小売店の動画活用術|湘南で「また来たくなる店」になる方法

湘南の雑貨店で店主がスマートフォンとミニ三脚を使い商品陳列を撮影している様子

「うちみたいな小さな雑貨店やアパレルショップが動画をやっても、大手チェーンには勝てない」——湘南エリアの小売店のオーナーと話していると、そう感じている人は少なくない。SNSはなんとなく大手や有名インフルエンサーのものというイメージが根強く、動画に手を出す発想自体が遠いという声もよく聞く。

結論から言えば、その前提は逆だ。動画は資本力ではなく「店主の人柄」や「その場の空気」で見られるメディアであり、むしろ個人店・小規模店舗のほうが向いている場面が多い。この記事では、総務省・経済産業省という2つの公的統計と、SNS広告経由の購買行動を調べた民間調査という一次データをもとに、小売店にとって動画がなぜ必要なのかを検証し、実際に何を撮ればいいか、どう続ければいいかまでを制作者の視点で整理する。

この記事では、動画視聴・SNS利用の実態データから、EC拡大時代における実店舗の動画の役割、具体的な撮影企画例、無理なく続けるステップまでを一気に解説する。

  • 結論:動画は資本力より「店主の人柄」と「その場の空気」で見られるため、小規模な小売店ほど向いている
  • YouTubeの利用率は80.8%、Instagramも52.6%に達し、動画視聴は幅広い世代の日常的な習慣になっている(総務省調査)
  • SNS広告経由で商品を購入した人の75.1%は「買う予定はなかった」と回答しており、動画は「偶然の来店」を生む力を持つ(リンクアンドパートナーズ調査)

小売店に動画は必要か
——SNS動画がもう「特別」ではない理由

総務省情報通信政策研究所が2025年6月に公表した「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、全年代でのSNS・動画サービスの利用率はLINEが91.1%、YouTubeが80.8%、Instagramが52.6%、TikTokも33.2%に達している。動画共有サービスはもはや若年層だけの習慣ではなく、幅広い世代の生活に溶け込んだ日常的な情報収集の入り口になっている。

さらに株式会社リンクアンドパートナーズが2024年7月に発表した「SNS広告の購買行動調査」(SNS広告経由の購入経験者623人対象)では、動画広告を見て商品を購入した人が全体の55.9%にのぼり、購入者の75.1%が「買う予定はなかった」と回答している。これは、動画が「探していたものを見つける」だけでなく「思いがけず欲しくなる」という衝動的な購買・来店のきっかけを作れることを示している数字だ。実店舗に足を運んでもらう小売店にとって、これは見逃せない意味を持つ。

EC市場が拡大するほど
「リアルな店」の動画が効く理由

スマートフォンの動画から来店・購入につながる流れを示すフラットイラスト

経済産業省が2025年8月に公表した「令和6年度電子商取引に関する市場調査」によると、2024年の国内BtoC-EC市場規模は26兆1,225億円(前年比5.1%増)、うち物販系分野は15兆2,194億円(同3.7%増)に達した。ネットで買える選択肢は年々増え続けている。

こう聞くと「ECが伸びるほど実店舗は不利になる」と感じるかもしれないが、私たちの見方は逆だ。何でもネットで買える時代だからこそ、消費者はスマートフォンの中で「行く価値のある店」を先に見極めてから足を運ぶようになっている。店内の雰囲気や店主の人柄、商品の質感が伝わる動画は、EC化が進む世の中で実店舗を選んでもらうための、いわば来店前の「下見」の役割を果たす。以下に、小売店で反応が取れやすい動画の種類と、尺・向いている媒体の目安を整理する。

動画の種類 尺の目安 向いている媒体
新入荷・季節商品の紹介 15〜30秒 TikTok・Instagramリール
商品の使い方・着こなしデモ 20〜40秒 Instagram・YouTubeショート
店主・スタッフの人柄 20〜40秒 Instagram・YouTube
店内・陳列の雰囲気 15〜30秒 Googleビジネスプロフィール・Instagram

実際に何を撮ればいいか
——小売店ならではの企画例

湘南の小さなアパレルショップでスタッフが商品を紹介する様子をミラーレスカメラで撮影する制作者

小売店の動画で私たちが特に反応を感じるのは、商品そのものより「その商品が店主やスタッフの手を通ったとき」の場面だ。雑貨店なら仕入れたばかりの商品を棚に並べる手元、アパレルショップなら店員が実際に袖を通して着こなしを見せる瞬間、農産物の直売所なら朝どれの野菜を並べる様子——どれも台本なしで自然に撮れる素材ばかりだ。

  • 新商品・入荷速報:箱を開けて棚に並べるまでの一連の流れ
  • 使い方・コーディネート提案:実際に使う/着る場面をそのまま見せる
  • 店主・スタッフ紹介:仕入れへのこだわりや接客への想いを短く語ってもらう
  • お客様とのやり取り:許可を得たうえで、常連客との自然な会話の一場面

私たちは呉服・アパレル・不動産・製造・教育など幅広い業種の映像制作に関わってきたが、業種を問わず共通して言えるのは「作り込みすぎた紹介動画」より「自然体の一場面」のほうが反応が良いということだ。撮影で常に意識しているのは、カメラの存在をできるだけ消すこと——目立たない場所にカメラを置き、スタッフに「カメラを意識させない自然体」を心がけてもらう。この自然さこそが動画で信頼を生む一番の近道だと、現場感覚として実感している。

こうした店舗の動画活用の考え方は、業種は違えど大磯の店舗がInstagramで集客するにはで扱った内容とも重なる部分が多いので、あわせて参考にしてほしい。Googleマップからの来店につなげたい場合はGoogleマップ(MEO)×動画で地域集客を強くするも参考になる。

無理なく続けるための実践ステップ

小売店が動画を無理なく続けるステップを表すフラットイラスト

動画というと特別な機材や編集スキルが必要に思えるが、小売店の場合はスマートフォン1台と自然光があれば十分に始められる。以下の順で進めてみてほしい。

  1. 自店の一番の強み(品揃え・接客・店内の雰囲気のどれか)を1つだけ決める
  2. 15〜30秒に収まる一場面をスマートフォンで撮影する
  3. Instagramリール・TikTok・Googleビジネスプロフィールなど反応が見える媒体に投稿する
  4. 週1本を目安に、3〜6か月は同じテーマで続けて反応を比較する

縦型・短尺のどの形式から手をつけるか迷う場合は、リールとショート、結局どっちを選ぶ?も参考にしてほしい。

よくある質問

Q. 商品数が少ない小さな店でもネタは続くか?

A. 続く。商品そのものより「店主・スタッフが商品を扱う場面」がネタになるため、品数の多さよりも撮る視点の工夫のほうが重要だ。

Q. 顔出しをしたくない場合はどうすればいいか?

A. 手元や商品のアップだけでも十分成立する。無理に顔を出す必要はなく、まずは手元の作業や陳列の様子から始めるとよい。

Q. どのSNSから始めればいいか?

A. 利用率の高いInstagram・YouTubeに加え、新規層への露出を狙うならTikTokも候補になる。まずは1つに絞って継続することをすすめる。

まとめ

総務省の調査が示す通り、動画を見るという行動は世代を問わず生活の一部になっている。そしてリンクアンドパートナーズの調査が示すように、動画は「買う予定のなかった人」を動かす力を持つ。経済産業省のデータが示すEC拡大の流れは、実店舗にとって逆風ではなく、動画で「行く価値」を伝えられる店が選ばれる時代への転換だと私たちは捉えている。

湘南のような顔の見える経済圏では、大きな予算をかけた宣伝映像よりも、店主やスタッフの自然な一場面のほうが強い説得力を持つ。まずは自店の一番の強みを1つだけ決めて、スマートフォンで15秒撮ってみることをすすめる。

どの一場面を切り取ればいいか迷ったときは、私たちのような制作者に一度相談してみてほしい。無理のない範囲で、続けられる動画活用の形を一緒に考えていきたい。

動画広告市場、初の1兆円へ|湘南の中小企業が今動くべき理由

湘南の雑貨店オーナーがスマートフォンで動画広告の効果を確認している様子

「動画広告なんて大手企業がやることで、うちのような小さな店には関係ない」——湘南エリアの経営者と話していると、いまだにそう感じている人は多い。看板やチラシ、地域情報誌への出稿はしていても、動画に予算を割く発想自体がまだ遠い、という声もよく聞く。

結論から言えば、その前提はもう崩れつつある。株式会社サイバーエージェントの調査によると、2025年の国内動画広告市場は前年比122.2%の8,855億円に達し、2026年には初めて1兆円の大台(1兆437億円)を超える見通しだ。動画広告はもはや大手企業だけの話ではなく、広告費全体の構造そのものを動かす主役になりつつある。

この記事では、電通・サイバーエージェント・アルファノート株式会社という3つの一次データをもとに、動画広告市場でいま何が起きているのか、中小企業が実際にどれくらいの予算で動画に投資しているのか、そして湘南の事業者が今日から取れる一歩を、制作者の視点で整理する。

  • 結論:2025年の国内動画広告市場は8,855億円(前年比122%)、2026年に1兆円突破の見通し(サイバーエージェント調査)
  • インターネット広告費が総広告費の50.2%を占め、初めて過半数を超えた(電通調査)
  • BtoB企業の動画マーケティング実施者の60.6%が効果を実感、制作予算は「10万円未満」が最多(アルファノート調査)

動画広告市場、2025年は8,855億円で前年比122%成長
——2026年に1兆円突破へ

動画広告市場の伸びは、ここ数年の勢いの延長ではなく、明らかな加速を見せている。サイバーエージェントが2025年11月から2026年1月にかけて実施した「2025年国内動画広告の市場調査」によると、市場規模は前年の7,249億円から一気に8,855億円へと拡大し、成長率は122.2%に達した。同社はさらに2026年に1兆437億円、2029年には1兆6,336億円に達すると予測している。

