
「動画をSNSに上げてフォロワーは増えたのに、肝心の常連客との関係はあまり変わっていない」——湘南で店舗や教室を営む経営者からそんな声を聞くことが増えた。新規の目には触れても、すでに一度来てくれたお客様や生徒の保護者には、実は動画がほとんど届いていないケースは少なくない。
結論から言えば、動画の届け先としてもっと活用すべきなのが「LINE公式アカウント」だ。Googleマップ(MEO)やInstagramが新規の目に留まるための入口だとすれば、LINE公式アカウントはすでに繋がっている人に「また行きたい」と思い出してもらうための、いわば裏口の生命線になる。
この記事では、LINE公式アカウントで動画を配信する意味を一次データとともに整理したうえで、湘南の学習塾を例に、動画をどう撮り、どう配信すれば「また通いたい」につながるのかを、制作者の現場感覚で解説する。
- 結論:LINE公式アカウントの動画は、新規集客ではなく既存客の「思い出させる」導線として使うのが本筋だ
- LINEは開封率が非常に高く、動画は静止画やテキストより情報量とインパクトで勝る
- 特別な機材は不要。すでにある動画を短く編集し直すだけでも配信は始められる
湘南の店舗・教室が
いまLINE公式アカウントを見直すべき理由
LINEヤフー株式会社の発表によれば、LINEの国内月間利用者数は2025年12月末時点で1億ユーザーを突破した。日本の人口の大半が日常的に開いているアプリという意味で、他のどのSNSとも役割が異なる。
さらに、LINEヤフー for Business の公式コラムでは、配信したメッセージのうち約2割が即座に、約5割が3〜6時間以内に、そして当日中には約8割が開封されるというデータが示されている。メールマガジンの開封率が数パーセント〜二割程度で語られることが多いのに比べると、圧倒的な速さと到達率だ。私たちが現場で見てきた実感としても、Instagramの投稿は「見てもらえるかどうか」から始まるのに対し、LINEはほぼ確実に画面に通知が出る点が大きく違う。
新規集客の動画とは役割が違う
Googleマップ(MEO)対策としての動画についてはGoogleマップ(MEO)×動画で地域集客を強くするでも触れたが、あちらは「まだ知らない人に見つけてもらう」ための動画だ。一方でLINE公式アカウントの動画は、すでに友だち登録してくれている人、つまり一度は来店・入会してくれた人に向けた配信になる。届く相手がまったく違うので、両方を「集客動画」として一括りにせず、新規向けと既存向けで役割を分けて考えるのが妥当だ。
なぜ”動画”なのか
——テキスト・静止画との違い

LINE公式アカウントには「リッチビデオメッセージ」という、動画をそのままメッセージとして送れる機能がある。テキストのお知らせやクーポン画像でも開封はされるが、動くもの・声・現場の空気感まで届けられるのは動画だけだ。以下に、配信タイプごとの特徴を整理する。
| 配信タイプ | 伝わる情報 | 向いている用途 |
|---|---|---|
| テキストのみ | 事実・日時・数字 | 休業案内・予約リマインド |
| 静止画+テキスト | 雰囲気・メニューや商品の見た目 | クーポン・新メニュー告知 |
| 動画 | 空気感・表情・動き・声のトーン | 現場の様子・講師やスタッフの人柄 |
表からもわかるとおり、動画にしかない価値は「事実」より「空気感」の伝達にある。既存客がわざわざ足を運ぶ動機は、多くの場合すでに知っている「あの雰囲気」や「あの人」への安心感だ。だからこそ、既存客への配信であるLINE公式アカウントと動画の相性は良い。
学習塾の現場で考える
LINE×動画のシナリオ

