飲食店の販促に動画は効くのか|湘南の店が今日から使える活用法

湘南の飲食店の厨房で仕込みをする手元とそれをさりげなく撮影するカメラ

「動画を作れば飲食店も集客できると聞くが、うちのような小さな店で本当に効果があるのか」——湘南エリアで飲食店を営むオーナーと話していると、この疑問を投げかけられることが少なくない。

結論から言えば、動画は飲食店の販促に効く。ただし「動画を作れば何でも効く」わけではなく、効くのは消費者が普段から見ている動画の文脈に合った動画だけだ。宣伝色の強い作り込んだCM風の映像は、むしろ見向きもされないことが多い。

この記事では、飲食店のSNS活用に関するアンケート調査と、動画視聴という行動そのものがどれだけ社会に根づいているかを示す公的統計という2つの一次データから「動画は本当に効くのか」を検証したうえで、飲食店で実際に反応が取れる動画の中身と、無理なく続けるための始め方までを制作者の視点で解説する。

  • 結論:動画は飲食店の販促に効くが、「効果を実感できるかどうか」はSNSをやっているかどうかより中身で分かれている
  • 飲食店経営者の79.1%がInstagramを活用する一方、効果を実感しているのは48.3%にとどまる(飲食店ドットコム調査)
  • YouTubeの利用率は81.5%、TikTokも36.7%に達し、動画視聴はもはや一部の若年層だけの習慣ではない(総務省調査)

飲食店経営者が「動画は本当に効くのか」と迷う理由——SNS活用と効果実感のギャップ

飲食店ドットコム(株式会社シンクロ・フード運営)が2024年5月15日〜20日に飲食店経営者・運営者393名(72%が1店舗運営、東京49.9%・首都圏67.3%)を対象に実施した調査によると、SNSでは「Instagram」が79.1%と最も多く活用されており、実に98.6%の飲食店が何らかの形で自店のSNSを運用している。集客・認知拡大の手段として、ほぼ全ての飲食店がすでにSNSに取り組んでいるという状況だ。

ところが同じ調査で、Instagram運用によって集客・認知拡大の効果を実感していると答えたのは48.3%にとどまる。8割近い飲食店がSNSを運用していながら、効果を実感できているのは半分に満たない——このギャップこそが「動画は本当に効くのか」という疑問の正体だと私たちは見ている。運用していないから効かないのではなく、運用していても中身が伴っていないケースが多いということだ。それでも52.5%が「さらに注力したい」と回答しており、多くの飲食店が可能性自体は感じていることも分かる。

消費者は動画を「見て終わり」にしていない——動画視聴という習慣そのものの広がり

SNS活用率と効果実感のギャップを表すフラットイラスト

総務省情報通信政策研究所が2026年6月26日に公表した「令和7年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によれば、YouTubeの利用率は全年代で81.5%、TikTokも36.7%、Instagramは54.8%に達している。動画共有サービスは、もはや若年層だけが使う特別なメディアではなく、幅広い世代の生活に溶け込んだ日常的な情報収集の入り口になっている。

この数字が意味するのは、飲食店を探す・選ぶという行為自体が、検索窓に文字を打ち込むだけでなく、動画を眺めながら「気になる店」を見つけていく行動に置き換わりつつあるということだ。メニューの写真を並べただけのプロフィールと、実際に厨房や店内の空気が伝わる動画があるプロフィールとでは、見た瞬間の説得力がまるで違う。

以下に、飲食店で反応が取れやすい動画の種類と、尺・向いている媒体の目安を整理する。

動画の種類 尺の目安 向いている媒体
仕込み・調理の手元 15〜30秒 TikTok・Instagramリール
看板メニューの紹介 15〜30秒 TikTok・YouTubeショート
店主・スタッフの人柄 20〜40秒 Instagram・YouTube
店内の雰囲気・空気感 15〜30秒 Googleビジネスプロフィール・Instagram

「効く動画」と「なんとなく続けている動画」の違い

湘南の飲食店で料理を自然な様子で盛り付けるスタッフ

SNS運用率と効果実感のギャップを踏まえると、飲食店の動画で分かれ目になるのは「何を撮るか」より「どう撮るか」だと私たちは考えている。宣伝としてきれいに作り込んだ紹介映像より、仕込み中の手元や、常連客とのちょっとしたやり取りをそのまま切り取った映像のほうが、見る側の反応は良い傾向にある。

私たちが撮影で常に意識しているのは、カメラの存在をできるだけ消すことだ。目立たない場所にカメラを置き、スタッフに「カメラを意識させない自然体」を心がけてもらう——現場感覚として、この自然さこそが動画で信頼を生む一番の近道だと感じている。宣伝然としたカット割りより、普段どおりの一場面のほうが結果的に見られる、というのが私たちの実感だ。

効きにくい動画の共通点

逆に反応が伸びにくいのは、テロップと音楽で作り込みすぎたCM風の動画や、料理を一切見せずに店主の説明だけで終わる動画だ。消費者は動画に「情報」だけでなく「その場の空気」を求めている。

こうした短尺動画での集客の考え方は、業種は違えど美容室・サロンがショート動画で新規客を増やすにはで扱った内容とも重なる部分が多いので、あわせて参考にしてほしい。Googleマップからの来店につなげたい場合は、Googleマップ(MEO)×動画で地域集客を強くするも参考になる。

無理なく続けるための実践ステップ

スマートフォンの動画から来店につながる流れを示すフラットイラスト

動画というと特別な機材や撮影スキルが必要に思えるが、実際に必要な工程はシンプルだ。以下の順で進めれば、スマートフォン1台からでも始められる。

  1. 自店の一番の強み(メニュー・仕込み・接客のどれか)を1つだけ決める
  2. 15〜30秒に収まる一場面をスマートフォンで撮影する
  3. TikTok・Instagramリール・Googleビジネスプロフィールなど反応が見える媒体に投稿する
  4. 週1本を目安に、3〜6か月は同じテーマで続けて反応を比較する

動画をどこでどう使うか全体像を先に整理しておきたい場合は、作った動画、どこでどう使う?活用先マップ【完全版】も参考にしてほしい。

よくある質問

Q. 動画は毎日投稿しないと効果が出ないのか?

A. 毎日投稿する必要はない。週1本を目安に3〜6か月続け、反応の出るテーマを見極めるほうが優先度が高い。

Q. 撮影機材にお金をかけたほうがいいのか?

A. 最初の一本はスマートフォンの手持ち撮影で十分だ。機材より、普段の一場面を自然体で撮ることのほうが反応に直結する。

Q. どのSNSから始めればいいか?

A. 利用率の高いYouTube・Instagramに加え、若年層への新規リーチを狙うならTikTokも候補になる。まずは1つに絞って継続することをすすめる。

まとめ

飲食店ドットコムの調査が示すように、8割近い飲食店がすでにSNSに取り組みながら、効果を実感できているのは半分に届いていない。一方で総務省の調査が示す通り、動画を見るという行動そのものは世代を問わず生活の一部になっている。動画は効くか効かないかではなく、消費者が普段見ている動画の文脈に合わせられるかどうかで結果が分かれる、というのが私たちの見立てだ。

湘南のような顔の見える経済圏では、店の宣伝文句よりも、現場のありのままの空気のほうが強い説得力を持つ。まずは自店の動画が「見せるための映像」になっていないか、普段の一場面をそのまま撮れているかを振り返ることをすすめる。

どの一場面を切り取ればいいか迷ったときは、私たちのような制作者に一度相談してみてほしい。無理のない範囲で、続けられる動画活用の形を一緒に考えていきたい。

観光DXと地域PR動画の潮流|湘南の事業者が押さえるべき変化

湘南の海岸沿いの町並みを俯瞰で捉えたドローン視点の風景

観光協会や商店会の集まりで「うちの地域も動画で盛り上げたいが、観光DXという言葉が先行していて何から手をつければいいのか分からない」という声を聞く機会が増えている。

結論から言えば、観光庁が進める観光DXの本丸は予約・決済システムやデータ分析だが、その手前にある「地域の魅力をどう伝え、見つけてもらうか」という入り口の部分で、動画コンテンツの重要性はむしろ増す一方だ。

この記事では、観光庁が掲げる観光DXの狙い、実際に拡散した自治体PR動画の一次データ、そして訪日外国人が動画をどれだけ情報源として頼っているかを一次情報で押さえたうえで、湘南の事業者が観光DXの流れをどう自分ごと化できるかを、制作者の現場感覚も交えて解説する。

  • 結論:観光庁の観光DXは予約・データ基盤の整備が中心だが、その手前で「見つけてもらう」入り口を担うのは地域PR動画である
  • 訪日外国人が出発前に役立った情報源は「動画サイト」21.4%で、SNS(21.9%)や親族・知人(22.8%)に迫る規模(JNTO調査・2023年時点)
  • 北九州市のPR動画「COME ON!関門!」は公開から2年余りで再生1億回を突破しており、地域PR動画の拡散力は自治体規模でも実証済み

観光DXの本丸はデータ基盤、その入り口を担うのが動画

動画を起点に予約・データ活用へつながる観光DXの流れを示すフラットイラスト

観光庁は「持続可能な観光地域づくり戦略」のなかで観光DXの推進を掲げ、その目的を「旅行者の利便性向上及び周遊促進、観光産業の生産性向上、観光地経営の高度化」と説明している。具体的には、宿泊や体験の予約・決済をシームレスに行える地域サイトの構築、DMOにおける「旅マエ・旅ナカ・旅アト」のデータ分析、地域単位でのレベニューマネジメントの推進などが柱になっている。

これらは主に予約システムやデータ基盤の整備であり、動画そのものが観光DXの中心施策として名指しされているわけではない。ただし、私たちが現場で見ている限り、こうした基盤がどれだけ整っても、旅行者がその地域を「知り」「行きたい」と思う最初のきっかけがなければ、そもそも予約サイトにたどり着かない。観光DXが整える「受け皿」の手前にある「発見される入り口」を担っているのが、地域PR動画だと私たちは捉えている。観光・地域PR動画そのものの作り方については観光・地域PR動画とは?人を呼び込む映像の作り方で解説しているので、あわせて読んでほしい。

地域PR動画は本当に拡散するのか——北九州市の事例に見る規模感

地域PR動画の拡散力を示す実例として、北九州市・下関市が制作した関門海峡PRムービー「COME ON!関門!」がある。2017年3月に公開されたこの動画は、北九州市の発表によれば2019年7月7日時点で再生回数が100,088,455回に達し、「1億回」を突破した。英語のセリフを中心に据え、「関門」という地名をとにかく知ってもらうことに絞り込んだシンプルな構成が特徴で、その後多言語版を含めて再生回数はさらに伸びている。

