Googleマップ(MEO)×動画で地域集客を強くする|湘南版

湘南の商店街で地図アプリを確認する人物の手元とスマートフォン

「Googleマップで検索されて、お店の候補には出てきているはずなのに、来店にはなかなかつながらない」——湘南エリアの店舗のオーナーと話していると、この悩みを聞く機会が増えている。

結論から言えば、Googleマップでの集客(MEO対策)は、いま「地図に表示される」段階から「地図の中で選ばれる」段階に移りつつあり、その決め手のひとつが動画だ。写真だけを並べたプロフィールと、動画を1本でも置いたプロフィールとでは、検索した瞬間に伝わる情報量がまるで違う。

この記事では、動画がいまマーケティング全体でどれほど主役になっているかを一次データで押さえたうえで、Googleビジネスプロフィール(GBP)での具体的な動画の使い方、業種別の実践例、無理なく続けるための導入ステップまでを、制作者の視点で解説する。

  • 結論:MEO対策は「地図に出る」から「地図で選ばれる」段階に入っている
  • 2025年の動画広告費は初めて1兆円を突破し、SNS経由の購入でも動画広告が2年連続で最多の転換率を記録している
  • Googleビジネスプロフィールへの動画投稿はまだ実践する店舗が少なく、差別化の余地が大きい

なぜ今、MEO対策に動画が効くのか——市場全体で動画が主役になっている

電通デジタル・CARTA HOLDINGS・電通・セプテーニの4社が2026年3月5日に発表した「2025年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」によれば、2025年の動画広告費は前年比21.8%増の1兆275億円となり、推定開始以降で初めて1兆円を突破、構成比も30%を超えた。動画はもはや「見てもらえたら儲けもの」の広告手法ではなく、消費者が最初から見る前提で接触するメディアになっている。

この流れは購買行動にもはっきり表れている。株式会社PRIZMAが2025年5月15日〜16日に621名(Z世代・Y世代・X世代各約200名、SNS広告での購入経験者が対象)に実施した調査では、「SNS広告経由で商品を購入する場合、どの広告形式からの購入が多いか」という設問で「動画広告」が52.5%と最多となり、2年連続でトップだった。テキストや静止画の広告よりも、動きと音のある情報のほうが購買の最後のひと押しになりやすい傾向が定着していると見ていい。

Googleマップで店を探す行為も、検索の一種であることに変わりはない。地図アプリの検索結果に並んだ瞬間、動画があるかどうかで与える印象が変わるのは自然な流れであり、この「動画が主役」という消費者行動の変化は、GBPのプロフィールにもそのまま当てはまると私たちは考えている。

Googleビジネスプロフィールで動画をどう使うか——投稿の実務

地図ピンと動画再生ボタンを組み合わせたMEO対策のフラットイラスト

GBPには写真とは別に動画を直接アップロードする機能があり、複数本を並べて投稿できる。実務としては、30秒前後に収めた短い動画を複数本用意し、随時差し替えながら投稿していくのが現実的だ。

矢野経済研究所が2025年9月16日に発表した調査によれば、国内MEO市場の規模は2024年度に108億円(前年度比121.1%)、2025年度は127億円(同118.0%)に達する見込みで、2028年度には196億円規模まで拡大すると予測されている。中小企業や個人店舗での導入拡大が成長要因の一つに挙げられており、GBPを「やって当たり前」にする店舗が増えるほど、写真だけのプロフィールとの差はつきにくくなる。だからこそ、動画という一手間をかけられるかどうかが選ばれる理由になる。

写真だけのプロフィールとの違い

写真は静止した一瞬しか伝えられないが、動画は店内の空気感やスタッフの動き、接客の間合いまでそのまま伝わる。検索結果の一覧でサムネイルが動いて見えるだけでも目を引きやすく、プロフィールに滞在する時間が延びれば、来店や電話問い合わせにつながる可能性も高まる。

以下に、GBPで使いやすい動画の種類と目安を整理する。

動画の種類 尺の目安 GBPでの使い道
店内・外観紹介 15〜30秒 初めて来店する人の不安を減らす基本コンテンツ
商品・メニュー紹介 15〜30秒 実際に選ばれている理由を見せる
スタッフ・店主紹介 20〜30秒 「誰がやっているか」を伝え信頼をつくる

業種別に見る、動画が効くMEO活用の場面

湘南の飲食店の厨房で自然な様子を撮影するカメラ

飲食店であれば、厨房で仕込みをする手元や、常連客とのやり取りの一瞬をそのまま切り取るだけで、地図で他の店と並んだときに「この店は本当にやっている」という説得力が生まれる。小売店でも、店主が商品を選ぶ理由を自分の言葉で語る姿は、テキストの説明文よりもずっと信頼を作りやすい。

私たちが現場で撮影するときにいつも意識しているのは「カメラの存在を消す」ことだ。目立たない場所にカメラを置き、スタッフや店主にカメラを意識させすぎない——この自然体の空気をそのまま拾うことが、地図で他の店と並んだときの説得力につながると、私たちの経験では感じている。

クリニックや治療院のような業種は医療広告規制との兼ね合いに注意が必要だが、院内の清潔感やスタッフの雰囲気を伝える程度であれば、MEO対策としても十分機能する範囲だと考えている。こうした地域密着型のSNS活用は、湘南・大磯のSNS集客術|地域ブランドで選ばれる中小企業になる方法や、大磯の店舗がInstagramで集客するには|保存される店になる方法でも取り上げているので、あわせて参考にしてほしい。

MEO動画を無理なく続けるための導入ステップ

検索から来店までの流れを示すフラットイラスト

動画というと身構えてしまう店主も多いが、実際に必要な工程はシンプルだ。以下の順で進めれば、特別な機材がなくても始められる。

  1. 自店がどんなキーワードでGoogleマップに検索されているかを確認する
  2. その検索意図に合う30秒以内の場面を1つ決める(店内風景・商品・スタッフのどれか)
  3. スマートフォンを手持ちかスマホ用ジンバルで固定して撮影する
  4. GBPに直接投稿し、3〜6か月を目安に少しずつ本数を増やしながら継続する

動画の活用先そのものをもっと広く知りたい場合は、作った動画、どこでどう使う?活用先マップ【完全版】も参考になる。

よくある質問

Q. Googleビジネスプロフィールの動画は何秒くらいが良いか?

A. 30秒前後で一つの場面に絞るのが基本だ。長尺の動画はYouTubeなど別の置き場所に置き、GBPにはそこから抜き出した短い一場面を使うとよい。

Q. 動画を投稿すれば検索順位は上がるのか?

A. 動画投稿そのものが順位を直接上げると公式に明言されているわけではないが、プロフィールの滞在時間やクリックといった間接的な指標の改善は期待できる。まずは「順位」より「選ばれるプロフィールになる」ことを目的にするのがすすめだ。

Q. 撮影のハードルが高く感じる場合はどうすればいいか?

A. スマートフォンの手持ち撮影で十分だ。最初の一本は、仕込みや接客といった普段どおりの一場面を1つ切り取るだけで構わない。

まとめ

動画広告費が初めて1兆円を突破し、SNS経由の購入でも動画広告が最も選ばれる形式になっている以上、この流れはGoogleマップの検索行動にも及んでいると見るべきだ。MEO市場自体が中小企業・個人店舗への広がりで伸びている今、GBPへの動画投稿はまだ実践する店舗が少なく、差別化の余地が大きい。

湘南のような顔の見える経済圏では、現場の自然な空気や店主の言葉こそが、他店との違いになる。まずは自社のGoogleマップ上のプロフィールに動画が1本もない状態かどうかを確認することをすすめる。

どの場面を撮ればいいか迷ったときは、私たちのような制作者に一度相談してみてほしい。無理のない範囲で、続けられる動画活用の形を一緒に考えていきたい。

AI動画生成ツールの現在地と人が撮る映像の価値|湘南の事業者向け

湘南の飲食店でミラーレスカメラを構えて撮影する制作者

「AIで動画が作れる時代なのに、わざわざ人を呼んで撮影する意味はあるのか」——湘南エリアの事業者と話していると、この半年でこの手の質問が急に増えた。Sora や Veo のような動画生成AIのニュースを見て、自社のPR動画や採用動画もAI任せにできないかと考えるのは自然な流れだろう。

結論から言えば、AI動画生成ツールは「量産」と「試作」の場面では強力な武器になる一方、会社の信頼を背負う映像では、人が撮った映像の価値がむしろ上がっている。この記事では、動画生成AIツールの現在地を一次情報とともに整理し、私たち制作者の視点から、湘南の事業者が人が撮る映像にどう向き合うべきかを解説する。

この記事では、話題になったSoraの終了劇、AI動画生成市場の成長データ、消費者の信頼調査という3つの一次情報から、AIと人、それぞれの映像が担うべき役割を明らかにする。

  • 結論:量産・試作はAI、信頼を背負う映像は人が撮るという役割分担が現実的
  • 話題のSoraはアプリ公開からわずか半年で終了が発表され、AIツールへの全面依存にはリスクがある
  • 消費者の8割超がAI動画を見抜いた経験を持ち、4割近くがブランド信頼の低下につながると回答している

AI動画生成ツールの「今」——Soraが半年で消えた現在地

2025年9月に登場したOpenAIの「Sora 2」は、公開5日足らずで100万ダウンロードを突破し、Androidのアプリストアで1位を記録するほどの話題を集めた。ところがOpenAIは2026年3月24日、公式X アカウント「@soraofficialapp」で「Sora appに別れを告げる」と投稿し、サービス終了を発表した。Web版・アプリ版は2026年4月26日に、Sora APIも同年9月24日に提供終了となることが公式に案内されている。

わずか半年での終了は、動画生成AIの世界がまだ実験段階にあることを示している。私たちのように日々撮影・編集の現場に立つ側から見ると、この一件は「便利なAIツールも、事業判断ひとつで明日には使えなくなり得る」という当たり前だが見落としがちな事実を改めて突きつけたと感じる。会社の顔になる動画をAIツール1つに全面依存させるのは、プラットフォームリスクをまるごと背負い込むことに等しい。