以下に市場規模の推移を整理する。

年度 国内動画広告市場規模 前年比
2024年(実績) 7,249億円 —
2025年(実績) 8,855億円 122.2%
2026年(予測) 1兆437億円 約118%
2029年(予測) 1兆6,336億円 —

動画広告市場が1兆円に向けて拡大している様子を表す図解

この数字が示しているのは、テレビCM中心だった広告予算の一部が、OTT(インターネット経由の動画配信)やコネクテッドTV向けの広告へと着実にシフトしているという構造変化だ。同調査でも「広告主によるテレビCMから、OTT・コネクテッド向けに配信する広告への予算シフトが進んだ」と分析されている。

湘南エリアでも、平塚の商店街で雑貨店を営むオーナーが「チラシの反応が年々落ちている」とこぼす場面に、私たちは何度も立ち会ってきた。広告費の流れ先が変わっている以上、同じ予算配分を続けていれば相対的に届く人は減っていく。


インターネット広告費が初めて広告費全体の過半数に
——電通調査が示す構造変化

動画広告市場の拡大は、日本の広告費全体の勢力図とも連動している。電通が2026年3月5日に発表した「2025年 日本の広告費」によると、2025年の総広告費は8兆623億円(前年比105.1%)で4年連続の過去最高を更新した。その中でインターネット広告費は4兆459億円(前年比110.8%)となり、総広告費に占める構成比は50.2%と、初めて過半数に達した。

テレビメディアの広告費が横ばい圏にとどまる一方、テレビ局が配信する動画枠など「テレビメディア関連動画広告費」は805億円(前年比123.3%)と大きく伸びている。同じ「動画」というフォーマットでも、視聴の場がテレビ受像機からスマートフォンやコネクテッドTVへと広がっていることの表れだ。

湘南のような地方都市の事業者にとって、この数字が意味するのは単純だ。広告費の主戦場がテレビや紙からインターネット、特に動画へ移った以上、動画を持たない企業は土俵に上がる前に選択肢を減らしていることになる。この流れの詳細は2026年のショート動画トレンドでも整理しているので、あわせて読んでほしい。

中小企業の動画予算はどのくらいが目安か
——実施企業の60.6%が効果を実感

「動画は予算がかかる」という印象は根強いが、実態のデータを見るとイメージと少しずれがある。アルファノート株式会社が2026年6月9〜10日に実施した「BtoB企業における動画マーケティングの実態調査」(動画マーケティングを実施しているBtoB企業のマーケティング担当者500人が対象)によると、動画1本あたりの制作予算は「10万円未満」が28.4%で最も多く、「30万円〜50万円未満」が23.0%で続く。100万円を超える予算をかけている企業は全体の1割強にとどまる。

動画1本あたりの制作予算 回答割合
10万円未満 28.4%
10万〜30万円未満 16.4%
30万〜50万円未満 23.0%
50万〜100万円未満 18.8%
100万〜300万円未満 8.0%
300万円以上 5.4%

予算をかけていない企業が多い一方で、効果を実感している企業の割合は高い。同調査では動画マーケティング実施企業のうち60.6%が「効果があった」と回答しており(「期待以上の効果があった」14.0%+「ある程度の効果があった」46.6%)、具体的な効果としては「展示会・イベントでの集客数の増加」が35.0%で最も多く挙げられている。

つまり、大きな予算をかけなければ動画マーケティングが成立しない、というのは思い込みに近い。私たちが不動産業のお客様と仕事をする際も、内見前に物件の雰囲気を伝える短い動画を1本用意するだけで、来店時の質問の質が変わったという声をいただくことがある。まとまった予算がなくても、目的を絞った1本から動画は十分に機能する。

スマホ向け縦型とコネクテッドTVの伸びが示すもの

動画広告市場の内訳を見ると、次にどこへ投資すべきかのヒントが見えてくる。サイバーエージェントの調査では、2025年の動画広告市場のうちスマートフォン向けが7,053億円と全体の8割を占め、依然として主戦場であることが分かる。一方でコネクテッドTV向けは1,295億円(前年比127%)と、市場全体の伸び率(122%)を上回るペースで成長している。

広告予算がテレビからスマートフォンとコネクテッドTVへ移る様子を表す図解

これは、視聴者が動画を「テレビで受動的に見る」時代から、「スマホで能動的に選ぶ」時代を経て、いまは「大画面のテレビ受像機でネット動画を選んで見る」時代へと段階的に移っていることを示している。中小企業が動画に投資する際も、スマホ向けの縦型ショート動画を軸にしつつ、将来的にコネクテッドTV向けの配信面も選択肢に入ってくることを頭の片隅に置いておいて損はない。

もっとも、配信面が増えても「作り方」まで大きく変える必要はないと私たちは考えている。私たちの撮影チームでは、目立たぬ場所にカメラを置き、現場の人にカメラを意識させない自然体の映像を撮ることを常に意識している。スマホ向けでもコネクテッドTV向けでも、作り込みすぎた広告的な映像より、現場の空気がそのまま伝わる自然な映像のほうが、視聴者の警戒感を招きにくい。


湘南の中小企業が今日からできる一歩

湘南の不動産店舗でスマートフォンとジンバルを使い自然体の動画を撮影する制作者

ここまでのデータを踏まえると、湘南の中小企業がまず取るべき一歩は明確だ。いきなり大きな予算を確保する必要はなく、スマートフォン1台で撮れる15〜30秒程度のショート動画から始め、反応を見ながら予算配分を調整していくのが現実的だ。

予算の考え方や内製・外注の判断基準については動画制作は内製と外注どちらが得か、制作費用全体の目安は動画制作の費用相場【完全ガイド】で詳しく整理しているので、あわせて参考にしてほしい。

よくある質問

Q. 動画広告市場の成長は、中小企業にも関係ありますか?

A. 関係がある。市場拡大を牽引しているのはスマートフォン向けの縦型動画で、大企業に限らず個人店・中小企業でも比較的低コストで参入できる領域だからだ。

Q. 動画マーケティングにはどれくらいの予算が必要ですか?

A. アルファノート株式会社の調査では、動画1本あたり「10万円未満」で制作している企業が28.4%と最も多い。まずは小さく始めて、効果を見ながら予算を積み増す進め方が現実的だ。

Q. テレビCMを出していない中小企業でも動画広告は意味がありますか?

A. 意味がある。動画広告市場の成長を牽引しているのはテレビCMではなくスマートフォン向けの動画広告であり、テレビCMを持たない企業でも同じ土俵で戦える領域が広がっている。

まとめ

2025年の動画広告市場は前年比122%の8,855億円に達し、2026年には初めて1兆円を超える見通しだ。インターネット広告費は総広告費の過半数を占めるようになり、広告の主戦場はすでにテレビや紙から動画へと移っている。

予算をかけなければ参入できない世界ではない。制作予算「10万円未満」の企業が最も多いという調査結果が示すように、小さく始めて効果を確かめながら育てていくのが、いまの動画マーケティングの現実的な姿だ。

次のステップとして、まずは自社が動画で伝えられる「現場のリアル」がどこにあるかを、一度言語化することをすすめる。そこが見えれば、スマートフォン1台からでも動画は十分に機能し始めるはずだ。

建設業の動画制作費用相場|求人動画・会社紹介動画の内訳

湘南の建設現場でジンバルを使い求人動画を撮影する制作者

「求人サイトに載せても応募が来ない」「若手がまったく集まらない」——湘南エリアの建設業の経営者と話していると、こうした悩みを聞かない月はない。人手不足はどの業種でも言われることだが、建設業はその中でも深刻さが際立っている。

結論から言えば、建設業の動画制作は「会社紹介型」「現場密着ドキュメンタリー型」「ドローン空撮併用型」「SNSショート型」でおおよその価格帯が決まっており、目的をどれだけ絞り込めるかで数十万円単位の差が出る。この記事では、私たちが湘南エリアの建設業のお客様から相談を受ける中でよく提示している価格帯の目安と、費用に差が出る要因、そして費用を抑えながら効果を出すための考え方を整理する。

この記事では、建設業がなぜ動画に投資すべきなのかというデータの裏付けから、実際の費用相場、費用を左右する要因、そして予算を抑えるコツまでを一気に解説する。

  • 結論:建設業の動画は「会社紹介型」で30万〜60万円、「現場密着ドキュメンタリー型」で60万〜120万円が目安
  • 建設業の有効求人倍率は全産業平均を大きく上回っており、求人広告だけでは差別化しづらい
  • 費用を左右するのは尺の長さより「撮影日数」と「インタビューの本数」

建設業がいま動画に投資すべき理由
——求人倍率と高齢化のデータ

建設業の人手不足は感覚論ではなく、統計にはっきり表れている。国土交通省の国土交通白書によると、2024年時点で建設業就業者のうち55歳以上が占める割合は36.7%(全産業平均32.4%)、29歳以下は11.7%(全産業平均16.9%)にとどまる。全産業と比べて高齢化が明確に進んでおり、若手の入職が細っている状態だ。

厚生労働省の「一般職業紹介状況」(令和8年3月分)でも、全産業の有効求人倍率が1.18倍であるのに対し、建設業の新規求人数は前年同月比で増加が続いている。専門職種に絞ればさらに倍率が跳ね上がることは現場の採用担当なら実感しているはずだ。求職者1人を複数の会社が取り合う状況では、求人票の文字情報だけで「選ばれる会社」になるのは難しい。

建設業の人手不足と有効求人倍率の高さを表す図解

こうした状況で動画が効くのは、建設業に長年つきまとう「3K(きつい・汚い・危険)」のイメージと、実際の現場との差を埋められるからだ。建設業の採用難は動画で変えられるかでも触れたように、現場の空気感・チームの雰囲気・実際の待遇は、文字の求人票よりも映像のほうが圧倒的に伝わりやすい。