1本の地域PR動画が多言語・多地域へ拡散する様子を示すフラットイラスト

以下に、この事例の推移を整理する。

確認時点 累計再生回数 主な特徴
2019年7月7日時点 約1億回 単一言語(英語セリフ中心)で「関門」の認知に特化
2022年6月時点 約4億回 6言語版の合計。日本語・英語・タイ語・韓国語・繁體中文・簡体中文に展開

数字の規模は自治体の投下予算や偶発的なバイラルの要素も大きく、そのまま中小の事業者や観光協会に当てはまるわけではない。ただし「メッセージを一つに絞り込む」「余力に応じて多言語で展開の余地を残す」という設計の考え方自体は、湘南のような地域でPR動画を作るときにも参考になる視点だと私たちは考える。

訪日外国人にとって動画は情報源としてどれだけ重要か

JNTO(日本政府観光局)がまとめた訪日旅行の実態データでは、訪日外国人が出発前に役立ったと答えた情報源として、「日本在住の親族・知人」が22.8%、「SNS」が21.9%、「動画サイト」が21.4%という結果が出ている(2023年時点)。動画サイトは、個人のブログや従来型の旅行ガイドブックと肩を並べるか、それ以上に重要な情報源になっている計算だ。

この数字が示すのは、観光DXがどれだけ予約や決済の仕組みを整えても、その手前で「動画を見て行きたいと思う」きっかけ自体は、口コミやSNSと並ぶ比重で動画に委ねられているということだ。地域の宿泊施設や飲食店にとっても、自社の魅力を映像で発信することは、観光DXの恩恵を受け取るための前提条件になりつつある。SNSでの集客の考え方については湘南・大磯のSNS集客術|地域ブランドで選ばれる中小企業になる方法でも詳しく取り上げている。

湘南の事業者は観光DXの流れをどう自分ごと化するか

湘南の宿の入り口をミラーレスカメラで撮影するビデオグラファー

では湘南のような、北九州市規模の予算を持たない地域の事業者や観光協会は、この流れにどう向き合えばよいのか。私たちが撮影で大切にしているのは、作り込みすぎた宣伝映像よりも、現場の自然な空気をそのまま拾うことだ。カメラの存在をできるだけ意識させない場所に置き、スタッフに自然体でいてもらうことを心がけている——これは私たちの現場感覚として、美容室の撮影でも観光・地域PRの撮影でも変わらない考え方だ。

具体的には、観光協会が地域の祭りや商店街の日常風景を撮る場合も、旅館やゲストハウスが宿の朝の空気を撮る場合も、飲食店が仕込みの様子を撮る場合も、「見せたいものを作り込む」よりも「そこにある本物の空気を撮る」ほうが、結果的に見る人の心に残りやすいというのが私たちの現場感覚だ。

地域PR動画を作るときにまず押さえておきたいのは次の3点だ。

  1. 伝えたいメッセージを一つに絞り込む(欲張って詰め込まない)
  2. 誰に見てもらいたいか(観光客なのか、移住検討者なのか)を先に決める
  3. YouTubeやSNSへの投稿後、自社サイトや観光協会のページにも同じ動画を置き、文字情報を添えて検索・AI経由でも見つけてもらえるようにする

この「文字情報を添えて見つけてもらう」という視点はAI検索(AIO)時代に動画コンテンツはどう見つけられるか|湘南版でも詳しく解説している。

よくある質問

Q. 観光DXと地域PR動画は同じものか?

A. 同じではない。観光DXは主に予約・決済システムやデータ分析による観光地経営の高度化を指す施策で、地域PR動画はその手前にある「知ってもらう・行きたいと思ってもらう」入り口を担うコンテンツだ。両者は補完関係にある。

Q. 地域PR動画はどのくらいの規模の事業者でも効果があるのか?

A. 北九州市の事例のような数億回再生は自治体規模の予算とバイラル要素があってこそだが、メッセージを一つに絞り込む・自然な現場の空気を撮るという設計の考え方は、規模を問わず地域の小さな事業者にも応用できる。

Q. 訪日外国人向けに動画を作る場合、何語で用意すべきか?

A. 必ずしも多言語版を最初から揃える必要はない。まずは日本語で「その地域・その店にしかない魅力」を自然な形で撮り、余力があれば主要言語の字幕を足していく順番で十分だ。

Q. 動画を作った後、観光DXの恩恵をどう受け取ればよいか?

A. 動画をYouTubeやSNSに置くだけでなく、自社サイトや観光協会のページにも同じ動画と文字による要約を併記しておくことをすすめる。検索エンジンやAI検索からも見つけてもらいやすくなり、観光DXが整備する予約・情報基盤ともつながりやすくなる。

まとめ

観光庁が進める観光DXの中心は予約・決済システムやデータ分析による観光地経営の高度化だが、そうした基盤が整っても、旅行者がその地域を「知り」「行きたい」と思う入り口がなければ意味を持たない。

北九州市のPR動画が公開から2年余りで再生1億回を超えた事例や、訪日外国人の2割超が動画サイトを出発前の情報源として挙げているデータは、地域PR動画がその入り口として無視できない存在であることを示している。

湘南の事業者にとっても、作り込みすぎない現場の空気を撮り、メッセージを一つに絞り込み、文字情報を添えて発信することが、観光DXの流れに乗るための現実的な一歩になる。まずは自分たちの地域・お店の「一番伝えたいこと」を一つに絞り込むことから始めてみてほしい。どこから手をつければいいか迷ったときは、私たちのような制作者に一度相談してみることをすすめる。

AI検索(AIO)時代に動画コンテンツはどう見つかるか|湘南版

スマートフォンでAI検索の要約結果を一緒に確認する湘南の事業者と動画制作者

「うちの動画、YouTubeにはアップしているが、それがGoogleの検索結果とどう関係しているのか正直よく分からない」——湘南エリアの事業者と話していると、この手の戸惑いを聞く機会が増えている。

結論から言えば、検索エンジンはいま「リンクの一覧を並べる」ものから「AIが要約して答える」ものへと姿を変えつつあり、その変化のなかで動画は「見てもらう」だけでなく「AIに読み取られ、回答の材料として引用される」対象になり始めている。動画をアップロードして終わりにしていると、この新しい検索の土俵に乗れないまま埋もれてしまいかねない。

この記事では、AI検索(AIO)がどれほどの速さで広がっているかを一次データで押さえたうえで、AIがどんな動画を選んで引用しているのか、そして湘南の事業者が今日から取り組める実務のポイントを、制作者の現場感覚も交えて解説する。

  • 結論:日本のAI Overview表示率は2026年4月時点で全検索の47%、前年同月比2.4倍に拡大している
  • AIが動画を引用するとき、その94%は長尺の説明的な動画で、ショート動画はわずか5.7%にとどまる
  • 動画は「クリックさせる」設計から「AIに正しく理解・引用させる」設計への切り替えが必要になっている

なぜ今、動画にもAI検索(AIO)対策が必要なのか

SEO分析ツールを提供するAhrefsの「AI Overview Tracker」(2026年4月版)によれば、日本市場でGoogle検索結果にAI Overview(AIによる要約)が表示される割合は全検索の47%に達し、前年同月比で2.4倍に拡大した。半分近くの検索で、ユーザーは個別サイトのリンク一覧より先に、AIがまとめた回答をまず目にしている計算になる。

この流れは、検索結果をクリックしない「ゼロクリック検索」の広がりとも重なる。株式会社博報堂DY ONE 次世代検索研究所が2025年11月に実施した「AI検索白書2026」の調査では、ビジネスシーンでAI検索サービスを利用する人は29.9%(前回2025年3月調査の9.4%からおよそ3倍)に増え、生成AIの回答のみ、または生成AIへの追加質問だけで情報収集を完結させた「ゼロクリックサーチ」該当者は23.9%、およそ4人に1人にのぼった。

自社サイトへのクリックを起点に考えてきた従来のSEOの感覚だけでは、この4人に1人には最初から情報が届いていないことになる。動画についても、「サイトに来てもらってから見てもらう」動線に加えて、「AIの回答の中で紹介・引用される」動線を意識する必要が出てきている。

AIはどんな動画を「引用」しているのか——長尺動画が94%

検索結果の一覧がAIによる要約ボックスに置き換わる様子を示すフラットイラスト

AI検索エンジンが動画そのものを実際にどう扱っているかを示すデータもある。SEO/AIO分析を手がけるOtterly.AIが2026年3月に公開した「YouTube AI Citation Study 2026」は、ChatGPT・Google AI Overviews・AI Mode・Perplexity・Microsoft Copilot・Geminiの6つのAIプラットフォームを対象に、30日間で1億件を超えるAI引用を分析したものだ。それによると、ソーシャルメディア全体の引用のうちYouTube動画が占める割合は31.8%で、プラットフォーム別ではPerplexityで38.7%、Google AI Overviewsで36.6%がYouTube動画への引用だった。

注目すべきは動画の「長さ」による差だ。同調査では、AIによる引用の94%が長尺(ロングフォーム)動画に集中し、TikTokやYouTube Shortsのような短尺動画への引用はわずか5.7%にとどまった。さらに、Google AI Overviews上でYouTube動画が引用される際、動画内の該当シーンへ直接飛べる「タイムスタンプ付き」で示されるケースが73%にのぼるという。

この結果は、私たちが現場で見ている感覚とも重なる。ショート動画は認知を一気に広げる瞬発力に長けているが、AIが「回答の根拠」として参照するのは、ハウツーや解説、インタビューのように、ひとつの問いにきちんと答えきる構成を持った動画のほうだ。ショート動画の位置づけについては2026年のショート動画トレンド|湘南の事業者が押さえる3つの変化でも触れているので、両方の使い分けを考えるうえで参考にしてほしい。

以下に、動画の形式ごとのAI引用のされやすさを整理する。

動画の種類 AI引用に占める割合 向いている役割
長尺動画(ハウツー・解説・インタビュー等) 94% 検索意図に正面から答える「参照元」
ショート動画(TikTok・YouTube Shorts等) 5.7% 認知拡大・SNS上での接触機会づくり

数字が示す通り、AI検索に「引用される」ことを狙うなら、まず優先すべきは長尺側の動画をきちんと用意することだ。

AIに見つけてもらう動画をどう作るか——実務のポイント

美容室でカメラの存在を意識させないように自然な様子を撮影するビデオグラファー

AIが動画を引用するときにまず頼っているのは、動画そのものの画や音ではなく、タイトル・概要欄・字幕・チャプターといった「文字情報」だ。動画がどれだけ良い内容でも、そこに何が写っているかをAIが文字から読み取れなければ、回答の材料として選ばれる可能性は低くなる。