市場は伸びているのに、なぜ淘汰が起きるのか

Sora の終了は、市場全体が縮んでいるからではない。Grand View Research が2026年1月8日に発表した調査によれば、AI動画生成市場は2025年時点で7億8,850万米ドル、2033年には34億4,160万米ドルへ拡大し、2026年から2033年の年平均成長率(CAGR)は20.3%になると予測されている。市場としては明確な右肩上がりだ。

つまり起きているのは「市場の縮小」ではなく「プレイヤーの淘汰」だ。話題性のあるツールが次々に登場しては入れ替わる状況は、しばらく続くと見ておいたほうがいい。

消えていく動画生成AIツールと残り続けるカメラを象徴するフラットイラスト

湘南の事業者にとっての実務的な意味は明快で、話題のツールに一喜一憂して制作フローを作り込みすぎず、「AIはあくまで補助輪」という距離感を保つことが、結果的にコストと手戻りを減らす。

AIツールと人が撮る映像は、得意分野がはっきり分かれている。以下に整理する。

領域 AI動画生成の強み 人が撮る映像の強み
スピード・本数 台本があれば数分で複数パターンを量産できる 撮影・編集に日数がかかる
費用 1本あたりの限界費用が低い 撮影・編集の人件費がかかる
信頼・説得力 作り物と見抜かれやすい 実在の人・現場が映ることで裏付けになる
地域性・固有性 学習データにない現場の空気は再現しにくい 湘南の海辺・店構え・スタッフの表情がそのまま資産になる

この使い分けの発想は、テレビ→YouTube→ショート動画、映像の主戦場はどう移ったか【制作者視点】で解説した「主戦場は変わっても、伝える力の本質は変わらない」という論点ともつながる。

消費者は、AIが作った映像を見抜いている——Animoto調査が示す数字

動画マーケティング企業Animotoが2026年1月22日に発表した「State of Video 2026」調査(米国の消費者・マーケター450名以上を対象)によると、消費者の約83%が「AI生成だと思われる動画を見た」経験を持つと回答している。見抜いた根拠として多かったのは次の3つだ。

  • ロボット的なジェスチャー(67%)
  • 不自然な声(55%)
  • 感情表現の乏しさ(51%)

AI生成動画かどうかを見極める消費者を表すフラットイラスト

さらに深刻なのは、AI生成だと見抜いたときの反応だ。36%の消費者が「AI生成動画だとブランドへの信頼が下がる」と回答した一方、人が作った映像と同等に信頼すると答えたのは33%程度にとどまる。つまり現時点では、AIだと見抜かれることは半分以上の確率でブランドにとってマイナスに働く可能性がある、と読むべき数字だ。

湘南のような「顔の見える経済圏」で商売をする事業者にとって、この数字は軽視できない。大手の全国ブランドと違い、地域の店や会社は「この人が、この場所でやっている」という信頼そのものが売上に直結する。AI生成と見抜かれるリスクを冒してまで安易に動画をAIに任せるのは、地域ビジネスの土台である信頼を自ら削ることになりかねない。


湘南の店・企業が「人が撮る映像」に投資する意味

湘南の小売店で撮影されるカメラと店主の様子

私たちが平塚・大磯エリアで撮影に入るとき、いつも意識しているのは「カメラの存在を消す」ことだ。飲食店の厨房でも小売店の店先でも、スタッフや店主がカメラを意識しすぎると表情が硬くなり、かえって「作られた感」が出てしまう。目立たない場所にカメラを構え、自然体の動きをそのまま拾う——これは私たちが現場で積み重ねてきた撮影の勘所であり、台本通りに生成されるAI映像には再現しにくい部分だと感じている。

例えば湘南エリアの飲食店であれば、厨房で仕込みをする手元や、常連客とのやり取りの一瞬をそのまま切り取るだけで、地域に根ざした店だという説得力が生まれる。小売店でも、店主が商品を選ぶ理由を自分の言葉で語る姿は、AIが生成する「それらしい」ナレーションでは代替しにくい。こうした固有の現場は、湘南という地域でしか撮れない資産だと言っていい。

もちろんAIを全否定する必要はない。SNS向けの下書き動画やアイデア出し、量産が必要なバリエーション作りには積極的に使ってよい。ただし、会社紹介動画や採用動画のように「信頼」そのものが問われる場面では、人が撮った映像を軸に据えることをすすめる。この考え方をさらに深掘りしたい人は、AI動画・SNS時代に「人が関わる価値」で価値が上がる理由も参考にしてほしい。ショート動画の運用トレンドと組み合わせたい場合は、2026年のショート動画トレンド|湘南の事業者が押さえる3つの変化も合わせて読んでおくと判断がしやすくなる。

よくある質問

Q. AI動画生成ツールはもう使えないのか?

A. 使えないわけではない。SNS用の下書きやアイデア出し、量産が必要な素材づくりには十分実用的だ。ただし会社紹介動画や採用動画のように信頼が問われる場面では、人が撮った映像を軸にすることをすすめる。

Q. Soraのようなサービスが終了すると、作った動画データはどうなるのか?

A. サービス終了時には一定のデータ保存・書き出し期間が設けられるのが一般的で、Soraも終了までの猶予期間が案内された。ただしプラットフォーム依存で作った動画は、サービス終了と同時に使えなくなるリスクを常に抱えている点は覚えておきたい。

Q. 消費者はAI動画をどうやって見分けているのか?

A. Animotoの調査では、ロボット的なジェスチャー(67%)、不自然な声(55%)、感情表現の乏しさ(51%)が主な手がかりとして挙げられている。

Q. 湘南の小さな会社でもAIと人の映像を使い分けるべきか?

A. そのとおりだ。小規模事業者ほど「顔が見える」ことが差別化になるため、量産が必要な場面はAI、信頼を勝ち取る場面は人が撮る、という使い分けが現実的だ。

まとめ

動画生成AIの市場は伸びているが、Soraの終了劇が示すように個々のツールの寿命は読みにくい。消費者の8割超がAI動画を見抜いた経験を持ち、見抜かれれば4割近くがブランド信頼を下げると回答している以上、信頼を背負う映像を丸ごとAIに任せるのはまだリスクが大きい。

湘南のような顔の見える経済圏では、現場の自然な表情や店主の言葉といった、AIには再現しにくい要素そのものが差別化になる。まずは自社のどの動画が「量産でよいもの」で、どの動画が「信頼を背負うもの」なのかを言語化することをすすめる。

その線引きに迷ったときは、私たちのような制作者に一度相談してみてほしい。AIと人、それぞれの強みを踏まえた上で、無理のない役割分担を一緒に考えていきたい。

動画制作の発注前に確認したい7つのチェックリスト|湘南版

湘南の店舗で動画制作の契約書を確認する事業者と制作者

「動画を作りたいが、何を発注先と決めておけばいいのか分からない」——平塚・大磯エリアで初めて動画制作を検討する事業者から、こうした相談をよく受ける。飲食店のメニュー紹介でも、クリニックの院内紹介でも、雑貨店の商品動画でも、初めての発注では確認すべき項目が見えづらいものだ。

結論から言えば、動画制作のトラブルの多くは「契約前に確認していなかったこと」が原因で起きる。著作権が誰のものか、修正は何回までか、支払い条件はどうなっているか——これらは制作が始まってから揉めると、修復に時間もコストもかかる。

この記事では、動画制作を発注する前に確認しておきたいポイントを、著作権・契約・支払いという実務面から、制作者の視点で整理する。

  • 結論:動画制作のトラブルの大半は「契約前に確認していなかったこと」が原因で起きる
  • 著作権は発注すれば自動的に発注者のものになるとは限らない。利用範囲は契約で明記する必要がある
  • 発注先が個人か法人かによって、フリーランス新法・取適法という異なるルールが関わってくる

なぜ「発注前」の確認が重要なのか

動画制作は、Webサイト制作や印刷物の発注と違って、完成イメージを言葉だけで正確にすり合わせるのが難しい。「思っていたのと違う」「もっと修正できると思っていた」といった認識のズレは、契約書に何が書かれているか、あるいは何が書かれていないかによって、トラブルになるかどうかが決まる。

私たちが現場で相談を受ける中でも、揉める案件のほとんどは金額や技術の問題ではなく、「誰が何をどこまで確認すべきだったか」が事前に共有されていなかったケースだ。発注前の確認は、制作会社を疑うためのものではなく、双方が同じ前提で仕事を進めるための土台づくりだと捉えてほしい。

具体的に何を確認すべきかは、大きく分けて「著作権・利用範囲」「発注書・支払い条件」「修正回数やスケジュールなどの運用面」の3つに整理できる。次の章から順に見ていく。

著作権は誰のものか——利用範囲を契約で明記する

契約書と著作権の確認をイメージした図解

「お金を払って作ってもらったのだから、著作権も当然こちらのものだろう」と考える発注者は少なくないが、これは誤解であることが多い。文化庁が公開している著作権契約書作成支援システムの映像制作向けひな形では、制作者が著作者かつ映画製作者として著作権を保有することが前提になっている。つまり、契約で明記しない限り、著作権は発注者に自動的には移らない。

発注者が納品後の動画をCMや広告、Webサイトなど幅広い用途で自由に使いたい場合は、契約書に著作権の譲渡または利用許諾の範囲を具体的に書き込む必要がある。逆に、単価を抑えて依頼する代わりに、制作会社側にも実績として使う権利を残すという考え方もあり、これは料金と権利範囲のバランスで決めるものだ。

もうひとつ見落とされやすいのが、同一性保持権だ。同ひな形では「変更、切除その他の改変を施す場合は、事前に著作者の承諾を得るものとします」とされている。つまり納品後に発注者側で勝手にテロップを差し替えたり、カットを入れ替えたりすることは、本来は制作者の承諾が前提になる。編集の自由度をどこまで持ちたいかも、発注前に話し合っておいたほうがいい論点だ。

発注書は書面で残っているか——フリーランス新法(2024年11月施行)

動画制作は、個人のフリーランスに依頼するケースも多い。撮影・編集を一人で請け負うクリエイターに、飲食店や雑貨店が直接発注するような場面だ。この場合に関わってくるのが、2024年11月1日に施行された「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(通称フリーランス新法)だ。公正取引委員会の特設サイトによれば、この法律は発注事業者に対し、業務内容や報酬額、支払期日などの取引条件を書面またはメール・SNSのメッセージ等の電磁的方法で明示する義務を課している。

