的に確保する
  2. 継続発信(SNSショート動画など)は、内製または低コストの外注と組み合わせ、運用費は少額から様子を見て増減する
  3. 広告出稿(SNS広告・YouTube広告)は、まず反応の良かった動画に絞って予算を投じる
  4. 1年運用してみて、反応の良かった配分に翌年の予算を寄せていく

私たちの現場感覚では、予算をかけるべきは機材のグレードそのものよりも、撮影現場で被写体に「カメラを意識させない自然体」を引き出す工夫だと実感している。凝った機材や派手な演出よりも、目立たない場所にカメラを置き、自然な表情や言葉を拾う撮り方のほうが、視聴者の記憶に残りやすい。この考え方は予算規模を問わず、美容室でもクリニックでも宿泊施設でも変わらない。

湘南の店舗・企業が実際に予算を組むときの手順

美容室と小売店の店主が動画制作者と予算計画を話し合う様子

最後に、実際に予算を組む際の手順を整理する。美容室・宿泊施設・小売店・クリニックなど業種は違っても、考え方の骨格は共通している。

まず自社の年間売上高を確認し、業種相場(前述の表)に照らして宣伝費全体の目安を出す。次に、その中で動画に何割回すかを、競合の発信状況や自社の課題(認知不足なのか、来店直前の後押し不足なのか)に応じて決める。認知拡大が課題であれば運用費(広告出稿)の比重を上げ、来店直前の後押しが課題であれば制作費(接客の様子や施術風景が伝わる動画)を厚くする、といった具合だ。

美容室・エステサロンのように東京商工リサーチの調査で宣伝費比率が高めに出ている業種は、動画への投資を積極的に検討する余地が大きい。逆に製造業・建設業のようにBtoB色が強く比率が低い業種でも、展示会や採用の場面に絞って単発の動画を持つことは十分に費用対効果が見込める。業種の平均値はあくまで出発点であり、自社の商流に合わせて調整する姿勢が大切だ。

よくある質問

Q. 動画予算はまず何から決めればいいか?

A. 自社の年間売上高に、業種相場の宣伝費比率(全業種平均1.3%が目安)をかけて宣伝費全体の枠を出し、その3〜5割程度を動画に回すところから逆算するのがすすめやすい。

Q. 宣伝費比率が低い業種(製造業など)は動画に予算をかけなくてよいか?

A. 比率が低いのは業種特性上、広告より人づてや展示会経由の営業が優先されやすいためであり、動画が不要という意味ではない。展示会・採用など目的を絞った単発の動画であれば、比率が低い業種でも費用対効果は見込める。

Q. 動画予算は毎年同じ金額を確保すべきか?

A. 初年度から固定額を決め打ちする必要はない。反応の良かった動画・チャネルに翌年の予算を寄せていく形で、1年ごとに配分を見直すほうが無駄が少ない。

まとめ

動画の予算は、市場全体の伸び(電通調査で動画広告費1兆円超・サイバーエージェント調査で市場8,855億円)を眺めているだけでは決まらない。東京商工リサーチの調査が示すように、業種によって売上高に対する宣伝費比率は0.1%台から18%台まで大きく異なり、まず自社の業種相場を把握することが予算の出発点になる。

次のステップとして、自社の年商と業種相場から宣伝費全体の目安を出し、そのうち動画に回す割合を、認知拡大と来店後押しのどちらが自社の課題かに応じて決めることをすすめる。自社の業種でどのくらいの予算感が妥当か迷う場合は、私たちのような制作者に一度相談してみてほしい。

お客様の声・口コミ動画の活かし方|湘南の店舗が信頼を得る方法

湘南の不動産会社でお客様の声を自然に語ってもらう様子を小型カメラで撮影している場面

「うちは良い店なんです」と口では言われても、初めて来る客にはなかなか伝わらない。湘南エリアで動画制作の相談を受けていると、口コミサイトの星の数だけでは伝えきれない魅力を抱えている事業者に数多く出会う。

結論から言えば、その「伝わらなさ」を最も効率よく埋めるのが、実際の利用者に語ってもらう「お客様の声動画」だ。文章のレビューよりも短い時間で、表情や声のトーンごと相手に届けられるため、初めての人が抱く不安を大きく減らせる。