建設業の動画制作費用相場
——タイプ別の価格早見表

建設業のお客様からいただく相談内容をもとに、私たちが提示することが多い価格帯を整理すると次のようになる。以下に相場を整理する。

タイプ 尺の目安 費用相場
会社紹介・求人動画型 2〜3分 30万〜60万円
現場密着ドキュメンタリー型 3〜5分 60万〜120万円
ドローン空撮併用型 2〜4分 80万〜150万円
SNSショート動画セット 15〜60秒×複数本 20万〜50万円(セット)

まず作るなら会社紹介・求人動画型が起点になることが多い。予算に余裕があれば、社員インタビューを深く掘る現場密着ドキュメンタリー型や、現場のスケール感を見せられるドローン空撮併用型を組み合わせると訴求力が上がる。より詳しい制作全体の相場観は採用動画の費用相場はいくら?もあわせて参考にしてほしい。


費用に差が出る要因
——尺より撮影日数とインタビュー本数

見積もりを見て「同じ3分の動画なのになぜこんなに価格差があるのか」と疑問に思う経営者は多い。制作者として現場に立つと分かるが、価格を決める最大の要因は完成尺の長さではなく、撮影にかかる日数とインタビューの本数だ。

価格に影響する主な要因

  1. 撮影日数(現場が複数拠点に分かれるほど加算される)
  2. 社員インタビューの人数(1人と3人では撮影・編集の手間が大きく変わる)
  3. ドローン撮影の有無(操縦者の手配・許可申請が必要になる場合がある)
  4. 編集の修正回数(通常2〜3回までが目安。超過分は追加費用になりやすい)

修正回数や追加費用の考え方については動画制作の見積書、追加費用が発生しやすい項目とはでも整理しているので、発注前のすり合わせに使ってほしい。

費用を抑えながら効果を出すポイント

動画制作費用のタイプ別内訳を表す図解

予算を抑えたいなら、演出を作り込みすぎないという選択肢を考えてほしい。私たちの撮影チームでは、目立たぬ場所にカメラを置き、現場の人にカメラを意識させない自然体の映像を撮ることを常に意識している。台本どおりに演じてもらうより、素の作業風景や素の会話のほうが、求職者には「リアルな現場」として伝わりやすく、演出コストもかからない。

実際、求人広告への動画活用効果を検証したパーソルキャリア株式会社(doda)の実証実験(2024年3月発表)では、インタビュー動画付きの求人広告は、動画のない求人広告と比べて応募効果が140%(1.4倍)に向上したという結果が出ている。作り込んだCM的な映像でなくても、現場の生の声を1本入れるだけで応募への動機付けは十分に効くということだ。

補助金・助成金を活用できないか確認するのも費用を抑える有効な手段だ。制度の種類や申請の考え方は動画制作に補助金・助成金は使えるかにまとめている。

よくある質問

Q. 建設業の求人動画は最低いくらから作れますか?

A. 会社紹介型でインタビュー1〜2名程度に絞れば、30万円台から着手できることが多い。予算を最小化したい場合は、撮影日数を1日に収める構成にするのが現実的だ。

Q. ドローン撮影は必須ですか?

A. 必須ではない。ただし大型現場や複数拠点を持つ会社では、現場のスケール感を一目で伝えられるため、採用効果を重視するなら検討する価値がある。

Q. 動画を作れば本当に応募は増えますか?

A. 動画単体で応募が保証されるわけではないが、パーソルキャリアの実証実験では動画付き求人広告の応募効果が1.4倍になった結果がある。求人媒体への掲載と組み合わせて使うことで効果が出やすい。

まとめ

建設業の動画制作費用は、会社紹介・求人動画型で30万〜60万円、現場密着ドキュメンタリー型で60万〜120万円が一つの目安になる。価格を左右するのは尺の長さより撮影日数とインタビューの本数であり、演出を作り込みすぎないことがコストと効果の両立につながる。

有効求人倍率の高さと就業者の高齢化という構造的な課題がある以上、求人票だけで戦う時代はすでに終わりつつある。次のステップとして、まずは自社が求職者に一番伝えたい「現場のリアル」がどこにあるかを言語化することをすすめる。そこが定まれば、動画の構成も予算も自然と絞り込めるはずだ。

動画制作の見積書、追加費用が発生しやすい項目とは|湘南の発注ガイド

湘南の小売店で見積書を確認する店主と動画制作者

「見積書の金額で発注したはずなのに、納品直前になって追加請求が来た」——湘南エリアで動画制作を発注した事業者から、こうした戸惑いの声を聞くことがある。修正を1回お願いしただけのつもりが、気づけば数万円の追加費用になっていたというケースも珍しくない。

結論から言えば、動画制作の追加費用のほとんどは「修正回数」「撮影の延長」「素材の差し替え」という、あらかじめ決まったパターンから発生する。逆に言えば、発注前にこの3つを見積書・発注書で確認しておけば、大半のトラブルは防げるということだ。

この記事では、動画制作で追加費用が発生しやすい代表的な項目を価格帯とともに整理し、なぜ「言った言わない」のトラブルが起きるのかを制度の面から確認したうえで、契約前に確認しておきたいチェックポイントを、制作の現場に立つ私たちの視点でまとめる。

  • 結論:追加費用の大半は「修正回数超過」「撮影延長」「素材差し替え」の3パターンに集約される
  • 2024年11月施行のフリーランス新法により、発注時の取引条件の書面明示が発注事業者側の義務になっている
  • 業種によって適正な発注金額の相場感が異なるため、自社の業種の相場を知っておくと予算感がぶれにくい

追加費用が発生しやすい代表的な項目
——価格帯の目安

動画制作の見積もりには、通常「修正2〜3回まで」といった条件が織り込まれている。それを超えたとき、あるいは当初の想定にない作業が発生したときに、追加費用が上乗せされる。私たちが現場で請求することが多い項目を、価格帯とともに以下に整理する。

項目 発生する場面 追加費用の目安
修正回数の超過 既定回数(多くは2〜3回)を超えて修正を依頼 1回あたり1万〜5万円
撮影の延長・追加日 想定時間内に撮り切れない、後日追加撮影が必要 半日3万〜8万円、1日5万〜15万円
ナレーション・BGMの差し替え 完成後にナレーターや音源を変更 1万〜5万円
交通費・ロケ地使用料 遠方ロケ、商業施設や公共空間での撮影 実費〜数万円
フォーマット・サイズ変換 縦型SNS用・複数尺への書き出し追加 1本あたり0.5万〜3万円

表の金額はあくまで目安であり、制作会社やフリーランスによって幅がある。重要なのは金額そのものより、「どの項目が、いくらから追加費用になるのか」を発注前に確認しておくことだ。

動画制作の追加費用の内訳を積み木で表したイラスト

なぜ「言った言わない」のトラブルが起きるのか

追加費用そのものは悪いことではない。問題は、発注時に条件が明確になっていないために、あとから「そんな話は聞いていない」という認識のズレが起きることだ。特に動画制作会社は小規模事業者やフリーランスが多く、口頭ベースの発注が今も少なくない業界だと私たちは感じている。

この状況に対して、制度面からの後押しも進んでいる。公正取引委員会・中小企業庁が所管する「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法、通称フリーランス新法)が2024年11月1日に施行され、発注事業者はフリーランスへの業務委託にあたって、業務内容・報酬額・支払期日などの取引条件を書面または電磁的方法で明示することが義務づけられた(公正取引委員会・中小企業庁「フリーランス・事業者間取引適正化等法 説明資料」)。動画制作をフリーランスの制作者や一人親方に発注する場合、この書面明示は発注事業者側の義務であることを知っておいてほしい。

また、公正取引委員会が2025年5月に公表した令和6年度の下請法運用状況では、支払遅延189件・代金の減額139件・買いたたき106件が改善指導の対象となり、この3類型で禁止行為違反の87%を占めたと報告されている(公正取引委員会「令和6年度における下請法の運用状況」)。金額や条件があいまいなまま取引が進むことが、業界を問わずトラブルの温床になっていることがうかがえる。動画制作でも、見積書や発注書に「追加費用が発生する条件」まで明記してもらうことが、双方にとっての防御線になる。

契約書の条件をチェックリストで確認するイラスト


業種によって変わる、動画制作費用の相場感

追加費用の話と合わせて、そもそもの発注金額の相場感を業種別に知っておくと、見積もりが高いのか妥当なのかを判断しやすくなる。動画制作の発注データを集計する「動画幹事」の調査によれば、動画制作全体の平均発注金額は81.5万円(中央値54.0万円)で、50万〜100万円の価格帯が28%と最多になっている(動画幹事「動画制作の相場・料金」調査)。

業種別に見ると差はさらにはっきりする。同調査では「サービス業・小売業・店舗」の平均制作費用が131.0万円である一方、「人材・コンサル・士業」は70.6万円にとどまるとされている。湘南エリアで見ても、店舗や小売業は撮影点数や商品カットが多くなりがちで、コンサルや士業は取材・インタビュー中心でシンプルに収まる傾向があり、この傾向は実感に近い。

士業・コンサル業のオフィスで動画のタイムラインを確認する様子

自社の業種の相場感を知らないまま見積もりを見ると、「高い」「安い」の判断が感覚頼りになってしまう。動画制作の費用相場【完全ガイド】もあわせて確認し、種類別の目安を押さえたうえで個別の見積もりを見ることをすすめる。