さらに、報酬の支払期日は物品等を受け取った日から60日以内のできる限り短い期間内に定め、その期日までに支払うことが義務づけられている。1か月以上にわたる委託の場合は、受領拒否や報酬の減額、買いたたきといった7つの行為が禁止行為として明示された。「知り合いのフリーランスに口頭で頼んだ」という進め方は、発注側にとって法律上のリスクになり得るということだ。

湘南エリアの個人店・小規模事業者にとって、フリーランスのクリエイターへの直接発注は身近な選択肢のはずだ。だからこそ、金額や納期だけでなく、取引条件を書面で残す習慣を発注側からつけておくことをすすめる。

発注先が制作会社でも——2026年施行の取適法(旧・下請法)

発注先が個人ではなく制作会社であっても、無関係とは言い切れない。公正取引委員会・中小企業庁が公開した令和7年11月付のテキストによれば、2026年1月1日から「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」は「中小受託取引適正化法(取適法)」へと改正・施行されている。動画のような映像制作は、この法律が定める「情報成果物作成委託」という類型に該当する。

適用の可否は、委託事業者(発注側)と受託事業者(制作側)がそれぞれ資本金基準または従業員基準を満たすかで決まる。情報成果物作成委託の場合、資本金基準は「5,000万円超/1,000万円以下」の関係性が目安になるとされている。湘南エリアの中堅企業が、より小規模な制作会社やフリーランス法人に発注する場合、この基準に当てはまる可能性は十分にある。

対象になれば、発注書面の交付や支払期日60日以内といった義務が発注側に生じる。制作会社と継続的に取引する予定がある事業者は、自社の規模が取適法の対象になり得るかどうかを、一度確認しておいて損はない。

修正回数・演出トーン・スケジュールもすり合わせておく

撮影から納品までの制作スケジュールをイメージした図解

法律や契約書の話に加えて、現場レベルのすり合わせも欠かせない。特にトラブルになりやすいのが修正回数だ。「気に入るまで直してもらえる」と発注者が思い込んでいるケースは珍しくなく、無制限の修正を前提にすると、制作側の採算が合わなくなるか、納期が延び続けるかのどちらかになる。何回まで無償で、それ以降は有償なのかを、発注前に数字で決めておいたほうがいい。

演出のトーンも、事前に言葉で共有しておく価値がある論点だ。私たちの現場感覚で言えば、発信で大事なのは伝えたいことをできるだけ自然体で伝えることだと考えている。撮影チームが目立たない位置にカメラを置き、被写体に「カメラを意識させない自然体」を意識して撮る、という方針を取ることもある。一方で、演出を強めに効かせた見せ方を求める発注者もいる。どちらが正解というわけではなく、発注前に「どちらの方向性を求めているか」を言葉にしておくと、納品後の「イメージと違う」を防ぎやすい。

スケジュールについても、公開日や展示会・商談の日程から逆算して、撮影・編集・確認・修正にどれだけの期間を見込むかを共有しておく必要がある。特に確認・修正の往復には想定より時間がかかることが多く、余裕を持たせておくことをすすめる。

ここまでの内容を、発注前に確認したいチェックリストとして整理すると次のようになる。

  1. 動画を使う目的と、誰に何を伝えたいかが言語化できているか
  2. 著作権(利用許諾か譲渡か)と利用範囲がどこまでか、契約書に明記されているか
  3. 納品後の改変(テロップ差し替えなど)を発注者側で行ってよいか
  4. 発注条件(業務内容・報酬額・支払期日)が書面またはメール等の形で残っているか
  5. 支払期日が受領日から60日以内など、合理的な範囲で設定されているか
  6. 修正回数の上限と、それを超えた場合の追加費用の扱いが決まっているか
  7. 公開日から逆算した撮影・編集・確認のスケジュールに無理がないか

動画制作そのものの費用感をまだ把握できていない場合は、先に「動画制作の費用相場【完全ガイド】」で種類別・尺別の相場を確認しておくと、この記事のチェックリストと照らし合わせやすい。内製と外注のどちらを選ぶべきか迷っている場合は「動画制作は内製と外注どちらが得か?判断基準と費用比較」も参考になるはずだ。完成した動画をどこで使うかまだ固まっていない人は「作った動画、どこでどう使う?活用先マップ【完全版】」も併せて見ておいてほしい。

よくある質問

Q. 動画制作を個人のフリーランスに頼む場合、契約書は必須か?

A. 契約書という形式である必要はないが、2024年11月施行のフリーランス新法により、発注側には業務内容・報酬額・支払期日などの取引条件を書面またはメール等で明示する義務がある。口頭のみでの発注は避けたほうがよい。

Q. 著作権は発注すれば自動的に発注者のものになるか?

A. ならないことが多い。文化庁のひな形でも制作者が著作権を持つ前提になっており、発注者が幅広く自由利用したい場合は、契約書に譲渡または利用許諾の範囲を明記する必要がある。

Q. 修正は何回でもお願いできるか?

A. 契約内容次第だが、無制限を前提にするとトラブルの原因になりやすい。無償修正の回数と、超過分の追加費用の扱いを事前に決めておくことをすすめる。

Q. 発注先が制作会社(法人)なら気にしなくてよいか?

A. そうとは言い切れない。2026年1月施行の取適法は、映像制作のような情報成果物作成委託も対象にしており、双方の資本金・従業員規模によっては発注側に書面交付や支払期日の義務が生じる。

まとめ

動画制作のトラブルは、技術力よりも「発注前に確認していなかったこと」から生まれることが多い。著作権と利用範囲、発注条件の書面化、修正回数やスケジュールといった項目は、どれも制作が始まる前なら数分の会話で決められることばかりだ。

湘南で初めて動画制作を発注する事業者にとって大事なのは、完成した動画の出来栄えだけでなく、発注前にどれだけ言葉にして共有できたかだ。まずは今回のチェックリストを手元に置きながら、何を確認できていて何が抜けているかを整理することをすすめる。

著作権や契約条件の細かい判断に迷う場合は、私たちのような制作者や、必要に応じて専門家に一度相談してみてほしい。発注前の確認は、時間をかけるほど後のトラブルを減らせる投資だと考えている。

動画制作に補助金は使えるか|湘南の中小企業向け早見表

湘南の明るいオフィスで動画制作の提案書と補助金資料を確認する事業者と制作者

「動画を作りたいのはやまやまだが、予算が厳しい。補助金でなんとかならないか」——平塚・大磯エリアの事業者から相談を受けるとき、この質問はかなりの頻度で出てくる。SNS用のショート動画でも、会社紹介動画でも、外注すれば数十万円単位の費用がかかるだけに、気持ちはよくわかる。

結論から言えば、「動画制作」そのものをうたった専用の補助金は存在しない。だが、いくつかの既存の補助金制度には、条件付きで動画制作費を組み込める経費区分がある。逆に言えば、制度の対象経費区分を正しく理解せずに申請すると、動画制作費だけを理由に不採択・減額になることもある。

この記事では、動画制作費が組み込める代表的な補助金制度を、対象になる条件・上限額・注意点とあわせて、制作者の視点から整理する。

  • 結論:「動画制作補助金」という単独の制度は無い。既存制度の経費区分に組み込めるかどうかで判断する
  • 最も現実的なのは小規模事業者持続化補助金の「ウェブサイト関連費」区分。ただし上限があり単独申請は不可
  • デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)やものづくり補助金は、国内向けの動画外注費には原則使えない

動画制作向けの補助金は存在するか——結論と全体像

まず前提を整理しておきたい。国や自治体が「動画制作」という支出そのものを名指しで補助する制度は、調べた範囲では見当たらない。存在するのは、販路開拓や生産性向上、デジタル化といった別の目的を持つ補助金の中に、「広報費」「ウェブサイト関連費」といった経費区分があり、その枠の中に動画制作費を計上できるケースがある、という構造だ。

代表的な3つの制度について、動画制作費の位置づけと上限を以下に整理する。

制度名 動画制作費の位置づけ 経費区分の上限 補助率
小規模事業者持続化補助金
<一般型・通常枠>
「ウェブサイト関連費」として計上可(単独申請は不可) 交付申請額の1/4以内・上限50万円 2/3(赤字事業者は3/4)
デジタル化・AI導入補助金2026
(旧IT導入補助金)
動画の外注制作費は対象外。事務局に登録されたITツール(ソフト・サービス)の導入費が対象 枠・ツールにより異なる 枠・ツールにより異なる
ものづくり補助金
(グローバル枠)
海外販路開拓向けのPR動画に限り「広告宣伝・販売促進費」として計上可(国内向けは対象外) 最新の公募要領で要確認 枠により異なる

表からわかる通り、動画制作費を最も組み込みやすいのは小規模事業者持続化補助金だ。次の章で、この制度の条件を具体的に見ていく。

小規模事業者持続化補助金——動画は「ウェブサイト関連費」で申請する

補助金の対象経費の内訳を積み木で表した図解

小規模事業者持続化補助金は、商業・サービス業なら従業員5人以下、製造業その他・宿泊娯楽業なら20人以下の小規模事業者を対象にした、販路開拓の取り組みを支援する制度だ。中小企業庁が2026年5月に公開した<一般型・通常枠>第20回の公募要領によれば、補助上限は50万円、補助率は2/3(赤字事業者は3/4)で、インボイス特例や賃金引上げ特例を併用すると上限は最大250万円まで引き上がる。

動画制作費はこの制度の中で、単独の経費区分ではなく「ウェブサイト関連費」に計上する形になる。小規模事業者持続化補助金事務局が公開している経費区分の説明では、ウェブサイト関連費は交付申請額の1/4以内、かつ上限50万円までと定められている。つまり通常枠の上限50万円だけで申請する場合、動画制作費として使える実質的な上限は12万5000円程度にとどまる計算になる。特例を併用して申請額を引き上げれば、その分ウェブサイト関連費の上限も上がる仕組みだ。