この記事では、お客様の声動画がなぜ今あらためて重要なのか、業種ごとに何を撮ればいいか、そして信頼される撮り方・公開の仕方までを、制作者の視点で整理する。

  • 結論:お客様の声動画は「初めて利用する人の不安」を最も効率よく減らせるコンテンツだ
  • クチコミを参考に購入・利用した経験がある人は85.9%にのぼる(ホットリンク調査・2026年)
  • 文字だけの口コミより「写真や動画がある」口コミのほうが信頼されやすい

お客様の声動画がなぜ今効くのか
——2つの調査が示す数字

株式会社ホットリンクが2026年5月27日〜6月3日に実施した「クチコミが購買に与える影響調査2026」(日本在住1,000名対象)によると、クチコミを参考に商品・サービスを購入した経験がある人は85.9%にのぼった。さらに「信頼できるクチコミの条件」を尋ねた設問では、「実際に購入・利用した人の体験が書かれている」が81.4%で最多となり、「良い点・悪い点の両方が書かれている」も59.8%と高い割合を占めた。

この調査ではクチコミの参考先として「YouTube」が27.2%にのぼり、信頼できる条件として「写真や動画がある」を挙げた人も37.4%存在した。文字だけの口コミよりも、実際に話している姿が見える口コミのほうが一段強い説得材料になっていることがうかがえる。

米国の調査会社BrightLocalが2026年2月に公表した「Local Consumer Review Survey 2026」(米国成人消費者1,002名対象)でも、星4つ以上のレビューを求める消費者が68%(前年は55%)まで上昇しており、YouTube・Instagram・TikTokといった動画プラットフォームがレビュー確認の場として存在感を増していると報告されている。国は違えど、文章だけのレビューでは判断材料として物足りなくなっている消費者心理の流れは、日本の湘南エリアの店舗選びにも同じように及んでいると私たちは見ている。

この2つの数字が湘南の事業者にとって意味するのは、「星の数」だけを増やそうとする発想の限界だ。星評価は嘘ではないが、なぜその評価をつけたのかという理由までは伝えきれない。理由の部分——何に困っていて、何が決め手になったのか——を本人の言葉と表情で見せられるかどうかが、これからの比較検討で選ばれるかどうかの分かれ目になる。

業種別・何を「お客様の声」として撮ればいいか

動画による口コミが文字だけの口コミより信頼されることを示すフラットイラスト

「お客様の声」と一口に言っても、業種によって聞くべき相手も内容もまったく違う。私たちは呉服・不動産・アパレル・製造・教育など幅広い業種の映像制作に関わってきたが、業種ごとに「決め手になった一言」は驚くほど違う。以下に、湘南エリアでよく相談を受ける業種を例に整理する。

業種 誰に聞くか 聞く内容の例
不動産会社 最近成約した購入者・入居者 この物件・担当者に決めた理由
学習塾 在籍・卒塾した生徒の保護者 入塾前の不安と、通ってからの変化
飲食店 常連客(負担にならない範囲で) よく頼むメニューとその理由
小売店 リピーター 実際の使い方・買ってよかった点

不動産会社であれば「価格」よりも「担当者の対応」が決め手だったという声が出やすく、学習塾であれば保護者が抱えていた不安(勉強嫌いだった、続くか心配だった)を先に語ってもらうと説得力が増す。共通して言えるのは、事業者側が用意した宣伝文句よりも、利用者自身の言葉のほうが検索している人の状況に近く、刺さりやすいということだ。

「うちのお客さんは口下手だから」と話す前に依頼をためらう事業者もいるが、実際にカメラの前で流暢に話せる人はむしろ少数派だ。言葉に詰まりながらも「本当にそう思っている」ことが伝わる映像のほうが、よどみなく話す映像よりも信頼されやすいというのが、私たちが現場で繰り返し感じてきた実感でもある。うまく話してもらうことよりも、話しやすい空気を作ることのほうが撮影の質を左右する。

信頼される撮り方の作法
——「やらせ」に見せない工夫

学習塾で保護者と生徒が自然に話す様子をカメラを目立たせずに撮影する制作者

お客様の声動画で一番避けたいのは、台本を読んでいるように見えてしまうことだ。せっかく本音を語ってもらっても、不自然な間や決まり文句だらけの言葉遣いは、見る側にすぐ伝わってしまう。

私たちの撮影チームでは、常にカメラを目立たない場所に置き、「カメラを意識させない自然体」を心がけている。質問も台本通りに読み上げてもらうのではなく、雑談の延長で自然に出てきた言葉を拾うようにする。この現場感覚は、宣伝色の強い企業紹介動画よりも、本音が伝わってほしい「お客様の声」の場面でこそ効果を発揮すると実感している。