契約前に確認しておきたい5つのチェックポイント

私たちが小売店から士業・コンサル会社まで多様な業種の制作を担当してきた中で、契約前に確認しておくとトラブルを避けやすいポイントは次の5つだ。

  1. 修正対応の回数と範囲(「軽微な修正」と「作り直し」の線引きが明記されているか)
  2. 修正回数を超えた場合の追加費用の単価
  3. 撮影延長・追加日が発生した場合の費用
  4. 取引条件を明示した書面(見積書・発注書・契約書のいずれか)が発行されるか
  5. 納品後の著作権・二次利用の範囲(SNS転載や広告出稿への流用が可能か)

特に5つ目の著作権・使用範囲は見落とされやすい。せっかく作った動画をSNS広告に転用しようとしたら、想定外の追加費用が必要だったというケースもある。内製と外注どちらが得かを検討する段階から、この5点を発注先に確認しておくと、あとから慌てずに済む。

よくある質問

Q. 修正は何回まで無料が一般的ですか?

A. 多くの制作会社・フリーランスで2〜3回までが目安になっている。ただし「軽微な修正」と「構成からの作り直し」を同じ1回として扱うかは発注先によって差があるため、見積もり段階で範囲を確認しておくのがよい。

Q. 追加費用が発生しない見積もりを選ぶべきですか?

A. 一概にそうとは言えない。追加費用ゼロを謳う見積もりほど、当初の作業範囲が小さく設定されていて結局は別途費用がかかる場合もある。金額の大小より、条件が明記されているかどうかで判断することをすすめる。

Q. フリーランスの制作者に直接発注する場合も書面は必要ですか?

A. 必要になる。フリーランス新法により、フリーランスへの業務委託では発注事業者側に取引条件の書面明示義務があるため、個人の制作者に直接依頼する場合ほど書面での確認を意識してほしい。

まとめ

動画制作の追加費用は、修正回数の超過・撮影の延長・素材の差し替えという決まったパターンから発生することが大半だ。金額そのものを恐れるより、どの条件で追加費用が発生するのかを発注前に言語化しておくことが、湘南の事業者にとって一番の防御策になる。

2024年のフリーランス新法施行により、書面での条件明示は発注事業者側にも求められる時代になった。見積もりをもらったら金額だけでなく、修正回数・追加費用の単価・著作権の範囲まで書面で確認する習慣をつけてほしい。

次のステップとして、まずは自社の業種の相場感を把握し、見積書の中で「追加費用が発生する条件」がどこまで明記されているかを確認することをすすめる。判断に迷う場合は、私たちのような制作者に見積書の見方から相談してもらってもかまわない。

ステマ規制とは?湘南の事業者がSNS動画で守るべき表示ルール

湘南の店舗でスマートフォンの動画を確認しながら打ち合わせをする事業者と制作者

湘南でSNS運用や動画発信に力を入れる事業者から、最近「インフルエンサーに商品を紹介してもらう動画を作りたいが、法律的に大丈夫だろうか」という相談を受けることが増えた。答えは、やり方次第で”アウト”になり得る、というものだ。

結論から言えば、2023年10月に施行されたいわゆる「ステマ規制」により、広告であることを隠したSNS投稿・動画は景品表示法違反になり得る。インフルエンサーに依頼した動画はもちろん、自社スタッフが”個人の感想”を装って投稿する動画も対象になり得るため、湘南の中小企業にとっても他人事ではない。

この記事では、ステマ規制の基本、動画広告で特にリスクが高いパターン、違反した場合の実務的な影響、そして今日から始められる対策を、制作の現場に立つ私たちの視点で整理する。

  • 結論:広告であることを隠すSNS動画は、投稿者ではなく依頼した事業者側の責任で景品表示法違反になり得る
  • 特にリスクが高いのは「インフルエンサー起用」「口コミ・レビュー風の演出」「スタッフの個人の感想を装う投稿」
  • 対策は難しくない。動画の分かりやすい位置に「広告」「PR」の一言を入れるだけで多くのケースは回避できる

ステマ規制とは何か
——2023年10月に始まった新しいルール

消費者庁によれば、令和5年10月1日から、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」が景品表示法上の不当表示として規制対象になった(消費者庁「ステルスマーケティングに関する景品表示法上の考え方」)。広告であるにもかかわらず、広告だと隠すことがいわゆる「ステルスマーケティング」であり、これが正式に法律違反として扱われるようになったということだ。

対象範囲はテレビ・新聞・雑誌なども含むが、実務上リスクが高いのはSNSの投稿・動画である。消費者庁の説明では、インフルエンサー等への依頼・指示による広告表示もこの規制の対象に含まれる。ここで重要なのは、責任を負うのは投稿したインフルエンサーやスタッフ本人ではなく、依頼した事業者(広告主)側だという点だ。「投稿は本人に任せていたので知らなかった」は理由にならない。

サイバー・バズとデジタルインファクトの共同調査によれば、国内のインフルエンサーマーケティング市場は2024年時点で860億円(前年比116%)、2026年には1,150億円に達すると見込まれている。市場が拡大するほど、行政の目が向けられる機会も増えていくと考えるのが自然だろう。

動画広告で特にリスクが高い3つのパターン

私たちが現場で見てきた限り、湘南の事業者がつまずきやすいのは次の3パターンだ。

  1. インフルエンサーへ依頼した動画を、「広告」と明記せず本人の裁量で投稿してもらう
  2. 一般客や第三者を装った「口コミ・レビュー風」の演出動画を自社で作って投稿する
  3. 自社スタッフが、あたかも個人の感想であるかのように商品・サービスを紹介する動画を投稿する

特に1については、投稿者本人に内容や表示方法を任せきりにするケースが典型的な違反パターンとされる。依頼段階で「広告」「PR」といった文言を入れることを明確に伝え、公開前に事業者側が内容を確認する体制を整える必要がある。

また、事業者が投稿の星評価を指定したり、具体的な文言を示唆したりして「事業者が内容を決定した」と評価される場合も、広告である旨を明示する義務が生じる。クリニック・治療院向けの医療広告規制と同様に、”演出の自由度”と”表示義務”のバランスを取る発想が必要になる。


違反するとどうなるか
——措置命令と確約手続

ステマ規制に違反したと判断されると、消費者庁から措置命令が出される。内容は、違反行為の差止め、一般消費者への周知徹底、再発防止策の実施、将来の繰り返し禁止の4点で構成され、命令は公表される。社名が公表される以上、金銭的な負担以上に信用への打撃が大きい点は押さえておきたい。

一方で、令和6年10月1日に施行された改正景品表示法では「確約手続」という制度が新設された(消費者庁「改正景品表示法の概要」)。違反の疑いがある事業者が自ら是正措置計画を申請し、消費者庁の認定を受ければ、措置命令や課徴金納付命令の適用を受けずに済むというものだ。万一表示に問題があると気づいた場合、隠さず早期に自主的な是正に動くことが、結果的に事業へのダメージを小さくする選択肢になり得る。

湘南の事業者が今日からできる対策

対策そのものは難しくない。以下に、動画のパターン別にリスクの高さと必要な対策を整理する。

動画のパターン リスクの高さ 必要な対策
インフルエンサーへの依頼動画 高 契約時に「広告」表示を明記する義務を伝え、公開前チェックを行う
口コミ・レビュー風の演出動画 中〜高 出演者が第三者に見えないよう「企業公式」「PR」を明示する
スタッフの個人の感想風投稿 中 業務指示による投稿である旨を本人・視聴者双方に明確にする
自社名義の通常のPR動画 低 企業公式アカウントからの発信と分かれば基本的に対象外

表の中で特に注意したいのは、ハッシュタグの中に「#PR」を大量のタグに紛れ込ませるような配置だ。消費者庁は、事業者の表示であることを他の情報に埋もれさせる表示も規制対象になり得るとしている。動画であれば冒頭のテロップやキャプション本文の分かりやすい位置に置くのが安全だ。

広告表示の透明性を象徴するメガホンとラベルタグのフラットイラスト

私たちの撮影現場では、以前から「カメラを意識させない自然体」を大切にしてきた。目立たない場所にカメラを置き、被写体に自然に振る舞ってもらうことで、見る人の心に届く映像になると考えているからだ。ただし、自然に見える映像ほど”広告と気づかれにくい”表現でもある。だからこそ、演出の自然さと「広告」という一言の明記は、対立するものではなく両立させるべきだというのが私たちの考えだ。

店舗アイコンとインフルエンサーアイコンの依頼関係と注意マークを表すフラットイラスト

湘南エリアでは工務店や小売店がSNSでの発信に取り組み始めるケースが増えている。湘南・大磯のSNS集客術で触れたように、地域密着の事業者ほど”顔の見える発信”が効きやすい一方、その分ステマ規制のリスクにも近い立ち位置にいる。リールとショート、結局どっちを選ぶ?のような動画形式選びと合わせて、表示ルールも制作の初期段階で決めておくことをすすめる。

よくある質問

Q. 自社の従業員が個人アカウントで商品を紹介した場合もステマ規制の対象になりますか?

A. 会社の指示や依頼に基づく投稿であれば対象になり得る。個人の自発的な投稿と会社主導の投稿の境界は曖昧になりやすいため、投稿を依頼する場合の社内ルールを事前に明文化しておくことをすすめる。

Q. 「広告」ではなく「PR」や「Sponsored」と書いても問題ありませんか?

A. 一般消費者が広告だと判別できる表示であれば、「PR」「協賛」といった表記も基本的には有効とされる。ただし大量のハッシュタグの中に埋もれさせるなど、分かりにくい配置は避けるべきだ。

Q. 動画制作会社に依頼した通常のPR動画も規制対象になりますか?

A. 自社の公式アカウントから「企業公式」だと分かる形で投稿するPR動画は、通常はステマ規制の主な対象ではない。問題になりやすいのは、第三者の個人的な発信であるかのように装うケースである。

まとめ

2023年10月のステマ規制施行により、広告であることを隠したSNS動画は景品表示法違反になり得る時代になった。責任を負うのはインフルエンサーや投稿者本人ではなく、依頼した事業者側である以上、”知らなかった”では済まされない。