さらに重要な制約がある。事務局の案内では「ウェブサイト関連費のみによる申請はできない」「経費がウェブサイト関連費のみになった場合は不採択となる」と明記されている。つまり動画制作費だけを目的に申請することはできず、機械装置等費や広報費など他の経費区分と組み合わせて、販路開拓の取り組み全体として申請する必要がある。私たちの現場感覚で言えば、この「単独では通らない」というルールを知らずに動画予算だけを補助金でまかなおうとして計画が狂うケースは、決して珍しくないはずだ。

デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)は動画の外注費に使えない

「IT導入補助金なら動画も対象になるのでは」という相談も多いが、これは誤解であることが多い。同制度は2026年度に「デジタル化・AI導入補助金2026」へと名称・制度設計が変わっており、補助の対象になるのは事務局に事前登録された特定のITツール(ソフトウェア・サービス等)の導入費用、およびクラウドサービス利用料や導入サポート費用に限られる。

つまり補助されるのは「デジタル化・業務効率化に資するツールを導入する費用」であって、動画の撮影・編集を制作会社に依頼する外注費そのものは、この制度の対象にはならない。動画編集ソフトのような特定のソフトウェアが対象ツールとして登録されているかどうかは年度ごとに変わるため、使えるかを知りたい場合は公式のITツール検索データベースで個別に確認する必要がある。制作を外部に発注する湘南の事業者にとっては、この制度が動画制作費の直接の資金源になる場面は限定的だと考えたほうがいい。

ものづくり補助金は「海外向け」に限られる

申請前の確認手順をアイコンのフローで表した図解

ものづくり補助金は、新製品・新サービス開発や生産性向上のための設備投資を主対象にした制度で、機械装置費やシステム構築費、専門家経費などが中心になる。動画制作費が入り込む余地があるのは、海外市場開拓を目的とした「グローバル枠」に限られる。この枠では、海外販路開拓のためのPR動画やパンフレット制作費を「広告宣伝・販売促進費」として計上できるとされている。

逆に言えば、国内向けの会社紹介動画や採用動画、SNS用ショート動画といった、湘南の中小企業が実際によく相談してくる用途の多くは、この枠の対象外になる。海外展開を伴わない動画制作を、ものづくり補助金でまかなおうとするのは筋が悪い。補助率や経費ごとの上限は枠・年度の公募要領によって細かく定められているため、具体的な適用可否と金額は必ず最新の公募要領で確認してほしい。

動画制作そのものの費用相場については別記事「動画制作の費用相場【完全ガイド】」で種類別・尺別に整理しているので、まずは自己資金でどこまでの規模感が現実的かを確認しておくことをすすめる。内製と外注のどちらが得かで悩んでいる場合は「動画制作は内製と外注どちらが得か?判断基準と費用比較」も参考になるはずだ。

申請前に確認したい5つのポイント

補助金ありきで動画制作を計画すると、採択されなかった場合に計画そのものが崩れる。私たちが相談を受ける際にまず確認をすすめているのは、次の5点だ。

  1. 動画制作費が、狙っている制度のどの経費区分に該当するかを公募要領で確認する
  2. その経費区分が単独申請不可など、組み合わせの制約を持っていないか確認する
  3. 商工会議所・商工会や認定支援機関に、申請前に一度相談する
  4. 公募のスケジュール(受付期間・様式発行締切)を確認し、逆算で制作スケジュールを組む
  5. 補助金は原則後払いであることを踏まえ、自己資金で実施できる規模から計画する

特に最後の点は見落とされがちだ。補助金は採択・交付決定を経て、事業完了後の実績報告を経てはじめて支払われる後払いが原則になる。「補助金が出る前提」で動画制作会社と契約し、資金繰りに詰まる事業者を現場では何度か見てきた。自己資金での実施を前提にしたうえで、採択されれば負担が軽くなる、くらいの位置づけで考えるのが安全だ。

よくある質問

Q. 動画制作費だけで補助金を申請できるか?

A. できない。小規模事業者持続化補助金の場合、動画制作費を計上する「ウェブサイト関連費」は単独申請が認められておらず、他の経費区分と組み合わせて申請する必要がある。

Q. 個人事業主でも申請できるか?

A. できる。小規模事業者持続化補助金は法人に限らず、従業員数などの要件を満たす個人事業主の小規模事業者も対象にしている。

Q. 補助金が採択される前提で動画制作会社と契約してよいか?

A. 避けたほうがよい。補助金は原則後払いで、採択・交付決定が確定するまで支給されない。自己資金で実施できる規模を前提に契約し、補助金は結果として負担を軽くするものと考えるのが安全だ。

まとめ

「動画制作専用」の補助金は存在しないが、小規模事業者持続化補助金の「ウェブサイト関連費」のように、条件を満たせば動画制作費を組み込める経費区分は現実にある。ただし上限額も低く、単独では申請できないという制約も強い。

湘南の事業者にとって大事なのは、補助金ありきで動画の企画を組むのではなく、まず自社の動画で何を実現したいのかを言語化し、そのうえでどの制度のどの経費区分に当てはまるのかを確認する順番を守ることだ。

その言語化や経費区分の切り分けの段階からで構わないので、商工会議所・認定支援機関や、私たちのような制作者に一度相談してみることをすすめる。使える制度があるかどうかだけでも、早めに整理しておく価値はある。

建設業の採用難は動画で変えられるか|求人倍率7倍時代の打ち手

湘南の建設現場で採用動画を撮影する様子

「求人を出しても、現場系の応募がまったく来ない」——平塚・大磯エリアの建設会社の経営者と話していて、この悩みを聞かない月はない。求人サイトに載せても、折り込みチラシを増やしても、反応が薄いという声が続いている。

結論から言えば、採用動画は応募数そのものを保証する魔法の道具ではない。だが、「応募する前に会社と現場を正しく理解してもらう」という、採用活動でいちばん抜け落ちやすい工程を埋めることはできる。文字と写真だけの求人情報では伝わらない、現場の空気や人の表情は、動画でしか渡せない情報だからだ。

この記事では、建設業の採用難がどれほど深刻なのかを統計で確認したうえで、採用動画がなぜ効くのか、何を撮ればいいのか、費用感はどれくらいかを、湘南で撮影と編集の現場に立つ制作者の視点から解説する。

  • 建設躯体工事従事者の有効求人倍率は7倍台(2026年1月時点)で、全職業平均の6倍超の水準にある
  • 採用動画の役割は「応募数を増やす」こと以上に「ミスマッチを減らし、応募後の歩留まりを上げる」ことにある
  • 3Kイメージの払拭には、作り込んだイメージCMより現場をそのまま見せる密着型が向いている

建設業の採用難——数字で見る現在地

まず、建設業の人手不足がどの水準にあるのかを数字で押さえておきたい。厚生労働省の職業安定業務統計によると、建設躯体工事従事者の有効求人倍率は2026年1月時点で7.48倍に達している。全職業計の有効求人倍率が1.14倍であることを踏まえると、実に6倍超の開きがある水準だ。求職者1人に対して求人が7件以上ある計算で、選ぶのは会社ではなく求職者の側になっているということになる。

国土交通省が実施している「建設労働需給調査」(令和8年5月調査)でも、全国8職種の過不足率は1.2%の不足となり、前月・前年同月からさらに不足幅が拡大したと報告されている。景気の波はあっても、建設業の人手が構造的に足りない状態が続いていることが、複数の統計から裏付けられている格好だ。

この数字が意味するのは、求人票の見た目を多少整えたところで応募が急増するような状況ではない、ということだ。求職者に選ばれる側に回るためには、会社の中身そのものを、応募前の段階でどれだけ正確に伝えられるかが勝負になる。

なぜ動画が「採用の入り口」を変えるのか

建設業には長年、「きつい・汚い・危険」という3Kのイメージが根強く残っている。求人票の文章だけでこのイメージを覆すのは難しい。だが動画なら、実際の現場の安全対策、休憩時間の雰囲気、先輩と若手のやり取りといった、言葉にすると陳腐になりがちな情報を、そのままの温度で見せることができる。

動画制作会社moovyが公開している採用動画の事例集では、第一工業株式会社が採用動画を活用した結果、スカウトメールへの返信率が上昇し、内定承諾率も伸長したと報告されている。数字の規模は企業ごとに違うだろうが、「応募・内定という意思決定の手前で動画が背中を押した」という構図は、建設業に限らず共通する動きだと見ていい。

現場を知る私たちから見ると、採用動画で失敗しやすいのは、モデルのような若手を立てて綺麗に撮りすぎるケースだ。求職者は演出された映像を見抜く。私たちの撮影チームでは、常に目立たない場所にカメラを置き、「カメラを意識させない自然体」を意識して撮る——という経験則を持っているが、これは会社紹介動画だけでなく採用動画でも同じことが言える。作り込みすぎない現場の空気こそが、応募者の警戒心を解く。


効果が出やすい採用動画の型

建設業の人手不足を表す図解

建設業の採用動画には、いくつかの型がある。会社の規模や採用したい人物像によって、向き不向きが分かれる。以下に代表的な型を整理する。

内容 向いている会社
1日密着ドキュメンタリー型 朝礼から退勤までを追い、現場のリアルな1日を見せる 職場の雰囲気の良さを伝えたい会社
若手社員インタビュー型 入社2〜3年の若手に本音で語ってもらう 未経験者・若年層を採用したい会社
技術・こだわり紹介型 職人技や施工へのこだわりを見せる 専門性の高い即戦力人材を採用したい会社

表の中で特に反応が良いのは、若手社員インタビュー型だ。求職者と年齢の近い先輩が、入社前の不安と入社後の実感を自分の言葉で話す映像は、求人票のどんな文言よりも説得力を持つ。

制作の進め方——小さく始めて構わない

建設現場の若手社員にインタビューする様子

採用動画と聞くと大掛かりな撮影を想像しがちだが、最初から映画のような映像を目指す必要はない。むしろ建設業の採用動画は、以下のような手順で小さく始めるほうがうまくいくことが多い。

  1. 採用したい人物像のヒアリング(未経験者か、経験者か)
  2. 登場してもらう社員の選定と簡単な質問リストの用意
  3. 現場での撮影(半日〜1日が目安)
  4. 編集・テロップ入れ・求人媒体向けの尺調整

