
「体験レッスンには来てくれるけど、そこから入会につながらない」——平塚や大磯でスイミングスクールやダンス教室、音楽教室を運営する経営者と話すと、こうした悩みをよく耳にする。チラシや教室のホームページだけでは、実際のレッスンの空気感や講師の人柄が伝わりきらないというのが実情だ。
結論から言えば、習い事教室の集客は「保護者が申し込みを決める動画」と「子ども自身が惹かれる動画」を分けて設計することが鍵になる。決裁権を持つ保護者と、実際にレッスンを受ける子どもとでは、見ているSNSも、動画に求めているものも違うからだ。
この記事では、子どもの習い事実施率・費用の最新調査データと、子どものSNS利用実態調査をもとに、湘南のスイミングスクールやダンス教室、音楽教室、体操教室などが体験申込を増やすためにどう動画を使うべきかを、制作者としての現場感覚を交えて整理する。
- 結論:保護者向け(信頼・安心材料)と子ども向け(雰囲気・楽しさ)の動画は分けて設計する
- 習い事の実施率・費用はともに上昇傾向(小学校高学年は2021年月2万円台→2025年月2万3,000円超)で、選ばれる教室とそうでない教室の差が動画の有無で開き始めている
- 中学生のSNS利用率は95%に達し、女子はTikTok・Instagramを各6割超が利用。保護者はLINE・Instagramのフィード、子ども本人はTikTok・リールで教室を見ている
なぜ今、習い事教室に
動画が必要なのか
株式会社ビデオリサーチが2025年10月に実施した「Kids/ex」調査(関東圏の満3〜12歳の子を持つ保護者584名対象)によると、未就学児の習い事実施率は2025年に64.2%となり、2021年から約10ポイント増加した。小学校低学年は8割台、高学年は9割前後で推移しており、多くの家庭にとって習い事はすでに「当たり前の選択肢」になっている。
同時に費用も上がっている。未就学児の月謝は2017年比で8年間に月4,000円以上(年間換算5万円以上)増加し、小学校高学年では2021年の月2万円台から2025年には月2万3,000円超まで伸びた。この数字が意味するのは、保護者がこれまで以上に「この金額を払う価値があるか」を吟味してから教室を選ぶようになっているということだ。
実施率が高く費用も上がっている市場では、チラシや口コミだけに頼る教室と、レッスンの様子や講師の人柄を動画で見せる教室とで、体験申込の入り口での差がつきやすい。次の章で、その動画をどこに届けるべきかを見ていく。
保護者と子どもでは
見ているSNSが違う

NTTドコモ モバイル社会研究所が2025年11月に実施した調査(全国の小中学生とその親1,200組対象、訪問留置調査)によると、子どものSNS利用率は小学生高学年で62%、中学生では95%に達し、いずれの学年でも女子が男子より高い。LINEの利用率は小学生高学年で約半数だが、中学生では9割を超える。さらに中学生女子はTikTok・Instagramをそれぞれ6割超が利用しているという結果も出ている。
この数字が意味するのは、「教室を検索して比較検討する保護者」と「実際にSNSで教室を見つける子ども・生徒本人」とで、動画を届けるべき場所が違うということだ。以下に、それぞれ向いているSNSと動画の役割を整理する。
| 見る人 | 向いているSNS | 動画の役割 |
|---|---|---|
| 保護者(決裁者) | LINE公式・Instagramフィード | 講師の人柄・安全対策・月謝の納得感を伝える |
| 未就学〜小学生本人 | 保護者のスマホ経由で視聴 | 「楽しそう」という直感を後押しする |
| 中学生本人 | TikTok・Instagramリール | 教室の雰囲気・友人関係を感覚的に確認する |
保護者向けと生徒向けを同じ1本の動画で両方満たそうとすると、どっちつかずになりやすい。LINE公式アカウントを軸にした発信の考え方はLINE公式アカウント×動画でリピーターを増やす|湘南の教室・店舗活用術でも整理しているので、あわせて参考にしてほしい。
何を撮ればいいか
——「演出しすぎない」が信頼を生む
スイミングでもダンスでも音楽教室でも、保護者が見たいのは完璧に編集された宣伝映像ではなく、「うちの子がこの先生・この空間に合いそうか」を判断できる素の情報だ。私たちの撮影チームでは、発信で大事なのは伝えたいことをできるだけ自然体で伝えることだと考えている。現場では常に目立たない場所にカメラを置き、被写体にカメラを意識させない自然な受け答えを撮ることを意識している。
台本どおりに演じてもらうよりも、レッスン中の素の表情や、できなかったことができるようになった瞬間のほうが、見る人には「リアルな教室」として伝わりやすい。体験レッスンに来られなかった保護者でも、その空気感が動画から伝われば、入会の後押しになる。
未成年が映る動画は、公開範囲と同意確認をセットで
子どもの姿を撮影・公開する以上、保護者への説明と同意取得は動画の出来栄え以上に優先すべき事項だ。入会時や体験申込時に「SNS・広報での使用可否」を書面やフォームで確認しておく運用を、動画活用の前提として整えておきたい。
小さく始めるための
実践ステップ

- レッスンの様子を月1回、10〜15分だけ定点で撮影する日を決めておく(毎回撮ろうとすると続かない)
- 撮れた素材から、保護者向けにはLINE公式・Instagramフィード用に1〜2分の紹介動画を、生徒向けにはTikTok・リール用に15〜30秒のダイジェストを切り出す
- 体験申込フォームや教室の公式LINEへの導線を、動画の説明欄・固定コメントに必ず入れる
- 入会・体験申込時に撮影・SNS公開の同意可否を確認する仕組みを先に整える
リールやショート動画をどう使い分けるかで迷う場合はリールとショート、結局どっち?目的別の使い分け早見表も参考にしてほしい。1本の撮影素材を「保護者向け」「生徒向け」に編集し分ける発想さえ持てれば、撮影自体は月1回のペースでも十分に発信を続けられる。
よくある質問
Q. 撮影スタッフを雇う予算がない場合、スマホ撮影でも効果はあるか?
A. 効果はある。保護者が見たいのは編集の完成度より現場の空気感なので、手ブレを抑えるジンバルや三脚だけ用意し、スマホで月1回の定点撮影から始めても十分に伝わる動画になる。
Q. 生徒の顔を出したくない場合はどうすればいいか?
A. 手元や後ろ姿、講師とのやり取りの音声を中心に構成すれば、顔を出さなくても雰囲気は十分伝えられる。同意が得られた生徒だけを対象にする、モザイク処理をするなど、教室ごとに運用ルールを決めておくとよい。
Q. どのくらいの頻度で投稿すればいいか?
A. 決まった正解はないが、月1回の撮影から、保護者向け・生徒向けに編集し分けた複数本を数週間かけて投稿していくペースが、少人数運営の教室でも無理なく続けやすい。
まとめ
習い事の実施率・費用がともに上がる中、湘南のスイミングスクールやダンス教室、音楽教室にとって、体験申込を増やす動画は「あれば良い」ものから「差がつく」ものになりつつある。中学生のSNS利用率が95%に達するなど、子ども本人がSNSで教室を見つける時代でもある。
大切なのは、保護者向け(LINE公式・Instagramフィードで安心材料を伝える)と生徒向け(TikTok・リールで雰囲気を伝える)を分けて考えることだ。次のステップとして、まずは月1回のレッスン定点撮影の日をカレンダーに決めることから始めることをすすめる。撮れた素材の編集し分け方は、私たちのような制作者に相談してもらえれば一緒に整理できる。