湘南の事業者による地域密着の動画発信は、これからも増えていくはずだ。だからこそ、発信の勢いを止めないためにも、表示ルールという最低限の土台を先に固めておきたい。

次のステップとして、まずは自社が公開・依頼している動画に「広告」「PR」の表示が入っているかを一度確認することをすすめる。動画の演出や依頼先の選び方も含めて相談したい場合は、制作の現場を知る私たちのような立場に一度話してみるのもひとつの方法だ。

医療広告ガイドライン改正が続く理由|湘南のクリニック動画発信の注意点

湘南のクリニック受付で院長とスタッフが動画発信のガイドラインを確認している様子

「クリニックの動画発信について一度調べて対策したはずなのに、また新しいルールが出たらしいと聞いた」——湘南エリアで医療広告のガイドラインを気にする院長やスタッフから、最近こうした戸惑いの声を聞く機会が増えた。

結論から言えば、その戸惑いは正しい。医療広告の判断基準を具体的な事例で示す厚生労働省の「事例解説書」は、ここ数年でほぼ毎年のように改訂されており、2026年3月にも最新版が公表されたばかりだ。

この記事では、なぜ医療広告のルールがこれほど短いスパンで更新され続けているのかを一次情報から確認したうえで、湘南のクリニック・治療院が動画発信を続けるうえで今おさえておきたい変化のポイントを、制作者の視点で整理する。

  • 結論:医療広告の事例解説書は令和6年3月(第4版)以降ほぼ毎年改訂され、2026年3月には第6版が公表されたばかり
  • 改訂が続く背景には、クリニック・治療院のSNS・動画発信が急増していることがある
  • 体験談を広告に使えないなど核となるルールは一貫しており、変わり続けているのは主に「線引きの細部」

医療広告の「事例解説書」、この3年で3回改訂されている

医療広告のルールを具体的な事例で示す厚生労働省「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書」は、令和5年10月6日の事務連絡で第3版が示されて以降、令和6年3月28日に第4版、令和7年3月11日に第5版、そして令和8年3月30日に第6版と、ほぼ1年に1回のペースで改訂が続いている。

とりわけ大きな転換点になったのが第4版だ。それまで断片的にしか示されていなかったSNS・動画に関する事例が独立した項目として新設され、以降の版で記載が拡充されてきた。制作者として現場に立つ私たちから見ると、この改訂ペースの速さそのものが「SNS・動画で発信するクリニック・治療院が、行政の想定を超えるスピードで増えている」ことの裏返しに見える。

版数 事務連絡の時期 主なポイント
第3版 令和5年10月6日 事例解説の土台を整理
第4版 令和6年3月28日 SNS・動画の事例が新設
第5版 令和7年3月11日 SNS・動画の事例を拡充
第6版 令和8年3月30日 直近の改訂。線引きの明確化が中心

このように、医療広告の判断基準は「一度学べば終わり」ではなく、年単位で更新され続けるものだと捉えておく必要がある。


何が変わったか——「広告」の線引きが年々細かくなっている

医療広告ガイドラインの改訂が積み重なっていく様子を表すフラットイラスト

第4版以降の改訂で明確になったのは、SNS・動画のどの部分が「広告」とみなされるかという線引きだ。投稿本文だけでなく、動画のテロップ・音声・ハッシュタグまでもが広告の構成要素になり得ることが、具体的な事例とともに示されている。

見落とされがちなのが、院長個人のアカウントであっても、医療機関や医師への特定性と誘引性が認められれば医療広告として扱われ得るという点だ。「クリニックの公式アカウントさえ気をつければよい」という理解では、個人アカウントでの発信が点検から漏れてしまう。

もう一つの実務的なポイントが、限定解除要件(広告可能事項の限定を外すために必要な要件)を記載する場所の柔軟化だ。SNSであればプロフィール・投稿本文・返信のいずれか、動画であれば動画内・タイトル・概要欄のいずれかに分かりやすく記載すればよいとされており、企画段階で「どこに何を書くか」を先に決めておけば対応しやすい。

変わらないもの——体験談の扱いは一貫して厳格

変わる項目と変わらない項目を仕分けるチェックリストのフラットイラスト

一方で、改訂を重ねても変わっていないルールもある。患者本人の主観に基づく治療内容・効果の体験談を広告として用いることは、限定解除要件を満たしていても認められない、という原則は第4版から第6版まで一貫している。

私たちが動画の演出で現場から大切にしているのも、この一貫したルールと同じ方向にある。撮影チームでは常にカメラの存在を意識させない自然体の撮影を心がけている——効果を誇張する演出をしないことは規制上の安全策であると同時に、患者にとっても「誇張されていない実際の空気感」が伝わる映像になるという点で、結果的に見る側の信頼にもつながっていると感じる。

改訂のたびに全てを作り直す必要はない。変わり続ける「線引きの細部」と、変わらない「体験談を扱わない」という土台を分けて理解しておけば、既存の動画を都度点検する負担も小さくできる。

湘南のクリニック・治療院が今日からできること

湘南の治療院でスタッフがSNS投稿を落ち着いて見直している様子

改訂のたびにすべてを一から確認するのは現実的ではない。まず取り組みやすいのは、自院で公開しているSNS・動画の投稿を棚卸しし、次の2点だけをチェックすることだ。

  1. 自院・スタッフの公式/個人アカウントで公開中の動画・投稿を洗い出す
  2. 体験談的な表現(ビフォーアフター、効果の保証)が含まれていないか確認する
  3. 限定解除要件を記載する場所(プロフィール・投稿・概要欄など)を1か所に決めておく
  4. 事例解説書の改訂情報を定期的に確認する担当・タイミングを決めておく

クリニックと治療院で適用される規制の枠組みそのものが異なる点や、体験談に頼らない具体的な企画例については、以前まとめたクリニック・治療院の動画集客|医療広告のルールと湘南の始め方で詳しく解説している。「何を撮るか」で迷っている場合はあわせて参考にしてほしい。

動画がどのように見つけられるかという検索環境の変化も、AI検索(AIO)の広がりとともに加速している。AI検索(AIO)時代に動画コンテンツはどう見つかるかもあわせて確認しておくと、発信全体の設計がしやすくなる。

よくある質問

Q. 医療広告のガイドラインは今後も改訂され続けるのか?

A. 過去3年の改訂ペースを見る限り、今後も年1回程度のペースで見直しが続く可能性が高い。SNS・動画の利用が増え続ける以上、事例解説書側も後追いで更新され続けると見ておくのが現実的だ。

Q. 過去に作った動画は改訂のたびに公開停止すべきか?

A. 体験談的な表現や効果を保証する表現を含んでいなければ、慌てて非公開にする必要は基本的にない。まずは棚卸しをして、該当する表現がないかを確認することをすすめる。

Q. 院長個人のSNSアカウントも規制の対象になるのか?

A. 医療機関や医師への特定性・誘引性が認められる場合は、個人アカウントでの発信も医療広告として扱われ得る。公式アカウントだけでなく個人アカウントも点検の対象に含めるべきだ。

まとめ

医療広告の事例解説書は令和6年3月の第4版以降ほぼ毎年改訂が続いており、2026年3月には第6版が公表されたばかりだ。改訂の中心は「広告に該当する範囲の細部」であり、体験談を扱わないという核となるルールは一貫している。

湘南でクリニック・治療院を運営しているなら、改訂のたびに動画を作り直すのではなく、既存の発信を定期的に棚卸しし、線引きが変わった部分だけを確認する体制を持つことをすすめる。

どこまでが表現できる範囲か、最新の改訂内容を踏まえて判断に迷ったときは、私たちのような制作者に一度相談してみてほしい。規制の変化を踏まえた企画づくりを、無理のない範囲で一緒に考えていきたい。

飲食店のメニュー紹介動画、内製で続けるコツ|湘南の現場ガイド

湘南の飲食店でスタッフがスマホでメニュー紹介動画を撮影する様子

「メニュー紹介の動画を撮ってSNSに上げてみたものの、3本目あたりでネタが尽きて、気づけば半年更新が止まっている」——湘南で飲食店を営む経営者からこの手の相談を受けることは少なくない。撮影自体は難しくない。難しいのは、続けることだ。

結論から言えば、メニュー紹介動画を内製で続けられるかどうかは、才能やセンスの問題ではなく「型」を持っているかどうかで決まる。撮る内容をその都度考えるのではなく、あらかじめ数パターンの型を用意しておけば、ネタ切れも編集の負担も大きく減らせる。

この記事では、飲食店の動画発信がなぜ止まりやすいのかを外食業界の統計から確認したうえで、内製を続けるための具体的な型と撮影のコツ、そして内製の限界を感じたときの判断基準までを、制作者として現場に立つ私たちの視点で解説する。

  • 結論:内製が続くかどうかは「ネタの型」を持っているかで決まる
  • 撮影は完璧を狙わず、決まった構図・手順をルーティン化するのが継続の近道
  • ネタ切れ・時間不足を感じたら、編集だけ外注するハイブリッドも選択肢になる

なぜ今、飲食店にメニュー紹介動画が必要なのか

外食業界は今、これまでになく厳しい環境に置かれている。東京商工リサーチの調査によると、2025年の飲食業倒産は1,002件に達し、1996年以降の30年間で初めて年間1,000件を超えた。うち物価高が要因の倒産は136件で前年比126.6%増、人手不足倒産も55件で前年比161.9%増と、いずれも2倍以上に急増している。

帝国データバンクの調査でも、2026年上半期の飲食店倒産は473件で前年同期を15件上回り、過去最多を更新した。負債5,000万円未満の小規模倒産が全体の78.0%を占め、大手チェーンとの体力差が広がっていると指摘されている。値上げが難しい個人店・小規模店ほど、価格以外の理由で選ばれる仕組みが必要になっているということだ。