費用の相場については別記事「動画制作の費用相場【完全ガイド】」で種類別・尺別に整理しているので、予算感を確認したい場合はそちらも参照してほしい。採用動画そのものの目的や基本設計については「採用動画とは?応募が増える理由と費用・作り方」でも詳しく解説している。

なお、動画は採用サイトに載せるだけでなく、SNSでの発信と組み合わせることでさらに接触機会が増える。湘南エリアの工務店がSNSでどう選ばれる会社になっているかは「湘南の工務店がSNSで「選ばれる会社」になるには」にまとめている。

よくある質問

Q. 採用動画を作れば応募は本当に増えるか?

A. 動画単体で応募数の増加を保証するものではない。ただし、応募前に企業理解を深める効果は複数の事例で報告されており、応募後のミスマッチ・早期離職を減らす方向に働きやすい。

Q. 予算をかけられない小規模な会社でもできるか?

A. できる。若手社員インタビュー型であれば、スマートフォンと簡単な質問リストだけで撮影できる。作り込みすぎない自然な映像のほうが、求職者の信頼を得やすい。

Q. 何人くらいの会社から採用動画を検討すべきか?

A. 人数の目安は特にない。求人媒体だけで応募が集まりにくいと感じ始めた時点が、検討を始める適切なタイミングだ。

まとめ

建設躯体工事の有効求人倍率が7倍を超える今、求人票の文言を磨くだけでは応募は増えない。求職者が本当に知りたいのは、現場の空気と、そこで働く人の表情だ。

採用動画は、その情報を応募前の段階で渡すための手段にすぎない。大掛かりな企画書は要らない。まずは自社の何を見せれば求職者の不安が減るのかを、社内で言語化することから始めることをすすめる。

その言語化の段階からで構わないので、私たちのような制作者に一度相談してみるのも一つの手だ。何を撮るべきかの整理だけでも、次の一歩が見えてくるはずだ。

美容室のショート動画集客術|湘南・平塚で新規客を増やす

明るい美容室でスマホの縦動画を撮影する美容師

「インスタもTikTokも始めてみたが、フォロワーは増えても予約にはつながらない」——平塚や大磯で美容室・サロンを営むオーナーから、私たちがよく聞く悩みだ。ショート動画が集客に効くらしいとは聞くものの、何をどう撮れば新規のお客さまが来てくれるのか、手応えがつかめないままの店は少なくないはずだ。

結論から言えば、美容室のショート動画は「新しいお客さまに知ってもらう入口」としてよりも、「予約する前に、この人に、この店に会いに行きたいと思わせる場面」で効く。ここを取り違えて、ただバズを狙った動画を投稿し続けても、予約にはつながりにくい。

この記事では、美容業界の最新調査データで新規客のリアルな動きを確認したうえで、ショート動画が本当に効く場面と、湘南の小さなサロンが明日から撮れる具体的な中身を、制作者の視点から解説する。

  • 結論:ショート動画は「知る入口」より「予約前にこの人に会いたいと思わせる」場面で効く
  • 美容センサスでは20代女性がサロンを知るきっかけはSNS6.9%に対し予約・口コミサイトが39.5%と約6倍
  • 勝ち筋は凝った作品より「スタッフの人柄と店の空気を、自然体で見せる」こと

まず現実を見る——お客さまは本当に「SNSで美容室を知る」のか

意外に思われるかもしれないが、若い世代でも美容室を知るきっかけはSNSより予約・口コミサイトのほうがずっと太い。リクルートのホットペッパービューティーアカデミーが実施した「美容センサス2026年上期」によると、20代女性が通っている美容室を知ったきっかけは「予約・口コミサイト」が39.5%で最多だったのに対し、「SNS」は6.9%にとどまった。その差は約6倍だ。SNSと共に育ったはずの15〜19歳女性でも、予約・口コミサイト30.0%に対しSNSは9.4%だった(美容センサス2026年上期<美容室編>、リクルート調べ)。

この数字は、ショート動画に力を入れる意味がないという話ではない。同調査は、SNSが「ブランドイメージづくりや、日々の作品発信、スタイリストの人柄を伝える場としてかけがえのない存在」である一方、「知ってもらう入口としては、予約・口コミサイトのほうがずっと太い」と結論づけている。つまり、SNSとショート動画の役割は入口そのものではなく、その先にあるということだ。

ショート動画が本当に効くのは「予約直前の見極め」

では、ショート動画はどこで効くのか。答えは「見つけたあと、予約する前の見極め」の瞬間だ。予約サイトや検索で気になる店を見つけたお客さまは、決める前に必ずと言っていいほどInstagramやTikTokをのぞく。そこで店の空気やスタッフの雰囲気が伝われば「ここにしよう」となり、何も出てこなければ候補から静かに外れる。総務省の令和7年通信利用動向調査でも、インターネット利用目的のうち「SNSの利用」は82.3%と最も高い(総務省、2025年)。お客さまは、予約ボタンを押す前に必ずそこにいる。

この見極めの場面で効くのは、凝った作品動画ではない。スタッフがどんな人か、店がどんな空気かが、飾らずに伝わる映像だ。動画そのものの市場も追い風にある。サイバーエージェントとデジタルインファクトの調査では、2025年の国内動画広告市場は8,855億円で前年比122%成長、2029年には約2倍の1兆6,336億円に達すると予測されている(サイバーエージェント・デジタルインファクト調べ、2025年)。動画で情報を得て意思決定する習慣は、美容室選びでも完全に定着している。

「作品」より「人柄」——自然体をどう撮るか

私たちが撮影の現場で最も大切にしているのは、伝えたいことをできるだけ自然体で伝えることだ。撮影チームでは、カメラをあえて目立たない場所に置き、被写体にカメラを意識させないことを常に意識している。構えたカメラの前で作り込んだ笑顔より、施術中にふとこぼれる自然な表情のほうが、画面の向こうのお客さまの心を動かす。美容室のショート動画で「この人に会いたい」と思わせる正体は、この自然体にある。

スマホのショート動画に惹かれて来店を決める様子を表す図解

何を撮ると、何に効くのか——サロン向けショート動画の早見表

やみくもに撮る前に、コンテンツの種類ごとに「何に効くか」を整理しておきたい。以下に、美容室のショート動画でよく使う4パターンを、主に効く場面と撮り方のポイントとともにまとめる。

撮る内容 主に効く場面 撮り方のポイント
ビフォーアフター 技術力の証明・保存されやすい 変化を1カットで見せ、最初の1秒で結果を出す
スタッフの人柄・日常 「この人に会いたい」と思わせる カメラを意識させず、自然な表情を撮る
店内の雰囲気・こだわり 来店前の不安をなくす 明るい時間帯に、席や内装の空気ごと
ヘアケアの豆知識 保存・フォロー獲得 30秒で1テーマ、役立つ情報を1つだけ

4種すべてを毎回やる必要はない。まずは「スタッフの人柄」と「店内の雰囲気」——予約前の見極めに直結する2つから始めるのが、湘南の小さなサロンには現実的だ。ショート動画そのものの基本を押さえたい場合はSNS用ショート動画とは? TikTok・リール・ショートの違いと活用法もあわせて読んでほしい。

湘南のサロンが明日から始める3ステップ

難しく考えず、次の順番で始めれば十分だ。

  1. 既存客の年代でプラットフォームを決める(30〜40代中心ならInstagramのリール、10〜20代中心ならTikTokから)
  2. まずは「スタッフ紹介」と「店内の空気」を、スマホの縦動画で週1本ずつ撮る
  3. プロフィールと各投稿に、平塚・大磯など地域名と最寄り駅、予約リンクを必ず入れる

湘南は、海辺の光や地域の空気そのものが画になるエリアだ。店の外観や近隣の風景を少し差し込むだけで、地元のお客さまには「近所のあの店だ」という親近感が生まれる。どのプラットフォームから始めるか迷う場合はYouTubeとTikTok、中小企業はどっちから始める?目的別の選び方が判断の助けになる。私たちも企業案件のTikTok運用で、初月100万再生、3か月連続で月300万再生以上(2023年4〜6月)を出した経験があるが、そこで効いたのもやはり、飾らずに人と現場を見せることだった。

カメラを意識させず自然体で施術する美容師と客の様子

内製で続けるか、節目だけプロに頼むか

日々のショート動画は、スマホで店のスタッフが撮るのが一番いい。撮る人と撮られる人の距離が近いほど自然体が引き出せるし、投稿の鮮度も保てるからだ。無理に外注して更新が止まるより、内製で細く長く続けるほうが、予約前の見極めには効く。

一方で、開店・リニューアル・周年といった節目に使う店の顔になる1本や、撮り方の型づくりの最初だけは、プロの手を借りる価値がある。日々は内製、節目は外注というハイブリッドが、費用を抑えつつ質を落とさない現実解だ。湘南エリアでのSNS集客の全体像は湘南・大磯のSNS集客術|地域ブランドで選ばれる中小企業になる方法でも整理している。

ショート動画のコンテンツ種類が予約につながる流れの図解

よくある質問

Q. フォロワーが少なくても新規客は増えますか?

A. 増える。ショート動画はフォロワー数よりも、1本ごとの内容が刺さるかどうかでおすすめ表示に乗る仕組みだ。フォロワーゼロからでも、地域名と人柄がはっきり伝わる動画は、近隣の見込み客に届く。

Q. InstagramとTikTok、どちらから始めるべきですか?

A. 既存客の年代で決めるのが失敗しない。30〜40代が中心ならInstagramのリール、10〜20代が中心ならTikTokから始めるとよい。両方を無理に同時運用せず、まず片方に絞る。

Q. 撮影は自分たちでやるべきですか、外注すべきですか?

A. 日々の投稿は内製、節目の1本は外注、が基本だ。毎日の自然体はスタッフにしか撮れない。開店・周年などの顔になる動画や、最初の型づくりだけプロに頼むと、費用対効果が高い。

まとめ

美容室のショート動画は、新規のお客さまに知ってもらう入口ではなく、予約する前に会いたいと思わせる場面で効く。美容センサスが示すとおり、知るきっかけは今も予約・口コミサイトが太い。だからこそ、そこで見つけたお客さまが最後に背中を押される場所として、SNSの動画が生きてくる。