撮影に入る前には、以下のような点を必ず確認しておくことをすすめる。

  1. 出演の目的(どこで公開するか)を事前に伝え、書面またはメッセージで同意を得る
  2. 本名・匿名・イニシャルなど、名前の出し方を本人の希望に合わせる
  3. 台本を丸暗記させず、質問リストだけ渡して自分の言葉で話してもらう
  4. 完成前に本人へ内容を確認してもらい、公開後も削除依頼に対応できる体制を整える

なお、クリニック・治療院については注意が必要だ。医療広告ガイドラインでは、患者の体験談を広告として扱うことに厳しい制限があり、「お客様の声動画」をそのまま宣伝に使う発想自体が業種によっては通用しない。医療系の広告表現で気をつけたい点はクリニックが動画で発信するときの注意点(医療広告規制)で詳しく解説しているので、あわせて確認してほしい。

撮った「声」動画をどこで使うか

1本のお客様の声動画をGoogleビジネスプロフィールやSNS、サイトに使い回すことを示すフラットイラスト

お客様の声動画は、撮って終わりではなく置き場所によって効き方が変わる。私たちが特に効果を感じるのは、比較検討の最終段階で見られる場所に置くことだ。

  • Googleビジネスプロフィールの投稿・写真欄:地図から店を比較検討している人に直接届く
  • 公式サイトの「お客様の声」ページ・料金ページの近く:契約直前の迷いを後押しする
  • Instagram・TikTok・YouTubeのハイライトや固定投稿:初めて訪れた人がまず目にする場所

Googleマップ経由の来店を増やしたい場合はGoogleマップ(MEO)×動画で地域集客を強くするもあわせて参考にしてほしい。そもそも動画の種類や使い分けから整理したい場合は企業PR動画とは?目的・効果・費用をわかりやすく解説を先に読んでおくと理解が早い。

一度に何本もの「お客様の声」を作ろうとすると腰が重くなりがちだが、1人分を撮るだけでも、Googleビジネスプロフィール・SNS・自社サイトの3か所に同じ素材を使い回せる。1本の撮影を複数の場所で長く使い続けるほうが、無理なく続けられるやり方だと私たちは考えている。

よくある質問

Q. お客様の声動画は何人分集めれば十分か?

A. まずは業種・利用シーンの違う3〜4人分から始めるとよい。同じような人ばかりだと、見る側が「自分には当てはまらないかもしれない」と感じやすくなる。

Q. 良い感想ばかりで不自然に見えないか心配だ

A. 良い点だけでなく、最初に感じていた不安や迷いもあわせて語ってもらうとよい。「良い点・悪い点の両方が書かれている」ことを信頼の条件に挙げる人は約6割にのぼり、正直さのほうが結果的に信頼を得やすい。

Q. 出演してくれる人が見つからない場合はどうすればいいか?

A. いきなり顔出しの依頼をせず、普段から良い反応をくれる常連客・卒業生などに「短い感想だけ」の軽い依頼から始めるとハードルが下がる。声だけ・手元だけの出演から始めてもよい。

まとめ

ホットリンクの調査が示す通り、クチコミを参考に購入・利用する人は8割を超え、その中でも「実際に体験した人の言葉」が最も信頼されている。文字だけでなく表情や声のトーンごと届けられる動画は、その信頼をさらに一段強くする手段だ。

湘南のような顔の見える経済圏では、大きな広告よりも「実際に利用した人の一言」のほうが強い説得力を持つ。まずは業種や利用シーンの違う数人に、短い感想だけでも語ってもらうことから始めてほしい。

誰に何を聞けばいいか迷ったときや、無理のない撮影の進め方を相談したいときは、私たちのような制作者に一度声をかけてほしい。

生成AI動画と著作権|湘南の事業者が知っておきたい最新動向

湘南の海辺の町を背景に生成AIを使いながら動画編集をする様子

生成AIで動画を作る現場が、この一年で明らかに増えた。

私たちが動画制作の相談を受ける中でも、「AIでラフを作ってから発注したい」「BGMやテロップをAIツールで作れないか」という声を聞く機会が増えている。

結論から言えば、生成AIを動画制作に取り入れること自体は問題ない。ただし、著作権をめぐるルールと最近の国内の動きを知らないまま使うと、思わぬトラブルに発展しかねない。