一方で、動画を見る習慣はすでに生活の一部になっている。総務省情報通信政策研究所の調査では、YouTubeの利用率は80.8%、TikTokも33.2%に達している。グルメサイトの評価やクーポンだけでなく、料理が湯気を立てる様子や店主の手元をSNSで見て来店を決める客は、今後も増える一方だろう。

内製が続かない、3つの壁

「必要なのは分かっている、でも続かない」という店には、共通する壁がある。現場で経営者と話していると、大きく3つに整理できると感じる。

ネタ切れの壁

毎回「今日は何を撮ろう」と一から考えていると、数本で疲弊する。営業後のわずかな時間で企画から撮影まで済ませようとすれば、なおさらだ。

時間の壁

仕込みと営業に追われる飲食店にとって、撮影や編集にまとまった時間を割くのは現実的に厳しい。前述の通り人手不足倒産が急増する業界であり、余力そのものが少ない店が多い。

編集への苦手意識の壁

撮ることまではできても、テロップを入れたりカットをつないだりする編集で挫折する経営者は多い。ここで手が止まり、素材だけがスマホに溜まっていくケースをよく見る。


続けるための具体的なコツ

続けるコツは、毎回ゼロから企画しないことに尽きる。撮る構図・尺・投稿のタイミングをあらかじめ決めておき、「その型に今日のメニューを当てはめるだけ」の状態を作るのが近道だ。

動画撮影のルーティン化を表すフラットデザインの図解

撮影そのものについては、私たちの現場感覚として一つ伝えたいことがある。発信で大事なのは、伝えたいことをできるだけ自然体で伝えることだ。私たちの撮影チームでは、常にカメラを目立たない場所に置き、「カメラを意識させない自然体」を意識して撮影している。飲食店の内製でも同じで、三脚を固定して同じ位置から撮る、店主が普段の動きの延長で調理する——それだけで、身構えた不自然な映像より伝わる仕上がりになることが多い。

編集についても、毎回ゼロから組み立てる必要はない。テロップの位置やBGMの選び方を最初の数本で決めてしまえば、以降は同じテンプレートに当てはめるだけで済む。無料の編集アプリでも、テンプレートを一つ作っておけば作業時間は大きく短縮できる。

  1. 今週出す一品を決める(仕込みのついでにメモしておく)
  2. 固定した位置にスマホを置き、いつもの動きのまま調理・盛り付けを撮る
  3. 使い回すテンプレートにテロップとBGMを当てはめる
  4. 決めた曜日・時間に投稿する(毎回考えず習慣化する)

ネタに困らない、メニュー動画の「型」

型をいくつか用意しておくと、その日の状況に合わせて選ぶだけで済み、ネタ切れが起きにくい。以下に代表的な型を整理する。

メニュー紹介動画の型を曜日ごとに整理するイメージ図
型 尺の目安 向いている場面
定番メニュー紹介 15〜30秒 看板メニューを新規客に知らせたいとき
日替わり・黒板告知 10〜15秒 常連への日々の来店動機づくり
調理シーン密着 20〜40秒 こだわりや技術を伝えたいとき

表の型を曜日ごとに割り振ってしまうのも一つの方法だ。「月曜は定番、水曜は黒板、金曜は調理シーン」のように決めておけば、当日はカメラを構えるだけで済む。

内製の限界を感じたら——外注・ハイブリッドの検討基準

型を作っても、営業が忙しい時期はどうしても手が回らなくなる。無理に続けて営業に支障が出るくらいなら、編集だけ外注する、あるいは月1〜2本だけプロに撮ってもらい残りは内製で埋めるハイブリッドも現実的な選択肢だ。内製と外注どちらが得かの判断基準は本数ではなく継続期間で考えるとよく、単発の力を借りたい場面と、日常的な発信を回す場面を分けて考えると判断しやすい。

実際に動画が来店にどう効くのかについては、飲食店の販促に動画は本当に効くのかで来店経路の観点から整理しているので、あわせて読んでほしい。

よくある質問

Q. スマホの動画で十分ですか?一眼カメラは必要ですか?

A. メニュー紹介動画であれば最近のスマホで十分だ。重要なのは画質よりも、固定した構図と自然な調理の動きが撮れているかどうかである。

Q. どのくらいの頻度で投稿すればよいですか?

A. 毎日である必要はなく、週1〜2本を決まった曜日に続ける方が挫折しにくい。型を曜日に割り振っておくと迷わず続けられる。

Q. スタッフに撮影・編集を任せても大丈夫ですか?

A. 型とテンプレートさえ共有できていれば問題ない。むしろ担当を固定した方が、判断に迷う時間が減り継続しやすくなる。

まとめ

飲食業の淘汰が進むなかで、価格以外の理由で選ばれる店になる重要性は増している。メニュー紹介動画はその手段として有効だが、続かなければ意味がない。

続けるための鍵は、毎回考えるのをやめて型に落とし込むことだ。撮る構図、投稿する曜日、編集のテンプレート——この3つを最初に決めてしまえば、日々の負担は驚くほど軽くなる。

まずは自店のメニューを型に当てはめてみて、無理なく回せるかどうかを1ヶ月試してみることをすすめる。それでも手が回らないと感じたら、編集や月1本の撮影だけを外部に頼るという選択肢も、遠慮なく検討してほしい。

個人店の動画予算はいくら?|湘南の小規模店舗向けガイド

スマホで動画のタイムラインを確認する個人店の店主

「動画をやったほうがいいのは分かっている。でも、うちみたいな小さな店に一体いくらかけていいのか見当がつかない」——平塚や大磯で個人店を営む経営者から、私たちがよく受ける相談だ。

結論から言えば、個人店・小規模店舗の動画予算は「大きな制作会社に大金を払うか、諦めるか」の二択ではない。数千円のクラウドソーシング発注から、内製でほぼゼロ円まで、選べる幅は思っている以上に広い。

この記事では、動画市場全体の伸びと個人店の実際の予算感のギャップ、発注先別の費用の目安、公的な補助金の使い方までを、制作者の立場から整理する。

  • 結論:個人店の動画予算は「内製」「クラウドソーシング外注」「制作会社に外注」の3段階で考えると判断しやすい
  • クラウドソーシングの相場はショート動画編集が3,000円〜、企業・店舗紹介ムービーは120,000円〜が目安(クラウドワークス公式データ)
  • 小規模事業者持続化補助金のウェブサイト関連費(動画制作を含む)は上限50万円・補助率2/3で活用できる

動画広告市場は1兆円超え——
だが個人店の予算感はそこと別物だ

電通「2025年 日本の広告費」(2026年3月5日発表)によると、動画(ビデオ)広告市場は前年比121.8%の1兆275億円となり、統計開始以来初めて1兆円を突破した。2026年は前年比114.7%の1兆1,783億円まで伸びると予測されている。

この数字だけを見ると、動画に大きな予算を割かなければ取り残される、と身構える個人店主もいるかもしれない。だが実際にこの1兆円市場を動かしているのは、広告代理店を通じて数百万円単位の運用型広告を回す大手企業群だ。平塚・大磯で数人規模の店を切り盛りする経営者が、同じ土俵で予算を張り合う必要はない。

私たちが個人店の相談を受けるときにまず伝えるのは、「動画市場の伸び」と「あなたの店にとって必要な予算」は別の数字だということだ。市場全体が伸びているからこそ、逆に低予算でも動画を出している店とそうでない店の差が、検索結果やSNSのタイムライン上で目立ちやすくなっている——というのが正しい捉え方だと考えている。

発注先別・個人店が動画にかけられる費用の目安

大きな市場規模と個人店の予算規模の差を表すフラットイラスト

以下に、個人店が実際に選べる発注先ごとの費用目安を整理する。

発注先・手段 想定内容 費用目安
内製(スマホ撮影・編集) ショート動画1本 実質0円(機材はスマホのみ)
クラウドソーシング(個人) ショート動画の編集のみ依頼 3,000円〜/本
クラウドソーシング(個人) YouTube動画編集(15分尺) 8,000円〜/本
クラウドソーシング(個人) 商品PRムービーの撮影 100,000円〜
動画制作会社 企業・店舗紹介ムービー(絵コンテ・素材あり) 120,000円〜

表からも分かる通り、「撮る」だけなら数千円から始められるが、「構成を考えて、撮って、編集して、一つの動画にまとめる」までを丸ごと任せると、桁が一つ上がる。個人店の多くは、まず自分たちで撮影しクラウドソーシングで編集だけを依頼する、というハイブリッドから始めるのが現実的だ。この内製と外注の使い分けの考え方は動画制作は内製と外注どちらが得か?判断基準と費用比較で詳しく解説している。

小規模事業者持続化補助金——
個人店が使える公的支援

個人店が公的な補助金支援を受けるイメージのフラットイラスト

予算そのものを増やす手段として見落とされがちなのが、公的な補助金だ。中小企業庁の「小規模事業者持続化補助金」は、一般型(通常枠)で補助上限50万円、賃金引上げ特例などの要件を満たせば最大250万円まで引き上げられる、小規模事業者向けの代表的な補助金だ。補助率は2/3(赤字事業者は3/4)となっている。

この補助金では、動画制作費は「ウェブサイト関連費」という経費区分に計上できる。ただしウェブサイト関連費は、補助金交付申請額全体の1/4かつ上限50万円までという制約があり、動画単体で申請額を組み立てることはできない。あくまで販路開拓の取り組み全体の一部として、動画を位置づける必要がある。詳しい活用の判断基準は動画制作に補助金・助成金は使えるかにまとめている。