凝った作品を目指す必要はない。スタッフの人柄と店の空気を、飾らず自然体で見せること——それが湘南の小さなサロンにとって、一番の武器になる。まずはスタッフ紹介と店内の様子を、週1本ずつスマホで撮ることから始めることをすすめる。

何をどう見せれば自分の店の魅力が伝わるか迷ったら、私たち制作者と一緒に、その見せ方を言葉にするところから始めてほしい。

動画制作は内製と外注どちらが得か|平塚の中小企業向け費用比較

内製と外注の費用を比較検討する経営者と動画制作者

「そろそろ動画に力を入れたいが、社内でやるべきか、外に任せるべきか」——平塚や大磯で製造業や建設業を営む経営者と話していると、この迷いに何度も出会う。SNSで会社の姿を発信したい、採用のために現場の空気を伝えたい。気持ちは固まっていても、体制をどう組むかで足が止まってしまうケースは少なくないはずだ。

結論から言えば、内製と外注のどちらが得かは「月に何本作るか」だけでは決まらない。「どれだけの期間、継続する必要があるか」と「その動画に何を求めるか」の2つを合わせて考えて、はじめて答えが見える。本数の多寡だけで判断すると、初期投資だけがかさんで使いこなせない、あるいは外注費が積み上がって割高になる、というどちらの失敗も起こり得る。

この記事では、内製と外注それぞれのコスト構造の違い、判断を分ける3つの軸、そしてAIが動画制作のハードルを下げつつある現在地までを、現場で制作に立つ私たちの視点と一次データから解説する。

内製と外注、コスト構造はどう違うのか

内製化は「固定費」の世界だ。カメラ・マイク・編集用PCといった機材投資に加え、撮影・編集を担う人材の人件費が毎月発生する。本数を作ろうが作るまいが、この固定費は変わらない。だからこそ内製が生きるのは、継続的に一定量を発信し続ける体制がある会社だ。

一方の外注は「変動費」の世界だ。依頼した本数分だけ費用が発生し、機材や人材を抱え込むリスクがない。動画制作の費用相場については動画制作の費用相場【完全ガイド】で尺・種類別に整理しているので、まず外注1本あたりの相場感をつかんでから内製と比較するとわかりやすい。

内製化に必要な初期投資の目安

内製化を検討する際、見落とされがちなのが「教育コスト」だ。機材さえ揃えれば動画が撮れるわけではない。構図・音声・編集の基礎を身につけるまでの試行錯誤期間、いわば学習コストも内製の隠れた費用として織り込む必要がある。私たちが現場で内製支援に入ると、最初の数本は外部の目が入った方が結果的に早く軌道に乗るケースをよく見る。

内製と外注のコストバランスを表す天秤の図解

損益分岐点を分けるのは「本数」より「継続期間」

矢野経済研究所の調査によると、動画コンテンツビジネスの市場規模は2024年度に5,985億円(前年度比103.7%)、2025年度は6,300億円(同105.3%)まで拡大すると見込まれている(矢野経済研究所調べ、2025年発表)。市場が拡大している背景には需要の増加だけでなく、動画のジャンルに応じた専門性を持つ制作チームを編成する体制が業界側で整ってきたことがあると同調査は指摘する。つまり外注先の選択肢と専門性は、以前より確実に広がっているということだ。

この動きを踏まえると、判断基準は「本数」ではなく「継続期間」に置いた方が実態に合う。半年に1本の採用動画や単発の会社紹介動画なら、専門性の高い外注先に任せた方が、内製の学習コストを払うより安く早く仕上がるはずだ。逆に、SNSで毎週投稿を1年以上続ける計画があるなら、外注費が積み上がる前に内製の固定費に切り替えた方が長期的には得になる。


目安として、単発〜年数本程度の「ここぞ」という動画は外注、週次・月次で継続する発信は内製かハイブリッド、という切り分けを私たちは現場ですすめている。ここで言うハイブリッドとは、撮影は社内で行い編集だけ外部に任せる、あるいは繁忙期だけ外注を併用するといった、固定費と変動費を組み合わせる運用のことだ。

AIで内製のハードルは下がったが、任せきりにはできない

サイバーエージェントとデジタルインファクトが2025年6月に大手広告主企業100社を対象に実施した調査では、クリエイティブ制作における生成AIを「継続的に活用している」と回答した企業が54%にのぼり、動画広告の制作量が「増えた」と答えた企業は86%に達した(サイバーエージェント・デジタルインファクト調べ、2025年6月)。同調査ではさらに、3年後には動画広告制作で「人よりAIが主体になる」と予想する企業が50〜58%に及んでおり、AIが動画制作の内製化を後押しする流れは大手企業から確実に広がっている。

湘南の中小企業にとっても、この流れは他人事ではない。台本の叩き台づくりや字幕生成、簡単な編集の下ごしらえにAIを使えば、内製化の学習コストは以前より下がっている。ただし、AIが代替できるのはあくまで「作業」の部分だ。平塚の工場の何を撮れば取引先の心が動くか、大磯の海沿いの現場をどの時間帯にどう切り取れば人が採用面接に来たくなるか——こうした現場の勘所は、現場に立った人間にしか判断できない。この点はAI動画・SNS時代に「人が関わる」ことで価値が上がる理由でも詳しく触れているので、あわせて読んでほしい。

AIと人の手による動画編集作業の図解

平塚・大磯の製造業・建設業が判断する3つの軸

ここまでを踏まえ、実際に判断する際の3つの軸を整理する。

軸1:撮影・編集に割ける専任者がいるか

内製は「誰かの本業の片手間」では続かない。専任、あるいは業務時間の一定割合を継続して割ける人がいなければ、機材は棚の肥やしになる。

軸2:発信の目的が単発の実績づくりか、継続的な認知づくりか

採用動画や展示会用の会社紹介動画のように「ここ一番」で使う映像は外注、日々の現場の様子を発信し続けるSNS運用は内製、と目的で切り分けるのが自然だ。実際に工場見学動画が営業を変える|平塚・湘南の製造業BtoB戦略で紹介したように、商談前に見せる1本の完成度が高い動画は、外注で専門性を借りた方が費用対効果が高いことが多い。

軸3:BtoBの成果(商談・展示会)につなげたいか

アルファノート株式会社が2026年6月にBtoB企業の動画マーケティング担当者500名に行った調査では、動画活用で効果があったと回答した企業は60.6%にのぼり、具体的な効果の1位は「展示会・イベントでの集客数の増加」だった(アルファノート調べ、2026年6月)。展示会や商談という「ここ一番」の勝負どころで使う動画ほど完成度が結果に直結するため、専門の制作チームに任せる価値がある、と読み取れる。

工場でジンバルを使い撮影する動画制作者

まとめ

内製と外注のどちらが得かは、本数の多い少ないでは決まらない。継続期間・専任者の有無・動画の目的という3つの軸で考えれば、自社にとっての答えはおのずと見えてくるはずだ。

私たちも呉服・不動産・アパレル・製造・教育と多業界で内製・外注双方の相談を受けてきたが、最初から答えを決めつけている会社はほとんどない。まずは「年間で何本、どんな場面のために動画が必要か」を書き出すことから始めることをすすめる。それだけで、内製すべきか外注すべきかの輪郭はかなりはっきりする。

工場見学動画が営業を変える|平塚・湘南の製造業BtoB戦略

湘南の工場でジンバル付きミラーレスカメラを構え製造ラインを撮影するビデオグラファー

「展示会で名刺は集まるのに、そこから商談が進まない」「遠方の見込み客に、工場の雰囲気や品質管理の様子をどう伝えればいいのか分からない」——平塚や大磯の製造業の経営者・営業担当者から、私たちがよく聞く悩みだ。パンフレットや口頭説明では、現場の空気感までは伝わらない。かといって、商談のたびに先方を工場へ招くわけにもいかない。そんなもどかしさを抱えている人は少なくないはずだ。

結論から言えば、工場見学動画は「現場を見せられない」という製造業の営業の壁を壊す、いま最も費用対効果の高い武器のひとつだ。BtoBの購買担当者が商談前に動画で情報収集を済ませるのが当たり前になった今、工程・品質管理・人の顔が見える動画を持っているかどうかで、商談の入り口の説得力が変わる。

この記事では、BtoBバイヤーの行動変化を最新の調査データで確認したうえで、工場見学動画が営業のどの壁を壊すのか、そして発注前に押さえておきたい作り方の勘所を、現場を知る制作者の視点から解説する。

なぜ今、工場見学動画が営業の武器になるのか——
BtoBバイヤーの行動変化

まず押さえておきたいのは、BtoBの購買担当者もひとりの生活者として、動画を見て意思決定する習慣がすでに定着しているという事実だ。動画マーケティングの実態を12年連続で調査しているWyzowlの「State of Video Marketing 2026」によると、動画を活用しているマーケターの83%が「動画によって売上が直接増加した」と回答し、85%が「リード獲得に役立った」と答えている。単発の成功事例ではなく、長期的に積み上がった傾向として、動画が営業成果に直結するという結果だ。

日本国内のBtoB企業でも同様の傾向が確認できる。動画制作サービスを提供するアルファノート株式会社が2026年6月にBtoB企業の担当者500名を対象に実施した調査では、動画マーケティングの活用で「効果があった」と回答した企業が60.6%にのぼった(「期待以上の効果があった」14.0%、「ある程度の効果があった」46.6%の合計)。これは特別なノウハウを持つ大企業だけの数字ではなく、動画を導入したBtoB企業の半数超が体感している効果だと捉えるべきだろう。

1本の動画が展示会・営業商談・採用サイトへと枝分かれして活用される様子を表した図解

制作者としてこの数字を読むと、示唆はシンプルだ。商談の前段階で、購買担当者はすでに動画で情報収集を終えている可能性が高い。そこに工場の中身を見せる動画があるかないかで、初回商談に臨む先方の理解度と信頼感は大きく変わってくる。動画そのものの目的や種類の基礎は企業PR動画とは? 目的・効果・費用をわかりやすく解説で整理しているので、あわせて参考にしてほしい。