実務としてまず取り組みたいのは次の3点だ。

  1. 動画タイトルと概要欄に、その動画が答えている「問い」を具体的な言葉で書く
  2. YouTubeでチャプター(タイムスタンプ)を区切り、見どころごとに何が分かるかを示す
  3. 自社サイトの記事本文でも、動画の内容を文章で要約して添える

私たちが撮影で大切にしているのは、カメラの存在をできるだけ消し、目立たない場所にカメラを置いて、スタッフや職人にカメラを意識させすぎないことだ。作り込まれた宣伝映像よりも、現場の自然な言葉や手の動きのほうが、見る人にも——そしておそらくAIにとっても——「本物の情報」として伝わりやすいというのが、私たちの現場感覚だ。美容室の撮影現場でも同じ考え方で臨んでおり、スタイリストと客の自然なやり取りをそのまま拾うことを意識している。AIとの向き合い方についてはAI動画生成ツールの現在地と人が撮る映像の価値|湘南の事業者向けでも詳しく取り上げている。

ゼロクリック時代に、動画を作る意味はどこにあるのか

1本の動画が複数のAIアシスタントに引用され枝分かれする様子を示すフラットイラスト

ここまでの数字だけを見ると、「クリックされないなら動画を作っても意味がないのでは」と感じるかもしれない。だが、博報堂DY ONEの調査が示すゼロクリックサーチの広がりは、逆に言えば「AIの回答の中で自社の名前や動画が紹介されるかどうか」の重要性が増しているということでもある。

AIの回答の中で自社の動画やサイトが引用元として名前を出されれば、その場でクリックされなくても、後日の指名検索や問い合わせにつながる可能性がある。湘南のように地域内の紹介や口コミが起きやすい商圏では、この「AIの回答の中に登場している」こと自体が、ちょっとした信頼の裏付けになり得る。動画とAI時代の関わり方についてはAI動画・SNS時代に「人が関わる」ことで価値が上がる理由でも論じているので、あわせて読んでほしい。

つまりAI検索の時代は、動画の意味がなくなる時代ではなく、「誰に何を見せて選ばれるか」の設計をやり直す時代だと私たちは捉えている。

よくある質問

Q. AI検索(AIO)対策として動画は必須か?

A. 必須ではないが、有利に働く。テキストだけのサイトより、動画とそれを説明する文字情報がセットになっているほうがAIに内容を理解されやすく、回答の引用元として選ばれやすくなる。

Q. ショート動画はAI検索に不利ということか?

A. 認知拡大やSNS上での接触機会づくりには引き続き有効だ。ただしOtterly.AIの調査ではAI引用の94%が長尺動画に集中しており、AIの「回答の根拠」としては長尺・説明的な動画のほうが選ばれやすい。両者は役割を分けて使うのがよい。

Q. 動画をAIに見つけてもらうために最低限やるべきことは?

A. 動画タイトルと概要欄に、その動画が答えている問いを具体的に書き、チャプター(タイムスタンプ)を区切ることだ。AIはまず文字情報から動画の中身を理解する。

Q. AI Overviewの表示率は今後も上がり続けるのか?

A. 少なくとも2026年前半までは急拡大が続いており、業種によっては表示率が8割を超える領域も出てきている。今後は精度重視の調整局面に入る可能性もあるが、AI検索が検索体験の一部として定着した流れ自体は変わらないと見てよい。

まとめ

日本のAI Overview表示率が半年足らずで2倍以上に拡大し、ビジネスシーンでのAI検索利用も3倍近くに増えている以上、動画コンテンツの見つけられ方が変わりつつあるのは間違いない。

そのなかでAIが実際に引用しているのは、瞬発力のあるショート動画よりも、ひとつの問いにきちんと答えきる長尺動画だ。タイトル・概要欄・チャプターといった文字情報を整え、動画の中身をAIが読み取れる形にしておくことが、これからの動画運用の土台になる。

まずは自社の動画のタイトルと概要欄が、来訪者だけでなくAIにも「何を答えている動画か」が伝わる書き方になっているかを、一度見直すことをすすめる。どこから手をつければいいか迷ったときは、私たちのような制作者に一度相談してみてほしい。

展示会・商談で効く会社紹介動画の作り方|湘南の中小企業ガイド

展示会に向けて会社紹介動画を確認する食品メーカーの担当者と制作者

展示会に出展したものの、名刺は集まるのに商談につながらない――そう漏らす湘南エリアの経営者と話す機会が、ここ最近増えている。

結論から言えば、展示会や商談の場で会社紹介動画を使う企業は着実に増えており、動画活用で得られる効果として最も多く挙げられているのは「展示会・イベントでの集客数の増加」だ。動画は今、ブースの装飾品ではなく、商談化率そのものに関わる実務ツールになりつつある。

この記事では、展示会・商談の現場で実際に効く会社紹介動画をどう作るか、一次データと制作者としての現場感覚の両方から解説する。

  • 結論:動画活用に効果ありと答えた企業は60.6%、効果の中身で最多は「展示会・イベントでの集客数増加」
  • ブース用の動画と商談テーブルで見せる動画は、尺も役割も分けて作るのが基本
  • 動画をきっかけに得た名刺情報の活用まで設計しないと、商談化率は伸びない

なぜ今、展示会・商談に会社紹介動画が効くのか

アルファノート株式会社が2026年6月9日〜10日に実施した「BtoB企業における動画マーケティングの実態調査」(動画マーケティングを実施しているBtoB企業の担当者500名が対象)によると、動画活用で「期待以上の効果があった」「ある程度の効果があった」と回答した企業は合わせて60.6%にのぼる。そのなかで最も多く挙げられた効果が、35.0%が回答した「展示会・イベントでの集客数の増加」だった。

同じ調査では、来期以降に「商談時の会社・サービス紹介動画」を制作予定と回答した企業も15.2%あり、ブース集客だけでなく商談の場そのものに動画を持ち込む動きが広がっていることがうかがえる。

来場者は限られた時間で多くのブースを回る。文字と写真だけのパネルの前で足を止めてもらうより、動いている画面のほうが「自分に関係がありそうか」を一瞬で判断させやすい――これは私たちが現場で撮影してきた実感とも一致する。

「ブース用」と「商談テーブル用」は分けて作る

1本の会社紹介動画がブース用と商談用に枝分かれする様子を示す図解

展示会で使う動画は、実は1本で全部を賄おうとすると中途半端になりやすい。私たちが制作するときは、通行人の足を止める「ブース入口用」と、着席した相手に信頼を積み上げる「商談テーブル用」を、最初から別物として設計する。

ブース入口用は、音声なしでも伝わる字幕付きの短尺ループが基本だ。会場は周囲の音が大きく、来場者はイヤホンをしていないことが多いため、映像だけで内容が伝わる作りにする必要がある。一方、商談テーブル用は名刺交換のあと椅子に座って見せる動画なので、代表者のインタビューや製造工程など、じっくり見てもらえる内容に踏み込める。

以下に、用途別の尺と使いどころを整理する。

種類 尺の目安 使いどころ
ブース入口ループ映像 15〜30秒 通行中の来場者の足を止める。字幕付き・無音再生前提
商談テーブル用会社紹介動画 2〜4分 代表者インタビュー・実績・製造工程で信頼を積み上げる
追客用ダイジェスト動画 1分前後 名刺交換後のお礼メールに添付し、記憶を呼び戻す

表の3種類を全部そろえる必要はないが、少なくともブース用と商談用の2本立てにするだけで、動画1本を無理に使い回すより手応えが変わってくる。この考え方は、商品・サービス紹介動画とは?売上につながる作り方を解説で扱った「見る人の状況に合わせて動画の役割を分ける」発想と共通する。

動画をきっかけにした商談を逃さない――名刺・追客とのセット設計

名刺交換から動画による追客までの流れを示す図解

動画を用意しただけでは、商談化率は上がらない。株式会社ハンモックが2022年12月13日〜14日に実施した「展示会出展の課題に関する実態調査」(展示会出展経験のある営業・マーケティング担当者301名が対象、2022年12月26日発表)では、展示会で接点を得た顧客との商談化率について「20%以下」と回答した企業が52.5%を占めた。

同調査では、名刺情報を「あまり活用できていない」「全く活用できていない」と答えた企業がおよそ4割にのぼる一方、デジタルツールで名刺情報を管理・活用している企業は8割以上が平均商談化率10%以上を達成していた。つまり、ブースでどれだけ良い動画を見せても、そのあとの名刺管理と追客の設計が伴わなければ、動画の効果は商談の手前で止まってしまう。

私たちがすすめているのは、商談テーブルで見せた動画をそのままお礼メールに添付し直す方法だ。展示会場での記憶は数日で薄れるが、動画を再送するだけで「あのブースの人だ」と思い出してもらいやすくなる。湘南のように地域内での紹介や再会が起きやすい商圏では、この一手間が次の商談につながることも少なくない。

展示会で効く会社紹介動画、撮影・準備の実務ポイント

食品加工の検品ラインを撮影するビデオグラファー

展示会用の会社紹介動画で見せるべきなのは、パンフレットには載らない「現場の空気」だ。食品加工業であれば検品ラインの手元、雑貨や染物のような伝統工芸に近い業種であれば職人の指先――カタログ写真では伝わらない部分こそ、動画で見せる価値がある。

カメラを意識させないことが自然な表情につながる

私たちが撮影で常に意識しているのは、カメラの存在をできるだけ消すことだ。目立たない場所にカメラを置き、スタッフや職人にカメラを意識させすぎないようにすると、普段どおりの自然な表情や手の動きが映る。展示会用の動画は「作り込まれた宣伝」よりも、この自然体の説得力のほうが来場者の信頼を得やすいというのが、私たちの現場感覚だ。

工場や作業場の現場風景をしっかり見せる作り方については、工場見学動画が営業を変える|平塚・湘南の製造業BtoB戦略でも詳しく触れているので、あわせて参考にしてほしい。

撮影を計画するときは、次の順で決めていくとブレにくい。

  1. 展示会の出展目的(新規リード獲得か既存客へのアピールか)を言語化する
  2. ブース用・商談用のどちらを先に作るか優先順位を決める
  3. 現場の「見せたい瞬間」を1〜2シーン選ぶ(検品・仕込み・接客など)
  4. 撮影後、追客メール用の短尺ダイジェストも同じ素材から切り出す