この記事では、文化庁が示す生成AIと著作権の考え方、2025年から2026年にかけて大きな話題になった動画生成AI「Sora 2」を巡る国内団体の対応、そして湘南の事業者が実務でおさえておきたい注意点を整理する。

  • 画像・動画系の生成AIを「導入済み・試験導入中」とする企業は21.9%(JUAS調査・2024年度)まで伸びており、動画制作の現場にもAI活用は広がっている
  • 文化庁は「開発・学習段階」と「生成・利用段階」で著作権法の適用が異なるとしており、生成物が既存作品と似ていれば侵害になり得る
  • 2025年秋に始まった動画生成AI「Sora2」を巡る著作権紛争は、権利者団体との協議を経て2026年3月にサービス終了という結果に至った
  • 湘南の事業者が動画にAIを使う際は「学習データの出どころ」「利用規約」「人が確認する工程」の3点を発注前に確認するのが実務上の目安になる

動画制作の現場にどこまでAIが入ってきているか

私たちが日々受ける相談の変化からも、生成AIの浸透は実感できる。

一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の「企業IT動向調査2025」(2025年2月公表、2024年度調査、回答981社)によると、画像・動画系の生成AIを「導入済み」または「試験導入中・導入準備中」と回答した企業は21.9%(実導入7.0%+試験導入中14.9%)に達した。言語系生成AI(26.9%→41.2%)ほどの急伸ではないものの、動画分野でもAI活用が着実に進んでいることを示す数字だ。

現場感覚としても、絵コンテのラフ画像やBGM、字幕の自動生成にAIを併用する事業者は増えている。ただし「AI活用」の中身を分解すると、リスクの高さは工程によって大きく異なる。素材のたたき台を作る段階と、出来上がった映像を公開する段階とでは、注意すべきポイントがまったく違うということを、次の項で整理する。

文化庁が示す「AIと著作権に関する考え方」の要点

生成AIと著作権の関係について、日本には既に公式の指針がある。文化庁の文化審議会著作権分科会法制度小委員会は2024年3月15日、「AIと著作権に関する考え方について」を取りまとめて公表した。

この考え方は、AIが関わる場面を「開発・学習段階」と「生成・利用段階」に分けているのが特徴だ。以下に段階別のポイントを整理する。

段階 主に関わる考え方 実務での注意点
開発・学習段階 著作権法30条の4(非享受目的の利用) 学習データの収集自体は比較的広く認められる
生成・利用段階 類似性・依拠性の有無 既存作品に似ていれば侵害になり得る。公開前に人が確認する

つまり、AIで作ったから自動的に安全というわけではない。出来上がった動画やカット画像が既存の作品と似ていないかは、人が確認する必要があるということだ。文化庁は2024年7月31日には、開発者・提供者・利用者・権利者それぞれの立場ごとに取るべき対応を整理した「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」も公表している。

「似ている」かどうかは誰が判断するのか

実務上悩ましいのは、生成物が既存作品に「似ている」かどうかの線引きだ。文化庁の考え方でも明確な数値基準は示されておらず、個別の事案ごとに判断される。私たちが動画制作の現場で意識しているのは、既存の有名なキャラクターやブランドの画像を参照させるような指示(プロンプト)は避け、生成物を人の目でチェックする工程を必ず挟むということだ。これは、以前まとめたAI動画生成ツールの現在地と、人が撮る映像の価値でも触れた「人が関わる価値」そのものでもある。

動画制作へのAI導入拡大を示すフラットデザインの図解

動画生成AI「Sora 2」を巡る争いが示した決着のかたち

著作権の議論が一気に注目を集めたのが、2025年秋から2026年春にかけての「Sora 2」を巡る動きだ。OpenAI社は2025年9月30日に映像生成サービス「Sora 2」の提供を始めたが、日本の既存アニメーションやキャラクターに酷似した映像が、権利者の許諾なく多数生成される事態が起きた。

これを受け、一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(CODA)は2025年10月27日、OpenAI社へ要望書を提出した。要望は「CODA会員社のコンテンツを無許諾で学習対象としないこと」「生成物に関する著作権侵害の申立てに真摯に対応すること」の2点。CODAは、日本の著作権制度が原則として利用前の許諾を前提としているのに対し、OpenAI社が採用した事後的な「オプトアウト方式」ではその原則に対応できないと指摘した。