工場見学動画が壊す、製造業の営業の「壁」

製造業の営業には、他業種にはない固有の壁がある。ひとつは「現場を見せなければ伝わらない」壁だ。設備の精度、検品の丁寧さ、工場内の整理整頓——こうした品質の裏づけは、写真や言葉だけでは実感として届きにくい。もうひとつは「距離」の壁だ。遠方の見込み客や、多忙な決裁者を毎回工場に招くのは現実的ではない。工場見学動画は、この二つの壁を同時に崩す。

展示会ブースでの「一次接触」を強くする

展示会は短時間で多くの来場者と接点を持てる場だが、ブースでの口頭説明だけでは、その場を離れた瞬間に記憶が薄れてしまう。工場見学動画をブースのモニターで流しておけば、足を止めた来場者は数十秒で「どんな会社か」を体感でき、名刺交換後のフォローメールに動画リンクを添えれば、商談前の温度感を保ったまま次のアポイントにつなげやすい。

初回商談を「品質の説明」から「条件のすり合わせ」へ進める

初めての取引先との商談では、まず品質管理体制や生産キャパシティへの疑問に答えることに時間を使いがちだ。工場見学動画を商談資料に組み込んでおけば、その説明の多くを事前に済ませられる。商談の場では、価格や納期といった具体的な条件のすり合わせに時間を割けるようになる——これは、限られた商談機会を最大化したい中小製造業にとって小さくない効果のはずだ。

明るい商談スペースでノートパソコンの工場見学動画を見ながら打ち合わせをする営業担当者と取引先

採用にも効く、工場見学動画の副次効果——
人手不足時代の一石二鳥

工場見学動画には、営業以外にもうひとつ見逃せない効果がある。採用への転用だ。帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2026年4月)」によると、正社員が不足していると感じている企業の割合は50.6%で、4月としては4年連続で半数を超えた。製造業の現場でも、人手不足は依然として重い経営課題であり続けている。

求職者が応募をためらう理由のひとつも、「現場がどんな雰囲気か分からない」という不安だ。営業用に撮影した工場見学動画は、機械の音、社員の表情、整えられた作業環境をそのまま伝えられるため、採用サイトや求人媒体に転用すれば応募のハードルを下げる材料にもなる。1回の撮影で営業と採用の両方に使い回せる点は、限られた予算で動画を検討する中小企業にとって現実的なメリットだ。採用動画そのものの費用感や作り方は採用動画とは? 応募が増える理由と費用・作り方を解説で詳しく解説している。

発注前に押さえておきたい、工場見学動画の作り方の勘所

効果の出る工場見学動画には、共通する「見せ方」がある。ここでは、私たちが現場で意識しているポイントを3つに絞って紹介する。

工程・人・品質管理の3視点をバランスよく入れる

設備や工程だけを淡々と映す動画は、見る側の記憶に残りにくい。原材料が製品になっていく工程の面白さに加えて、そこで働く人の表情、そして検品・品質管理の丁寧さの3つを織り交ぜることで、視聴者は「技術力」と「信頼できる会社かどうか」の両方を同時に感じ取れる。

配信先ごとに尺を変える

展示会ブースで流すなら1〜2分の要点版、Webサイトや商談資料に載せるなら3〜5分の詳細版、SNSでの認知拡大には数十秒のショート版——ひとつの素材から、配信先に応じて複数の尺に編集し分けるのが実務的だ。動画をどこでどう使うかの全体像は作った動画、どこでどう使う? 活用先マップ【完全版】にまとめている。


費用感は、撮影日数や編集の作り込みによって変わる。おおまかな相場観をつかんでおきたい場合はPR動画の制作費用の相場は?失敗しない見積もりの見方も参考にしてほしい。工場見学動画は、企業PR動画の一種として同程度の予算レンジで検討できることが多い。

製造ラインの工程アイコンと採用・営業それぞれに使われるアイコンをつなぐフラットデザインの図解

まとめ

工場見学動画は、展示会での一次接触を強くし、初回商談の説明時間を短縮し、遠方の見込み客にも現場の説得力を届ける。加えて、採用にも転用できる一石二鳥の投資だ。動画を活用したBtoB企業の6割超が効果を実感しているという調査結果は、この流れがもはや一部の先進企業だけのものではないことを示している。

平塚・大磯・湘南で工場を構える製造業の経営者には、まず自社の営業と採用、それぞれの現場でどんな「見せられない壁」があるかを言語化することをすすめる。壁の正体がはっきりすれば、動画で何をどう見せるべきかもおのずと見えてくるはずだ。

私たちも制作者として、湘南の地場企業の現場に何度も足を運んできた。工場見学動画を検討する際は、まず現場を知る者同士で話すところから始めてほしい。

採用動画の費用相場はいくら?|湘南の中小企業向け価格ガイド

工場で社員インタビューを撮影するビデオグラファー(採用動画の制作現場)

「求人を出しても、若い人からの応募がまったく来ない」——平塚や大磯の製造業・建設業の経営者から、私たちが最も多く聞く悩みだ。求人媒体に出稿し、給与や休日の条件も見直した。それでも反応がない。次の一手として採用動画が気になってはいるものの、いくらかかるのか見当がつかず、一歩を踏み出せずにいる。そんな担当者は少なくないはずだ。

結論から言えば、採用動画の制作費用は内容と規模によって10万円台から200万円超まで幅があり、湘南の中小企業の実務では30万〜100万円前後が中心レンジになる。幅が大きいのは、動画の「型」によって必要な工程がまったく異なるからだ。会社紹介をコンパクトにまとめるのか、社員の一日に密着したドキュメンタリーに仕上げるのか、SNS向けのショート動画を数多く回すのか。型が決まれば、費用はかなりの精度で見積もれる。

この記事では、採用動画の費用相場を種類別に整理したうえで、いま採用に動画が効く理由を裏づける調査データ、そして見積もりで必ず確認したいポイントを、現場を知る制作者の視点から解説する。読み終えるころには、自社に必要な採用動画の規模感と予算の目安がつかめるはずだ。

採用動画の費用相場——
種類別・規模別の目安

採用動画の費用は「どの型で作るか」でほぼ決まる。ここでは、私たちが現場で提案するときに使っている3つの型に分けて、業界で一般的な費用レンジを示す。金額はあくまで目安で、撮影日数・出演者の人数・編集の作り込みによって上下する点は先に断っておきたい。

採用動画の費用相場を3つの型で表した図解

会社紹介・社員インタビュー型(30万〜80万円程度)

最も標準的な型だ。会社の概要、仕事内容、社員へのインタビューを2〜3分にまとめる。撮影は1日、編集を含めて1〜2ヶ月というスケジュール感が一般的で、採用サイトや説明会でそのまま使える汎用性の高さが持ち味になる。初めて採用動画を作る会社には、まずこの型をすすめることが多い。

密着ドキュメンタリー型(80万〜200万円程度)

社員の一日や現場のリアルに複数日密着し、ストーリーとして仕上げる型だ。撮影日数が増えるだけでなく、事前のヒアリングや構成設計といった「見えない工程」に工数がかかるため、費用は一段上がる。その分、働く姿の説得力は圧倒的で、「入社後のイメージと違った」というミスマッチの防止に最も効く型だと、現場では感じている。採用動画そのものの基礎や作り方は採用動画とは?応募が増える理由と費用・作り方の解説で詳しく整理している。

SNSショート動画型(1本数万円〜、月額運用10万〜50万円程度)

TikTokやInstagramリール、YouTubeショート向けに、縦型の短い動画を継続的に発信する型だ。1本あたりの単価は低いが、効果を出すには「量と継続」が前提になるため、月額の運用契約になることが多い。若手人材との最初の接点を作る入口としては、いま最も費用対効果を出しやすい領域だ。

なお、動画制作全般の種類別・尺別の料金感は動画制作の費用相場【完全ガイド】にまとめているので、採用以外の動画も検討している場合はあわせて参考にしてほしい。

なぜ今、採用に動画なのか——
学生の行動は数字で変わっている

答えはシンプルで、候補者が企業を「読む」より先に「見る」ようになったからだ。これは感覚論ではなく、調査データがはっきり示している。

就職情報サービスの学情が2025年卒業予定の学生を対象に実施した調査(2023年6月発表)によると、企業の動画を視聴して志望度が「上がる」と答えた学生は7割を超えた。「実際に働いている人のインタビューを見て、働くイメージが湧いた」という声が理由の上位に挙がっている。さらに同社の2026年卒対象の調査(2024年6月発表)では、8割以上の学生が就職活動の準備で動画を活用したいと回答した。候補者側が、動画で企業を知りたいと明言しているわけだ。

スマートフォンで採用動画を視聴する就活生たちの図解

動画という媒体そのものの存在感も拡大し続けている。サイバーエージェントが実施した国内動画広告の市場調査(2026年発表)によると、2025年の動画広告市場は8,855億円で前年比122%の成長。中でもスマホで見る縦型動画広告は前年比155.9%の2,049億円と突出して伸びており、市場全体は2029年に約1兆6,336億円へ倍増すると予測されている。企業がこれだけの規模で動画に投資しているのは、人の可処分時間が動画に移ったからにほかならない。採用情報だけがその外側にいられる理由は、考えてみればどこにもない。

そして平塚・大磯の中小企業にとって、この変化はむしろ追い風だと私たちは考えている。知名度や採用予算で大手と正面から戦う必要はない。現場のリアルな空気、社長や先輩社員の人柄、湘南で働き暮らせるという環境——動画が最も得意とする「言葉にしにくい魅力」こそ、地域の会社が持っている武器だからだ。

「高い」のか?——
採用コスト全体から考える費用対効果

動画に数十万円と聞くと高く感じるかもしれない。だが、採用にかかるコスト全体と並べると見え方が変わる。

リクルート就職みらい研究所の「就職白書2020」によると、2019年度の新卒採用における一人当たりの平均採用コストは93.6万円(2020年発表時点)。つまり、1人採用するのに動画1本分と同水準の費用がすでにかかっている計算になる。しかも人材獲得競争はその後も激しさを増しており、採用がうまくいかず募集を出し直したり、入社後のミスマッチで早期離職が起きたりすれば、このコストは簡単に倍以上へ膨らむ。