よくある質問

Q. 展示会用の会社紹介動画は何分くらいが適切か?

A. ブース前で足を止めてもらう入口用は15〜30秒、商談テーブルで見せる動画は2〜4分が目安だ。長尺のドキュメンタリー的な映像は、商談後の個別送付用として別に用意するのが現実的だ。

Q. 動画があれば商談化率は上がるのか?

A. 動画単体で商談化率が上がるわけではない。ハンモックの調査では商談化率20%以下と回答した企業が過半数を占めており、動画は名刺情報の管理・追客の仕組みとセットで設計して初めて効果が出る。

Q. 展示会用の動画は内製と外注どちらで作るべきか?

A. ブース内ループのような編集主体の動画は内製でも対応しやすいが、商談テーブルで信頼を積み上げる会社紹介動画は代表者インタビューや現場撮影を含むため、外注も含めて検討したい。判断基準は動画制作は内製と外注どちらが得か|平塚の中小企業向け費用比較で整理しているので参考にしてほしい。

Q. 展示会シーズンの直前でも間に合うか?

A. ブース入口用の短尺ループであれば、既存の撮影素材や写真から2〜3週間程度で用意できることが多い。商談テーブル用のインタビュー撮影を含める場合は、出展日から逆算して1か月以上の余裕を持って相談することをすすめる。

まとめ

動画活用に効果ありと答えた企業が6割を超え、なかでも展示会・イベントの集客数増加が効果の筆頭に挙がっている以上、展示会に会社紹介動画を持ち込むこと自体はもう特別な工夫ではなくなりつつある。

一方で、商談化率の過半数が20%以下にとどまっているというデータが示すとおり、動画は名刺管理や追客とセットで設計して初めて力を発揮する。ブース用・商談用・追客用と役割を分けて考えるだけで、同じ撮影素材でも使い道は大きく広がる。

まずは次の出展で「何を見せたら来場者の足が止まるか」「商談テーブルで何を見せたら信頼してもらえるか」を、社内で言葉にしてみることをすすめる。どのシーンを撮ればいいか迷ったときは、私たちのような制作者に一度相談してみてほしい。

Googleマップ(MEO)×動画で地域集客を強くする|湘南版

湘南の商店街で地図アプリを確認する人物の手元とスマートフォン

「Googleマップで検索されて、お店の候補には出てきているはずなのに、来店にはなかなかつながらない」——湘南エリアの店舗のオーナーと話していると、この悩みを聞く機会が増えている。

結論から言えば、Googleマップでの集客(MEO対策)は、いま「地図に表示される」段階から「地図の中で選ばれる」段階に移りつつあり、その決め手のひとつが動画だ。写真だけを並べたプロフィールと、動画を1本でも置いたプロフィールとでは、検索した瞬間に伝わる情報量がまるで違う。

この記事では、動画がいまマーケティング全体でどれほど主役になっているかを一次データで押さえたうえで、Googleビジネスプロフィール(GBP)での具体的な動画の使い方、業種別の実践例、無理なく続けるための導入ステップまでを、制作者の視点で解説する。

  • 結論:MEO対策は「地図に出る」から「地図で選ばれる」段階に入っている
  • 2025年の動画広告費は初めて1兆円を突破し、SNS経由の購入でも動画広告が2年連続で最多の転換率を記録している
  • Googleビジネスプロフィールへの動画投稿はまだ実践する店舗が少なく、差別化の余地が大きい

なぜ今、MEO対策に動画が効くのか——市場全体で動画が主役になっている

電通デジタル・CARTA HOLDINGS・電通・セプテーニの4社が2026年3月5日に発表した「2025年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」によれば、2025年の動画広告費は前年比21.8%増の1兆275億円となり、推定開始以降で初めて1兆円を突破、構成比も30%を超えた。動画はもはや「見てもらえたら儲けもの」の広告手法ではなく、消費者が最初から見る前提で接触するメディアになっている。

この流れは購買行動にもはっきり表れている。株式会社PRIZMAが2025年5月15日〜16日に621名(Z世代・Y世代・X世代各約200名、SNS広告での購入経験者が対象)に実施した調査では、「SNS広告経由で商品を購入する場合、どの広告形式からの購入が多いか」という設問で「動画広告」が52.5%と最多となり、2年連続でトップだった。テキストや静止画の広告よりも、動きと音のある情報のほうが購買の最後のひと押しになりやすい傾向が定着していると見ていい。

Googleマップで店を探す行為も、検索の一種であることに変わりはない。地図アプリの検索結果に並んだ瞬間、動画があるかどうかで与える印象が変わるのは自然な流れであり、この「動画が主役」という消費者行動の変化は、GBPのプロフィールにもそのまま当てはまると私たちは考えている。

Googleビジネスプロフィールで動画をどう使うか——投稿の実務

地図ピンと動画再生ボタンを組み合わせたMEO対策のフラットイラスト

GBPには写真とは別に動画を直接アップロードする機能があり、複数本を並べて投稿できる。実務としては、30秒前後に収めた短い動画を複数本用意し、随時差し替えながら投稿していくのが現実的だ。

矢野経済研究所が2025年9月16日に発表した調査によれば、国内MEO市場の規模は2024年度に108億円(前年度比121.1%)、2025年度は127億円(同118.0%)に達する見込みで、2028年度には196億円規模まで拡大すると予測されている。中小企業や個人店舗での導入拡大が成長要因の一つに挙げられており、GBPを「やって当たり前」にする店舗が増えるほど、写真だけのプロフィールとの差はつきにくくなる。だからこそ、動画という一手間をかけられるかどうかが選ばれる理由になる。

写真だけのプロフィールとの違い

写真は静止した一瞬しか伝えられないが、動画は店内の空気感やスタッフの動き、接客の間合いまでそのまま伝わる。検索結果の一覧でサムネイルが動いて見えるだけでも目を引きやすく、プロフィールに滞在する時間が延びれば、来店や電話問い合わせにつながる可能性も高まる。

以下に、GBPで使いやすい動画の種類と目安を整理する。

動画の種類 尺の目安 GBPでの使い道
店内・外観紹介 15〜30秒 初めて来店する人の不安を減らす基本コンテンツ
商品・メニュー紹介 15〜30秒 実際に選ばれている理由を見せる
スタッフ・店主紹介 20〜30秒 「誰がやっているか」を伝え信頼をつくる

業種別に見る、動画が効くMEO活用の場面

湘南の飲食店の厨房で自然な様子を撮影するカメラ

飲食店であれば、厨房で仕込みをする手元や、常連客とのやり取りの一瞬をそのまま切り取るだけで、地図で他の店と並んだときに「この店は本当にやっている」という説得力が生まれる。小売店でも、店主が商品を選ぶ理由を自分の言葉で語る姿は、テキストの説明文よりもずっと信頼を作りやすい。

私たちが現場で撮影するときにいつも意識しているのは「カメラの存在を消す」ことだ。目立たない場所にカメラを置き、スタッフや店主にカメラを意識させすぎない——この自然体の空気をそのまま拾うことが、地図で他の店と並んだときの説得力につながると、私たちの経験では感じている。

クリニックや治療院のような業種は医療広告規制との兼ね合いに注意が必要だが、院内の清潔感やスタッフの雰囲気を伝える程度であれば、MEO対策としても十分機能する範囲だと考えている。こうした地域密着型のSNS活用は、湘南・大磯のSNS集客術|地域ブランドで選ばれる中小企業になる方法や、大磯の店舗がInstagramで集客するには|保存される店になる方法でも取り上げているので、あわせて参考にしてほしい。

MEO動画を無理なく続けるための導入ステップ

検索から来店までの流れを示すフラットイラスト

動画というと身構えてしまう店主も多いが、実際に必要な工程はシンプルだ。以下の順で進めれば、特別な機材がなくても始められる。

  1. 自店がどんなキーワードでGoogleマップに検索されているかを確認する
  2. その検索意図に合う30秒以内の場面を1つ決める(店内風景・商品・スタッフのどれか)
  3. スマートフォンを手持ちかスマホ用ジンバルで固定して撮影する
  4. GBPに直接投稿し、3〜6か月を目安に少しずつ本数を増やしながら継続する

動画の活用先そのものをもっと広く知りたい場合は、作った動画、どこでどう使う?活用先マップ【完全版】も参考になる。

よくある質問

Q. Googleビジネスプロフィールの動画は何秒くらいが良いか?

A. 30秒前後で一つの場面に絞るのが基本だ。長尺の動画はYouTubeなど別の置き場所に置き、GBPにはそこから抜き出した短い一場面を使うとよい。

Q. 動画を投稿すれば検索順位は上がるのか?

A. 動画投稿そのものが順位を直接上げると公式に明言されているわけではないが、プロフィールの滞在時間やクリックといった間接的な指標の改善は期待できる。まずは「順位」より「選ばれるプロフィールになる」ことを目的にするのがすすめだ。

Q. 撮影のハードルが高く感じる場合はどうすればいいか?

A. スマートフォンの手持ち撮影で十分だ。最初の一本は、仕込みや接客といった普段どおりの一場面を1つ切り取るだけで構わない。

まとめ

動画広告費が初めて1兆円を突破し、SNS経由の購入でも動画広告が最も選ばれる形式になっている以上、この流れはGoogleマップの検索行動にも及んでいると見るべきだ。MEO市場自体が中小企業・個人店舗への広がりで伸びている今、GBPへの動画投稿はまだ実践する店舗が少なく、差別化の余地が大きい。

湘南のような顔の見える経済圏では、現場の自然な空気や店主の言葉こそが、他店との違いになる。まずは自社のGoogleマップ上のプロフィールに動画が1本もない状態かどうかを確認することをすすめる。

どの場面を撮ればいいか迷ったときは、私たちのような制作者に一度相談してみてほしい。無理のない範囲で、続けられる動画活用の形を一緒に考えていきたい。

AI動画生成ツールの現在地と人が撮る映像の価値|湘南の事業者向け

湘南の飲食店でミラーレスカメラを構えて撮影する制作者

「AIで動画が作れる時代なのに、わざわざ人を呼んで撮影する意味はあるのか」——湘南エリアの事業者と話していると、この半年でこの手の質問が急に増えた。Sora や Veo のような動画生成AIのニュースを見て、自社のPR動画や採用動画もAI任せにできないかと考えるのは自然な流れだろう。

結論から言えば、AI動画生成ツールは「量産」と「試作」の場面では強力な武器になる一方、会社の信頼を背負う映像では、人が撮った映像の価値がむしろ上がっている。この記事では、動画生成AIツールの現在地を一次情報とともに整理し、私たち制作者の視点から、湘南の事業者が人が撮る映像にどう向き合うべきかを解説する。

この記事では、話題になったSoraの終了劇、AI動画生成市場の成長データ、消費者の信頼調査という3つの一次情報から、AIと人、それぞれの映像が担うべき役割を明らかにする。