その後の協議を経て、2026年3月27日、OpenAI社はCODAに対し、Sora 2をアプリ・APIを含むプロダクトとして終了する旨を報告した。CODAは「ひとつの区切り」としながらも、他の事業者による類似サービスの提供は続いており著作権侵害のリスクは依然存在するとして、2026年度から生成AIサービスの実態調査を本格化させる方針を示している。

湘南の事業者にとってこの一連の出来事が直接関わることは少ないだろう。しかし、海外の大手プラットフォームでさえ権利者団体との協議の末にサービス終了という結論に至った例がある以上、「有名なプラットフォームだから安全」とは言えないことがよく分かる。自社で使う生成AIツールの利用規約や学習データの扱いは、発注前に一度確認しておくことをすすめる。


湘南の事業者が動画にAIを使うときに実務で気をつけたいこと

ここまでの内容を踏まえ、私たちが動画制作の現場でAIを使う際に実際に確認していることを、実務目線で整理する。

AI生成映像の著作権チェックを表すフラットデザインの図解
  1. その生成AIツールがどのようなデータを学習に使っているか(利用規約・提供元の説明)を確認する
  2. 生成物を公開前に必ず人の目で確認し、既存の有名な作品・キャラクター・ロゴに似ていないかをチェックする
  3. 商用利用が許可されているプランか、生成物の著作権の扱いがどうなっているかを利用規約で確認する
  4. AIが作ったラフ素材は「たたき台」とし、最終的な編集・構成には必ず人の手を加える
  5. クライアントへの納品物にAIを使った部分がある場合は、事前にその範囲を共有しておく

工務店の採用動画で背景イラストをAIに作らせる場合も、飲食店のメニュー紹介動画でBGMを自動生成する場合も、美容サロンのショート動画でテロップやカット編集を自動化する場合も、基本的な確認事項は変わらない。「AIが作った」で終わらせず、「人が確認した」工程を必ず一段加えることが、これからの動画制作の基本姿勢になるはずだ。発注前に確認しておきたい項目は、動画制作の発注前に確認したい7つのチェックリストにも整理してある。

事業者と動画制作者がチェックリストを確認しながら打ち合わせする様子

よくある質問

Q. AIが生成した動画に著作権は発生しますか?

A. 文化庁の考え方では、AIが自律的に生成しただけの映像は人の「思想または感情の創作的表現」とは言えず、基本的に著作物にはあたらないとされている。人が構成や編集など創作的な工程を加えれば、その部分に著作権が生じ得る。

Q. 既存のアニメやキャラクターに似た画像をAIで作って自社動画に使ってもよいですか?

A. 生成物が既存作品と「似ている」(類似性)かつ「それを参照して作られた」(依拠性)と判断されれば、著作権侵害になり得る。似せることを意図したプロンプトは避け、公開前に人の目で確認することをすすめる。

Q. 社内資料など、外部に公開しない動画であれば気にしなくてよいですか?

A. 私的・社内限定の利用であればリスクは下がるが、ゼロにはならない。特に採用動画やSNS発信など外部公開を前提とする動画では、公開前のチェック工程を省かないほうがよい。

Q. Sora2のような海外の動画生成AIは、日本の事業者が使っても問題ないですか?

A. サービスの利用自体を禁じる法律はないが、2025年から2026年にかけてのCODAとOpenAI社の一件が示すように、権利者側との摩擦が続きやすい分野だ。利用規約や学習データの扱いを確認し、生成物のチェックを怠らないことが重要だ。

まとめ

生成AIによる動画制作は、もう一部の先進的な事業者だけの話ではない。JUASの調査が示すとおり、画像・動画系AIの導入は着実に広がっている。

一方で、文化庁の考え方や2025年から2026年のSora 2問題が示すように、著作権のルールは依然として発展途中にある分野だ。「AIが作ったから安全」でも「AIだから危険」でもなく、生成物を人が確認する工程をどう組み込むかが実務上の分岐点になる。

次のステップとしては、まず自社が使っている(あるいは使おうとしている)生成AIツールの利用規約と学習データの扱いを一度確認し、公開前チェックの担当者を決めておくことをすすめる。動画にAIをどう取り入れるべきか迷う場合は、私たちのような制作者に相談してみてほしい。

動画制作はフリーランスと制作会社どちらが得か|湘南企業向け費用比較

湘南の自宅でノートパソコンと一眼カメラを使い一人で編集するフリーランス動画クリエイターと、明るいオフィスで複数人の制作チームが打ち合わせをする様子を左右に並べた構図