経済産業省の特定サービス産業動態統計調査によれば、学習塾業界の売上高は2023年時点で約5,812億円と、10年前の約4,041億円から約44%伸びている。少子化が進む一方で塾にかける費用は増えており、一つの教室あたりの生徒・保護者との関係を長く維持できるかどうかが、経営の分かれ目になりつつある業界だと言える。
保護者との接点づくりでは、新規向けにはInstagram、すでに入会している家庭との関係維持や紹介の後押しにはLINE公式アカウントが効くとされる。動画を一度作れば、SNS・ホームページ・LINEへ横展開できるため、制作の手間に対してコンテンツ効率が高い施策でもある。
私たちの経験では、発信で大事なのは「伝えたいことをできるだけ自然体で伝える」ことに尽きる。撮影の際は目立たない場所にカメラを置き、被写体にカメラを意識させない自然な雰囲気を引き出すことを常に意識している。塾の授業風景であれば、講師が作り込んだ演出をするより、いつもの授業の一コマをそのまま切り取るほうが、保護者には「本物の教室の空気」として伝わりやすい。
学習塾を例にすると、LINE公式アカウントで配信しやすい動画には次のようなものがある。
- 定期テスト前の勉強法アドバイス動画(講師が1〜2分で要点を話すだけでよい)
- 普段の授業風景や自習室の様子(生徒の顔が映る場合は事前の許可を得る)
- 行事・面談期間の案内を、担当講師の顔が見える形で伝える動画
湘南の店舗・教室が
今日からできる始め方

大掛かりな仕組みを整える前に、まずは小さく始めるのが続けるコツだ。手順として整理する。
- 店頭・教室内・レシートなどに友だち追加の入口(QRコード)を置き、来店・入会時に登録してもらう
- 月1〜2本、15〜30秒程度の短い動画を配信する頻度から始める(音声なしでも伝わるよう字幕をつけると親切)
- ゼロから撮り下ろすのではなく、Instagramや採用ページ用に撮った動画の素材を再編集して使い回す
効果測定は難しく考えなくてよい。LINE公式アカウントの管理画面では配信ごとの開封数・クリック数、動画であれば再生数まで確認できる。最初の数回は数字を追うより、返信やスタンプなど反応があったかどうかを見るだけでも十分だ。友だち追加数がじわじわ減っていないか、月に一度チェックする習慣をつけておくと、配信頻度や内容を見直すタイミングを逃さずに済む。
配信を軌道に乗せるうえでは、お客様の声を動画で伝える方法も相性がよい。詳しくはお客様の声・口コミ動画の活かし方|湘南の店舗が信頼を得る方法でも解説しているので、あわせて参考にしてほしい。どのSNSに動画を出し分けるかで迷う場合はリールとショート、結局どっちを選ぶ?も判断材料になる。
よくある質問
Q. 配信の頻度はどれくらいが適切か?
A. 月1〜2本から始めれば十分だ。頻度が多すぎるとブロックの原因になりやすいため、まずは無理なく続けられるペースを優先し、反応を見ながら調整することをすすめる。
Q. Googleマップ(MEO)向けの動画と何が違うのか?
A. MEO向けの動画は「まだ知らない人に見つけてもらう」新規集客が目的だが、LINE公式アカウントの動画は「すでに繋がっている人に思い出してもらう」既存客向けの施策だ。狙う相手も内容も分けて考えるとよい。
Q. 動画の長さはどれくらいが適切か?
A. 15〜30秒程度が目安だ。LINEはスキマ時間に開かれることが多いため、要点を先に伝え、音声なしでも内容がわかるよう字幕を添えるとよい。
Q. 専用の動画を新しく作らないといけないか?
A. その必要はない。すでにInstagramや採用向けに撮影した動画を、LINE用に短く編集し直すだけでも十分に活用できる。
まとめ
LINE公式アカウントは日本国内で圧倒的な数の人が日常的に開いているツールであり、動画はその中でも空気感や人柄を伝えられる数少ない手段だ。新規集客の動画とは役割を分け、すでに繋がっている人への「思い出させる」導線として使うことが、リピートを生む近道になる。
湘南で店舗や教室を営むなら、まずは友だち追加の入口を一つ用意し、手元にある動画素材を短く編集し直すところから始めてみてほしい。大掛かりな制作より先に、いま撮れる自然体の一コマを配信することのほうが、次の一歩としては現実的だ。
新規集客の動画と既存客向けの動画、どちらも大切だが、優先順位に迷ったら「すでに繋がっている人を離さない」ほうから手をつけるのが、地域密着型のビジネスにとってはランチェスター的にも理にかなっている。狭いエリアで長く選ばれ続けるための土台は、遠くの新規客より近くの常連客だ。
どんな動画をどう撮り直せば配信に使えそうか、判断に迷う場合は、まず現状の動画素材を一緒に棚卸しするところから相談することをすすめる。


