  • 結論:量産・試作はAI、信頼を背負う映像は人が撮るという役割分担が現実的
  • 話題のSoraはアプリ公開からわずか半年で終了が発表され、AIツールへの全面依存にはリスクがある
  • 消費者の8割超がAI動画を見抜いた経験を持ち、4割近くがブランド信頼の低下につながると回答している

AI動画生成ツールの「今」——Soraが半年で消えた現在地

2025年9月に登場したOpenAIの「Sora 2」は、公開5日足らずで100万ダウンロードを突破し、Androidのアプリストアで1位を記録するほどの話題を集めた。ところがOpenAIは2026年3月24日、公式X アカウント「@soraofficialapp」で「Sora appに別れを告げる」と投稿し、サービス終了を発表した。Web版・アプリ版は2026年4月26日に、Sora APIも同年9月24日に提供終了となることが公式に案内されている。

わずか半年での終了は、動画生成AIの世界がまだ実験段階にあることを示している。私たちのように日々撮影・編集の現場に立つ側から見ると、この一件は「便利なAIツールも、事業判断ひとつで明日には使えなくなり得る」という当たり前だが見落としがちな事実を改めて突きつけたと感じる。会社の顔になる動画をAIツール1つに全面依存させるのは、プラットフォームリスクをまるごと背負い込むことに等しい。

市場は伸びているのに、なぜ淘汰が起きるのか

Sora の終了は、市場全体が縮んでいるからではない。Grand View Research が2026年1月8日に発表した調査によれば、AI動画生成市場は2025年時点で7億8,850万米ドル、2033年には34億4,160万米ドルへ拡大し、2026年から2033年の年平均成長率(CAGR)は20.3%になると予測されている。市場としては明確な右肩上がりだ。

つまり起きているのは「市場の縮小」ではなく「プレイヤーの淘汰」だ。話題性のあるツールが次々に登場しては入れ替わる状況は、しばらく続くと見ておいたほうがいい。

消えていく動画生成AIツールと残り続けるカメラを象徴するフラットイラスト

湘南の事業者にとっての実務的な意味は明快で、話題のツールに一喜一憂して制作フローを作り込みすぎず、「AIはあくまで補助輪」という距離感を保つことが、結果的にコストと手戻りを減らす。

AIツールと人が撮る映像は、得意分野がはっきり分かれている。以下に整理する。

領域 AI動画生成の強み 人が撮る映像の強み
スピード・本数 台本があれば数分で複数パターンを量産できる 撮影・編集に日数がかかる
費用 1本あたりの限界費用が低い 撮影・編集の人件費がかかる
信頼・説得力 作り物と見抜かれやすい 実在の人・現場が映ることで裏付けになる
地域性・固有性 学習データにない現場の空気は再現しにくい 湘南の海辺・店構え・スタッフの表情がそのまま資産になる

この使い分けの発想は、テレビ→YouTube→ショート動画、映像の主戦場はどう移ったか【制作者視点】で解説した「主戦場は変わっても、伝える力の本質は変わらない」という論点ともつながる。

消費者は、AIが作った映像を見抜いている——Animoto調査が示す数字

動画マーケティング企業Animotoが2026年1月22日に発表した「State of Video 2026」調査(米国の消費者・マーケター450名以上を対象)によると、消費者の約83%が「AI生成だと思われる動画を見た」経験を持つと回答している。見抜いた根拠として多かったのは次の3つだ。

  • ロボット的なジェスチャー(67%)
  • 不自然な声(55%)
  • 感情表現の乏しさ(51%)

AI生成動画かどうかを見極める消費者を表すフラットイラスト

さらに深刻なのは、AI生成だと見抜いたときの反応だ。36%の消費者が「AI生成動画だとブランドへの信頼が下がる」と回答した一方、人が作った映像と同等に信頼すると答えたのは33%程度にとどまる。つまり現時点では、AIだと見抜かれることは半分以上の確率でブランドにとってマイナスに働く可能性がある、と読むべき数字だ。

湘南のような「顔の見える経済圏」で商売をする事業者にとって、この数字は軽視できない。大手の全国ブランドと違い、地域の店や会社は「この人が、この場所でやっている」という信頼そのものが売上に直結する。AI生成と見抜かれるリスクを冒してまで安易に動画をAIに任せるのは、地域ビジネスの土台である信頼を自ら削ることになりかねない。


湘南の店・企業が「人が撮る映像」に投資する意味

湘南の小売店で撮影されるカメラと店主の様子

私たちが平塚・大磯エリアで撮影に入るとき、いつも意識しているのは「カメラの存在を消す」ことだ。飲食店の厨房でも小売店の店先でも、スタッフや店主がカメラを意識しすぎると表情が硬くなり、かえって「作られた感」が出てしまう。目立たない場所にカメラを構え、自然体の動きをそのまま拾う——これは私たちが現場で積み重ねてきた撮影の勘所であり、台本通りに生成されるAI映像には再現しにくい部分だと感じている。

例えば湘南エリアの飲食店であれば、厨房で仕込みをする手元や、常連客とのやり取りの一瞬をそのまま切り取るだけで、地域に根ざした店だという説得力が生まれる。小売店でも、店主が商品を選ぶ理由を自分の言葉で語る姿は、AIが生成する「それらしい」ナレーションでは代替しにくい。こうした固有の現場は、湘南という地域でしか撮れない資産だと言っていい。

もちろんAIを全否定する必要はない。SNS向けの下書き動画やアイデア出し、量産が必要なバリエーション作りには積極的に使ってよい。ただし、会社紹介動画や採用動画のように「信頼」そのものが問われる場面では、人が撮った映像を軸に据えることをすすめる。この考え方をさらに深掘りしたい人は、AI動画・SNS時代に「人が関わる価値」で価値が上がる理由も参考にしてほしい。ショート動画の運用トレンドと組み合わせたい場合は、2026年のショート動画トレンド|湘南の事業者が押さえる3つの変化も合わせて読んでおくと判断がしやすくなる。

よくある質問

Q. AI動画生成ツールはもう使えないのか?

A. 使えないわけではない。SNS用の下書きやアイデア出し、量産が必要な素材づくりには十分実用的だ。ただし会社紹介動画や採用動画のように信頼が問われる場面では、人が撮った映像を軸にすることをすすめる。

Q. Soraのようなサービスが終了すると、作った動画データはどうなるのか?

A. サービス終了時には一定のデータ保存・書き出し期間が設けられるのが一般的で、Soraも終了までの猶予期間が案内された。ただしプラットフォーム依存で作った動画は、サービス終了と同時に使えなくなるリスクを常に抱えている点は覚えておきたい。

Q. 消費者はAI動画をどうやって見分けているのか?

A. Animotoの調査では、ロボット的なジェスチャー(67%)、不自然な声(55%)、感情表現の乏しさ(51%)が主な手がかりとして挙げられている。

Q. 湘南の小さな会社でもAIと人の映像を使い分けるべきか?

A. そのとおりだ。小規模事業者ほど「顔が見える」ことが差別化になるため、量産が必要な場面はAI、信頼を勝ち取る場面は人が撮る、という使い分けが現実的だ。

まとめ

動画生成AIの市場は伸びているが、Soraの終了劇が示すように個々のツールの寿命は読みにくい。消費者の8割超がAI動画を見抜いた経験を持ち、見抜かれれば4割近くがブランド信頼を下げると回答している以上、信頼を背負う映像を丸ごとAIに任せるのはまだリスクが大きい。

湘南のような顔の見える経済圏では、現場の自然な表情や店主の言葉といった、AIには再現しにくい要素そのものが差別化になる。まずは自社のどの動画が「量産でよいもの」で、どの動画が「信頼を背負うもの」なのかを言語化することをすすめる。

その線引きに迷ったときは、私たちのような制作者に一度相談してみてほしい。AIと人、それぞれの強みを踏まえた上で、無理のない役割分担を一緒に考えていきたい。

動画制作の発注前に確認したい7つのチェックリスト|湘南版

湘南の店舗で動画制作の契約書を確認する事業者と制作者

「動画を作りたいが、何を発注先と決めておけばいいのか分からない」——平塚・大磯エリアで初めて動画制作を検討する事業者から、こうした相談をよく受ける。飲食店のメニュー紹介でも、クリニックの院内紹介でも、雑貨店の商品動画でも、初めての発注では確認すべき項目が見えづらいものだ。

結論から言えば、動画制作のトラブルの多くは「契約前に確認していなかったこと」が原因で起きる。著作権が誰のものか、修正は何回までか、支払い条件はどうなっているか——これらは制作が始まってから揉めると、修復に時間もコストもかかる。

この記事では、動画制作を発注する前に確認しておきたいポイントを、著作権・契約・支払いという実務面から、制作者の視点で整理する。

  • 結論:動画制作のトラブルの大半は「契約前に確認していなかったこと」が原因で起きる
  • 著作権は発注すれば自動的に発注者のものになるとは限らない。利用範囲は契約で明記する必要がある
  • 発注先が個人か法人かによって、フリーランス新法・取適法という異なるルールが関わってくる

なぜ「発注前」の確認が重要なのか

動画制作は、Webサイト制作や印刷物の発注と違って、完成イメージを言葉だけで正確にすり合わせるのが難しい。「思っていたのと違う」「もっと修正できると思っていた」といった認識のズレは、契約書に何が書かれているか、あるいは何が書かれていないかによって、トラブルになるかどうかが決まる。

私たちが現場で相談を受ける中でも、揉める案件のほとんどは金額や技術の問題ではなく、「誰が何をどこまで確認すべきだったか」が事前に共有されていなかったケースだ。発注前の確認は、制作会社を疑うためのものではなく、双方が同じ前提で仕事を進めるための土台づくりだと捉えてほしい。

具体的に何を確認すべきかは、大きく分けて「著作権・利用範囲」「発注書・支払い条件」「修正回数やスケジュールなどの運用面」の3つに整理できる。次の章から順に見ていく。

著作権は誰のものか——利用範囲を契約で明記する

契約書と著作権の確認をイメージした図解

「お金を払って作ってもらったのだから、著作権も当然こちらのものだろう」と考える発注者は少なくないが、これは誤解であることが多い。文化庁が公開している著作権契約書作成支援システムの映像制作向けひな形では、制作者が著作者かつ映画製作者として著作権を保有することが前提になっている。つまり、契約で明記しない限り、著作権は発注者に自動的には移らない。

発注者が納品後の動画をCMや広告、Webサイトなど幅広い用途で自由に使いたい場合は、契約書に著作権の譲渡または利用許諾の範囲を具体的に書き込む必要がある。逆に、単価を抑えて依頼する代わりに、制作会社側にも実績として使う権利を残すという考え方もあり、これは料金と権利範囲のバランスで決めるものだ。