私たちの現場感覚でも、平塚・大磯エリアの個人店から「補助金を使って動画を作りたい」という相談は年々増えている印象がある。ただし補助金は採択後の入金であり、制作費は基本的に事業者側が一旦立て替える必要がある点は、資金繰りの面で必ず押さえておいてほしい。

限られた予算でも成果を出す、個人店の動画の始め方

スマホと三脚で自然体の店内風景を撮影する様子

予算をかけられないなら、質を落とすしかないのか——そう思われがちだが、必ずしもそうではない。私たちが撮影の現場で常に意識しているのは、カメラを意識させない自然体を撮ることだ。凝った台本や高価な機材よりも、被写体に「撮られている」ことを意識させすぎない距離感のほうが、見る人の心に残る。これは大掛かりな予算がなくても、個人店が自力で実践できる考え方だ。

例えば大磯の雑貨店であれば、開店前の品出しの様子をスマホで数十秒撮るだけでも十分な素材になる。学習塾であれば、講師と生徒の何気ないやり取りを切り取るだけで、パンフレットには出せない「教室の空気」が伝わる。業種を問わず、まずは1本、低予算で作ってみて、反応を見ながら次の予算配分を決めていく——という順序をすすめたい。

よくある質問

Q. 個人店の動画予算は、最低いくらから始められますか?

A. スマホでの撮影・編集を内製で完結させれば、実質0円から始められる。外部に一部だけ依頼する場合は、クラウドソーシングでのショート動画編集が3,000円程度から選べる。

Q. 動画制作会社に頼むと高くなりすぎますか?

A. 企業・店舗紹介ムービーのような凝った内容は120,000円前後からが目安になる。ただし内容によって幅が大きいため、内製できる部分とプロに任せる部分を切り分けて相談すると、想定より費用を抑えられることが多い。

Q. 補助金は動画制作だけのために使えますか?

A. 小規模事業者持続化補助金では、動画制作費は「ウェブサイト関連費」の枠内(交付申請額の1/4・上限50万円)に含まれる形になり、動画単体を目的とした申請にはならない。販路開拓の取り組み全体の一部として位置づける必要がある。

まとめ

個人店・小規模店舗の動画予算は、動画広告市場全体の伸び(電通調査で1兆円超)とは切り離して考えてよい。内製ならほぼ0円、クラウドソーシングなら数千円〜、制作会社なら10万円台からと、選べる幅は広い。

まずは自分たちの店が「単発で試したいのか」「継続して発信したいのか」を言語化することをすすめる。単発であれば内製かクラウドソーシング、継続するなら補助金の活用も含めて予算計画を立てるとよい。動画制作費用の全体像は動画制作の費用相場【完全ガイド】にも整理しているので、あわせて参考にしてほしい。

私たちも無料相談を受け付けている。平塚・大磯エリアで動画にどのくらいの予算をかけるべきか迷っている個人店の方は、まず今感じている悩みを気軽に聞かせてほしい。

美容室の採用動画、何を見せれば応募が増える?費用相場も解説

湘南の明るい美容室でスタッフを自然体で撮影する動画クルー

「求人サイトに載せても、美容師からの応募がまったく来ない」——平塚や大磯でサロンを経営するオーナーから、私たちがよく聞く相談だ。カットやカラーの技術を丁寧に紹介する動画を作ってはみたものの、応募の数字にはつながらなかった、という声も少なくない。

結論から言えば、美容室・サロンの採用動画で応募を増やす鍵は「技術力の高さ」を見せることではない。求職者が本当に知りたいのは、そこで働く人の人柄と、一日がどんな空気で流れているかだ。ここを取り違えると、凝った技術デモを作っても応募にはつながりにくい。

この記事では、美容業界の深刻な人手不足を示す統計データと、採用動画に求職者が何を求めているかという調査データをもとに、湘南のサロンが今日から企画できる採用動画の中身と、無理のない費用感を制作者の視点で解説する。

  • 結論:美容室の採用動画は「技術」より「人柄」と「働く一日」を見せると応募が増える
  • 美容師の有効求人倍率は5.73倍(令和6年度・厚生労働省)で全職業平均1.28倍の4倍超
  • 求職者が動画で見たい内容は「仕事のやりがい」「1日の流れ」「職場の雰囲気」が上位(moovy調査2026)

美容師の有効求人倍率5.73倍——
「普通の採用活動」が通じない理由

まず押さえておきたいのは、美容業界の人手不足が「なんとなく厳しい」レベルではなく、数字で見ても突出しているという事実だ。厚生労働省の職業情報提供サイトが公表するハローワーク求人統計データによると、美容師の有効求人倍率は5.73倍(令和6年度)。同年度の全職業平均は1.28倍(厚生労働省「一般職業紹介状況」令和6年度分)なので、美容師の求人は全職業平均の4倍以上の激しさで人材の取り合いが起きていることになる。

求人を1件出せば5人以上の会社が同じ1人を取り合っている、という状況だと考えれば、条件面(給与・休日)を他店と横並びに整えるだけでは選ばれない理由が見えてくる。求職者は複数の候補を比較検討できる立場にあり、最後に決め手になるのは「この店で働く自分がイメージできるか」という、条件表には書けない部分だ。私たちが採用動画の相談を受けるときも、まずこの需給の非対称性を経営者に共有することから始めている。

求職者が採用動画に求めているのは「技術」より「人柄」と「1日」

美容師の有効求人倍率の高さと人材不足の深刻さを表すフラットイラスト

では、求職者は採用動画に何を見たいのか。moovyが2026年に実施した「採用動画トレンド調査2026」によると、求職者が「動画だからこそ見たい」と回答した内容の上位は「仕事紹介・やりがい」28.2%、「1日の流れ」27.6%、「職場の雰囲気」27.0%、「求める人物像」27.0%の順で、いずれも3割前後で拮抗している。施術の技術力そのものよりも、働く実感が伝わる情報が優先されていることが分かる。

採用動画そのものの効果を裏づけるデータもある。プルークスがレバレジーズの「career ticket」と合同で実施した2021年6月の調査(2022卒の学生417人が対象)では、採用動画を視聴して志望度が「上がった」と答えた学生は7割超、「採用動画はあったほうがいい」と答えた学生は9割を超えた。業種や年代の違いはあるものの、「働く姿を映像で見せられると意思決定が動く」という傾向自体は、美容業界の採用でも十分に参考になる。

美容室で特に効く3つの切り口

  • スタッフの人柄が伝わる自己紹介(技術より「どんな人か」)
  • 出勤から退勤までの一日の流れ(施術以外の時間の過ごし方も含めて)
  • スタッフ同士の掛け合いや店内の空気感(飾らない自然なやり取り)

何を撮ればいいのか——現場で意識している「自然体」という切り口

求職者が採用動画で見たい要素(人柄・1日の流れ・職場の雰囲気)を表すフラットイラスト

人柄や雰囲気を撮ると言われても、いざカメラを向けると誰でも身構えてしまう。私たちが撮影の現場で常に意識しているのは、できるだけ自然体で伝えることだ。カメラを目立たない場所に置き、被写体に「撮られている」ことを意識させすぎないようにする。構えたインタビューの受け答えより、施術の合間にふと出る素の表情や会話のほうが、見る人の心に残る。

これは新規客向けのショート動画でも私たちが大切にしている考え方だが(美容室のショート動画集客術)、採用動画では狙いが少し違う。集客動画が「この店に行きたい」を作るのに対し、採用動画は「この職場で働きたい」を作る。見せる相手は変わっても、飾らない自然体が信頼を生むという原則は同じだ。

撮る内容に迷ったら、まずは1人のスタッフに密着し、出勤の挨拶から、施術中の会話、休憩中の様子までを短く追うだけでよい。台本を作り込みすぎるとかえって不自然になる。聞きたいことを2〜3個決めておき、あとは自然な受け答えを拾う形が、小規模なサロンには現実的だ。採用動画そのものの基本的な作り方は採用動画とは?応募が増える理由と費用・作り方の解説にも整理している。

採用動画の費用感——
湘南の小さなサロンが選べる3つの型

施術の合間に自然な笑顔で会話する美容室スタッフの様子

美容室・サロンは中小企業の中でもさらに小規模な事業者が多く、採用にかけられる予算も限られる。以下に、私たちが実際に提案することが多い3つの型を、費用の目安とともに整理する。

型 尺の目安 費用目安 向いているサロン
スタッフ紹介ショート型(内製) 15〜60秒 実質数千円〜(スマホ撮影) まず1本、低予算で試したい店
スタッフ密着ミニドキュメンタリー型 2〜3分 20万〜50万円程度 採用ページやSNSで差別化したい店
会社紹介+複数スタッフインタビュー型 3〜5分 30万〜80万円程度 複数名を積極採用中・複数店舗展開の店

会社紹介・インタビュー型の価格帯は、業種を問わない採用動画全体の相場感とも大きくずれない(採用動画の費用相場はいくら?|湘南の中小企業向け価格ガイドで詳しく解説している)。ただし美容室の場合、スタッフ本人がスマホで撮る「スタッフ紹介ショート型」から始めても十分に効果が見込める点が特徴だ。予算をかけられない店ほど、まずは内製の1本から試してほしい。