「動画を1本作りたいが、クラウドソーシングでフリーランスの個人に頼むのと、制作会社に頼むのとで、何がどう違うのか分からない」——湘南エリアの経営者から見積もりの相談を受けていると、この迷いにしばしば出会う。ネットで探せば数万円から請け負う個人クリエイターも、数十万円からの制作会社も出てくる。値段だけを見れば個人に頼んだ方が得に思える。

結論から言えば、フリーランスと制作会社のどちらが得かは、金額の大小だけでは決まらない。同じ「動画1本」でも、価格に何が含まれているか、途中で何かあったときに誰がどう対応してくれるかが大きく違うからだ。この記事では、フリーランス市場の拡大を示す一次データと、動画制作の外注トラブルに関する調査という一次情報をもとに、費用の違いとリスクを整理し、湘南の中小企業がどちらを選ぶべきかの判断軸を示す。

この記事では、フリーランスへの依頼が増えている背景、費用構造の違い、実際に起きやすいトラブル、業種別の向き不向きまでを、現場で制作に立つ私たちの視点で一気に解説する。

  • 結論:フリーランスと制作会社の差は金額だけでなく「価格に何が含まれるか」「トラブル時の対応力」にある
  • フリーランス人口は10年で+39.1%増の1,303万人、経済規模は20兆3,200億円に達している(ランサーズ調査)
  • 動画制作の外注トラブルで最も多いのは「追加費用の説明不足」(31.3%)と「費用内訳の不透明さ」(29.8%)(一括.jp調査)

なぜ動画制作でフリーランス個人への依頼が増えているのか

ランサーズ株式会社が2025年1月に実施した「フリーランス実態調査2024年」(有効回答2,929名)によると、2024年のフリーランス人口は1,303万人、経済規模は20兆3,200億円に達し、10年前と比べて人口は39.1%、経済規模は38.8%それぞれ増加した。動画に限らず、個人が業務委託で仕事を請け負う働き方そのものが、この10年で確実に広がっている。

動画制作の分野でも同じ流れがある。クラウドソーシングサイトには編集だけを請け負う個人クリエイターが数多く登録しており、制作会社が抱える固定費(オフィス・機材・複数人体制の人件費)を持たない分、同じ作業でも見積もりが安くなりやすい。一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会の「フリーランス白書2025」では、フリーランス全体の年収は「200万〜400万円未満」が26.5%で最も多いという結果も出ており、単価を抑えてでも案件数をこなす個人クリエイターが一定数いることの背景にもなっていると私たちは見ている。

費用だけを比べても見えない「差」
——フリーランスと制作会社の違いを整理する

個人クリエイター1人分の小さな費用の積み木とチーム体制の大きな費用の積み木を天秤で比較するフラットイラスト

見積書の金額だけを並べると、フリーランスの方が安く見えるのは事実だ。しかし価格には「何が含まれているか」の差があり、そこを見落とすと想定外の追加費用や仕上がりのばらつきにつながる。以下に、同程度の動画を依頼した場合の一般的な違いを整理する。

比較項目 フリーランス個人 制作会社
費用目安(PR動画1本) 5万〜30万円ほど 20万〜80万円ほど
得意な依頼内容 単発のSNSショート動画、素材ありきの編集のみ 企画から撮影・複数人体制が要る案件
品質の安定感 個人のスキル・経験に左右されやすい チーム体制で一定水準を担保しやすい
契約・保証面 個人間契約が中心で、条件は依頼者側の確認次第 契約書・修正回数の取り決めが整っていることが多い
向いている発注規模 予算重視の単発・小規模案件 継続案件、商談・展示会用など「ここ一番」の案件

費用相場そのものをもう少し細かく知りたい場合は、動画制作の費用相場【完全ガイド】で種類・尺別に整理しているので、あわせて参考にしてほしい。社内で作るか外に頼むか自体で迷っている場合は、動画制作は内製と外注どちらが得かも判断の助けになるはずだ。

発注トラブルはどこで起きやすいか
——費用・進行管理の実態

見積書らしき書類を虫眼鏡で確認し、時計のアイコンが遅延を示すフラットイラスト

動画制作マッチングサイト「一括.jp」を運営する株式会社ecloreが2025年7月に実施した調査(動画制作の外注経験がある企業担当者131名対象)によると、外注時に生じたトラブルの上位には費用・見積もりに関する項目が並ぶ。「追加費用の説明不足」を経験した割合が31.3%、「費用内訳が不透明だった」が29.8%、「見積もりと最終費用が食い違った」が23.7%にのぼった。あわせて「スケジュール共有・報告の不足」も31.3%と並んで多く、進行管理の甘さが費用トラブルと同時に起きやすいことがうかがえる。