もうひとつ見落とされやすいのが、同一性保持権だ。同ひな形では「変更、切除その他の改変を施す場合は、事前に著作者の承諾を得るものとします」とされている。つまり納品後に発注者側で勝手にテロップを差し替えたり、カットを入れ替えたりすることは、本来は制作者の承諾が前提になる。編集の自由度をどこまで持ちたいかも、発注前に話し合っておいたほうがいい論点だ。

発注書は書面で残っているか——フリーランス新法(2024年11月施行)

動画制作は、個人のフリーランスに依頼するケースも多い。撮影・編集を一人で請け負うクリエイターに、飲食店や雑貨店が直接発注するような場面だ。この場合に関わってくるのが、2024年11月1日に施行された「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(通称フリーランス新法)だ。公正取引委員会の特設サイトによれば、この法律は発注事業者に対し、業務内容や報酬額、支払期日などの取引条件を書面またはメール・SNSのメッセージ等の電磁的方法で明示する義務を課している。

さらに、報酬の支払期日は物品等を受け取った日から60日以内のできる限り短い期間内に定め、その期日までに支払うことが義務づけられている。1か月以上にわたる委託の場合は、受領拒否や報酬の減額、買いたたきといった7つの行為が禁止行為として明示された。「知り合いのフリーランスに口頭で頼んだ」という進め方は、発注側にとって法律上のリスクになり得るということだ。

湘南エリアの個人店・小規模事業者にとって、フリーランスのクリエイターへの直接発注は身近な選択肢のはずだ。だからこそ、金額や納期だけでなく、取引条件を書面で残す習慣を発注側からつけておくことをすすめる。

発注先が制作会社でも——2026年施行の取適法(旧・下請法)

発注先が個人ではなく制作会社であっても、無関係とは言い切れない。公正取引委員会・中小企業庁が公開した令和7年11月付のテキストによれば、2026年1月1日から「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」は「中小受託取引適正化法(取適法)」へと改正・施行されている。動画のような映像制作は、この法律が定める「情報成果物作成委託」という類型に該当する。

適用の可否は、委託事業者(発注側)と受託事業者(制作側)がそれぞれ資本金基準または従業員基準を満たすかで決まる。情報成果物作成委託の場合、資本金基準は「5,000万円超/1,000万円以下」の関係性が目安になるとされている。湘南エリアの中堅企業が、より小規模な制作会社やフリーランス法人に発注する場合、この基準に当てはまる可能性は十分にある。

対象になれば、発注書面の交付や支払期日60日以内といった義務が発注側に生じる。制作会社と継続的に取引する予定がある事業者は、自社の規模が取適法の対象になり得るかどうかを、一度確認しておいて損はない。

修正回数・演出トーン・スケジュールもすり合わせておく

撮影から納品までの制作スケジュールをイメージした図解

法律や契約書の話に加えて、現場レベルのすり合わせも欠かせない。特にトラブルになりやすいのが修正回数だ。「気に入るまで直してもらえる」と発注者が思い込んでいるケースは珍しくなく、無制限の修正を前提にすると、制作側の採算が合わなくなるか、納期が延び続けるかのどちらかになる。何回まで無償で、それ以降は有償なのかを、発注前に数字で決めておいたほうがいい。

演出のトーンも、事前に言葉で共有しておく価値がある論点だ。私たちの現場感覚で言えば、発信で大事なのは伝えたいことをできるだけ自然体で伝えることだと考えている。撮影チームが目立たない位置にカメラを置き、被写体に「カメラを意識させない自然体」を意識して撮る、という方針を取ることもある。一方で、演出を強めに効かせた見せ方を求める発注者もいる。どちらが正解というわけではなく、発注前に「どちらの方向性を求めているか」を言葉にしておくと、納品後の「イメージと違う」を防ぎやすい。

スケジュールについても、公開日や展示会・商談の日程から逆算して、撮影・編集・確認・修正にどれだけの期間を見込むかを共有しておく必要がある。特に確認・修正の往復には想定より時間がかかることが多く、余裕を持たせておくことをすすめる。

ここまでの内容を、発注前に確認したいチェックリストとして整理すると次のようになる。

  1. 動画を使う目的と、誰に何を伝えたいかが言語化できているか
  2. 著作権(利用許諾か譲渡か)と利用範囲がどこまでか、契約書に明記されているか
  3. 納品後の改変(テロップ差し替えなど)を発注者側で行ってよいか
  4. 発注条件(業務内容・報酬額・支払期日)が書面またはメール等の形で残っているか
  5. 支払期日が受領日から60日以内など、合理的な範囲で設定されているか
  6. 修正回数の上限と、それを超えた場合の追加費用の扱いが決まっているか
  7. 公開日から逆算した撮影・編集・確認のスケジュールに無理がないか

動画制作そのものの費用感をまだ把握できていない場合は、先に「動画制作の費用相場【完全ガイド】」で種類別・尺別の相場を確認しておくと、この記事のチェックリストと照らし合わせやすい。内製と外注のどちらを選ぶべきか迷っている場合は「動画制作は内製と外注どちらが得か?判断基準と費用比較」も参考になるはずだ。完成した動画をどこで使うかまだ固まっていない人は「作った動画、どこでどう使う?活用先マップ【完全版】」も併せて見ておいてほしい。

よくある質問

Q. 動画制作を個人のフリーランスに頼む場合、契約書は必須か?

A. 契約書という形式である必要はないが、2024年11月施行のフリーランス新法により、発注側には業務内容・報酬額・支払期日などの取引条件を書面またはメール等で明示する義務がある。口頭のみでの発注は避けたほうがよい。

Q. 著作権は発注すれば自動的に発注者のものになるか?

A. ならないことが多い。文化庁のひな形でも制作者が著作権を持つ前提になっており、発注者が幅広く自由利用したい場合は、契約書に譲渡または利用許諾の範囲を明記する必要がある。

Q. 修正は何回でもお願いできるか?

A. 契約内容次第だが、無制限を前提にするとトラブルの原因になりやすい。無償修正の回数と、超過分の追加費用の扱いを事前に決めておくことをすすめる。

Q. 発注先が制作会社(法人)なら気にしなくてよいか?

A. そうとは言い切れない。2026年1月施行の取適法は、映像制作のような情報成果物作成委託も対象にしており、双方の資本金・従業員規模によっては発注側に書面交付や支払期日の義務が生じる。

まとめ

動画制作のトラブルは、技術力よりも「発注前に確認していなかったこと」から生まれることが多い。著作権と利用範囲、発注条件の書面化、修正回数やスケジュールといった項目は、どれも制作が始まる前なら数分の会話で決められることばかりだ。

湘南で初めて動画制作を発注する事業者にとって大事なのは、完成した動画の出来栄えだけでなく、発注前にどれだけ言葉にして共有できたかだ。まずは今回のチェックリストを手元に置きながら、何を確認できていて何が抜けているかを整理することをすすめる。

著作権や契約条件の細かい判断に迷う場合は、私たちのような制作者や、必要に応じて専門家に一度相談してみてほしい。発注前の確認は、時間をかけるほど後のトラブルを減らせる投資だと考えている。

動画制作に補助金は使えるか|湘南の中小企業向け早見表

湘南の明るいオフィスで動画制作の提案書と補助金資料を確認する事業者と制作者

「動画を作りたいのはやまやまだが、予算が厳しい。補助金でなんとかならないか」——平塚・大磯エリアの事業者から相談を受けるとき、この質問はかなりの頻度で出てくる。SNS用のショート動画でも、会社紹介動画でも、外注すれば数十万円単位の費用がかかるだけに、気持ちはよくわかる。

結論から言えば、「動画制作」そのものをうたった専用の補助金は存在しない。だが、いくつかの既存の補助金制度には、条件付きで動画制作費を組み込める経費区分がある。逆に言えば、制度の対象経費区分を正しく理解せずに申請すると、動画制作費だけを理由に不採択・減額になることもある。

この記事では、動画制作費が組み込める代表的な補助金制度を、対象になる条件・上限額・注意点とあわせて、制作者の視点から整理する。

  • 結論:「動画制作補助金」という単独の制度は無い。既存制度の経費区分に組み込めるかどうかで判断する
  • 最も現実的なのは小規模事業者持続化補助金の「ウェブサイト関連費」区分。ただし上限があり単独申請は不可
  • デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)やものづくり補助金は、国内向けの動画外注費には原則使えない

動画制作向けの補助金は存在するか——結論と全体像

まず前提を整理しておきたい。国や自治体が「動画制作」という支出そのものを名指しで補助する制度は、調べた範囲では見当たらない。存在するのは、販路開拓や生産性向上、デジタル化といった別の目的を持つ補助金の中に、「広報費」「ウェブサイト関連費」といった経費区分があり、その枠の中に動画制作費を計上できるケースがある、という構造だ。

代表的な3つの制度について、動画制作費の位置づけと上限を以下に整理する。

制度名 動画制作費の位置づけ 経費区分の上限 補助率
小規模事業者持続化補助金
<一般型・通常枠>
「ウェブサイト関連費」として計上可(単独申請は不可) 交付申請額の1/4以内・上限50万円 2/3(赤字事業者は3/4)
デジタル化・AI導入補助金2026
(旧IT導入補助金)
動画の外注制作費は対象外。事務局に登録されたITツール(ソフト・サービス)の導入費が対象 枠・ツールにより異なる 枠・ツールにより異なる
ものづくり補助金
(グローバル枠)
海外販路開拓向けのPR動画に限り「広告宣伝・販売促進費」として計上可(国内向けは対象外) 最新の公募要領で要確認 枠により異なる

表からわかる通り、動画制作費を最も組み込みやすいのは小規模事業者持続化補助金だ。次の章で、この制度の条件を具体的に見ていく。

小規模事業者持続化補助金——動画は「ウェブサイト関連費」で申請する

補助金の対象経費の内訳を積み木で表した図解

小規模事業者持続化補助金は、商業・サービス業なら従業員5人以下、製造業その他・宿泊娯楽業なら20人以下の小規模事業者を対象にした、販路開拓の取り組みを支援する制度だ。中小企業庁が2026年5月に公開した<一般型・通常枠>第20回の公募要領によれば、補助上限は50万円、補助率は2/3(赤字事業者は3/4)で、インボイス特例や賃金引上げ特例を併用すると上限は最大250万円まで引き上がる。