よくある質問

Q. 採用動画は何分くらいが目安ですか?

A. スタッフ紹介であれば15秒〜1分程度のショート動画で十分に効果が見込める。応募検討の材料として使う採用ページ用なら2〜3分程度にまとめるのが目安だ。長ければよいわけではなく、飽きずに見終えられる長さを優先してほしい。

Q. カットやカラーの技術力をアピールしなくていいのですか?

A. 技術紹介が不要というわけではないが、優先順位は人柄・雰囲気のほうが上だ。技術は入社後の研修やポートフォリオで伝えられるが、「この職場で働く自分」がイメージできるかどうかは、動画でなければ伝わりにくい。

Q. スタッフの顔出しに抵抗がある場合はどうすればいいですか?

A. 全員の顔を大きく映す必要はない。手元や後ろ姿、店内の空気感を中心に構成し、出られるスタッフだけ短く登場する形でも十分に人柄は伝わる。無理強いはせず、出演できる範囲で企画を組み立てることをすすめる。

まとめ

美容師の有効求人倍率5.73倍という数字が示すとおり、美容室・サロンの採用は「求人を出せば人が来る」時代ではすでにない。そんな中で応募を増やす採用動画は、技術力の高さを競うものではなく、そこで働く人の人柄と一日の空気を、自然体で見せるものだと私たちは考えている。

moovyの2026年調査が示すように、求職者が動画に求めているのは「仕事のやりがい」「1日の流れ」「職場の雰囲気」であり、いずれも技術デモでは伝えられない情報だ。まずはスタッフ1人の1日に密着したショート動画を、スマホでいいので1本作ってみることをすすめる。

本格的な採用動画を検討する段階になったら、費用の内訳や規模感を相談してみてほしい。私たちも無料相談を受け付けているので、湘南でサロンの採用に悩んでいるなら、まず何を見せるべきかを言語化するところから、気軽に声をかけてほしい。

クリニック・治療院の動画集客|医療広告のルールと湘南の始め方

湘南のクリニックの明るい受付・待合室とさりげなく撮影する動画制作クルー

「動画で集客したい気持ちはあるが、医療広告のルールが厳しくて何を撮っていいか分からない」——湘南エリアのクリニックや整骨院・治療院の院長と話していると、この壁にぶつかっている人が多い。飲食店や美容室であれば撮って出しで良かった映像も、医療・施術の現場では同じようにはいかない。

結論から言えば、クリニック・治療院でも動画集客は使える。ただし「治療効果をアピールする動画」ではなく「来院前の不安をやわらげる動画」に狙いを絞る必要がある。ここを取り違えると、集客どころか広告規制に抵触するリスクを抱えることになる。

この記事では、患者側が医療機関の情報発信に何を求めているかを示す調査データと、クリニック・治療院それぞれに適用される広告規制という一次情報をもとに、規制の枠内で「効く動画」を作るための考え方を制作者の視点で解説する。

  • 結論:クリニック・治療院の動画集客は「治療効果の訴求」ではなく「来院前の不安解消」に絞ると規制と両立しやすい
  • 口コミサイト利用患者の87.6%が「医療機関がSNSで情報発信してくれると助かる」と回答している(カルー株式会社調査)
  • クリニックは医療法の医療広告ガイドライン、整骨院・接骨院は柔道整復師法と、適用される規制の枠組みが異なる

患者は医療機関の動画発信を求めている——ただし見たい中身は「治療の宣伝」ではない

カルー株式会社が2024年5月1日〜14日に病院口コミ検索サイト利用者293名を対象に実施した調査によると、「医療機関がSNSで情報発信をしてくれると助かる」と回答した患者は87.6%にのぼる。発信を望むSNSはLINEが57.7%で最多、次いでYouTubeが51.8%と、動画メディアへの期待も高いことが分かる。

注目したいのは、同調査でYouTubeコンテンツとして最も興味を持たれているのが「病気・治療法の解説」で78.3%と突出している点だ。患者が動画に求めているのは、施術風景の華やかな演出ではなく「自分の症状や不安について、専門家がどう考えているか」という実用的な情報だと私たちは見ている。ここを押さえられれば、規制を過度に恐れなくても「求められている動画」は十分に作れる。

動画を作る前に知っておきたい規制の壁——クリニックと整骨院・治療院では枠組みが違う

クリニックと治療院で異なる広告規制の枠組みを表すフラットイラスト

ここが最も誤解されやすいポイントだが、「クリニック(医業・歯科医業)」と「整骨院・接骨院・治療院」では、動画・広告に適用される法律そのものが異なる。同じ「医療っぽい情報発信」でも、根拠となるルールが別物だと理解しておく必要がある。

クリニックには医療法にもとづく医療広告ガイドラインが適用される。厚生労働省が公開する「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書」は令和7年3月に第5版が作成されており、YouTube動画やSNS投稿における具体的なNG・OK事例が拡充されている。とりわけ「患者の体験談」を紹介すること自体が原則として禁止されている点は、動画企画の段階で見落としやすい。

一方、整骨院・接骨院・鍼灸院などの治療院は柔道整復師法などの規制対象で、広告できる事項(施術者の氏名・住所、施術所の名称・電話番号・所在地など)が限定的に列挙される仕組みになっている。医療広告ガイドラインとは条文の立て付けが異なるため、「クリニックはOKだったから治療院も同じでよい」という判断はできない。以下に、両者の違いを整理する。

区分 主な根拠法令 動画で特に注意したい点
クリニック(医業・歯科医業) 医療法・医療広告ガイドライン 患者の体験談・ビフォーアフター・効果の保証表現は原則禁止
整骨院・接骨院・治療院 柔道整復師法など 広告できる事項自体が限定列挙。範囲外の訴求は避ける

どちらの立場でも共通するのは「疑わしい表現は事前に判断に迷わず確認する」姿勢だ。動画は一度公開すると拡散しやすい分、企画の段階で線引きを決めておくことが結果的に一番の近道になる。

規制の中で「効く動画」に絞り込む考え方

動画で発信してよい内容とよくない内容を仕分けるチェックリストのフラットイラスト

規制を踏まえると、クリニック・治療院の動画は「治療の効果を語る」のではなく「来院までの不安を減らす」ことに徹するのが安全かつ効果的だ。私たちが企画するときに軸にしているのは、次のような切り口である。

撮って発信しやすいテーマの例

  • 院内・受付・待合室の雰囲気(初めての来院で一番不安なのは「どんな場所か分からないこと」)
  • 院長・スタッフの人柄が伝わる自己紹介(治療内容ではなく、人となり)
  • 予約から来院、受付までの流れの案内(初診のハードルを下げる)
  • 一般的な症状の解説・セルフケアの豆知識(個別の治療結果に触れない範囲で)

逆に、施術中の患者の様子をそのまま見せる動画や、「こんなに良くなりました」という体験談的な演出は、たとえ患者本人の同意があっても医療広告ガイドライン上グレー〜アウトになりやすい。効果を語りたい気持ちをぐっとこらえ、「安心して来院できる」という一段手前の情報に絞ることが、結果的に規制と集客の両立につながる。

撮影の現場では、私たちはカメラの存在感をできるだけ消すことを意識している。目立たない場所にカメラを置き、スタッフや院内の雰囲気を過度に演出せず自然体で撮ることで、患者にとっても「作り込まれた宣伝」ではなく「実際の空気感」が伝わる動画になる——これは業種を問わず私たちが現場で大切にしている考え方だ。

短尺動画での見せ方という点では、業種は異なるが美容室・サロンがショート動画で新規客を増やすにはで扱った「宣伝色を抑えて日常を見せる」考え方が参考になる部分も多い。

湘南のクリニック・治療院が今日から始められる一歩

湘南の治療院でスタッフが自然体で患者に対応している様子

動画は検索エンジンだけでなく、AI検索(AIO)や地図アプリからも見つけられる時代になっている。動画がどのように見つけられるかという全体像はAI検索(AIO)時代に動画コンテンツはどう見つかるかでも解説しているので、あわせて参考にしてほしい。

まず取り組みやすいのは、院内・受付の雰囲気を1分程度で紹介する動画を1本作ることだ。治療効果に触れる必要がないため規制上の判断もしやすく、初診の患者が最も知りたい「どんな場所か」という不安に直接答えられる。多業界(呉服・不動産・アパレル・製造・教育など)で企画から撮影・編集まで手がけてきた経験から言えば、業界特有のルールを最初に整理してから撮影に入る案件ほど、後の修正が少なく済む傾向にある。

動画をどこに置くか迷う場合は、Googleビジネスプロフィールへの掲載やホームページへの埋め込みなど、活用先を先に整理しておくと企画がぶれない。作った動画、どこでどう使う?活用先マップ【完全版】も参考にしてほしい。

よくある質問

Q. 患者さんの「治って良かった」という声を動画で紹介してはいけないのか?

A. クリニック(医業・歯科医業)では、患者の体験談を広告として紹介すること自体が医療広告ガイドライン上原則禁止されている。整骨院・治療院でも効果を保証する内容は避けるべきで、体験談に頼らない企画に切り替えることをすすめる。

Q. 整骨院・接骨院はクリニックより規制がゆるいのか?

A. ゆるいわけではない。柔道整復師法では広告できる事項自体が限定列挙されており、枠組みが異なるだけで、範囲外の訴求ができない点は同様に注意が必要だ。

Q. 動画制作にどれくらいの本数から始めればいいか?

A. まずは院内紹介・スタッフ紹介など1〜2本で十分だ。規制上の線引きが明確な企画から着手し、反応を見ながら本数を増やしていくのが安全な進め方だ。

まとめ

カルー株式会社の調査が示すように、患者側は医療機関からのSNS・動画発信を望んでいる。一方で、クリニックには医療広告ガイドライン、整骨院・治療院には柔道整復師法という、それぞれ異なる規制の枠組みが存在する。この2つを踏まえたうえで「治療効果を語る動画」ではなく「来院前の不安を減らす動画」に狙いを絞れば、規制と集客は十分に両立できる、というのが私たちの見立てだ。

湘南エリアでクリニック・治療院を運営しているなら、まずは自院がどちらの規制の枠組みに属するのかを確認したうえで、院内紹介やスタッフ紹介といった「安心を伝える動画」から企画を言語化することをすすめる。

どこまでが表現できる範囲か迷ったときは、私たちのような制作者に一度相談してみてほしい。規制を踏まえた企画づくりから、無理のない範囲で一緒に考えていきたい。