一方で動画は、広告費のようにその月で消えていく費用ではなく、使い回せる「資産」になる。一度作れば、採用サイト、会社説明会、求人媒体、SNSと複数のチャネルで数年にわたって働き続けるし、応募前に仕事内容を理解した候補者が集まることで、面接工数やミスマッチも減らせる。1本の動画をどこまで活用できるかは作った動画の活用先マップ【完全版】で具体的に紹介している。

単発の出稿費と違い、制作費は「何年使うか」で割って考える。これが、採用動画の費用対効果を判断するときの正しい物差しだと私たちは考えている。

見積もりで必ず確認したい3つのポイント

相場を知っていても、見積もりが読めなければ適正価格かどうかは判断できない。映像制作は無形の商材で、業界的に見積もりの内容が曖昧になりやすい。発注前に、最低限この3点を確認してほしい。

見積もりの内訳を虫眼鏡で確認する図解

①「一式」表記になっていないか

企画費・撮影費・編集費・ディレクション費が項目単位で明示されているかを見る。「制作費一式◯◯万円」だけの見積もりでは、何にいくらかかっているのかが見えず、比較も交渉もできない。内訳を出し渋る会社には注意が必要だ。見積もりの読み方はPR動画の制作費用の相場と失敗しない見積もりの見方でさらに詳しく解説している。

② 修正回数と納品形式が明記されているか

編集の修正が何回まで基本料金に含まれるのか。納品データは採用サイト用の横型だけか、SNSでも使える縦型の書き出しまで含むのか。ここが曖昧なまま進むと、後から追加費用が積み上がる原因になる。

③ 「作った後」の提案があるか

採用動画は公開してからが本番だ。どこに載せ、どう届けるかまで一緒に考えてくれる制作会社かどうかで、同じ制作費でも成果は大きく変わる。見積もりの段階で活用方法の話が出てくるかは、良いパートナーを見極めるわかりやすいサインになる。

まとめ

採用動画の費用相場は、会社紹介・インタビュー型で30万〜80万円、密着ドキュメンタリー型で80万〜200万円、SNSショート動画型なら1本数万円からの継続運用と、「型」によって大きく変わる。まず自社の採用課題に合う型を決めること。それが予算を考える出発点になる。

投資判断の材料になる数字も揃っている。動画視聴で志望度が上がった学生は7割超(学情調査・2023年)、新卒1人あたりの採用コストは平均93.6万円(就職白書2020)。採用に1人あたり動画1本分の費用がかかる時代に、候補者が最も見たがっている情報を用意しないのは、それ自体が機会損失だと言える。

次のステップとして、まず「誰に、何を伝えたい採用なのか」を言語化することをすすめる。ターゲットと伝えたい魅力が整理できていれば、制作会社への相談も相見積もりの比較も一気に精度が上がる。そのうえで、内訳が明確な見積もりを複数社から取れば、費用で失敗する可能性はかなり小さくできるはずだ。

平塚・大磯・湘南エリアで採用に悩んでいるなら、地域の現場を知る制作者に相場観を聞いてみるだけでも、判断材料は大きく増える。私たちも無料相談を受け付けているので、予算の目安づけからでも気軽に活用してほしい。

2026年のショート動画トレンド|湘南の事業者が押さえる3つの変化

海辺の商店街でスマートフォンを使い縦型ショート動画を撮影するクリエイター

「ショート動画がいいらしい、とは聞くけれど、流行り物に振り回されているだけではないのか」——湘南の経営者と話していると、そんな半信半疑の声をよく聞く。もっともな疑問だと思う。TikTokが日本で話題になってから何年も経ち、「そろそろブームは終わるのでは」という見方も根強くあるからだ。

結論から言えば、2026年のショート動画はブームの段階をとっくに過ぎ、テレビや検索と並ぶ「情報インフラ」として定着する局面に入っている。私たちが注目している変化は3つ。①縦型動画に広告市場のお金が本格的に流れ込み始めたこと、②動画視聴が生活時間の中心を占めるようになったこと、③そして視聴者が「広告らしい動画」を見抜き、「公式感のない動画」で財布を開くようになったことだ。

この記事では、この3つの変化を最新の調査データで確認しながら、平塚・大磯・湘南の中小企業が2026年に何から手をつけるべきかを、制作者の視点で解説する。

変化① 縦型動画に「お金」が流れ込み始めた——
前年比155.9%という異常値

まず市場の数字から見てほしい。サイバーエージェントが実施した国内動画広告の市場調査(2026年発表)によると、2025年の動画広告市場は8,855億円で前年比122%。そのなかで縦型動画広告は前年比155.9%の2,049億円と、市場全体の伸びを大きく上回った。同調査は、縦型動画広告が2029年には5,648億円へ、動画広告市場全体では約1兆6,336億円へ拡大すると予測している。

縦型動画市場の急成長を表すスマートフォンと上昇グラフの図解

制作者としてこの数字を読むと、単なる「市場が伸びている」以上の意味が見えてくる。広告費は、企業のなかで最も現実的なお金だ。効果のない場所には流れない。縦型ショート動画に年間2,000億円を超える広告費が投じられているという事実は、「縦型の画面で人が動く」ことが大量の実測データで裏づけられた、ということを意味している。

映像の主戦場がテレビからYouTube、そしてショート動画へどう移ってきたかはテレビ→YouTube→ショート動画、映像の主戦場はどう移ったか【制作者視点】で詳しく書いた。2026年は、その流れの「答え合わせ」が市場規模という形で出てきた年だと言える。

変化② 動画は「見るもの」から「生活時間そのもの」へ

次に、視聴者側の変化だ。総務省の「令和6年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(2025年6月公表)によると、平日のインターネット利用時間は平均181.8分と前年からさらに伸び、テレビのリアルタイム視聴(154.7分)との差を広げた。サービス別の利用率では、YouTubeが全年代で80.8%、Instagramが52.6%、TikTokが33.2%。もはや特定の世代の流行ではなく、国民の大半が日常的に動画とSNSに時間を使っている。

電車やソファでスマートフォンの動画を視聴する人々とテレビの存在感低下を表す図解

考えてみてほしい。1日3時間を超えるネット利用時間の多くはスマホの画面で消費され、その画面は縦に持たれている。人がいる場所に情報を届けるのが商売の基本だとすれば、縦型のショート動画は「選択肢のひとつ」ではなく、すでに「人がいる場所」そのものになっている。

これは湘南の中小企業にとって他人事ではない。平塚の工場も、大磯の店舗も、地元の見込み客はテレビの前ではなくスマホの中にいる。地域で商圏を絞って戦う会社ほど、この生活時間の変化を早く取り込んだ方が有利になる——私たちはそう考えている。

変化③ 「公式感のなさ」が財布を開かせる時代

3つ目の変化は、もっと質的なものだ。視聴者は広告らしい動画を一瞬で見抜き、スクロールで飛ばすようになった。代わりに効き始めているのが、作り込まれていない「公式感のない」動画だ。

Z世代のTikTokユーザー400名を対象にしたOASIZの調査(2025年5月発表)では、購買に最も影響を与えた投稿は、インフルエンサーの案件動画でも広告色の強い公式PRでもなく、「公式感を感じさせない企業投稿」だった。39.3%が「企業アカウントの自然な投稿を見てブランドに興味が湧いた」と回答している。企業が発信していても、広告の顔をしていなければ受け入れられる——ここが2026年のショート動画運用の核心だと私たちは見ている。

工房で働く職人を自然体で撮影するスマートフォンと共感アイコンの図解

この変化は、実は地域の中小企業にこそ追い風だ。作り込んだブランドムービーで大手と競う必要はなく、現場の日常、職人の手元、社長の人柄といった「そこにしかないリアル」をそのまま見せることが最も効く時代になったからだ。私たちの現場でも、企業案件のTikTok運用で初月100万再生、2023年4月から6月には3ヶ月連続で300万再生以上という結果が出ているが、伸びた動画はいずれも広告らしさを削ぎ落とし、現場のリアルを主役にしたものだった。

2026年、湘南の中小企業は何から手をつけるか

3つの変化を踏まえると、やるべきことは意外とシンプルになる。

第一に、プラットフォームをひとつ決めて始めること。あれもこれもと手を広げると、更新が止まって逆効果になる。自社の客層と目的からYouTubeとTikTokのどちらを選ぶかは、YouTubeとTikTok、中小企業はどっちから始める?目的別の選び方で判断基準を整理している。

第二に、「広告を作る」発想を捨てて「現場を見せる」発想に切り替えること。撮影スタジオも台本もいらない。仕事の日常のなかにある「絵になる瞬間」を見つける目の方が重要で、そこは地域の現場を知る制作者の出番でもある。地域ブランドとしてSNSで選ばれていく道筋は湘南・大磯のSNS集客術|地域ブランドで選ばれる中小企業になる方法に詳しい。

第三に、続けられる体制を先に設計すること。ショート動画は一発の当たりより継続が資産になる。週に何本、誰が撮り、誰が編集するのか。この設計を最初に固めた会社だけが、半年後に「地域で動画をやっている会社」というポジションを取れる。

まとめ

2026年のショート動画を貫くトレンドは、3つの変化に集約できる。縦型動画広告が前年比155.9%の2,049億円へ拡大し(サイバーエージェント調査・2026年発表)、平日のネット利用時間が181.8分とテレビを引き離し(総務省・令和6年度調査)、そして「公式感を感じさせない企業投稿」が購買を動かすようになった(OASIZ調査・2025年)。お金、時間、心理——3つの数字がすべて同じ方向を指している。

つまりショート動画は、もう「様子を見る」対象ではない。地域で戦う中小企業にとっては、大手より先に地元の生活時間へ入り込める、数少ない逆転の余地が残された領域だ。

次のステップとして、まず自社の商圏と客層がどのプラットフォームにいるのかを確かめることをすすめる。そのうえで「現場の何を見せられるか」を書き出してみると、自社のショート動画の輪郭が見えてくるはずだ。

平塚・大磯・湘南で「うちの場合は何から始めるべきか」を具体的に知りたければ、現場を知る制作者に聞くのが早い。私たちも無料相談を受け付けているので、プラットフォーム選びの壁打ちからでも気軽に活用してほしい。