動画制作費はこの制度の中で、単独の経費区分ではなく「ウェブサイト関連費」に計上する形になる。小規模事業者持続化補助金事務局が公開している経費区分の説明では、ウェブサイト関連費は交付申請額の1/4以内、かつ上限50万円までと定められている。つまり通常枠の上限50万円だけで申請する場合、動画制作費として使える実質的な上限は12万5000円程度にとどまる計算になる。特例を併用して申請額を引き上げれば、その分ウェブサイト関連費の上限も上がる仕組みだ。

さらに重要な制約がある。事務局の案内では「ウェブサイト関連費のみによる申請はできない」「経費がウェブサイト関連費のみになった場合は不採択となる」と明記されている。つまり動画制作費だけを目的に申請することはできず、機械装置等費や広報費など他の経費区分と組み合わせて、販路開拓の取り組み全体として申請する必要がある。私たちの現場感覚で言えば、この「単独では通らない」というルールを知らずに動画予算だけを補助金でまかなおうとして計画が狂うケースは、決して珍しくないはずだ。

デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)は動画の外注費に使えない

「IT導入補助金なら動画も対象になるのでは」という相談も多いが、これは誤解であることが多い。同制度は2026年度に「デジタル化・AI導入補助金2026」へと名称・制度設計が変わっており、補助の対象になるのは事務局に事前登録された特定のITツール(ソフトウェア・サービス等)の導入費用、およびクラウドサービス利用料や導入サポート費用に限られる。

つまり補助されるのは「デジタル化・業務効率化に資するツールを導入する費用」であって、動画の撮影・編集を制作会社に依頼する外注費そのものは、この制度の対象にはならない。動画編集ソフトのような特定のソフトウェアが対象ツールとして登録されているかどうかは年度ごとに変わるため、使えるかを知りたい場合は公式のITツール検索データベースで個別に確認する必要がある。制作を外部に発注する湘南の事業者にとっては、この制度が動画制作費の直接の資金源になる場面は限定的だと考えたほうがいい。

ものづくり補助金は「海外向け」に限られる

申請前の確認手順をアイコンのフローで表した図解

ものづくり補助金は、新製品・新サービス開発や生産性向上のための設備投資を主対象にした制度で、機械装置費やシステム構築費、専門家経費などが中心になる。動画制作費が入り込む余地があるのは、海外市場開拓を目的とした「グローバル枠」に限られる。この枠では、海外販路開拓のためのPR動画やパンフレット制作費を「広告宣伝・販売促進費」として計上できるとされている。

逆に言えば、国内向けの会社紹介動画や採用動画、SNS用ショート動画といった、湘南の中小企業が実際によく相談してくる用途の多くは、この枠の対象外になる。海外展開を伴わない動画制作を、ものづくり補助金でまかなおうとするのは筋が悪い。補助率や経費ごとの上限は枠・年度の公募要領によって細かく定められているため、具体的な適用可否と金額は必ず最新の公募要領で確認してほしい。

動画制作そのものの費用相場については別記事「動画制作の費用相場【完全ガイド】」で種類別・尺別に整理しているので、まずは自己資金でどこまでの規模感が現実的かを確認しておくことをすすめる。内製と外注のどちらが得かで悩んでいる場合は「動画制作は内製と外注どちらが得か?判断基準と費用比較」も参考になるはずだ。

申請前に確認したい5つのポイント

補助金ありきで動画制作を計画すると、採択されなかった場合に計画そのものが崩れる。私たちが相談を受ける際にまず確認をすすめているのは、次の5点だ。

  1. 動画制作費が、狙っている制度のどの経費区分に該当するかを公募要領で確認する
  2. その経費区分が単独申請不可など、組み合わせの制約を持っていないか確認する
  3. 商工会議所・商工会や認定支援機関に、申請前に一度相談する
  4. 公募のスケジュール(受付期間・様式発行締切)を確認し、逆算で制作スケジュールを組む
  5. 補助金は原則後払いであることを踏まえ、自己資金で実施できる規模から計画する

特に最後の点は見落とされがちだ。補助金は採択・交付決定を経て、事業完了後の実績報告を経てはじめて支払われる後払いが原則になる。「補助金が出る前提」で動画制作会社と契約し、資金繰りに詰まる事業者を現場では何度か見てきた。自己資金での実施を前提にしたうえで、採択されれば負担が軽くなる、くらいの位置づけで考えるのが安全だ。

よくある質問

Q. 動画制作費だけで補助金を申請できるか?

A. できない。小規模事業者持続化補助金の場合、動画制作費を計上する「ウェブサイト関連費」は単独申請が認められておらず、他の経費区分と組み合わせて申請する必要がある。

Q. 個人事業主でも申請できるか?

A. できる。小規模事業者持続化補助金は法人に限らず、従業員数などの要件を満たす個人事業主の小規模事業者も対象にしている。

Q. 補助金が採択される前提で動画制作会社と契約してよいか?

A. 避けたほうがよい。補助金は原則後払いで、採択・交付決定が確定するまで支給されない。自己資金で実施できる規模を前提に契約し、補助金は結果として負担を軽くするものと考えるのが安全だ。

まとめ

「動画制作専用」の補助金は存在しないが、小規模事業者持続化補助金の「ウェブサイト関連費」のように、条件を満たせば動画制作費を組み込める経費区分は現実にある。ただし上限額も低く、単独では申請できないという制約も強い。

湘南の事業者にとって大事なのは、補助金ありきで動画の企画を組むのではなく、まず自社の動画で何を実現したいのかを言語化し、そのうえでどの制度のどの経費区分に当てはまるのかを確認する順番を守ることだ。

その言語化や経費区分の切り分けの段階からで構わないので、商工会議所・認定支援機関や、私たちのような制作者に一度相談してみることをすすめる。使える制度があるかどうかだけでも、早めに整理しておく価値はある。

建設業の採用難は動画で変えられるか|求人倍率7倍時代の打ち手

湘南の建設現場で採用動画を撮影する様子

「求人を出しても、現場系の応募がまったく来ない」——平塚・大磯エリアの建設会社の経営者と話していて、この悩みを聞かない月はない。求人サイトに載せても、折り込みチラシを増やしても、反応が薄いという声が続いている。

結論から言えば、採用動画は応募数そのものを保証する魔法の道具ではない。だが、「応募する前に会社と現場を正しく理解してもらう」という、採用活動でいちばん抜け落ちやすい工程を埋めることはできる。文字と写真だけの求人情報では伝わらない、現場の空気や人の表情は、動画でしか渡せない情報だからだ。

この記事では、建設業の採用難がどれほど深刻なのかを統計で確認したうえで、採用動画がなぜ効くのか、何を撮ればいいのか、費用感はどれくらいかを、湘南で撮影と編集の現場に立つ制作者の視点から解説する。

  • 建設躯体工事従事者の有効求人倍率は7倍台(2026年1月時点)で、全職業平均の6倍超の水準にある
  • 採用動画の役割は「応募数を増やす」こと以上に「ミスマッチを減らし、応募後の歩留まりを上げる」ことにある
  • 3Kイメージの払拭には、作り込んだイメージCMより現場をそのまま見せる密着型が向いている

建設業の採用難——数字で見る現在地

まず、建設業の人手不足がどの水準にあるのかを数字で押さえておきたい。厚生労働省の職業安定業務統計によると、建設躯体工事従事者の有効求人倍率は2026年1月時点で7.48倍に達している。全職業計の有効求人倍率が1.14倍であることを踏まえると、実に6倍超の開きがある水準だ。求職者1人に対して求人が7件以上ある計算で、選ぶのは会社ではなく求職者の側になっているということになる。

国土交通省が実施している「建設労働需給調査」(令和8年5月調査)でも、全国8職種の過不足率は1.2%の不足となり、前月・前年同月からさらに不足幅が拡大したと報告されている。景気の波はあっても、建設業の人手が構造的に足りない状態が続いていることが、複数の統計から裏付けられている格好だ。

この数字が意味するのは、求人票の見た目を多少整えたところで応募が急増するような状況ではない、ということだ。求職者に選ばれる側に回るためには、会社の中身そのものを、応募前の段階でどれだけ正確に伝えられるかが勝負になる。

なぜ動画が「採用の入り口」を変えるのか

建設業には長年、「きつい・汚い・危険」という3Kのイメージが根強く残っている。求人票の文章だけでこのイメージを覆すのは難しい。だが動画なら、実際の現場の安全対策、休憩時間の雰囲気、先輩と若手のやり取りといった、言葉にすると陳腐になりがちな情報を、そのままの温度で見せることができる。

動画制作会社moovyが公開している採用動画の事例集では、第一工業株式会社が採用動画を活用した結果、スカウトメールへの返信率が上昇し、内定承諾率も伸長したと報告されている。数字の規模は企業ごとに違うだろうが、「応募・内定という意思決定の手前で動画が背中を押した」という構図は、建設業に限らず共通する動きだと見ていい。

現場を知る私たちから見ると、採用動画で失敗しやすいのは、モデルのような若手を立てて綺麗に撮りすぎるケースだ。求職者は演出された映像を見抜く。私たちの撮影チームでは、常に目立たない場所にカメラを置き、「カメラを意識させない自然体」を意識して撮る——という経験則を持っているが、これは会社紹介動画だけでなく採用動画でも同じことが言える。作り込みすぎない現場の空気こそが、応募者の警戒心を解く。


効果が出やすい採用動画の型

建設業の人手不足を表す図解

建設業の採用動画には、いくつかの型がある。会社の規模や採用したい人物像によって、向き不向きが分かれる。以下に代表的な型を整理する。

型 内容 向いている会社
1日密着ドキュメンタリー型 朝礼から退勤までを追い、現場のリアルな1日を見せる 職場の雰囲気の良さを伝えたい会社
若手社員インタビュー型 入社2〜3年の若手に本音で語ってもらう 未経験者・若年層を採用したい会社
技術・こだわり紹介型 職人技や施工へのこだわりを見せる 専門性の高い即戦力人材を採用したい会社

表の中で特に反応が良いのは、若手社員インタビュー型だ。求職者と年齢の近い先輩が、入社前の不安と入社後の実感を自分の言葉で話す映像は、求人票のどんな文言よりも説得力を持つ。

制作の進め方——小さく始めて構わない

建設現場の若手社員にインタビューする様子

採用動画と聞くと大掛かりな撮影を想像しがちだが、最初から映画のような映像を目指す必要はない。むしろ建設業の採用動画は、以下のような手順で小さく始めるほうがうまくいくことが多い。

  1. 採用したい人物像のヒアリング(未経験者か、経験者か)
  2. 登場してもらう社員の選定と簡単な質問リストの用意
  3. 現場での撮影(半日〜1日が目安)
  4. 編集・テロップ入れ・求人媒体向けの尺調整