この調査は制作会社への外注も含めた結果であり、フリーランスに限った数字ではない。ただし、制作会社であれば担当者が対応できないときに別のスタッフがフォローに入る、契約書で修正回数や納期を明文化しているといった「保険」が機能しやすいのに対し、個人のフリーランスは依頼から納品まで一人で完結させている分、体調不良や案件の重なりで連絡が途絶えると代わりが利きにくい。この一点だけでも、費用の安さと引き換えに背負うリスクの種類が変わることは押さえておきたい。動画制作の見積もりで追加費用が発生しやすい具体的な項目は動画制作の見積書、追加費用が発生しやすい項目とはで詳しく整理しているので、発注前にあわせて確認してほしい。

業種別に見る、どちらが向いているか

明るい打ち合わせテーブルで小規模事業者と動画制作者が提案書とノートパソコンの編集画面を確認している様子

向き不向きは業種そのものより「動画の使い方」で決まる。いくつか具体的な場面で考えてみたい。学習塾が説明会の告知用に1本だけ短いショート動画を作りたい場合、素材(教室の様子や講師の一言)さえ揃っていれば、編集だけを個人のフリーランスに頼んでも十分に成立する。予算を抑えたい単発案件は、フリーランス個人の得意分野だ。

一方、ヨガスタジオが毎週SNSに投稿し続ける運用を前提にするなら、担当者が急に対応できなくなったときの影響が大きい。継続案件は、複数人でフォローできる制作会社や、契約を通じて継続的に関われる体制のある個人に任せた方が、長い目で見て安定する。税理士事務所や士業のように「信頼感」がそのまま商品価値に直結する採用動画・会社紹介動画では、企画段階から複数の視点でチェックが入る制作会社の体制が安心材料になりやすい。私たちも呉服・不動産・アパレル・製造・教育と幅広い業種の相談を受けてきたが、業種で一律に決めるのではなく「この動画が失敗したときの影響の大きさ」で発注先を選ぶ会社ほど、後悔が少ないという印象を持っている。

よくある質問

Q. フリーランスに頼めば、制作会社より確実に安くなりますか?

A. 多くの場合は安くなるが、依頼内容によっては差が縮まることもある。企画や複数日の撮影が必要な案件では、個人でも稼働時間が増える分、価格差は小さくなりやすい。

Q. フリーランスに頼む一番のリスクは何ですか?

A. 依頼から納品まで一人で担っているため、体調不良や案件の重なりで連絡が滞ったときに代わりが利きにくいことだ。契約前に連絡手段と対応可能な期間を確認しておくとよい。

Q. 予算が少ない場合、フリーランスと制作会社のどちらを選ぶべきですか?

A. 単発かつ素材が揃っている案件ならフリーランスで十分なことが多い。継続的な発信や、失敗の影響が大きい「ここ一番」の動画は、予算を工面してでも制作会社を検討する価値がある。

Q. 見積もりのどこを確認すれば費用トラブルを防げますか?

A. 修正回数の上限、追加費用が発生する条件、納品形式が見積書に明記されているかを確認するとよい。ここが曖昧なまま契約すると、追加費用トラブルにつながりやすい。

まとめ

フリーランス市場が10年で人口・経済規模ともに約4割拡大している(ランサーズ調査)背景もあり、動画制作を個人に依頼する選択肢は以前より身近になった。一方で、動画制作の外注トラブルの上位は費用・見積もりの不透明さと進行管理の甘さが占めており(一括.jp調査)、これは発注先がフリーランスであっても制作会社であっても変わらない注意点だ。

大切なのは「安いか高いか」ではなく、「その価格に何が含まれ、何かあったときに誰が対応してくれるのか」を発注前に確認することだ。単発で予算を抑えたい案件か、継続的・失敗できない案件かを整理すれば、フリーランスと制作会社のどちらが自社に合うかはおのずと見えてくる。

次のステップとして、まずは依頼したい動画が「単発」なのか「継続」なのかを言語化することをすすめる。迷う場合は、私たちのような制作者に一度相談してみてほしい。