費用の相場については別記事「動画制作の費用相場【完全ガイド】」で種類別・尺別に整理しているので、予算感を確認したい場合はそちらも参照してほしい。採用動画そのものの目的や基本設計については「採用動画とは?応募が増える理由と費用・作り方」でも詳しく解説している。

なお、動画は採用サイトに載せるだけでなく、SNSでの発信と組み合わせることでさらに接触機会が増える。湘南エリアの工務店がSNSでどう選ばれる会社になっているかは「湘南の工務店がSNSで「選ばれる会社」になるには」にまとめている。

よくある質問

Q. 採用動画を作れば応募は本当に増えるか?

A. 動画単体で応募数の増加を保証するものではない。ただし、応募前に企業理解を深める効果は複数の事例で報告されており、応募後のミスマッチ・早期離職を減らす方向に働きやすい。

Q. 予算をかけられない小規模な会社でもできるか?

A. できる。若手社員インタビュー型であれば、スマートフォンと簡単な質問リストだけで撮影できる。作り込みすぎない自然な映像のほうが、求職者の信頼を得やすい。

Q. 何人くらいの会社から採用動画を検討すべきか?

A. 人数の目安は特にない。求人媒体だけで応募が集まりにくいと感じ始めた時点が、検討を始める適切なタイミングだ。

まとめ

建設躯体工事の有効求人倍率が7倍を超える今、求人票の文言を磨くだけでは応募は増えない。求職者が本当に知りたいのは、現場の空気と、そこで働く人の表情だ。

採用動画は、その情報を応募前の段階で渡すための手段にすぎない。大掛かりな企画書は要らない。まずは自社の何を見せれば求職者の不安が減るのかを、社内で言語化することから始めることをすすめる。

その言語化の段階からで構わないので、私たちのような制作者に一度相談してみるのも一つの手だ。何を撮るべきかの整理だけでも、次の一歩が見えてくるはずだ。

美容室のショート動画集客術|湘南・平塚で新規客を増やす

明るい美容室でスマホの縦動画を撮影する美容師

「インスタもTikTokも始めてみたが、フォロワーは増えても予約にはつながらない」——平塚や大磯で美容室・サロンを営むオーナーから、私たちがよく聞く悩みだ。ショート動画が集客に効くらしいとは聞くものの、何をどう撮れば新規のお客さまが来てくれるのか、手応えがつかめないままの店は少なくないはずだ。

結論から言えば、美容室のショート動画は「新しいお客さまに知ってもらう入口」としてよりも、「予約する前に、この人に、この店に会いに行きたいと思わせる場面」で効く。ここを取り違えて、ただバズを狙った動画を投稿し続けても、予約にはつながりにくい。

この記事では、美容業界の最新調査データで新規客のリアルな動きを確認したうえで、ショート動画が本当に効く場面と、湘南の小さなサロンが明日から撮れる具体的な中身を、制作者の視点から解説する。

  • 結論:ショート動画は「知る入口」より「予約前にこの人に会いたいと思わせる」場面で効く
  • 美容センサスでは20代女性がサロンを知るきっかけはSNS6.9%に対し予約・口コミサイトが39.5%と約6倍
  • 勝ち筋は凝った作品より「スタッフの人柄と店の空気を、自然体で見せる」こと

まず現実を見る——お客さまは本当に「SNSで美容室を知る」のか

意外に思われるかもしれないが、若い世代でも美容室を知るきっかけはSNSより予約・口コミサイトのほうがずっと太い。リクルートのホットペッパービューティーアカデミーが実施した「美容センサス2026年上期」によると、20代女性が通っている美容室を知ったきっかけは「予約・口コミサイト」が39.5%で最多だったのに対し、「SNS」は6.9%にとどまった。その差は約6倍だ。SNSと共に育ったはずの15〜19歳女性でも、予約・口コミサイト30.0%に対しSNSは9.4%だった(美容センサス2026年上期<美容室編>、リクルート調べ)。

この数字は、ショート動画に力を入れる意味がないという話ではない。同調査は、SNSが「ブランドイメージづくりや、日々の作品発信、スタイリストの人柄を伝える場としてかけがえのない存在」である一方、「知ってもらう入口としては、予約・口コミサイトのほうがずっと太い」と結論づけている。つまり、SNSとショート動画の役割は入口そのものではなく、その先にあるということだ。

ショート動画が本当に効くのは「予約直前の見極め」

では、ショート動画はどこで効くのか。答えは「見つけたあと、予約する前の見極め」の瞬間だ。予約サイトや検索で気になる店を見つけたお客さまは、決める前に必ずと言っていいほどInstagramやTikTokをのぞく。そこで店の空気やスタッフの雰囲気が伝われば「ここにしよう」となり、何も出てこなければ候補から静かに外れる。総務省の令和7年通信利用動向調査でも、インターネット利用目的のうち「SNSの利用」は82.3%と最も高い(総務省、2025年)。お客さまは、予約ボタンを押す前に必ずそこにいる。

この見極めの場面で効くのは、凝った作品動画ではない。スタッフがどんな人か、店がどんな空気かが、飾らずに伝わる映像だ。動画そのものの市場も追い風にある。サイバーエージェントとデジタルインファクトの調査では、2025年の国内動画広告市場は8,855億円で前年比122%成長、2029年には約2倍の1兆6,336億円に達すると予測されている(サイバーエージェント・デジタルインファクト調べ、2025年)。動画で情報を得て意思決定する習慣は、美容室選びでも完全に定着している。

「作品」より「人柄」——自然体をどう撮るか

私たちが撮影の現場で最も大切にしているのは、伝えたいことをできるだけ自然体で伝えることだ。撮影チームでは、カメラをあえて目立たない場所に置き、被写体にカメラを意識させないことを常に意識している。構えたカメラの前で作り込んだ笑顔より、施術中にふとこぼれる自然な表情のほうが、画面の向こうのお客さまの心を動かす。美容室のショート動画で「この人に会いたい」と思わせる正体は、この自然体にある。

スマホのショート動画に惹かれて来店を決める様子を表す図解

何を撮ると、何に効くのか——サロン向けショート動画の早見表

やみくもに撮る前に、コンテンツの種類ごとに「何に効くか」を整理しておきたい。以下に、美容室のショート動画でよく使う4パターンを、主に効く場面と撮り方のポイントとともにまとめる。

撮る内容 主に効く場面 撮り方のポイント
ビフォーアフター 技術力の証明・保存されやすい 変化を1カットで見せ、最初の1秒で結果を出す
スタッフの人柄・日常 「この人に会いたい」と思わせる カメラを意識させず、自然な表情を撮る
店内の雰囲気・こだわり 来店前の不安をなくす 明るい時間帯に、席や内装の空気ごと
ヘアケアの豆知識 保存・フォロー獲得 30秒で1テーマ、役立つ情報を1つだけ

4種すべてを毎回やる必要はない。まずは「スタッフの人柄」と「店内の雰囲気」——予約前の見極めに直結する2つから始めるのが、湘南の小さなサロンには現実的だ。ショート動画そのものの基本を押さえたい場合はSNS用ショート動画とは? TikTok・リール・ショートの違いと活用法もあわせて読んでほしい。

湘南のサロンが明日から始める3ステップ

難しく考えず、次の順番で始めれば十分だ。

  1. 既存客の年代でプラットフォームを決める(30〜40代中心ならInstagramのリール、10〜20代中心ならTikTokから)
  2. まずは「スタッフ紹介」と「店内の空気」を、スマホの縦動画で週1本ずつ撮る
  3. プロフィールと各投稿に、平塚・大磯など地域名と最寄り駅、予約リンクを必ず入れる

湘南は、海辺の光や地域の空気そのものが画になるエリアだ。店の外観や近隣の風景を少し差し込むだけで、地元のお客さまには「近所のあの店だ」という親近感が生まれる。どのプラットフォームから始めるか迷う場合はYouTubeとTikTok、中小企業はどっちから始める?目的別の選び方が判断の助けになる。私たちも企業案件のTikTok運用で、初月100万再生、3か月連続で月300万再生以上(2023年4〜6月)を出した経験があるが、そこで効いたのもやはり、飾らずに人と現場を見せることだった。

カメラを意識させず自然体で施術する美容師と客の様子

内製で続けるか、節目だけプロに頼むか

日々のショート動画は、スマホで店のスタッフが撮るのが一番いい。撮る人と撮られる人の距離が近いほど自然体が引き出せるし、投稿の鮮度も保てるからだ。無理に外注して更新が止まるより、内製で細く長く続けるほうが、予約前の見極めには効く。

一方で、開店・リニューアル・周年といった節目に使う店の顔になる1本や、撮り方の型づくりの最初だけは、プロの手を借りる価値がある。日々は内製、節目は外注というハイブリッドが、費用を抑えつつ質を落とさない現実解だ。湘南エリアでのSNS集客の全体像は湘南・大磯のSNS集客術|地域ブランドで選ばれる中小企業になる方法でも整理している。

ショート動画のコンテンツ種類が予約につながる流れの図解

よくある質問

Q. フォロワーが少なくても新規客は増えますか?

A. 増える。ショート動画はフォロワー数よりも、1本ごとの内容が刺さるかどうかでおすすめ表示に乗る仕組みだ。フォロワーゼロからでも、地域名と人柄がはっきり伝わる動画は、近隣の見込み客に届く。

Q. InstagramとTikTok、どちらから始めるべきですか?

A. 既存客の年代で決めるのが失敗しない。30〜40代が中心ならInstagramのリール、10〜20代が中心ならTikTokから始めるとよい。両方を無理に同時運用せず、まず片方に絞る。

Q. 撮影は自分たちでやるべきですか、外注すべきですか?

A. 日々の投稿は内製、節目の1本は外注、が基本だ。毎日の自然体はスタッフにしか撮れない。開店・周年などの顔になる動画や、最初の型づくりだけプロに頼むと、費用対効果が高い。

まとめ

美容室のショート動画は、新規のお客さまに知ってもらう入口ではなく、予約する前に会いたいと思わせる場面で効く。美容センサスが示すとおり、知るきっかけは今も予約・口コミサイトが太い。だからこそ、そこで見つけたお客さまが最後に背中を押される場所として、SNSの動画が生きてくる。

凝った作品を目指す必要はない。スタッフの人柄と店の空気を、飾らず自然体で見せること——それが湘南の小さなサロンにとって、一番の武器になる。まずはスタッフ紹介と店内の様子を、週1本ずつスマホで撮ることから始めることをすすめる。

何をどう見せれば自分の店の魅力が伝わるか迷ったら、私たち制作者と一緒に、その見せ方を言葉にするところから始めてほしい。